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量 子 乱 流 〜Another Da Vinci Code〜. 坪田 誠 大阪市大院理. Review article M. Tsubota, J. Phys. Soc. Jpn.77 (2008) 111006 Progress in Low Temperature Physics Vol.16, eds. W. P. Halperin and M. Tsubota, Elsevier, 2008 坪田誠 / 西森拓、量子渦のダイナミクス / 砂丘と風紋の動力学 , 培風館 (2008). Another Da Vinci Code .

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another da vinci code
量 子 乱 流〜Another Da Vinci Code〜

坪田 誠

大阪市大院理

  • Review article
  • M. Tsubota, J. Phys. Soc. Jpn.77 (2008) 111006
  • Progress in Low Temperature Physics Vol.16, eds. W. P. Halperin and M. Tsubota, Elsevier, 2008
  • 坪田誠/西森拓、量子渦のダイナミクス/砂丘と風紋の動力学, 培風館(2008)
slide2

Another Da Vinci Code

Leonard Da Vinci (1452-1519)

ダ・ヴィンチは水の流れ(乱流)を観察し、それが大小様々な渦から成ることを見い出した。

乱流は渦に注目しなさい。

slide3

とんぼの背後の乱流

http://www.nagare.or.jp/mm/2004/gallery/iida/dragonfly.html

確かに乱流は渦からなるように見える。しかし、これらの渦は不安定で、その同定も容易でない。

slide4

乱流研究の意義

乱流は、理学・工学を通じて、自然界の大問題である。

Feynman 「乱流は古典物理学の最終問題の一つである」

Another Da Vinci Codeが、問題解決のカギになるかも知れない。

しかし、普通の乱流では、Another Da Vinci Codeが適用できるかどうか、よくわからない。

Another Da Vinci Code は、量子乱流の中でこそ、実現している事が、近年わかってきた。

slide5

量子流体力学の舞台 〜 ボース・アインシュタイン凝縮 (BEC)

量子力学の本質       粒子と波動の二重性

理想気体

高温

気体分子は、「粒子」として振る舞う。

熱的ド・ブロイ波長が伸び、気体分子は、「波動」として振る舞う。古典統計から量子統計に移行。

各分子の波が重なりあい、系全体におよぶ巨大な波が形成される。 Ψ : 巨視的波動関数

低温

Ψ

ボース・アインシュタイン凝縮

slide6

巨視的波動関数

超流動速度場

単連結領域

多重連結領域

循環の量子化

(n: 整数)

超流体が排除された渦芯と量子化された循環を持つ渦

量子渦(Quantized vortex)

slide7

全ての渦は厳密に同じ循環を持つ。

渦は安定である。

コヒーレンス長のオーダー

ボース凝縮(超流動)中では全ての回転的流れ( )は、非粘性超流体の渦である量子渦(位相欠陥)によって担われる。

(i) 循環が量子化され、保存量となる。

n≧2 の渦は不安定。

(ii) 渦度の粘性拡散による、減衰機構が働かない。

〜Å

ρ

(r)

s

(iii) 渦芯が非常に細い。

rot v

s

r

このような量子渦が作る乱流を量子乱流と言う。

slide8

普通の乱流(古典乱流)vs. 量子乱流

古典乱流

量子乱流

渦芯の運動

Another Da Vinci Codeは、量子乱流で実現する。

・量子渦は安定な位相欠陥。

・量子渦の循環は全て同一で保存する。

・渦は生まれては消える不安定な存在。明確に定義できない。

・循環の異なる渦が混在している。循環が保存しない。

量子乱流の方が古典乱流より簡単である。

slide9

量子渦の運動を記述する二つの方法

渦糸モデル(Schwarz)ビオ・サヴァール則

量子渦はビオ・サヴァール則によりその回りに超流動流れ場を作り、それに乗って動く。有限温度では、相互摩擦を取り入れる。

r

s

巨視的波動関数に対するGross-Pitaevskii方程式

slide10

今日の話の内容

0. 序論

1. 原子気体 BEC の量子渦: 量子渦格子形成

2. 超流動ヘリウムの量子渦:量子乱流

原子気体 BEC の量子乱流

振動物体が作る量子乱流遷移 

slide11

1. 原子気体BECの量子渦:量子渦格子形成

原子気体ボース凝縮の実現(1995)

87Rb, 7Li, 23Na etc.

レーザー冷却(ドップラー冷却)

原子の共鳴周波数より低い周波数のレーザー光を原子気体に当てる

→ レーザー光に対向し運動する原子は、吸収して減速

6本の対向ビームの交点に、減速原子が溜まる。   T〜 100μK

レーザー光で原子の運動を止める。

磁気光学トラップ 磁気トラップ

冷却原子を捕獲

減速した原子集団を捕獲する。

蒸発冷却

磁場によってスピン偏極した原子気体に、エネルギーの高い原子スピンだけを反転させるようなrf磁場を照射

→ エネルギーの高い原子はトラップから放逐される

速い原子を捨てる。

BEC T〜 100 nK

slide12

ボース凝縮の観測

捕獲ポテンシャルを切る。

→ 気体は自由落下しつつ、膨張する。

→ 原子の位置を観測して、原子の初期速度分布を決定する。

M I Tの観測

2001年のノーベル物理学賞!

slide13

原子気体ボース凝縮系の大きな特徴

  • 理論
  • (十分低温では)希薄ボース気体のモデルと,平均場近似理論(Gross-Pataevskii方程式)が,定量的に非常に有効である。
  • 実験
  • 凝縮体を直接,制御し可視化することができる。
  • 原子間相互作用をフェッシュバッハ共鳴により,変調できる。
slide14

普通の流体(古典流体)をバケツに入れ、バケツを回転させると何が起こるか?普通の流体(古典流体)をバケツに入れ、バケツを回転させると何が起こるか?

流体は、バケツと同じ回転角速度で剛体回転を行う。

バケツ内に1本の渦ができたことを意味する。バケツの回転角速度が何であっても、それに対応した1本の渦ができる。

量子流体ではそうならない。原子気体ボース凝縮を用いた実験が行われた。

slide15
原子気体BECにおける量子渦の観測

ENS

K.W. Madison et al., PRL 84, 806 (2000)

JILA

P. Engels et al.,

PRL 87, 210403 (2001)

MIT

J.R. Abo-Shaeer et al., Science 292, 476 (2001)

Oxford

E. Hodby et al.,

PRL 88, 010405 (2002)

slide16

z

y

x

トラップされた BEC にどのように回転を与えるか?

K. W. Madison et al., Phys.Rev Lett 84, 806 (2000)

軸対称トラッピングポテンシャル

5mm

100mm

非軸対称ポテンシャル

“cigar-shape”

かき混ぜるレーザー

回転振動数

W

回転座標系:

光学スプーン

20mm

16mm

slide17
渦格子形成のダイナミクスの直接観測

K.W.Madison et.al. PRL 86 , 4443 (2001)

回転ポテンシャルを加えた後のBECのスナップショット

1. 凝縮体はだ円形に変形し減衰振動をする。

2. 凝縮体の表面が不安定になる。

Rx

3. その表面から渦が侵入する。

Ry

4. 凝縮体は軸対称を回復し、渦は格子を組む。

gross pitaevskii
回転系のGross-Pitaevskii 方程式

凝縮体波動関数

原子間相互作用

s-波散乱長

調和ポテンシャル

回転系

2次元

近似

Ω

Ω

gross pitaevskii1
現象論的散逸項を含むGross-Pitaevskii 方程式

S.Choi, et.al. PRA 57, 4057 (1998)

I.Aranson, et.al. PRB 54, 13072 (1996)

凝縮成分と非凝縮成分の相互作用

E.Zaremba, T. Nikuni, and A. Griffin, J. Low Temp. Phys. 116, 277 (1999)

C.W. Gardiner, J.R. Anglin, and T.I.A. Fudge, J. Phys. B 35, 1555 (2002)

M. Kobayashi and M. Tsubota, Phys. Rev. Lett. 97, 145301 (2006)

slide20
1本の量子渦の構造

一本の渦を持つ状態

速度場

渦芯= ヒーリング長

slide21
渦格子形成のダイナミクス (1)

M. Tsubota, K. Kasamatsu, M. Ueda, Phys. Rev. A65, 023603(2002)K. Kasamatsu, M. Tsubota, M. Ueda, Phys. Rev. A67, 033610(2003)

凝縮体密度  の時間発展

実 験

slide22
渦格子形成のダイナミクス (2)

凝縮体密度  の時間発展

t=0

67ms

340ms

これらの孔は本当に量子渦か?

410ms

700ms

390ms

slide24
渦格子形成のダイナミクス (4)

位相 の 時間発展

t=0

67ms

340ms

幽霊渦

実渦に成長

390ms

410ms

700ms

slide25
渦格子形成のシナリオ

捕獲ポテンシャルを回すと、 

1. 凝縮体は4重極振動を行う。           凝縮体の中            

Ghost Vortex(凝縮体密度を伴わない位相だけの渦)  凝縮体の外

 が凝縮体の外に現れ、境界まで来る。

2. 凝縮体の境界が不安定になり表面波が励起される。 

GVが境界でせめぎ合う。

3. 表面波窪みが渦芯となって、凝縮体内に侵入する 

  → 角運動量の上昇                 

一部のGVはReal vortexとなって凝縮体内に侵入し、他は外にはじかれる。

4.Real vortexは散逸のあるvortex dynamicsに従い、渦格子を形成する。凝縮体は円対称を回復。   

はじかれたGVは凝縮体の外を徘徊する。

slide27

2. 超流動ヘリウムの量子渦:量子乱流

超流動ヘリウムの研究史

液体 4He は2.17K (λ 温度) でボース凝縮を起こし、超流動となる。

その様々な挙動は、二流体モデルにより記述される。

二流体モデル

系は、非粘性の超流体と、粘性を持つ常流体の二流体からなる。

温度

温度 (K)

slide28

(ii) v > v

s

c

v

v =0

s

s

量子渦のタングルが成長する。渦タングルを介して二流体は相互作用し(相互摩擦)、超流体は減衰する。

超流動は、速く流れると壊れる(粘性が発生する)。超流動は、速く流れると壊れる(粘性が発生する)。

(i) v < v

(some critical velocity)

s

c

v

v

s

s

二流体間に相互作用はなく、超流体は減衰せずに流れる。

slide29

1955 Feynman は、これが量子渦タングルによる「超流動乱流」であると提案した。

Progress in Low Temperature Physics Vol.I (1955), p.17

1955, 1957Hall and Vinenは「超流動乱流」を観測した。

量子渦タングルと常流体に働く「相互摩擦」が、散逸を引き起こす。

slide30

その後、非常に多くの実験研究が、超流動4Heの熱カウンター流に対して行われた.その後、非常に多くの実験研究が、超流動4Heの熱カウンター流に対して行われた.

Vortex tangle

Heater

Normal flow

Super flow

1980’sK. W. SchwarzPhys.Rev.B38, 2398(1988)

量子渦糸の三次元ダイナミクスの直接数値計算を行い、温度差△Tを定量的に説明することに成功した。

slide31

熱カウンター流における量子渦タングル

K. W. Schwarz, Phys. Rev. B38, 2398(1988)

6本の渦輪が渦タングル(量子乱流)に発展する様子

量子渦タングル

流れによる励起と相互摩擦による散逸が拮抗した、量子渦タングルの統計的定常状態が実現。

⇨典型的実験結果と一致

Feynman以来の、

超流動乱流=量子渦タングル

という描像が確立した。

vs vn

slide32
超流動乱流と古典乱流はどういう関係があるのか?超流動乱流と古典乱流はどういう関係があるのか?

ほとんどの超流動乱流の研究は、熱カウンター流に限定されていた。

⇨ 古典乱流との対応が無い。

Feynmanが上図を示したとき、古典乱流(特にカスケード過程)を念頭に置いていたはず!

slide33

量子乱流および量子渦は、約50年前に超流動ヘリウムにおいて発見された。量子乱流および量子渦は、約50年前に超流動ヘリウムにおいて発見された。

ところが、1990年代後半から、量子乱流の研究は再び盛んになってきた。

最大の観点

量子乱流は、古典乱流よりも簡単な、乱流の雛形を与えることが期待できる。

⇨ 500年もの謎であった乱流にブレイクスルーが起こるかも知れない。

slide34

乱流研究の目標

  予測と制御

乱流で統計則を考える意味

時間的・空間的に変動する場を、予測することはできない。

統計量(場の相関関数など)は、再現性のある普遍法則を示すことが期待される。

slide35

乱流の統計則 (1941, Kolmogorov)

一様等方乱流のエネルギースペクトル

E(k) :エネルギースペクトル

k のスケールの eddy(渦運動)がもつエネルギー

エネルギー保有領域

k〜k0=1/ℓ0 付近でエネルギーが注入される。

慣性領域

粘性は効かない。非線形相互作用により、エネルギーは高波長領域へ輸送される。コルモゴロフ則(K41)が成立。     E(k)=Cε2/3k--5/3

エネルギー散逸領域

コルモゴロフ波数 k〜kK=(ε/ν3)1/4

付近で粘性が効き、エネルギーは熱に変換される。

木田、柳瀬「乱流力学」(朝倉書店、1999)

slide36

ε: 単位時間単位質量当たりの注入エネルギー(エネルギー保有領域)

=慣性領域のエネルギー輸送率

=エネルギー散逸領域のエネルギー散逸率

しかし,このカスケード過程は誰も見た人がいない!

慣性領域は、大きなスケールの渦が小さな渦に分裂するRichardson cascadeにより成り立っていると信じられている。

←大スケールでεでエネルギーが注入される。

←大スケールから小スケールへεでエネルギーが移動

←小スケールでεでエネルギーが除去される。

波数 k のエネルギー:        コルモゴロフ・スペクトル

速度場の2体相関のフーリエ変換

slide37

 量子乱流のエネルギースペクトル

常流体が存在しない状況で、量子乱流のエネルギースペクトルを調べた研究は、3つある。

Decaying Kolmogorov turbulence in a model of superflow

C. Nore, M. Abid and M.E.Brachet, Phys.Fluids 9, 2644 (1997)

Gross-Pitaevskii (GP) モデル

Energy Spectrum of Superfluid Turbulence with No Normal-Fluid Component

T. Araki, MT and S.K.Nemirovskii, Phys.Rev.Lett.89, 145301(2002)

渦糸モデル

Kolmogorov Spectrum of Superfluid Turbulence: Numerical Analysis of the Gross-Pitaevskii Equation with a Small-Scale Dissipation

M.Kobayashi and MT, Phys. Rev. Lett. 94, 065302 (2005), J. Phys. Soc. Jpn.74, 3248 (2005).

修正 GPモデル

slide38

Kolmogorov spectrum of quantum turbulence M. Kobayashi and M. Tsubota, Phys. Rev. Lett. 94, 065302 (2005), J. Phys. Soc. Jpn. 74, 3248 (2005)

1. 高速フーリエ変換を用いるために、波数空間でGP方程式を解いた。

2. 量子乱流の統計的定常状態を作った。そのために、

2-1 短波長フォノンを消すために、短波長のみで作用する散逸項を導入した。

2-2 ランダムポテンシャルを動かして、大スケールでエネルギーを注入した。

slide39

実空間の GP 方程式

フーリエ空間の GP 方程式

渦芯を与えるヒーリング長

GP 方程式を高精度で解くために、立方体中で周期境界条件を用いて擬スペクトル法を用いる。

slide40

小スケールの散逸をどうやって導入するか?

小スケールの散逸を入れた GP 方程式

:渦芯を与えるヒーリング長

ξ 以下の小スケールのみで働く散逸項を入れた。

ξ以下のスケールでは量子渦の運動は無く、音波しかない。

この散逸項は、後にGP-BdG連立方程式の解析により正当化される。

M. Kobayashi and M. Tsubota, Phy. Rev. Lett. 97, 145301 (2006)

slide41

大スケールのエネルギー注入をどう行うか?

以下の時空相関を満たすように、ランダムポテンシャルを動かす:

このX0が、エネルギーが注入されるエネルギー保有領域を決める。

X0

ξ

slide42

量子乱流の定常状態を得る(1)

各エネルギー成分の時間発展

量子渦(芯)

中央面での位相

動くランダムポテンシャル

slide43

量子乱流の定常状態を得る(2)

各エネルギー成分の時間発展

slide44

量子乱流定常状態のエネルギースペクトル

エネルギースペクトルはコルモゴロフ則(K41)を示す。

量子乱流が、古典乱流の最も重要な統計則をを示す事がわかった。

M. Kobayashi and M. T., J. Phys. Soc. Jpn. 74, 3248 (2005)

量子渦のRichardson cascade

2π / X0

2π / ξ

slide45

3. 原子気体BECの量子乱流

量子渦が作る協力現象              回転下の渦格子 渦タングル(量子乱流)

None

slide46

M. Kobayashi and M. Tsubota, Phys.Rev.A76, 045603(2007)

捕獲原子気体BECで乱流を作れるか?

(1)流れを系に加えることができない。

(2)有限系である。十分な慣性領域がとれるか?

M. Kobayashi and M. T., J. Phys. Soc. Jpn. 74, 3248 (2005)

コヒーレンス長はシステムサイズに比べて十分に小さくはなかったが,慣性領域はありコルモゴロフ則が成立した。

slide47
原子気体BECでどうやって量子乱流を作るか?〜2軸歳差運動〜原子気体BECでどうやって量子乱流を作るか?〜2軸歳差運動〜

z

1. BECを弱い楕円ポテンシャルに入れる。

2. 系をまずx軸周りに,次いでz軸周りに回す。

y

x

s goto n ishii s kida and m nishioka phys fluids 19 061705 2007

1軸周りの回転

このアイデアは既に古典乱流で用いられていた.S. Goto, N. Ishii, S. Kida, and M. Nishioka, Phys. Fluids 19, 061705 (2007)

2軸周りの回転

slide49

この2回転は、その和の1回転で表されるか? No!

歳差運動

回転軸そのものが他の軸の周りを回る。

Ωx

Ωz

Precessing motion of a gyroscope

回転軸と歳差軸が垂直な場合を扱う。この時、2つの回転は非可換となり、その和では表現されない。

slide50

Two precessions (ωx×ωz)

Three precessions (ωy× ωx× ωz)

Condensate density Quantized vortices

Condensate density Quantized vortices

energy spectra for two cases
Energy spectra for two cases

Kolmogorov law:

Two precessions

Three precessions

Three precessions produce more isotropic QT, whose η is closer to 5/3.

M. Kobayashi and MT, Phys. Rev. A76, 045603 (2007)

slide52
原子気体BECの量子乱流から何を得られるか?
  • 回転振動数や相互作用パラメータを変えて、乱流遷移を制御できる。
  • 量子渦を可視化できる。それにより、実空間のリチャードソン・カスケードと、波数空間のカスケード(コルモゴロフ則)の関係を調べることができる。
  • 捕獲ポテンシャルや回転振動数を変えて、2次元乱流から3次元乱流への遷移を見ることができる。
slide53
渦格子融解から量子乱流への遷移を制御

ωx×ωz

渦タングル(量子乱流)

Ωz

渦格子

?

渦格子

Ωx

0

slide54

z

z

z

z

y

y

y

y

x

x

x

x

原子気体BECの量子乱流から何を得られるか?
  • 回転振動数や相互作用パラメータを変えて、乱流遷移を制御できる。
  • 量子渦を可視化できる。それにより、実空間のリチャードソン・カスケードと、波数空間のカスケード(コルモゴロフ則)の関係を調べることができる。
  • 捕獲ポテンシャルや回転振動数を変えて、2次元乱流から3次元乱流への遷移を見ることができる。

制御可能な乱流を手に入れることができる。

slide55

1.6 mm

wire の直径: 3μm

4. 振動物体が作る量子乱流遷移

超流動ヘリウム中のvibrating wire

slide56

1.6 mm

wire の直径: 3μm

超流動ヘリウム中のvibrating wire

B

Io exp(iωt)

slide57

1.6 mm

wire の直径: 3μm

超流動ヘリウム中のvibrating wire

Wireに加える力 Fと振動速度 v を観測する。

B

Io exp(iωt)

slide58

力 Fを増すと、最初wireの速度 vは増すが、ある臨界値以上で振れなくなる。

→もともとwireに付着していた量子渦が乱流に遷移した!

50 mm/s

H.Yano, N. Hashimoto, et al, Phys. Rev. B75, 012502 (2007).

slide59

交流流れ場中で残余渦が乱流に発展する様子

R. Hänninen, M. Tsubota, W.F. Vinen, Phys. Rev. B 75, 064502 (2007)

slide60

200 μm

様々な振動物体を用いて、同様の挙動が観測された。

Microsphere

Grid

Wire

60 mm/s

42 mm/s

50 mm/s

H.A. Nichol, L. Skrbek, P.C. Hendry, P.V.E. McClintock,

Phys. Rev. Lett.92, 244501 (2004).

H.Yano, N. Hashimoto, et al, Phys. Rev. B75, 012502 (2007).

J. Jager, B. Shuderer, W. Schoepe, Phys. Rev. Lett.74, 566 (1995).

slide61

400

Vc (mm/s)

乱流遷移臨界速度の振動数依存性

100

100

:循環量子

10

10

100

(mm/s)

slide62

大阪市大グループは、種渦がからまっていないwireを得た。大阪市大グループは、種渦がからまっていないwireを得た。

Response of a vibrating wire at 30 mK

VW(A) は1 m/s を超えても乱流に成らない。

種渦が無い。

VW(B) は乱流になる。

N. Hashimoto, R. Goto, H. Yano, K. Obara, O. Ishikawa, T. Hata, PRB76, 020504(2007)

R. Goto, S. Fujiyama, H. Yano, Y. Nago, N. Hashimoto, K. Obara, O. Ishikawa, M. Tsubota, T. Hata, PRL100, 045301 (2008)

slide63

Aのみを振ると,

A

A

B

B

渦輪照射による乱流遷移 (1)

R. Goto, S. Fujiyama, H. Yano, Y. Nago, N. Hashimoto, K. Obara, O. Ishikawa, M. Tsubota, T. Hata, Phys. Rev. Lett. 100, 045301(2008)

30 mK

A は決して乱流を起こさない。

slide64

Bのみを振ると、

A

A

B

B

渦輪照射による乱流遷移 (2)

B は乱流を引き起こす。

slide65

A andB両方を振ると

A

A

B

B

A はBから渦を受け取ったときのみ乱流になる。

どちらも乱流を引き起こす。

渦輪照射による乱流遷移 (3)

slide66

振動球に量子渦輪を照射する。

V= 137 mm/s

V= 50 mm/s

Parameters for the sphere

Radius 3μm

Frequency 1590 Hz

slide67

量子乱流定常状態と渦糸密度

Vortex line length for different velocities (1)30mm/s, (2)50mm/s, (3)70mm/s, (4)90mm/s, (5) without a sphere

Parameters for the sphere

Radius 3μm

Frequency 1590 Hz

Velocity 137 mm/s

slide68

S. Fujiyama and M. Tsubota, PRB79, 094513(2009)

どうやって乱流遷移を特徴づけるか 抗力

CD: 抵抗係数

ρ: 流体密度

A: 流れに垂直な物体の断面積

U: 流速

低速:

Stokes’ drag force

高速:

L. Skrbek and W. F. Vinen, in Progress in Low Temperature Physics, Vol. 16, p.193

slide69

S. Fujiyama and M. Tsubota, PRB79, 094513(2009)

抗力と抵抗係数

The dotted line ∝ U2

The turbulent state gives !

slide70

乱流 → 秩序相

今後の量子乱流研究の展開

  • コルモゴロフ則(波数空間の自己相似則)
  • 量子渦の長さ分布(実空間の自己相似則)
  • 抵抗係数 CD〜O(1) etc.

乱流遷移を”相転移”としてとらえたい

量子乱流の秩序変数をどうとらえるか?

量子乱流の全ての物理は、量子渦の運動に帰着される(要素還元的)

→ Another Da Vinci Code の完成!

slide71

16世紀

まとめ

量子流体力学と量子乱流に関する最新の研究について紹介した。

量子乱流は、Another Da Vinci Codeを実現し、500年もの間自然の大きな謎であった乱流の理解にブレイクスルーを生むかも知れない。

21世紀

  • Review article
  • M. Tsubota, J. Phys. Soc. Jpn.77 (2008) 111006
  • Progress in Low Temperature Physics Vol.16, eds. W. P. Halperin and M. Tsubota, Elsevier, 2008