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不思議の国のアリス 2010. 展示とギャラリー・トーク 高井戸図書館. 展示の趣意. 今年の春の話題のひとつは、ディズニー映画 『 アリス・イン・ワンダーランド 』 でした。それがとりわけ受けたのは3D、すなわち3次元映像(立体的に見える)映画だったからでした。その内容は、 『 不思議の国のアリス 』 と 『 鏡の国のアリス 』 いう題名で知られている本を下敷きにしていますが、新しいファンタジーとして紡ぎ上げられていました。
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不思議の国のアリス 2010 展示とギャラリー・トーク 高井戸図書館 高井戸図書館展示
展示の趣意 今年の春の話題のひとつは、ディズニー映画『アリス・イン・ワンダーランド』でした。それがとりわけ受けたのは3D、すなわち3次元映像(立体的に見える)映画だったからでした。その内容は、『不思議の国のアリス』と『鏡の国のアリス』いう題名で知られている本を下敷きにしていますが、新しいファンタジーとして紡ぎ上げられていました。 『西洋を築いた書物』(原題:PRINTING MIND OF MAN)の一点として評価されているこの物語は、英国の作家ルイス・キャロル(本業はオックスフォード大学の数学教師)によって、145年前に書かれました。そんなに前に書かれた物語なのに、この間世界中で何回も出版され、いままた映画化されたりしています。それはなぜでしょうか。一つにはその本が名作だからなのですが、その理由だけではなさそうです。ではそれ以外にどんなことが考えられるでしょうか。 ここに展示した数々の本は、そのわけを明らかにしようとしてある個人が蒐集したものなのですが、みなさんもそれらをご覧になって一緒にそれを考えてみませんか? 高井戸図書館展示
ギャラリー・トークアリス・イン・高井戸図書館2010.10.30 〜11.3 • なぜ、アリスなの • ディズニー映画『ALICE IN WONDERLAND』 • 「絵のない本なんてつまらない」〜アリスの独白 • アリスと『かぐや姫』 • アリスの挿画本 • 私の『不思議の国のアリス』 • オリジナル写本 • 初期の本 • テニエルの挿絵 • 挿画本黄金期の本 • アリスの邦訳本 • 現代の本 高井戸図書館展示
『不思議の国のアリス』の手稿本ー覆製本 Alice’s Adventures Under Grand.(大英図書館刊、2008年) 『不思議の国のアリス・オリジナル』〔新装版〕(高橋宏 訳・注、書籍情報社、2006年[初刷2002年]) • 『不思議の国のアリス』は1866年に初めて出版されたのですが、その少し前に作者のルイス・キャロルは、友人の娘、アリス・リデルに『地底の国のアリス』と題した手書きの本を作って上げました。 • その原本はいまロンドンの英国図書館(the British Library)に収蔵されています。ここに展示した本はもちろん覆製本ですが、一つはその図書館が2008年作成した限定版で、いま一つは02年にわが国で出版された『不思議の国のアリス・オリジナル』です。 なお原作に付けられている挿絵は、著者自身の手によるものです。 高井戸図書館展示
初期の米国版『不思議の国のアリス』 Alice‘s Adventures in Wonderland (ジョン・テニエル挿絵、リー&シェパード社 1870年) 『不思議の国のアリス』は、ロンドンのマクミラン社が1866年に初めて出版しました。それがいわゆる初版本です。その後米国で幾つかの出版社によって出されました。この本はそうしたものの一つで、リー・アンド・シェパード社から1870年に刊行されました。 この本の挿絵は、マクミラン社初版本と同じく、ジョン・テニエルによるものが掲載されています。テニエルの挿絵は、その後もマクミランの再版本や別の出版社のものにも幾度となく使われており、一般にアリスを始めとして、きちがい帽子屋やチェシャ猫やあおむしなどのキャラクター・イメージは、テニエル挿画が一般に定着しています。 高井戸図書館展示
テニエルの挿絵〔I〕 『不思議の国のアリス』はその挿絵でも有名です。挿絵はジョン・テニエルによって描かれ、マクミラン社の初版本以来、同社の再版本や別の出版社のものにも幾度となく使われており、一般にアリスを始めとして、きちがい帽子屋やチェシャ猫やあおむしなどのキャラクター・イメージは、テニエル挿画が一般に定着しています。 高井戸図書館展示
テニエルの挿絵〔II〕 Sir John Tenniel’s Illustrations Lewis Carroll’s Adventures in Wonderland & Through the Looking-Glass(マクミラン社、1988、90年) • 1985年にマクミラン社の倉庫で『不思議の国のアリス』と『鏡の国のアリス』の原画が偶然に発見されました。この本にはそれらをもちいて新に刷られた版画集です。 • 両著に掲載されている全91点の挿絵のうち、90点はオリジナル版木から直に刷られ、版木が失われている1点については当時の電胎版から刷られました。 • その内の何点かを図書館玄関ホール展示ケースに並べています。 高井戸図書館展示
「不思議の国」のテニエルの挿絵 Sir John Tenniel’s Illustrations Lewis Carroll’s Adventures in Wonderland (マクミラン社、1988年) 高井戸図書館展示
第6章:あら公爵夫人の赤ちゃんがブタになったわ第6章:あら公爵夫人の赤ちゃんがブタになったわ 第6章:チェシャ猫がにやりとアリスを見下ろして 第7章:めちゃくちゃティーパーティで、帽子屋が… 第9章:にせ海亀の身の上話を聞かせられ 第10章:なによ、あんたたちただのトランプでしょ! 口絵:トランプの国の王様と女王様 第1章:急がなきゃ、急がなくちゃ! 第4章:こまったわ、まだまだ大きくなるみたい 第4章:とかげのビルが煙突から飛ばされるーう 第5章:芋虫とアリスは、しばらくの間見つめ合ったそして… 「不思議の国」のテニエルの挿絵 高井戸図書館展示
「鏡の国」のテニエルの挿絵 Sir John Tenniel’s Illustrations Lewis Carroll’s Through the Looking-Glass(マクミラン社、1990年) 高井戸図書館展示
口絵:白の騎士がアリスを助けに 第1章:鏡が溶けて、霧の幕のように 第1章:チェスのコマが皆一対になって… 第1章:王子よ、ジョッバーウォック(竜)を侮るなよ 第2章:まあ、この花たちはおしゃべりをするわ 第4章:双子の蝋人形、トゥーイードルダムとトゥイードルディー 第6章:ハンプティ・ダンプティは壁の上 第8章:わたし、こんな変わった騎士に会ったことがないわ 第9章:赤の女王と白の女王と、アリス女王が… 第10章:目が覚めたら子猫になっちゃった 「鏡の国」のテニエルの挿絵 高井戸図書館展示
テニエルの挿絵本〔I〕 Alice in wonderland & Through the looking-glass』(マクローリン・ブラザーズ社、1911年頃) • ここに陳列した本は、テニエルの挿絵を使った『不思議の国のアリス』と『鏡の国のアリス』です。 • この本の他、次のような本がテニエルの挿絵を掲載しています。 高井戸図書館展示
Alice’s Adventures in Wonderland Through the Looking-Glass and What Alice Found There (マクミラン社、 1911年) Alice’s Adventures in Wonderland(G・A・カイ挿絵、リッピンコット社、1923年 Alice‘s Adventures in Wonderland(M・L・カーク彩色挿絵、 J・テニエル挿画、ストークス社、1925年) The Nursery “Alice”〔復刻世界の絵本館−オズボーン・コレクション〕(ほるぷ出版、1985年、原本:マクミラン社、1889年) Alice’s adventures in wonderland(マクミラン社、1988年) Through the looking-glass and What Alice Found There (マクミラン社、 1988年) テニエルの挿絵本〔II〕 ※ここに挙げた本の中には、別に展示しているものがあります 高井戸図書館展示
Alice’s Adventure in Wonderland & Through the Looking-glass : the Definitive Illustrated Edition (モロウ社ブック・オブ・ワンダー、1992年) Alice’s Adventures in Wonderland & Through the looking-glass and What Alice found there(マクミラン社、1995年) Little Alice Edition of Lewis Carroll’s Classic Stories (マクミラン社、1995年) Alice’s Adventures in Wonderland & Through the Looking-glass (パフィン・ブックス、1997年) 不思議の国のアリス(脇明子訳、岩波書店、2003年、初版1998年) The Annotated Alice (ノートン社、 2000年) 鏡の国のアリス(安井泉訳、新書館、2005年) テニエルの挿絵本〔III〕 ※ここに挙げた本の中には、別に展示しているものがあります 高井戸図書館展示
挿絵本黄金時代(19世紀末〜20世紀初頭)のアリス本挿絵本黄金時代(19世紀末〜20世紀初頭)のアリス本 『〈子どもの本〉黄金時代の挿絵画家たち』(R・タルビー著、吉田新一・宮坂希美江訳、西村書店、2006年) 『イギリス挿絵史』(平田家就著、研究社、1995年) 『英米児童文学の黄金時代』(桂宥子他編著、ミネルヴァ書房、2005年) 『イギリス・アメリカ児童文学ガイド』(定松正編、荒地出版社、2003年) 高井戸図書館展示
挿絵黄金時代のアリス本〔I〕ベッシー・P・グトマン挿絵黄金時代のアリス本〔I〕ベッシー・P・グトマン • Alice’s Adventures in Wonderland(B・ P・グットマン挿絵 、ドッジ社、1907年) • 口絵を含めて10枚の彩色挿絵が掲載されています。また本文のあちこちに施されている白黒の挿絵や全ページにわたる枠飾りはとても愉しく、ブックデザインとしても優れています。 高井戸図書館展示
挿絵黄金時代のアリス本〔II〕アーサー・ラッカム挿絵黄金時代のアリス本〔II〕アーサー・ラッカム • Alice‘s Adventures in Wonderland(A・ラッカム挿絵、ハイネマン社、 1907年) • 13枚の全ページ大彩色挿絵の他に多数の白黒画が掲載されています。またこの本は、邦訳されて国内も出版されました。 • 所有者によってモロッコ革を使って、大変立派な装丁が施されています。その人にとって大事な本だったことがうかがえます。 高井戸図書館展示
挿絵黄金時代のアリス本〔III〕 W・H・ウォーカー Alice’s Adventures in Wonderland(W・H・ウォカー挿絵、ボードレイ・ヘッド社、1907年) • 金銀で飾られたこの本の装丁は実に豪華です。また8枚の全ページ大の水彩画挿絵の他に大小の白黒線画もや挿画が掲載されています。 • 遊び紙に「私の気持ちと愛を込めてジェニスに贈る。1916年クリスマス」と書かれているところから判断すると、これは、親から子どもへの贈り物であったようです。 高井戸図書館展示
挿絵黄金時代のアリス本〔IV〕G・A・カイ Alice’s Adventures in Wonderland( G・A.・カイ挿絵、リッピンコット社 1923年) • 口絵を含み8枚の全ページ大彩色挿絵はカイが描いたものですが、その他あちこちに掲載されている多くの白黒画はすべてテニエルのものを使っています。 • 裏表の見返し紙は、カイの手になる愉しい挿画で飾られています。 高井戸図書館展示
挿絵黄金時代のアリス本〔V〕M・L・カーク Alice‘s Adventures in Won-derland(M・L.・カーク彩色挿絵、J・テニエル挿画、スポークス社、1925年) • 口絵を含め12枚の彩色挿絵はカークが描いていますが、本文中の白黒画はすべて、テニエルのものが使われています。 • この本の見返し紙に、“A Merry Christmas from Polly”とあります。これはギフトブックとして誰かに贈られた本です。 高井戸図書館展示
挿絵黄金時代のアリス本〔VI〕G・ウェリング Alice in Wonderland & Through the Looking Glass(G・ウェリング挿絵、シアーズ社、1926年) • 彩色挿絵は口絵の1枚(表紙にも使われてる)だけですが、本文の各ページの枠飾りに白黒の挿画が施されています。その飾りは4つの異なる挿画が繰り返し使われていまが、洒落た紙面デザインです。 高井戸図書館展示
挿絵黄金時代のアリス本〔VII〕D.R. セクストン Alice in Wonderland (D・R・セクストン挿絵、ショウ社、1933年) • 全ページ大の彩色挿絵が8枚、同じ大きさの白黒画挿絵が23枚、しかもそれ以外に全巻各ページに線画、それえはまるで絵本仕立てのよう。 高井戸図書館展示
テニエルから離脱した現代のアリス本の挿絵〔I〕H・オクセンバリーテニエルから離脱した現代のアリス本の挿絵〔I〕H・オクセンバリー Alice‘s Adventures in Wonderland(H・オクセンバリー挿絵、ウォカー・ブックス社、1999年) Alice Through the Looking-Grass and What She Found There(ウォカー・ブックス社、2005年) • 以上はそれぞれ別々に刊行されましたが、2006年に化粧箱を作り、愛蔵本仕立てにしています。 • 普段着姿のアリスは、この本が初めてです。 高井戸図書館展示
テニエルから離脱した現代のアリス本の挿絵〔II〕S・マッコーウェンテニエルから離脱した現代のアリス本の挿絵〔II〕S・マッコーウェン Alice’s Adventures in Wonderland(S・マッコーウェン挿絵、ステアリング社、2005年) • マコーウェンは、ブロードウェイの劇場などに掛かる演劇のポスターの制作者として知られていますが、この本だけでなく、グリム童話、クリスマス・キャロル、ガリバー旅行記などなど数多くの児童文学の古典のに挿絵を施した本を出しています。 • モノトーンの、グラフィックな挿絵は端正な感じで、いいものです。 高井戸図書館展示
テニエルから離脱した現代のアリス本の挿絵〔III〕オレグ・リプチェンコテニエルから離脱した現代のアリス本の挿絵〔III〕オレグ・リプチェンコ Alice’s Adventures in Wonderland(0・リプチェンコ挿絵、タンブラ・ブックス社、2007年) • リプチェンコはカナダ在住のウクライナ人画家ですが、彼の芸術の背景に建築学の素養があるようで、ほぼ全ページにわたる挿絵には、門柱だとか階段だとか柱だとか窓枠だとかのオブジェが添えられています。 • 表紙のデザインなどもそうしたセンスの表れでしょうか、ウサギの穴から外を覗いてみると、そこにアリスが… 高井戸図書館展示
テニエルから離脱した現代のアリス本の挿絵〔IV〕ミカエル・フォアマンテニエルから離脱した現代のアリス本の挿絵〔IV〕ミカエル・フォアマン Alice’s Adventures in Wonderland(M・フォアマン挿絵、パビリオン・チルドレン社、2009年) • フォアマンは、グリーナウェイ賞やボローニア・ブックプライズなど数々の賞を受けています。しかしその割にはこの挿絵には、あまりインパクトがありません。 高井戸図書館展示
テニエルから離脱した現代のアリス本の絵本〔V〕ロバート・インペンテニエルから離脱した現代のアリス本の絵本〔V〕ロバート・インペン Alice’s Adventures in Wonderland(R・インペン挿絵、ステアリング社、2009年) • インペンは、アンデルセン賞を授賞したオーストラリアの挿絵画家です。 • 絵本のように全ページに何らかの挿絵が掲載されています。とりわけ見開き2ページにわたって施されているそれは、臨場感に溢れ、また迫力があります。 高井戸図書館展示
テニエルから離脱した現代のアリス本の絵本〔VI〕アズボーン・チルドレンブックステニエルから離脱した現代のアリス本の絵本〔VI〕アズボーン・チルドレンブックス The Usborne Illustrated Alice (L・シモンズ再話、 M・エヴァンゲリスタ挿絵、 L・フラッター装丁、アズボーン出版、2009年) • 2006年出版のAlice in Wond-erlandをベースとして、『鏡の国』を加えて新たな本として刊行された者です。 • ほとんど全ページに挿絵が掲載されており、絵本仕立てとなっています。 高井戸図書館展示
英米以外の外国で出版された〔I〕スウェーデンで出されたアリス本英米以外の外国で出版された〔I〕スウェーデンで出されたアリス本 Alice in Wonderland & Through the Looking-Glass(R・ホーゲルド挿絵、ヤン出版、1949年) • この出版社はストックホルムにあります。ですからこの本は、スウェーデンで出版されたわけですが、本文はすべて英語です。 • 『不思議の国』に6枚、『鏡の国』に4枚の彩色挿絵が掲載されており、また本文中に全ページ大線画やたくさんおカットあちこちに収められています。 高井戸図書館展示
英米以外の外国で出版された〔II〕ヤンソン(フィンランド)が描いたアリス英米以外の外国で出版された〔II〕ヤンソン(フィンランド)が描いたアリス 『不思議の国のアリス』(T・ヤンソン挿絵、村山由佳訳、メディア・ファクトリー、2006年) • この本は最近邦訳されましたが、あの「ムーミン谷」シリーズを書いたフィンランドの女流作家が45年ほど前に挿絵を施しています。 • 10枚の彩色挿絵(うち4枚は半ページ大)、8枚の全ページ大白黒線画、その他多数のカットが掲載されていますが、そのタッチは他の欧米の画家と異なっています。またムーミンとの違うように感じられます。 高井戸図書館展示
英米以外の外国で出版された〔III〕フランスのアーティストが描いたアリス英米以外の外国で出版された〔III〕フランスのアーティストが描いたアリス 『アリスのふしぎな夢』(M・スガン=フォント挿絵、すえまつひみこ訳、西村書店、1992年) • この本の原本(Alice Racontee aux enfants)はフランスで出版されました • フランスの絵本作家スガン=フォントは、全ページにユーモラスなタッチの彩色画を載せています。 高井戸図書館展示
英米以外の外国で出版された〔IV〕ロシアのアーティストが描いたアリス英米以外の外国で出版された〔IV〕ロシアのアーティストが描いたアリス 『不思議の国のアリス』(J・グコーヴァ挿絵、酒寄進一訳、西村書店、1995年) • この本の原本(Alice im Wunder-land)はドイツで出版されました。 • 挿絵を描いたグコーヴァは、ロシアの女流絵本作家です。大・中・小すべての挿絵が彩色で、テニエルを意識しない自由な発想でアリスを描いています。 高井戸図書館展示
挿絵? それともオブジェ?ダリが描いたアリス挿絵? それともオブジェ?ダリが描いたアリス Alice‘s Adventures in Wonderland (S.ダリ画、メーセナス社&ランダムハウス社 1969年) • ダリが『不思議の国のアリス』に付けた絵(口絵と12枚)は挿絵と言うより、シュール・リアリズム(非日常で、超現実)の作品そのものです。もしかしたらそれがダリのアリスに対するオマージュ(賛美の表現)なのでしょうか。 高井戸図書館展示
挿絵? それともオブジェ?ダリが描いたアリス挿絵? それともオブジェ?ダリが描いたアリス Alice‘s Adventures in Wonderland (S.ダリ画、メーセナス社&ランダムハウス社 1969年) • ダリが『不思議の国のアリス』に付けた絵(口絵と12枚)は挿絵と言うより、シュール・リアリズム(非日常で、超現実)の作品そのものです。もしかしたらそれがダリのアリスに対するオマージュ(賛美の表現)なのでしょうか。 高井戸図書館展示
アリスへのダリのオマージュ〔I〕 ウサギがいそいで穴の中に 高井戸図書館展示
アリスへのダリのオマージュ〔II〕 芋虫の忠告 高井戸図書館展示
アリスへのダリのオマージュ〔III〕 ブタになった赤ちゃん 高井戸図書館展示
アリスへのダリのオマージュ〔IV〕 きちがいティーパーティ 高井戸図書館展示
アリスへのダリのオマージュ〔V〕 ハートの女王のクロケー 高井戸図書館展示
アリスへのダリのオマージュ〔VI〕 ロブスター・カドレ 高井戸図書館展示
挿絵? それともオブジェ?金子国義が描いた妖艶なアリスの挿絵挿絵? それともオブジェ?金子国義が描いた妖艶なアリスの挿絵 Alice‘s Adventures in Wonderland(Kuniyoshi Kaneko挿絵、オリベッティ社、1974年) • 世紀末的で、デカダンスな雰囲気を漂わせる妖艶な女性の絵を得意とする金子国義も『不思議な国のアリス』に挿絵を付けています。 • 本書は、かつて世界的なタイプライター製造会社オリベッティ(イタリア)の創立記念に配布された引き出物で、ちょっとめずらしい本です。 • なお金子は、国内で別に展示している2点のアリス本にも挿絵を施しています。 高井戸図書館展示
ヤン・シュヴァンクマイエルの創ったアリス像ヤン・シュヴァンクマイエルの創ったアリス像 『不思議の国のアリス』(ヤン・シュヴァンクマイエル作、久美里美訳、エスクワィア・マガジン・ジャパン、2006年) 『鏡の国のアリス』(ヤン・シュヴァンクマイエル作、久美里美訳、エスクァイア・マガジン・ジャパン、2006年) • 挿絵家はチェコの人形制作家で映画監督です。彼は実は『不思議の国のアリス』にではなく、その最初の挿画を手掛けたジョン・テニエルへのオマージュ(賛美の表現)として制作した絵本で、人形アニメが挿絵として使われています。これもダリとは違いますが、とてもシュール(非日常で、超現実)です。 • なおこのアーティストは、1988年にアリスの映画を制作しています。 高井戸図書館展示
邦訳されたアリス本〔I〕日本における翻訳アリス本のアンソロジー邦訳されたアリス本〔I〕日本における翻訳アリス本のアンソロジー 『不思議の国のアリス〜明治・大正・ 昭和初期邦訳本復刻集成』(千葉幹 子編集・解説、エディション・シナ プス、2009年) • わが国でアリス本の邦訳は明治43(1910)年に初めて出されました。それ以降数々の文学者が翻訳してきました。この集成には、昭和2(1927)年の菊池寛と芥川龍之介の共訳によるものまで9本収められています。 • 挿絵は、テニエルほか外国のイラストレーターのものが使われているもありますが、芳村椿花、中村和、齊田喬、益本重雄、海野精光、平澤文吉などわが国の画家が付けたものもあります。 高井戸図書館展示
邦訳されたアリス本〔II〕日本における翻訳アリス本の研究書邦訳されたアリス本〔II〕日本における翻訳アリス本の研究書 『翻訳の国の「アリス」』(楠本君恵 著、未知谷、2001年) • アリスの邦訳本を紹介し、その翻訳について考察を加えています。 • 著者は、日本ルイス・キャロル協会会員で、翻訳を含め、いくつかの研究書を出しています。 • 著者は別に『出会いの国の「アリス」』(未知谷、2007年)というキャロル&アリス論を出版しています。 高井戸図書館展示
邦訳されたアリス本〔III〕ラッカムの挿絵本 『不思議の国のアリス』〔新装版〕 (A・ラッカム挿絵、高橋康也・高橋迪訳、新書館、2005年) 『不思議の国のアリス』(A・ラッ カム挿絵、高橋康也・高橋迪訳、 新書館、1985年) • この2点の邦訳本の原本は、「挿絵黄金時代のアリス本〔II〕」として展示されているものです。 高井戸図書館展示
邦訳されたアリス本〔IV〕ラッカムの挿絵本 『子供部屋の「アリス」』 (J・テニエル挿絵、高橋康也・高橋迪訳、新書館、1987年) 高井戸図書館展示
邦訳されたアリス本〔V〕チャールス・ロビンソン邦訳されたアリス本〔V〕チャールス・ロビンソン 『不思議の国のアリス』 チャールス・ロビンソン絵 福島正実訳 立風書房 1982年 • 本書は、同年にカッセル社から出版されたロビンソン挿絵本の翻訳ですが、初版は同社から1907年に出されています。 • 75年も経て再版されるのはめずらしいことですが、この原本は「挿絵黄金時代のアリス絵本」の1点です。 • 原本に掲載されている4枚の彩色挿絵は、邦訳本では巻頭にまとめて提示されています。 高井戸図書館展示
邦訳されたアリス本〔VI〕H・オクセンバリー 『ふしぎの国のアリス』(H・オク センバリー挿絵、中村妙子訳、 評論社、2000年) • 原本は前掲の1999年のものです。 • アリスはいつもドレスを着ていますが、オクセンバリーは、アリスに普段着を着せてました。この姿のアリスは、おなじみのキャラクターは薄められ、あたたかくユーモアに充ちています。 • 原本は、「テニエル挿絵から離脱した現代のアリス本〔I〕」に展示しています。 高井戸図書館展示
邦訳されたアリス本〔VII〕ディズニーが描いた可愛すぎるアリス邦訳されたアリス本〔VII〕ディズニーが描いた可愛すぎるアリス 『不思議の国のアリス」(講談社のディスニー名作絵本講談社 1967年) 『ふしぎの国のアリス』(新編ディズニーアニメランド森はるな訳 講談社 1992年) • これらの本は挿絵入り本ではなく、絵本です。国内では最も多く流布しています • ディズニーがアリスをあまりにも可愛らしく描いたために、わが国ではアリスについての印象が定着していまいました。それは、罪作りなことです。 高井戸図書館展示