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高校生物: 大きく変更された新学習指導要領のねらいと内容 ーなぜ変わったのか,どう変わったのか 2009.11 首都大学東京 松浦克美. 久力 誠 先生のコメント ( 東北工業大学参与・日本生物教育学会理事) 「解説の解説」をつぶさに読んで見ますと、今回の改訂が正に生物科学のめざましい発展を踏まえた上で、全ての面で「世界標準」を目指す「現代化」であることが、切々と伝わってきます。
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高校生物: 大きく変更された新学習指導要領のねらいと内容 ーなぜ変わったのか,どう変わったのか 2009.11 首都大学東京 松浦克美
久力 誠先生のコメント (東北工業大学参与・日本生物教育学会理事) 「解説の解説」をつぶさに読んで見ますと、今回の改訂が正に生物科学のめざましい発展を踏まえた上で、全ての面で「世界標準」を目指す「現代化」であることが、切々と伝わってきます。 これまでの改訂は、「高校生物」という決まった範囲内での組み合わせの変化でしかなかったのですが、今回は生物をどう捉え、どういう方法で説明するかというところから、つまり根本から変わっていることがわかりました。
<1985-2005の20年間に生物学は根本的に変わった><1985-2005の20年間に生物学は根本的に変わった> 理由:DNAの情報がすべて読めるようになった 主な変化の内容: (実際の全解明にはまだ多くの時間がかかるが, 新しい生物学の枠組みは一気にほぼ完成した.) 生物の働きの全体像が,個々のタンパク質の働きの集合体として明らかになった. (全タンパクがDNAの解析を通して分かった.) 進化と全生物の系統が明らかになった. (進化や系統は論や説ではなく事実になった.)
高等学校で生物分野を学習する主な目的 旧:自然とその不思議について理解する. 新:生活に必要な,生物の基礎について理解する. 1.健康・病気 2.食物 3.環境 4.人間という存在・思考 5.今後発展する産業の基盤
「生物基礎」 進化に基づく共通性と多様性を軸に DNA ヒトの健康 環境 の基礎を厳選して理解させる. 「生物」 ゲノム科学の進展も踏まえた新しい生物学を 細胞とDNA 発生 環境応答 生態 進化 で相互に関係づけながら理解させる.
朝日新聞 2009. 10. 11朝刊 岩波書店広告
最大の変更点: 遺伝/遺伝子の扱い方 <従来> 人間の認識を中心にした構成 (遺伝と細胞の機能を別個に扱う) 目に見える形質 ← 抽象的概念としての遺伝子から説明 <新要領> 生物そのものの仕組みを中心にした構成 (遺伝と細胞の機能を一緒に扱う) DNA(ゲノム)の部分としての遺伝子 → 遺伝子産物としてのタンパク質の機能
遺伝子の従来の扱い方の難しさ (1) <従来の扱い> ショウジョウバエの白眼の突然変異(モルガン1910) ← 白眼遺伝子 (遺伝子の名称と働きの解離) <現在の説明> → 複眼・単眼・精巣壁・マルピーギ管の 細胞内で,赤色色素の前駆体を 細胞質から色素胞内へ輸送する タンパク質のサブユニットの1つが が正常に合成されない。
遺伝子の従来の扱い方の難しさ (2) <従来の扱い> 致死となる多くの突然変異 ← 致死遺伝子(多数) (遺伝子の働きは問えない) <現在の説明> → 生物の機能に不可欠な重要な遺伝子。 ・ゲノム解析の結果,ようやく全体像が 明らかになりつつある。 ・重要な遺伝子として教えたいのは,こちら。 ・重要な機能と直結する。
解説冊子(24ページ) (別称「解説の解説」)解説冊子(24ページ) (別称「解説の解説」) 高等学校理科:「生物基礎」「生物」 平成21年改訂学習指導要領および解説における 主な変更点について http://iage.biol.metro-u.ac.jp/download/ からダウンロードもできます. 2009.11.2 首都大学東京 松浦克美
「生物基礎」 (1)生物と遺伝子 ア 生物の特徴 イ 遺伝子とその働き (2)生物の体内環境の維持 ア 生物の体内環境 (3)生物の多様性と生態系 ア 植生の多様性と分布 イ 生態系とその保全 「生物」 (1) 生物現象と物質 ア 細胞と分子 イ 代謝 ウ 遺伝情報の発現 (2) 生殖と発生 ア 有性生殖 イ 動物の発生 ウ 植物の発生 (3) 生物の環境応答 ア 動物の反応と行動 イ 植物の環境応答 (4) 生態と環境 ア 個体群と生物群集 イ 生態系 (5) 生物の進化と系統 ア 生物の進化の仕組み イ 生物の系統