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10. 運動と生活習慣病. ① 高血圧症. ① 高血圧症. ② 高脂血症. ② 高脂血症. ③ 心臓病(狭心症・心筋梗塞・心不全). ③ 心臓病(狭心症・心筋梗塞・心不全). ④ 脳血管障害(脳梗塞・脳出血). ④ 脳血管障害(脳梗塞・脳出血). ⑤ 糖尿病. ⑥ ガン(肺・胃・大腸・肝臓・乳房・子宮). ⑤ 糖尿病. ⑦ 肥満. ⑥ ガン(肺・胃・大腸・肝臓・乳房・子宮). ⑧ 骨粗鬆症. ⑨ 認知症. 生活習慣病とは.
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① 高血圧症 ① 高血圧症 ② 高脂血症 ② 高脂血症 ③ 心臓病(狭心症・心筋梗塞・心不全) ③ 心臓病(狭心症・心筋梗塞・心不全) ④ 脳血管障害(脳梗塞・脳出血) ④ 脳血管障害(脳梗塞・脳出血) ⑤ 糖尿病 ⑥ ガン(肺・胃・大腸・肝臓・乳房・子宮) ⑤ 糖尿病 ⑦ 肥満 ⑥ ガン(肺・胃・大腸・肝臓・乳房・子宮) ⑧ 骨粗鬆症 ⑨認知症 生活習慣病とは 厚生省(現・厚生労働省)は、昭和30年代から行政用語としてきた「成人病」を、平成9年から「生活習慣病」に名称を変更した。 生活習慣病は、食事・運動・休養・喫煙・飲酒などの生活習慣が発病・進行に関与する疾患群である。「運動不足病」はもちろんこの疾患群に含まれる。概念では成人病と異なるが、重複する病気が多く、実際にはほぼ同義と見なしてよい。予防対策として一次予防の重要な事も同様である。 成人病は、ガン・心臓病・脳卒中・糖尿病・高血圧症など、40歳前後から増加する病気の総称で、加齢との関係に着目してつけられた用語である。
主要死因別にみた死亡率の年次推移 現在では、生活習慣病と関連した疾病が死因のほとんどを占めている。
症候性肥満 原因となる疾病があり、それによって二次的に肥満になるもの。 肥満 摂取エネルギーが消費エネルギーを上回るために起こるものであり、肥満と判定される人の約95%がこれにあたる。 単純性肥満 肥満と疾患(小坂, 2003を改変) 肥 満 過去20年間、1日の栄養摂取量はほとんど変化していないのに、肥満者の数は増加している。 →運動不足による消費エネルギーの減少が主な要因! 単純性肥満が起こる原因には、食事や運動といった環境的要因だけでなく、いくつかの遺伝的要因も関与している。 肥満に対してなぜ警鐘がが鳴らされるかというと、種々の合併症を引き起こす確率が高まるからである。 合併症を発症しているか、あるいは近い将来で発症すると見られる場合を「肥満症」と呼び、医学的治療を行う必要がある。
リポタンパクの構造 リポタンパクの種類 血漿中の脂質 血漿中に含まれる脂質は、コレステロール、中性脂肪(トリグリセリド)、リン脂質および遊離脂肪酸(FFA)であり、前3者は、アポタンパクと呼ばれるタンパク質と結合した形で存在する。脂質とアポタンパクの結合体をリポタンパクという。 リポタンパクには比重の異なる数種類のものがあり、これらの中でコレステロールは低比重リポタンパク(LDL)および高比重リポタンパク(HDL)中に、また中性脂肪は超低比重リポタンパク(VLDL)中に含まれている。 LDLに含まれるコレステロールをLDLコレステロール(悪玉コレステロール)、HDLに含まれるコレステロールをHDLコレステロール(善玉コレステロール)といい、前者と後者の比は「6:4」である。
高脂血症 → LDLコレステロール 140 mg / dl 以上 高LDLコレステロール血症 → HDLコレステロール 40 mg / dl 未満 低HDLコレステロール血症 → 高中性脂肪血症 中性脂肪 150 mg / dl 以上 脂質異常症 脂質異常症とは、血中に含まれる脂質の組成が正常ではない症状を指し、臨床的には、空腹時における血漿中の脂質濃度から判定される。 LDLコレステロールは血管壁に取り込まれ壁を盛り上げるように蓄積するのに対して、HDLコレステロールはこれらを取り去るように機能する。 そのため脂質代謝異常は「動脈硬化の危険因子」となる。血管壁が厚くなると血管の内径が狭まるため、血流が阻害され血栓が生じやすくなり、心筋梗塞、脳梗塞、大動脈瘤、眼底出血などを起こす原因となる。
血漿総コレステロール値と冠動脈疾患発生率との関係血漿総コレステロール値と冠動脈疾患発生率との関係 (小坂, 2003を改変) 血漿総コレステロール値と疾病 冠動脈(心臓に酸素を供給する動脈)疾患の発生率は、コレステロール値の増加とともに指数関数的に増加し、200 mg / dl での発生率を1.0とすると、220 mg / dl では1.5倍に、240 mg / dl では約2倍になる。 総コレステロール値が220 mg / dl 以上の比率を男女で比較すると、40歳代までは男性が多いが、50歳代以降は逆に女性が上回る。
2007年度の厚生労働省「糖尿病実態調査」 糖尿病患者:890万人 可能性が疑われる予備軍:1320万人 総計:2210万人 2010年には、患者数が1,080万人になるという試算もある。 2005年度の糖尿病医療費は1兆1165億円!今後の医療費負担増の中心となる疾病。 Ⅰ型糖尿病(IDDM; insulin dependent diabetes mellitus, インスリン依存型糖尿病) 何らかの理由で、インスリンがほとんど分泌されないため発症する糖尿病。生命維持にはインスリンを外部から注射しなくてはならない。 Ⅱ型糖尿病(NIDDM; non-insulin dependent diabetes mellitus, インスリン非依存型糖尿病) 日本の糖尿病患者の95%がⅡ型糖尿病。インスリンが分泌されているにも関わらず血糖値が低下しない。運動や食事などの生活習慣の影響を強く受け、過食はもとより、循環器系疾患と同様に脂肪(特に動物性脂肪)エネルギー比率の上昇に問題があると考えられている。罹患率は正常体重者に比べ肥満者で高い。 糖尿病 糖尿病はインスリンの作用不足によって、糖質、脂質、タンパク質を含む全ての代謝系に異常を来す疾患で、血糖値が上昇し、尿中に糖が排泄される。ひとたび発病すると治癒する事はなく、慢性化して対応を怠ると、網膜症、腎症、神経障害などを合併する。末期には失明したり透析治療が必要になったりするケースもある。
原因が特定できない、日本人の高血圧患者の約90%を占めるといわれる。遺伝、環境、加齢などの様々な因子が絡み合って発症していると考えられている。 原因が特定できない、日本人の高血圧患者の約90%を占めるといわれる。遺伝、環境、加齢などの様々な因子が絡み合って発症していると考えられている。 本態性高血圧 二次性高血圧 腎臓病、内分泌疾患など原因が明らかな高血圧。 高血圧の基準と分類 高血圧症 循環器疾患基礎調査(2000年)によると、医師から「高血圧」であるといわれたことがある30歳以上の成人男性は24.5%、女性は23.1%であり、極めて高い有病率を示す疾患である。高血圧の判定にはWHO(世界保健機関)の基準が頻用され、140 / 90(収縮期血圧 / 拡張期血圧)mmHg以上(いずれか一方または両方)を高血圧と分類している。 高血圧患者の血管には、通常よりも高い圧力がかかる事になる。従って、この状態が長期間継続すると、血管壁が徐々に厚くなり、動脈硬化を発症する。また、高い圧力で血液を押し出さなければならないため、心臓の筋肉が病的に肥大し、それが原因で心不全を引き起こすことがある。日本では60歳以上の高齢者の約半数が高血圧であると考えられている。
脳血管疾患 死亡数は、総死亡の約30%を占める。 虚血性心疾患 単に循環器疾患の重篤性を示しているのではなく、発作後の片麻痺や「寝たきり」などの後遺障害による、個人的、社会的損害の重大性も示唆している。 循環器疾患の罹患率 → 脂肪エネルギー比率、コレステロール摂取量と相関する。 脳梗塞や虚血性心疾患は、動脈硬化を初期病変として発生するが、その動脈硬化症は血中のコレステロールや中性脂肪が増加すると「アテローム硬化」が形成されやすくなる。 循環器疾患 循環器疾患のリスクを低下させるためには、血清コレステロール値を適切な範囲内に収めておく事が重要。血清コレステロールが高すぎると虚血性心疾患や脳梗塞の誘因となり、逆に低すぎると脳出血を引き起こしやすくなる。
脳血管疾患 その他 不明 悪性新生物 (34.1%) 呼吸器疾患 糖尿病 心臓病 関節疾患 34.0 13.0 23.2 高齢による衰弱 痴呆 骨折・転倒 (12.1%) (13.8%) (12.2%) 0% 50% 100% 循環器疾患の実態 全体 循環器系疾患 234 827(億円) 54 535(億円) 筋骨格系等疾患 呼吸器系疾患 消化器系疾患 その他 新生物 循環器系疾患 全体 65歳以上 65歳未満 介護が必要になる原因 (平成12年度) 傷病別一般診療医療費 (平成10年度)
① 内臓脂肪蓄積 診断基準(国際糖尿病連盟, 2007) 男性:90cm以上 ウエスト周径囲 女性:80cm以上 ② 血漿脂質異常 中性脂肪値 150 mg / dl 以上 HDLコレステロール値 ③ 血圧高値 男性:40 mg / dl 以下 いずれか 女性:50 mg / dl 以下 ④ 高血糖 130 mmHg 以上 収縮期血圧 拡張期血圧 85 mmHg 以上 いずれか 100 mg / dl 以上 空腹時血糖値 ①に加えて、②〜④のうち2項目以上該当。 Ⅱ型糖尿病の発症経験がある メタボリックシンドローム メタボリックシンドロームとは、生活習慣病あるいは生活習慣病に近い状態を複数持つ事により、心筋梗塞や脳梗塞など、動脈硬化に起因する疾患を起こす確率が高まった症状を示すものである。 程度が軽くても生活習慣病を複数持つと血管系疾患を引き起こす確率が高くなる。
運動不足病の原因 疾病の治癒、健康や体力の維持・増進を図る 運動処方とは? 生活習慣における身体活動量の不足 運動処方 運動は生活習慣病の危険因子除去に効用があることから、疾病の治癒、あるいは健康や体力の維持・増進を目的として運動を行わせることを運動処方という。
これ以上の運動には危険性が伴うという運動強度や運動量の上限を安全限界という。これ以上の運動には危険性が伴うという運動強度や運動量の上限を安全限界という。 有効な運動は全て危険な運動となり、運動処方の対象から外れる これ以下では運動による効果が見込めないという下限を有効限界という。 運動処方の自由度 処方の自由度(池上,1985) 処方の自由度は、身体条件の悪い者ほど小さい。つまり、高齢者や健康に問題のある人ほど許容される運動の条件は狭まり、条件を厳密に規定する必要がある。
身体諸器官の機能を効率よく改善するためには、既に持っている能力を十分に刺激する事が重要。日常の運動で身体にかかる負荷を最低限の運動強度とし、それより高い強度の運動を取り入れる必要がある。 身体諸器官の機能を効率よく改善するためには、既に持っている能力を十分に刺激する事が重要。日常の運動で身体にかかる負荷を最低限の運動強度とし、それより高い強度の運動を取り入れる必要がある。 ① 過負荷 更に高いレベルを目指すためには、運動の負荷(強度、継続時間、頻度)を漸進的に増やす必要がある。 ② 漸進性 体力は短期間で目覚ましく向上する事はあり得ない。定期的に繰り返し運動を行って初めて効果が現れる。 ③ 反復性 運動によって高まった体力は、運動を止めれば元に戻ってしまう。効果を維持するためには、運動を継続して行う必要がある。 ④ 継続性 体力には個人差があるため、全ての人に同じトレーニングを行わせても効果は薄い。個々人のバックグラウンドを配慮した運動を処方することが重要。一人一人を見据えて運動処方を作成しなければならない。 ⑤ 個別性 運動を行う本人が、その目的を的確に把握している場合とそうでない場合とでは、得られる効果に大きな差が出る事が多い。運動を指導する場合、対象者がその意味を理解しながら運動を進めるよう方向付けすべきである。 ⑥ 意識性 運動処方の原則 効果的な運動処方を施すには、作成されたプログラムの中に「運動処方の原則」が盛り込まれている必要がある。
運動処方の流れ 運動処方の手順(池上, 1987)
減量プログラムが身体組成に及ぼす影響(Zuti & Golding, 1976を改変) 肥満への効果 単純性肥満を是正するためには、摂取エネルギーを減少するか、消費エネルギーを増加するが、あるいはその両方を行えばよい。 単に体重を減少させればよいわけではなく、筋量を減少させることなく、体脂肪量を低下させる事が重要となる。 肥満治療に運動を用いる意義は大きい 16週間の減量プログラム(食事制限のみ、運動だけ、両者の併用)を実施した結果、3群とも体重は同程度減少したが、体脂肪量の減少は運動群と併用群で大きく、食事制限群では除脂肪体重(筋)が低減した。
① リポタンパクリパーゼ(中性脂肪を分解する酵素) が活性化され、VLDLに結合しているより多くの中 性脂肪が使用されるようになる。 運動による脂質異常症緩和の機序 ② 結果としてVLDL量が減少すると、HDLの合成が促 進される。 運動療法(疾病の治療を目的として運動を行わせること)の留意点 初期段階では、エネルギー消費量を高めるために、運動強度を保つことより、 運動時間を増加させることに重点をおく。 (2) 1日の消費エネルギーの約10%(約300 kacl)を運動にあてることを当初の目 標とし、徐々に運動量を増加させる。 (3) 関節に過剰な負担がかからないよう工夫する必要がある。 (4) 筋力トレーニングを併用する。 脂質異常症への効果 運動を10週間程度継続して行うと、総コレステロールの低下、中性脂肪の低下、HDLコレステロールの増加が起こる。特に中性脂肪およびHDLコレステロールの変化が顕著であり、脂質異常症以外の人にも認められる事から、運動は脂質異常症の予防にもなり得る。
運動鍛錬者 健常非鍛錬者 Ⅱ型糖尿病患者 運動前 運動後 運動鍛錬者、健常非鍛錬者およびⅡ型糖尿病患者のインスリン感受性 糖尿病への効果 血漿中のインスリン濃度が同じでも、筋がグルコースを取り込む速度には個人差がある。取り込む速度が速い場合をインスリン感受性が高い、遅い場合を感受性が低いという。 運動鍛錬者は、非鍛錬者に比べてインスリン感受性が高い。これは、運動習慣を身につけることは、インスリン感受性の低下を防ぎ、糖尿病の予防に繋がる。 Ⅱ型糖尿病患者に数週間運動を行わせると、インスリン感受性が改善される。このことから、インスリン感受性が低下しているⅡ型糖尿病患者では、運動が有効な治療手段となる。
運動による血糖コントロール改善の仕組み(河盛ら, 2001) 糖尿病に対する運動療法の留意点 Ⅰ型糖尿病患者では、低血糖 に陥らないように配慮する。 (2) Ⅱ型糖尿病患者では、食後 30〜60分(血糖や血漿インス リン濃度がピークに達する時 間)に運動を行うのが望ましい。 (3) 低血糖によるリスクを減らす ために、パートナーと一緒に 運動したり、医師の監視下で 運動したりする。 (4) 血糖値が300 mg / dl を超え る場合は、注意して運動を行う。 運動によってインスリン依存性糖輸送および非依存性糖輸送(インスリンが関与しない経路のグルコース取り込み能力)の両方が改善され、血糖値が低下する。
高血圧に対する運動療法の留意点 (1) 中等症以上の場合は、運動療法は行わない。 (2) 軽症以下であっても心血管系疾患を有している場合は、運動療法は 行わない。 (3) 運動中、収縮期血圧が200 mmHgを大きく超えない強度の運動を 用いる。 (4) 血管拡張剤を服用している場合は、運動後低血圧をきたすことがあり、 主運動の後、段階的にクーリングダウンを行うことが重要である。 高血圧への効果 高血圧の治療は、薬物療法と生活習慣改善が行われ、運動は生活習慣改善の1つである。運動を数週間継続すると、個人差はあるが、収縮期血圧、拡張期血圧ともに5〜10 mmHg程度低下することが知られている。これは、血圧を規定する心拍出量、末梢血管抵抗の2つの要因が、運動によって低下するためと考えられている。