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感染動物実験における安全対策 (第13回国立大学動物実験施設協議会総会,1987) 安全度:ヒトにたいする危険性から分類.試験管内におけるクラス1~4にほぼ相当する. 安全度1 :ヒトにたいして病原性をほとんど示さず,ヒトの実験室感染および

感染動物実験における安全対策 (第13回国立大学動物実験施設協議会総会,1987) 安全度:ヒトにたいする危険性から分類.試験管内におけるクラス1~4にほぼ相当する. 安全度1 :ヒトにたいして病原性をほとんど示さず,ヒトの実験室感染および実験動物間での同居感染の可能性がほとんどないもの. 安全度2 :通常の微生物学的操作手順で実験室感染を防ぐことが可能であり,仮に感染しても発病の可能性が非常に少ないもの.. 安全度3 :以下の条件のいずれかに該当するもの. 1.通常の微生物学的操作手順で実験室感染を確実に防ぐことができるが,感 染発病した場合には重症になるもの.

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感染動物実験における安全対策 (第13回国立大学動物実験施設協議会総会,1987) 安全度:ヒトにたいする危険性から分類.試験管内におけるクラス1~4にほぼ相当する. 安全度1 :ヒトにたいして病原性をほとんど示さず,ヒトの実験室感染および

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  1. 感染動物実験における安全対策(第13回国立大学動物実験施設協議会総会,1987)感染動物実験における安全対策(第13回国立大学動物実験施設協議会総会,1987) 安全度:ヒトにたいする危険性から分類.試験管内におけるクラス1~4にほぼ相当する. 安全度1:ヒトにたいして病原性をほとんど示さず,ヒトの実験室感染および実験動物間での同居感染の可能性がほとんどないもの. 安全度2:通常の微生物学的操作手順で実験室感染を防ぐことが可能であり,仮に感染しても発病の可能性が非常に少ないもの. 安全度3:以下の条件のいずれかに該当するもの. 1.通常の微生物学的操作手順で実験室感染を確実に防ぐことができるが,感 染発病した場合には重症になるもの.       2.実験室感染の可能性が高く,感染発病した場合,重症になる可能性がある もので,有効な予防法または治療法の存在するもの. 安全度4:実験室感染の可能性が高く,感染した場合,重症になるもので有効な予防法または治療法が存在しないもの. 研究機関で承認された感染動物実験室を使用し,定められた規則に従って実施する

  2. 衛生的飼育管理 衛生とは,ヒトや動物の健康の保全・増進をはかり,疾病の予防に努めることである. 清浄な動物を感染症から守るためには, ① 動物室に持ち込む器具・器材等の消毒・滅菌 (滅菌設備) ② 動物に接するヒトからの汚染防止 (マニュアルの整備) ③ 動物収容施設の構造と機能 (水洗と消毒が可能な構造,空調完備) ④ 動物の収容密度(マニュアルの整備) ⑤ 汚物処理,ケージ交換の頻度(マニュアルの整備) ⑥ 動線の管理(マニュアルの整備) などに注意することが重要である. 健全な成長 手指の消毒 着衣の交換 履物の交換 キャップの着用 グローブの着用 マスクの着用 汚染側から清浄側に逆行しない

  3. パスルーム 洗浄室 パスルーム 滅菌器材室 パスルーム 滅菌ケージ室 飼育室 飼育室 パスルーム 廊 下 AC 実験室 飼育室 飼育室 飼育室 パスルーム パスルーム

  4. 滅菌: ・物質中に棲息しているすべての微生物を殺滅又は除去すること ・検出できるすべての微生物を除去すること ・実際に行われている滅菌は無菌性保証レベル(sterility assurance level, SLA)10-6が国際的に採用されている. ・10-6は100万回滅菌操作を実施した場合に1回だけ1個の微生物が生存している確率を意味する. ・高圧蒸気滅菌,乾熱滅菌,エチレンオキサイドガス滅菌,放射線滅菌,プラズマ滅菌,濾過などがある. 消毒: ・人体に害を及ぼす病原微生物を殺すか,病原微生物の感染力をなくすこと ・病原微生物の数を限りなくゼロにして感染力を失わせること. ・病原性のない微生物や細菌の芽胞などが生存している場合がある. ・煮沸消毒,紫外線消毒,薬剤による消毒

  5. 1).飼育器材等の洗浄,消毒,滅菌 ① 熱処理 ・乾熱滅菌:160℃,30分以上の処理.乾燥した状態では微生物はきわめて熱に強い. ・高圧蒸気滅菌:微生物は湿った状態では熱に対する耐性が乾燥時に比較して低下. ・火炎滅菌:焼却も滅菌である.金属製の実験器具には有効. ・煮沸消毒:100℃では完全な滅菌は困難である.

  6. 1).飼育器材等の洗浄,消毒,滅菌 ② その他の殺菌法 ・照射処理:放射線や紫外線による殺菌. ・濾過処理:空気や熱処理が困難な水溶性ビタミン溶液などの除菌に使用. ・薬剤処理:アルコール類,アルデヒド類,有機酸類,フェノール類,エポキシ化合物,界面活性剤,ハロゲン化合物などがある.消毒後の動物に対する毒性や刺激性が少ない消毒薬は,界面活性剤(第四級アンモニウム塩),次亜塩素酸ナトリウム,クロルヘキシジン(商品名ヒビテン),エチルアルコールなどである. 無菌動物用器材の殺菌には2%の過酢酸水溶液の噴霧が一般的 建物や飼育室の滅菌にはホルマリン燻蒸を実施する. 労働安全衛生で規制

  7. 24時間 4 エタノール処理時間 2 30分 15 ●,湿潤糸 ○,乾燥糸 10 5 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100% エタノール濃度 各種エタノール濃度と Staphylococcus aureus殺菌所要時間の関係

  8. 非給餌 滅菌蒸留水 0 0 0.025 0 0 0 0 0.025 5 ppm塩素水 0 0 0.025 0 0.1 0.1 0 0.3 塩素添加飲水中の生菌数の推移 マウスに給与開始後の日数 0 1 2 3 4 5 6 7 給餌 滅菌蒸留水 0a 100 100 -b- - - - 5 ppm塩素水 0 2.2 0.6 1.7 1.8 77.7 - - 10 ppm塩素水 0 0 0 0 <2.75 <5.08 - - 水道水 0 0.25 0.95 2.3 37 - 36.2 100 a, ml当たりの平均生菌数 b, 検査せず 残留塩素濃度 1 ppm 1 mg/L

  9. 塩素添加飲水中の生菌数の推移 マウスに給与開始後の日数 0 1 2 3 4 5 6 7 pH 3.0塩素水 0a 0 <0.1 <0.1 0.7 -b <24 <50 10 ppm塩素水 0 0 0 0 <44 <82 - - pH 3.0 & 10 ppmの塩素水 0 0 0 0 0 0 <0.1 <0.5 a, ml当たりの生菌数の範囲 b, 検査せず

  10. 殺菌剤として望ましい特性 ・多種の微生物に対して殺菌効果を有し,しかも速効性をもつ. ・ヒト,動物に対する毒性が低く,刺激性がない. ・環境条件の差異による効果の低下がない. ・対象物を腐食しない. ・不快な臭気をもたない. ・原液,希釈液ともに安定である. ・必要濃度の水溶液が容易に得られる. ・環境を汚染しない. 有機物の有無 温度 湿度

  11. 芽胞形成菌の生活環 (胞子) 耐熱性 異染小体 核 鞭毛 線毛 (胞子の出芽) (内生胞子の形成) 非耐熱性 細胞壁 細胞質膜 細胞質 増殖 粘液層 莢 膜 (栄養型) (栄養型) 細菌の構造 薬剤の殺菌効果発現機序    薬剤の殺菌効果が発現するためには,薬剤が細胞内に侵入することが重要である.    薬剤が細胞内に侵入できない場合には殺菌効果は発現しない.     例えば,     ・芽胞を殺すのに有効なホルムアルデヒド,酸化エチレン,ハロゲンなどは芽胞膜を透過するが,     ・無効であるアルコール,フェノール,第4級アンモニウム塩などは透過しない.    細胞内に侵入した薬剤は,直接あるいは二次的に殺菌作用を現す.     例えば,      ・細胞膜の破壊(フェノール),      ・細胞膜の合成阻害(ペニシリン),      ・タンパク質の変性・破壊(アルコール,ハロゲン),      ・タンパク質や核酸の合成阻害(アルデヒド),代謝阻害(アルコール)など

  12. 実験動物衛生管理に主に用いられる殺菌手段の長所と短所実験動物衛生管理に主に用いられる殺菌手段の長所と短所 処置                   長 所         短 所           処理条件    効 果   確実 安全 簡便 安価 不確実 人に危険 動物に危険 器具破損 高価 熱 高圧蒸気 121℃20分 滅菌 ◎ ○ ○ ○ ◎ 煮 沸 100℃ 30分 消毒 ◎ ◎ ◎ ◎ 乾 熱 180℃ 30分 滅菌 ◎ ○ ○ ○ ◎ 放射線 ガンマ線 3Mrad/5Mrad 消毒/滅菌 ◎ ○ ○ 紫外線 連続点灯 消毒 ◎ ○ ◎ ○ ○ 除去 エアフィルタ連続通気 滅菌 ◎ ○ ○ 焼 却 滅菌 ◎ ○ ◎ 薬剤 エタノール 70~90% 消毒 ◎ ○ ○ ○ ホルムアルデヒド(燻蒸) 20ml/m3 消毒 ○ ○ ◎ ◎ ◎ 過酢酸 2.5% 滅菌 ◎ ○ ◎ ◎ ◎ 石炭酸 3~5% 消毒 ◎ ○ ○ ○ クレゾール石鹸 3~5% 消毒 ◎ ○ ○ ○ 酸化エチレンガス 2~5時間 滅菌 ◎ ◎ ◎ 第4級アンモニウム塩0.01~0.1% 消毒 ◎ ○ 塩 素 1~200ppm 消毒 ○ ◎ ○ ○ ヨードホール 50~100ppm 消毒 ○ ◎ ○ クロルヘキシジン 0.02~0.5% 消毒 ◎ ○

  13. 各種微生物に対する有効な消毒薬 エタノール イソプロパ 次亜塩素酸ナトリウム 塩化ベンザル 弱酸性 ノール (ppm) コニウム 次亜塩素酸水 (70%) (50%) 10 20 100 1000 0.05% (30-50 ppm) 細菌 緑膿菌 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 〇 イヌブルセラ ○ ○ △ ○ 〇 気管支敗血症菌 ○ ○ △ ○ ○ ○ ○ 〇 ネズミチフス菌 ○ ○ ○ ○ ○ ○ 〇 パスツレラ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 〇 肺炎レンサ球菌 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 〇 ネズミコリネ菌 ○ ○ ○ ○ ○ ○ 〇 ティザー菌 × ○ ○ × 〇 マイコプラズマ ○ ○ × × △ 〇 ウイルス 狂犬病ウイルス ○ ○ × × × ○ 〇 イヌパルボウイルス × × × × △ × 〇 ジステンパウイルス ○ ○ × × ○ ○ 〇 センダイウイルス ○ ○ × × × ○ 〇 マウス肝炎ウイルス ○ ○ × × ○ ○ ○ 〇 リンパ球性脈絡髄膜炎 ○ ○ × ○ 〇 唾液腺涙腺炎ウイルス ○ ○ × × ○ ○ ○ 〇 腎症候性出血熱ウイルス ○ ○ × × ○ ○ ○ 〇 次亜塩素酸ナトリウムは有機物の存在下で効力が減弱する. 塩化ベンザルコニウムは繊維にイオンが吸着されて効力が減弱する

  14. 飼育室の消毒 1.汚れを落とす 1-1.飼育室を水洗 1-2.両面活性剤を用いて飼育室を清拭 1-3.飼育室を水洗 2.消毒(2種類の消毒薬を使用) 2-1.弱酸性次亜塩素酸水(or 次亜塩素酸水) の噴霧 2-2.水洗 2-3.アルコール噴霧

  15. 統計検定 目的: 実験結果(データ間の差の有無)を客観的に評価する。 Group-A Group-B

  16. 統計検定 目的: 実験結果(データ間の差の有無)を客観的に評価する。 基本: データは正規分布するかどうか?

  17. ○ 実験群間に明らかな差がある場合には、n=3でも、差に言及できる。○ 実験群間に明らかな差がある場合には、n=3でも、差に言及できる。 ○ 明らかな差がない(データに重なりがある)場合には統計検定が必要。 ○ 統計検定はデータの特性及び群の数により使い分けを行う。

  18. 分散 Variance Area Under Concentration Curve Concentration (mg/dl) 0 10 20 30 40 50 60 70 80 Time (week) 測定値のばらつきの程度 平均値±標準偏差 (Standard deviation, SD or σ) σ =√ ((∑(xi-mean)2)/(n-1)) 平均値のばらつきの程度 平均値±標準誤差 (Standard error, SE or SEM) SE =σ/√n 中央値

  19. 2群の平均値の差の検定 3群以上の平均値の差の検定 1.群間の差の検定 2.実験前値と実験後値の差の検定 (1) データが正規分布する場合 (2) データが正規分布しない場合: 1-1. 両群の分散の差の検定を行う: F-test 1-1-1. 分散に差がない場合:Student’s t-test 1-1-2. 分散に差がある場合:Aspin-Welch’s t-test Mann-Whitney U-test/Wilcoxon rank sum test (1) データが正規分布する場合:Paired t-test (2) データが正規分布しない場合:Wilcoxon signed rank test

  20. 2群の平均値の差の検定 3群以上の平均値の差の検定 1.群間の差の検定 2.実験前値と実験後値の差の検定          投与期間 (週) 01234 5678 AUC 対照群    98 99 97 99 100 96 94 98 95 876 99 96 98 97 96 95 100 102 94 877 94 96 95 93 98 92 96 90 91 845 Mean 97.0 95.7 96.0 96.3 98.0 94.3 96.6 96.6 93.3 866 実験群 98 97 95 94 90 96 91 88 92 841 95 98 90 92 82 85 84 84 88 798 100 95 98 102 90 92 86 80 88 831 Mean 98.6 96.6 94.3 96.0 87.3 91.0 87.084.0 89.3 823 (1) データが正規分布する場合 (2) データが正規分布しない場合: 1-1. 両群の分散の差の検定を行う: F-test Area Under Concentration Curve 1-1-1. 分散に差がない場合:Student’s t-test 1-1-2. 分散に差がある場合:Aspin-Welch’s t-test Concentration (mg/dl) 0 1 2 3 4 5 6 7 8 Time (week) Mann-Whitney U-test/Wilcoxon rank sum test (1) データが正規分布する場合:Paired t-test (2) データが正規分布しない場合:Wilcoxon signed rank test

  21. Williams test 対照群 薬剤投与-25 mg/kg 薬剤投与-50 mg/kg 薬剤投与-100 mg/kg Tukey test or Scheffe test Dunnett test 対照群 薬剤(実験処置)-A 薬剤(実験処置)-B 薬剤(実験処置)-C 3群以上の平均値の差の検定 (1) 群間に順序がない場合 (2) 群間に順序がある場合(薬剤等の投与用量が複数ある場合) 1-1. データが正規分布する場合(各群のデータ数と分散が等しい場合) 1-2. データが正規分布しない場合: Kruskal-Wallis test ・すべての群間の差の検定: Tukey test, Scheffe test ・ 対照群と他の群との差の検定: Dunnett test 2-1. データが正規分布する場合: Williams test 2-2. データが正規分布しない場合: Williams test

  22. 頻度 (発生率) の差の検定 1.2群の検定:Chi-square test, Fisher’s exact probability test 2.3群以上の検定:Cochran-Mantel-Haenzel test その他の検定  相関係数の有意性の検定、回帰直線の差の検定  飛び離れた数値の棄却検定

  23. 実験処置に対する動物の反応の構成 苦痛コントロール 遺伝コントロール 遺伝子組換え動物 環境コントロール 実験処置に対する動物の反応 R = (A + B + C) x (D + E) + F 種を越えて共通する反応 実験誤差 環境の影響 種特有の反応 ( 種差 ) 個体特有の反応 ( 個体差 ) ストレス ( 痛み + 苦しみ )

  24. 〈実験動物の環境管理〉 飼育環境や実験環境に影響を与える因子 実験動物の環境をコントロールするためには専用の施設(動物実験施設,動物飼育室)が必要. 気候的要因: 温度,湿度,風速,風量,気流 物理化学的要因: 臭気,粉塵,騒音,振動,照明,明暗リズム 住居的要因: 飼育形態,ケージサイズ,ケージの形状,飼育密度 生物学的要因: 他種動物,同種動物,性別,昆虫,微生物 栄養学的要因: 飼料,飲水

  25. わが国における実験動物施設の環境基準      マウス・ラット・モルモット  ウサギ   サル類・ネコ・イヌ・家畜 温  度    20~26℃     18~24℃    22~28℃ 湿  度     40~60% (30%以下,70%以上になってはならない) 換気回数         10~15回/時 気流速度         13~18 cm/秒 気  圧    SPFバリアー区域:静圧差で 5 mmH2O         アイソレータ   :静圧差で 15 mmH2O         感染実験区域   :陰圧とする 塵  埃    クラス 10,000* (動物を飼育していないバリアー区域) 落下細菌    動物を飼育していないバリアー区域: 3個以下/シャーレ         動物を飼育していない通常区域  :30個以下/シャーレ 臭  気    アンモニア濃度で 20 ppm 以下 照  明150 ~ 300 ルクス(床上40~85 cm) 騒  音    60ホン以下 *:米国航空宇宙局の基準,浮遊生物粒子0.0176個/l Parts per million(100万分の1)

  26. 低体温 恒常体温 高体温 産 熱 量 化学的調節 物理的調節 基礎代謝 体 温 熱 中 死 臨界温度 臨界温度 凍  死 温度中性域 環境温度 産熱量、基礎代謝、体温と環境温度との関係 Ⅰ.気候因子(温度,湿度,気流,風速など)    気候因子は動物の体温調節と密接に関係している. 1.温度・湿度  a.動物個体の体温調節 1)動物個体の熱産生 熱産生 (heat generation)は体内で生ずる生化学的発熱反応の結果として生ずる. [総摂取エネルギ-=熱産生量+仕事+エネルギー貯蔵]. 絶食安静時の熱産生は貯蔵エネルギ-に依存,この時の代謝を基礎代謝(basal metabolism)あるいは標準代謝率(Standard metabolic rate, SMR)という.恒温動物の基礎代謝量は体表面積に比例している.

  27. 各種実験動物の臨界温度と温度中性域 臨 界 温 度   温度中性域        低 温   高 温 マ ウ ス -10℃ 37℃ 22~26℃ ラ ッ ト -10 32 22~26 モルモット -15 32 22~26 ウ サ ギ -29 32 20~24 ネ   コ -- 36 24~28 イ   ヌ -80 42~58 18~25 サル(マカカ属) -- 38 27~30 ヤ   ギ -- 40 20~30 ヒ ツ ジ -- 32 10 ブ   タ -- 30 0~20 ニ ワ ト リ -35 32 19~29 Biological Data Book Vol.2(1973)より抜粋

  28. 化学的体温調節(発熱は生体内の酸化過程で生ずる)化学的体温調節(発熱は生体内の酸化過程で生ずる) 筋作業(作業発熱,ふるえ性発熱): マウス33%,ラット57%,ヒト75% 非ふるえ性発熱: 絶食安静時の一定の熱産生,食物摂取後の熱産生(肝による熱産生).マウス20%,ラット23%,ヒト22%. 齧歯類や冬眠動物では褐色脂肪組織(brown adipose tissue)が発達しており,寒冷時には交感神経*の作用で熱産生が起こり,ふるえを伴うことなく体温の低下を防止する. 物理的体温調節: 呼吸,発汗,立毛

  29. In vivo heat generation responses at low environmental temperature 末梢神経 中枢神経(脳下垂体) 運動神経 Triiodothyronine Thyroxin 甲状腺 下垂体前葉 TSH 酸素消費の増加 筋肉活動の増加 骨格筋 ACTH Corticoid Corticosteron 脂肪組織 副腎皮質 酸素消費の増加 adrenalin Noradrenalin 褐色脂肪組織 副腎髄質 低体温

  30. 環境温度が生体に及ぼす影響 生体の反応 神経性調節(急性反応,血管収縮,ふるえ) 内分泌性調節(慢性反応,糖代謝) 器質性変化(臓器重量の変化) 暑熱・寒冷ストレス 時 間(対数) 温度ストレスによる生体反応(適応性変化) (小坂)

  31. ○ 34℃ ● 31℃ △ 28℃ ▲ 25℃ × 23℃ □ 20℃ ◎ 17℃ ■ 14℃ 増体重(g) 呼吸数 ♂ ♀ 環境温度(℃) 暴露後の時間(分) 各種環境温度に暴露後のビーグルの呼吸数 各種環境温度に暴露したJcl:Wistarラットの4週齢から9週齢までの増体重 • 摂餌量(g) ヌードマウス (8週齢) Jcl:ICRマウス 環境温度(℃) 環境温度と摂餌量との関係

  32. ♂ 肝臓(%) 腎臓(%) 心臓(%) 環境温度(℃) 各種温度環境で繁殖育成されたマウスの肝臓,腎臓および心臓重量の体重比 (Jcl:ICR, 10週齢,*は 20,22,24または26℃間で有意差のないことを示す)

  33. 各種温度領域におけるマウスの繁殖成績 産次  環境温度  出産率 平均産仔数  離乳率 12℃ 10/10 (100%) 13.3±1.3 90/100 ( 90%) 初 16 10/10 (100) 12.1±1.5 98/100 ( 98) 20 9/10 ( 90) 11.3±1.4 80/ 90 ( 89) 産 22 9/10 ( 90) 12.7±1.9 89/100 ( 89) 24 10/10 (100) 12.4±2.7 95/100 ( 95) 26 9/10 ( 90) 12.6±1.7 90/90 (100) 28 10/10 (100) 10.3±2.4* 89/100 ( 89) 30 10/10 (100) 9.8±2.2** 80/ 86 ( 93) 32 9/10 ( 90) 8.5±1.4** 25/ 68 ( 37)* 12℃  10/10 (100%) 15.1±1.5 94/100 ( 94%) 2 16 10/10 (100) 13.2±2.6 89/ 90 ( 99) 20 10/10 (100) 13.8±2.3 100/100 (100) 産 22 9/10 ( 90) 15.0±1.7 100/100 (100) 24 10/10 (100) 15.8±2.5 100/100 (100) 26 10/10 (100) 13.0±2.0 97/100 ( 97) 28 9/10 ( 90) 9.4±4.1** 76/ 90 ( 84)** 30 7/ 9 ( 78)** 10.3±3.2** 44/ 53 ( 83)** 32 5/ 9 ( 56)** 9.3±4.6** 3/ 28 ( 11)** 有意差は20~26℃群との比較,*p<0.05,**p<0.01

  34. 初 産 2 産 *, P<0.05; **, P<0.01 14 12 10 8 6 4 2 (3週齢) 哺育仔の体重(g) (2週齢) (1週齢) (0週齢) 12 16 20 24 28 32 環境温度(℃) 各種環境温度におけるICRマウス哺育仔の体重

  35. 各種環境温度下におけるPentobarbital sodium 88mg/kgと Acetylcholine 270mg/kg腹腔内投与によるマウスの死亡率 環境温度 Pentobarbital sodium Acetylcholine (℃) 死亡匹数/投与匹数 死亡率 死亡匹数/投与匹数 死亡率 12 20/20 100% 3/20 15% 14 19/20 95 0/20 0 16 18/20 90 1/20 5 18 20/20 100 5/20 25 20 8/20 40 7/20 35 24 14/20 70 7/20 35 28 11/20 55 6/20 30 30 8/20 40 6/20 30 32 5/20 25 13/20 65 Jcl:ICR, ♀,6週齢 ns: not significant, χ2検定により有意差の認められなかった温度範囲 ns ns 環境温度と薬物の毒性

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