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犯罪心理になれよう 後期第 3 回. 行動計量学研究分野 B3 植村菜穂子. 文献. 中谷瑾子 女性犯罪 1987 立花書房 第 1 章 総論 第 2 節 女性犯罪の原因 第 3 款 社会学的アプローチ. 今日の内容. 女性犯罪研究の 2 つの流れ 狭義の女性犯罪研究 逸脱の社会学からの女性犯罪研究 前回の続きです 逸脱の社会学から「ラベリング理論」と「マルクス主義」について. ラベリング理論. アノミー論での逸脱行動. 社会の中で受認されている規範に抵触する行為 社会の均衡を破る行為 構造 ( 機能 ) 主義の立場からは
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犯罪心理になれよう後期第3回 行動計量学研究分野 B3 植村菜穂子
文献 • 中谷瑾子 女性犯罪 1987 立花書房 • 第1章 総論 • 第2節 女性犯罪の原因 • 第3款 社会学的アプローチ
今日の内容 • 女性犯罪研究の2つの流れ • 狭義の女性犯罪研究 • 逸脱の社会学からの女性犯罪研究 • 前回の続きです • 逸脱の社会学から「ラベリング理論」と「マルクス主義」について
アノミー論での逸脱行動 • 社会の中で受認されている規範に抵触する行為 • 社会の均衡を破る行為 • 構造(機能)主義の立場からは • 基本的には、安定し、文化的には同質的な社会の中で発生するもの • 逸脱行動に対する人々の反応について考慮されていない
ラベリング理論での逸脱行動 • 逸脱の意味に問題がある • 社会とは、より多様性に富み、コンフリクトに満ちた存在である • 逸脱に関する公的な情報はきわめて限られている • 逸脱を統制しようとする試みは、実際には逸脱を増やすことさえある
ラベリング理論の特徴 • 従来の犯罪学の理論 • 犯罪原因論 • なぜ、ある者は犯罪を犯すのか • ラベリング理論 • 犯罪創出論 • 多くの者が大なり小なり逸脱的行為をしているが、その中で特定の者だけが犯罪者のレッテルを貼られる • 行為者の自己像が、他者の反応と深く結びついている
ラベリング理論の主張 • 犯罪及び逸脱が社会的に定義される • ある集団ないしは個人(富・権力・地位をもたない者)が逸脱者として公的にレッテルを貼られやすい • 逸脱はより大きな社会と密接に関連している • 法(規範)に抵触した人たちを分析 • 法(規範)を作成する者についての検討も必要
セレクティブ・サンクション • 刑事司法機関が、犯罪者処理過程において恣意的に犯罪者と非犯罪者を選別しているのではないか • 犯罪及び逸脱に関する公式統計はきわめて疑わしい • 社会の階級・人種・年齢・性別に影響される • 逸脱及び犯罪について特殊なフィルターを通さずに直接理解できるより優れた方法は、事例研究や参与観察法である • 参与観察法 • 調査対象者と生活や行動をともにして、調査者自らが把握・記録したデータをもとに分析・研究する方法
ラベリング理論に対する批判 • 逸脱の定義がきわめて相対的である • 最初の逸脱がなぜ起きたのかが説明できない • 社会的反作用の結果についての多くのアイディアが先行しており、それを裏付ける実証的研究の成果が少ない • レッテル貼りの構造及びメカニズムについての言及がほとんどなされていない
ラベリング理論の女性犯罪への適用 • 他の理論と同様、女性犯罪に適用しようとした試みは少ない • 女性犯罪の特徴を説明する上で役立つ? • 女性の低犯罪率 • 女性犯罪の増加傾向
犯罪及び逸脱 • 社会的に定義づけられるもの • (例)売春、少女たちの間の性的行為 • 別の時代や異なる文化圏では合法的な行為と考えられるかもしれない
ラベリング理論が示すこと(1) • 社会における女性の役割について、より深い理解を促す • 女性の犯罪の型は、社会的に定義づけられ、権力者によって大きく影響される規範を吟味することによってとらえられる
ラベリング理論が示すこと(2) • 社会的反作用が、行為者の自我の発達に影響を及ぼす • 集団・個人によってレッテルの貼られ方が異なるとすれば ↓性別によって異なったレッテルが貼られる • 女性がその社会の中でどのように扱われているかに大きく関係している
たとえば • 性役割分業が明確化し、分業の中に序列がある社会 • 女性の逸脱行動(犯罪)に対して • 公的には • 社会の秩序を維持する上から、男性より厳しく対応 • インフォーマルな集団の段階では • 男性より保護されやすい • ポジティブなレッテルが貼られやすい
女性に与えられる一般的なイメージ • 従順、受身、非暴力・・・ • 女性自身の自己像に反映される ↓犯罪への係わりをより遠ざけている? • 期待されている役割像に自らを合わせようとするのが、社会の中に生きる人間の自然な姿だから
最近では • 女性に対する一般的イメージの変化 • 女性と男性は対等である • 女性にも内面化される ↓女性犯罪は増加する? • フォーマルな面でも、インフォーマルな面でも、それまでポジティブに働いていたラベル付けが行われなくなるから
新しい犯罪学 • 1970年代、新しいパースペクティブを持った理論 • マルクス主義的枠組みに基づく様々な研究を組み入れたもの • 新犯罪学、急進的犯罪学、批判的犯罪学
それぞれの主張 • 新犯罪学 • 従来の学説分析、それらの欠点を補充する • 社会学に基づいた犯罪学理論の構築を目指す • 批判的犯罪学 • 従来の学説分析、それらの欠点を補充する • 政治的秩序と非同調的態度という観点に立ち、個人と国家の関係から犯罪を説明 • 急進的犯罪学 • より政治的、より闘争的な犯罪学理論 • 体制批判を前面に押し出し、国家や組織そのものを犯罪学の対象として考えようとする姿勢
新しい犯罪学の主張 • ラベリング理論の欠点を補い、社会における権力分配の不平等を強調した闘争理論を発展させたもの • 犯罪は社会的あるいは歴史的に規定された現象であり問題である • 資本主義社会を批判し、社会構造、政治・経済的構造と個人の関係という視点から、犯罪に関する考察を試みた
法について • 少数の支配階級による支配を維持し、時には補強するための道具 • 犯罪は単に法律に違反する行為ではない • 新犯罪学 • 社会機構の中で問題視される行動 • 批判的犯罪学 • ある行動が支配階級の利益と衝突したとき、犯罪と定義される • 急進的犯罪学 • 犯罪とは、政治的に定義された人権に対する違反
犯罪原因の解明 • 法に違反した理由のみを明らかにするだけでは不十分 • 法それ自体についての分析が必要 • 個人的な要因を重視する犯罪原因論を否定
犯罪の解決 • 犯罪者を処罰することではなく、新しい型の社会を建設すること • 社会機構そのものの根本的変革が必要 • 単なる資本主義社会の改革ではない • 政治・経済的構造を広く変革させることによって得られる社会を目指す
女性犯罪と社会構造 • 女性犯罪を社会的・経済的構造に照らして考える • 現行社会の仕組みと女性との関係を広く理解する必要 • 社会における女性の歴史的役割、現代的役割→女性犯罪を説明するための分析対象 • 近代資本主義 • 女性は家庭、男性は外で仕事という役割分業→資本主義社会を支える役目を担う
マルクス主義的アプローチに立つと • 性差別主義、経済的・社会的構造における女性の地位についての考察 ↓ • 女性が男性と異なった犯罪を犯すのはなぜか • 男性とは異なった取り扱いを受けるのはなぜか
たとえば • 女性による犯罪は軽微なものが多いこと • 女性の地位の反映 • 女性は経済的、社会的にそのような地位にいない • 女性による殺人、暴力事件 • 嬰児殺しなど、家庭に深い係わりをもつ • 性差別主義的な役割規定によって生じた、感情的フラストレーションを反映したもの
最近の女性の社会進出について • 女性の雇用の増大、労働の場における差別の減少 • ホワイトカラー犯罪に関与する機会の増大 • 女性の地位の改善、それに伴う家庭機能の変化 • 違法行為類型に何らかの影響をもたらす?
女性犯罪は増加するのか • 女性の労働市場への進出 性差別はなくならない • 職場と家庭で差別を感じる • 女性特有の犯罪は増える 性差別が解消される • 女性による犯罪は減少する
我が国では • 労働市場、政治的活動、家庭の役割などの変化 ↓ • 法制度そのものにも大きな影響 • 男女雇用機会均等法 • 社会構造の変革を要求することは行き過ぎだとしても、女性の地位について、歴史的、政治・経済的考察を加えることは必要
感想 • マルクス主義?? • 難しい • 次回は分化的接触理論、非行下位文化論