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対流圏の気象学との対比をおこないながら講義をおこなう:違いをみると理解しやすいであろう 例:対流圏は条件不安定<−>成層圏は安定である. 熱帯域中層大気力学と物質循環. 新進の大学士たちは気圏のいちばんの上層 きらびやかな氷窒素のあたりから すてきな化石を発掘したり −宮沢賢治−. 内容: 1章: 基礎方程式と中層大気のありよう - 時間の相も含めて気象を眺めるための 道具 -
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対流圏の気象学との対比をおこないながら講義をおこなう:違いをみると理解しやすいであろう対流圏の気象学との対比をおこないながら講義をおこなう:違いをみると理解しやすいであろう 例:対流圏は条件不安定<−>成層圏は安定である 熱帯域中層大気力学と物質循環 新進の大学士たちは気圏のいちばんの上層 きらびやかな氷窒素のあたりから すてきな化石を発掘したり −宮沢賢治− 内容: 1章: 基礎方程式と中層大気のありよう-時間の相も含めて気象を眺めるための道具- 対流圏とおなじ流体の運動方程式をつかう(平均自由行程がまだ連続体としてO.K.) L ∝1/nσ 断面積σ=10(—16)cm2、nは数密度p=nkT、1気圧≒106dyn/cm2 k=1.38x10(—16) だから、T=200K(mesopause付近) p=1(100km程度の高度)とするとn≒4x1013程度となり、nσ=4x10—3の逆数=250cmの程度より大きければよいであろう。 さらに熱力学(局所熱力学平衡)とあわせて議論される。 中層大気の構造を眺める—>大気のありようの特徴(対流圏との比較から—> 中層大気の特徴) ここでの流れは: 東西平均した基本的な南北の温度構造など—>成層圏特有の風が吹いている —>そのとき基本方針は基礎方程式を用いて理解したい 大気加熱の立場から—>大循環での東西平均の場をもとに整理する 赤道域と中高緯度の違い—>赤道上はコリオリ=0、中緯度は年振動が卓越で違いの説明 その説明のなかから—>東西に非—様な擾乱が、対流圏の対流や傾圧不安定と同じように大循環に大きな影響を与えているらしい —> 対流圏の擾乱-->成層圏の 擾乱 の性質--> 働きなど --> Lagrange的も含めて、物質循環
2章: 赤道波(重力波も含めて) -擾乱表現の1つの方法-2章: 赤道波(重力波も含めて) -擾乱表現の1つの方法- 成層圏は基本的には安定成層で、対流圏からの波の鉛直伝播が大事 観測例をいろいろ眺めること 赤道波について(コリオリ=0でスケールの大きな波も重力波として振舞える) 3章: 波の生成や シアー中の重力波について 4章: 赤道域での波の平均流への作用 —>大循環への役割としての準2年振動(QBO)などの話し 5章: 局所的な重力波 6章: 熱帯域の不安定について <-かき混ぜか 成層圏中の傾圧不安定、慣性不安定、K-H不安定 など7章: 物質循環 流体粒子の運動について(ラグランジュ的な見方を含めて) オゾンにからんだものの輸送形態 いくつかの成層圏における物質分布 下部成層圏の境界近くの物質分布
あヽいヽな せいせいするな風が吹くし -宮沢賢治-あヽいヽな せいせいするな風が吹くし -宮沢賢治- 海面気圧場を示す、高気圧や低気圧が場の量として表現 第1章:基礎方程式と中層大気のありよう -時間の相も含めて気象を眺めるための道具- 運動にからむ基礎方程式を述べることにします。詳しくは小倉先生の’気象力学通論’か Holton の’An Introduction to Dynamic Meteorology ’をご覧下さい。ここでは,式だけ書いておきます.前に述べたように中層大気も連続体近似として、流体の運動を議論しますので。 基本の式が数個と言うのは気持ちはいい? <−>水や化学成分をあつかうと個々の物質の連続の式が成分として増えていく(個々の物質が運動でも決まる). 大気の運動は流体力学の方程式によって表される。 —>例えばランダウの流体力学の教科書をみる。まずは連続の方程式がのっている。大気を連続媒体と見なして場の方程式を作る。そこでは,大気の運動を表す流体の速度が必要である。これは v = v ( x, y, z, t ) と表され、場の関数である。さらに2つの熱力学量が必要である。例えば圧力 p = p ( x, y, z, t )と密度 ρ = ρ( x, y, z, t ) が必要である。この5つの量で流体の状態は完全に決定される(と書いてある)。それで例えば温度 T = T ( x, y, z, t )は状態方程式から決める。 中層大気までは空気はよくまざっていて、1つの密度、圧力でいいであろう。オゾンなどは別に解く。 冬 夏 化学成分の1つであるオゾンなども場の関数として現すとわかりやすいかも?2002年は変動パターンが普段と異なる
連続の方程式は質量の保存則を述べたもの。すなわち、ある体積中(固定)の流体の質量 ρdV の単位時間あたりの変化はその体積中に流れこむ(又は流れでる)質量流速に等しい。場の量の式で表すと、連続の方程式は質量の保存則を述べたもの。すなわち、ある体積中(固定)の流体の質量 ρdV の単位時間あたりの変化はその体積中に流れこむ(又は流れでる)質量流速に等しい。場の量の式で表すと、 (1) 大気は浅い 基本方程式: <- これ(およびその変形)をつかって説明することになる 運動方程式は種々の近似をして以下のようになる。 は流体粒子に (2) (3) (4) 赤道上ではコリオリ項は消えることに注意 理想気体(大気)の状態方程式、 R = 287 J / kg / K (5) 熱力学の方程式 気象学では種々の非断熱過程(例えば潜熱放出や放射による)が重要である (6) 断熱運動では温位が保存される。cpは定圧比熱( = 1004 J / kg / K ) 変形して-> これらが流れについての基礎方程式である.非線形の方程式なので、直接解くときは数値計算をする。線形的な話は後で。 大気大循環モデルでは(4)を静力学平衡 にして、式を解いている。 オイラー的 Grid Point 上で数値的に解かれる場合 ->場的にきまる
ここではおもにスケールの大きな擾乱を議論する。ここではおもにスケールの大きな擾乱を議論する。 p−座標系における大きなスケールでの運動方程式 水平Scale が10km程度の対流や内部重力波については鉛直方向の加速度もきちんと考慮した方程式で議論しますが、数10km程度以上では基本場といわず擾乱についても静力学平衡の式をつかう。擾乱についても静力学平衡がなりたつ時には,圧力座標が用いられるので,ここで式を書いておく.圧力が高さの1価関数なので、運動を議論するときに圧力を鉛直座標として議論する。むしろ等圧面で観測されるから? Log-p座標系での運動方程式: 対流圏のみの議論ではp−座標系がよく用いられる。しかし成層圏まで含めて議論するときは有限の範囲に閉じ込めた p−座標系では物事を見失う恐れがある。(このことについての議論は松野・島崎の教科書参照)。圧力は高さに対して近似的に exp 的に減少するので次のような log-p 座標系を導入するのが都合がよいだろう。 ここでp0は基準圧力(1000mb=100kPaにとる)、H = R T0 / g で T0は全球平均の温度である。
構造とそれに関わる現象の形態学か? <—現象の結果であろうから 大気の形態について 成層した大気 —>成層圏 対流による —> 対流圏 オゾン —> オゾン層 図は圧力,密度(,温度)で地球標準大気の平均的な鉛直構造を示している. 圧力p,密度ρについては高さとともに減少 静力学平衡と理想気体から—>密度の構造は成層圏にとって非常に重要—>薄くなることで擾乱の速度の振幅が大になる 鉛直伝播可能な波としては みたいな量が理想的には保存的、primeは波にともなう速度でexp的に大きくなる 波に伴う温度のampも同様に大—>波が壊れるようになる。( dT/dzも大きくなり、乾燥断熱減率をこえる ) 1--1:大気の基本的構造を見ておく T(z)=T(0)−Γz —>この式(1次元)を、熱帯対流圏の高度を決めるときに使う議論がある(Held, 1980) 10〜20kmはほぼ等温的な層になっている.そこらあたりからを成層圏と呼ぶ 地表は約290Kになっていて,それから温度勾配は約6.5K/km程度で—様に減少 <—対流圏この領域ではよく対流が起こる.<— 約10kmまで(全球平均で)熱帯域では16kmくらい高度とともに線形的に減少している 対流圏と成層圏の境界は対流圏界面と呼ばれる。2℃/km以下の温度減率がおこる最低のlevelが対流圏界面:極域では約9km,赤道域では約16km.緯度により高度が異なること(でき方の違い)
金星大気の温度鉛直構造) 火星大気の成層圏温度構造 火星の g=3.72m/s2,半径=3397 km Cp=800 とすれば、断熱温度減率g/cp=4/800=0.5x10−2MKS5K/10(3)K/m=5K/1kmということで,10kmで50K程度下がる, 実際は10kmで,20K程度しか下がっていない. ずれは大気の中のDustの加熱といわれている 成層圏は等温的 火星にはDustはあるが、地球におけるオゾンみたいに上層が上がることはないよう。 温度構造が鉛直に波的になっている。火星大気も波に満ち溢れているよう。例えば加熱による大気潮汐 <-波の力学過程が重要であろう。 金星のg=8.89(森山,大気の歴史),主成分はCO2としてcp=842 J/kg/Kg/Cp=0.01 K/m =10kmで100Kの低下 金星の下層における温度鉛直分布をみると,断熱減率に近い温度低下をしているようである.金星の下層は対流調節が起こっているのであろうか? 火星と同様、金星の成層圏らしきところは等温的になっている。また、成層圏で波的な構造が見える。
地球に似た対流圏−成層圏的な構造をしている.木星成層圏の高温は:CH4や浮遊粒子の太陽放射吸収(島崎,松野)g=9.8X2.37(安田), cp=12428g/cp=0.0019K/m=1.9K/km 。地球に似た対流圏−成層圏的な構造をしている.木星成層圏の高温は:CH4や浮遊粒子の太陽放射吸収(島崎,松野)g=9.8X2.37(安田), cp=12428g/cp=0.0019K/m=1.9K/km 。 木星の温度構造 赤道と極の温度差が小さい大循環と大きく関わるであろう。
基本状態を南北にも広げてみたのが,Holton et al. (1995)で使われている,緯度/高度を決めて,東西に地球を—周した平均の図:93年の1月の平均これには気象で重要な温位θが描いてある.緯度で異なる対流圏の高さものっている。 結果としての対流圏/成層圏の区分としての概念図<–物理過程がのっている。熱帯域と中高緯度とは力学過程が異なる様相? Holton et al., 1995, Rev. Geophys.実線が温位を、点線が温度である。断熱のとき、流体は温位面を動くであろう、中緯度で対流圏と成層圏がcrossしている。
最近の研究では、熱帯の対流は圏界面までは平均的には届いていないと言われている最近の研究では、熱帯の対流は圏界面までは平均的には届いていないと言われている 対応した全球降雨分布: 熱帯域は対流がさかんで降雨がおおいことがみてとれる。上が観測で下はモデル結果、Hack et al., 1998, J. Climate、約2.8度(〜300km)おきに計算されたもの、6月-8月で平均したものである->熱帯対流圏は潜熱放出( の1部)が大事になっている。
熱帯圏界面の高さ:水蒸気凝結の非断熱加熱から熱帯圏界面の高さ:水蒸気凝結の非断熱加熱から 水の入った大気で以下の式が近似的になりたつ。 この式は を使って, は飽和湿潤静的エネルギ−とよばれる. ( は乾燥静的エネルギーと呼ばれる) ★Held(1982, J. Atmos. Sci.)の話し: の式を導いた.この式をもとに熱帯域のtropopauseの高さを見積もる. 保存的な量を用いた鉛直方向のみの議論 運動が陽にでてこず、平衡状態の議論となっている時間変動をみているわけではない 温度の鉛直構造と関係させる。 月平均の半球水蒸気分布(質量混合比)は右のようになっている:
上の式がなりたつとして,tropopauseの高さでは水はないとすると,上の式がなりたつとして,tropopauseの高さでは水はないとすると, 下端の→ ←圏界面では Tはz=0の温度で,大気温度はの割合で減少するとしよう.高度の式として 2.5x10(6)x2x10(-2)/10(3)/3.3=15 km となる.ここで L=2.5x106, =2x10−2程度, =6.5K/kmとする z=15kmとなり,矛盾はしない数値となる.(ただし、実際の値を使った議論である)、少し低いよう。 大循環モデル(Thuburn and Craig, 1997, J.A.S.)では表面温度につよく依存と書いてある。(矛盾はしない) 中緯度は が半分?とすれば,8km程度の高さにはなる(右図の実線で低い)。 →中緯度では傾圧不安定のPotential Vorticity一様の力学が重要と言われている。 <-ただし、tropopuaseあたりはそうなっていないよう(Thuburn and Craig, 1997)
4月の気層のひかりの底を…まばゆい気圏の海のそこに -宮沢賢治-4月の気層のひかりの底を…まばゆい気圏の海のそこに -宮沢賢治- 1—2:観測された東西に平均した中層大気温度 成層圏の全球的な温度構造をみておこう。対流圏とは異なる温度構造(図は地表、対流圏から 50km までで4つの季節)。 夏半球の50kmのところがあつくなっている。これは太陽放射のオゾンによる吸収でこのように高温になっている。 極域の冬の下部成層圏では、北半球の方があつい(左図、北半球の方が山岳が多い) <-力学の効果
図でDashed lineは対流圏界面、成層圏界面、中間圏界面を示す。下図のWとE は西風と東風を示す。これは気候値と呼ばれるもので、風の強さは年々変動する。この図は北半球,南半球の区別はない。 85kmの夏では低温(日のあたらない冬で高温)になっていて、これは放射では説明されない。 夏半球で東風、冬半球で西風になっている。 成層圏(より正確には中層大気と呼んだ方がいいであろう、成層圏と中間圏をともに含んだ領域)では対流圏とは独自の風系を形成している。 m/s
地球大気の場合は自転がはやいので、東西平均した東西風の場合、だいたい地衡風が成り立つ地球大気の場合は自転がはやいので、東西平均した東西風の場合、だいたい地衡風が成り立つ 1月 7月 静力学平衡の式: 2つをあわせて、温度風の式で東西風と温度は関係している 西風 成層圏の東西風の北半球と南半球の違いの補足図: 西風 左図が1月、右図が7月の平均東西風。成層圏の冬の西風は南半球がつよい。80km以上の高度では異なる風系 至では赤道50kmで東風、80kmで西風か(赤道の半年振動) 東風 東風 南半球 北半球 熱帯域の下部成層圏は東風になっている
観測の温度、東西風図と大気大循環モデル結果(酒井他、2003)観測の温度、東西風図と大気大循環モデル結果(酒井他、2003) 風の分布をみると、地球の成層圏の夏と冬の風によく似ている。火星の大気量は成層圏と同程度である。また火星の自転速度や赤道傾斜角も地球と似ていることが関係しているであろうか?火星のDustがオゾンと似たような役割をしているよう。 類似性火星大気の全球的なようす: 夏半球->冬半球地球大気の東西風 夏半球->冬半球(下図はCCSR/NIES火星大気モデル)
太陽放射加熱率の中層大気における緯度—高度断面図を示す。図の左が夏半球に対応。50kmで最大18K/dayの大きさ。 90kmあたりもおおきな加熱率 それにもかかわらず90kmあたり(夏半球)の温度は低いO3, O2, NO2, CO2 の吸収が考慮されている。 中層大気の大循環についての考察をおこないたい。 太陽放射により大気が温められ(式の右辺-->T)、それによって大気が運動をしていると考えられる。 1—3:中層大気大循環をおこす大気加熱について ->放射による非断熱加熱:成層圏オゾンによる短波吸収は cosθdIν/dz=—kνρ(Iν—Bν) なる(散乱のない)放射伝達式で、近似的に、短波の場合はBνは考えなくてよいであろう。 dIν/dz=—secθkνρIν 今の場合は太陽の天頂角をχとし、フラックスを下向きとすれば、 dIν/dz= secχkνρIν のようになるであろう(松野、島崎,1981参照)。 解は Iν(z) = Iν(∞) exp ( —(∫z∞ kνρdz)secχ ) 成層圏オゾンによる短波吸収の大気加熱率は Q/ Cp =secχkνρIν / ρa Cp ここで、 ρaは大気密度、 Cpは定圧比熱である。
放射エネルギーフラックスのたまりが大気温度の変化をもたらすので、赤外放射フラックスを用いて 放射エネルギーフラックスのたまりが大気温度の変化をもたらすので、赤外放射フラックスを用いて ρa Cp dT/dt ← - d/dz (F↑—F↓) のようになるであろう。ここでは、ρa =kg/m3を大気密度としている。 右辺は、 d/dz(F↑—F↓)=—kρ( F↑+F↓—2B ) (kに1.5のfactorを含める、放射の教科書参照) となる。 このような式を用いて赤外放射加熱をみつもる。 非断熱効果における赤外放射 太陽放射による大気加熱率、赤外放射による冷却率の鉛直1次元分布(K/day)。London(1980)より、図はAndrews et al. (1987)から。図からわかる様に中層大気においては太陽放射による加熱率はオゾンによるものが—番大きく、赤外放射は二酸化炭素による
成層圏ではF↓は無視(大気の上端では0であろう)、F↑ は殆ど変化なしと仮定、B も殆ど変化なしと仮定 r=ρ/ρaとすれば、上の式は Cp dT/dt=—2k rB +k r F↑ のようになる。 平衡から少ししかずれないとすれば、B=B0+dB/dTdTみたい に書けるであろう。そうすると dT/dt=—2kr/Cp(dB/dT)dT—2kr/Cp B0+kr/CpF↑ このような線形近似(右辺の1項)をNewtonian coolingの近似とよぶ 力学の議論でよく使う(あとの議論のいろいろの所でこの近似をつかう) 2kr/CpdB/dT :Newton冷却係数とよぶ。 Newton冷却近似について 中間圏ではもうすこし緩和時間は早いようである(数日?)。 左がNewton冷却係数で右は全体的な冷却を示す(K/dayの単位) Dickinsonの値をしめしている、この程度でもとにもどる—>10日くらいまたはそれより早い!
短波+赤外放射の大気加熱率の緯度—高度断面図:日のあたらないところは赤外放射で冷却されている短波+赤外放射の大気加熱率の緯度—高度断面図:日のあたらないところは赤外放射で冷却されている 放射のみによって決るらしい成層圏・中間圏の温度分布。Wehrbein and Leovy(1982) 右上図は短波放射による加熱と赤外による冷却のバランスによって決る温度分布である。 のような力学の入っていない式を解いてもとめた。日のあたったところが高温になり、日のあたらない極夜では赤外放射で低温になる。この図と観測による温度図とを比較して欲しい。かなり大きな差が存在する。この差は力学の効果ということでこの節ではそのことを簡単なモデルで議論しよう。 観測されている温度
いつか巨大な配電盤は交通地図の模型と変じ -宮沢賢治-いつか巨大な配電盤は交通地図の模型と変じ -宮沢賢治- 大循環の運動は3次元の運動であるが、成層圏の力学でよく使われる東西に平均した緯度・高度の2次元的な方法をみておく。 1 —4: 1つの方法(角運動量的にみる?)、東西平均をして物事を眺める 東西方向の運動方程式は、 のようであった。この式で球の効果を無視すると、 となる。連続の式 を用いて東西方向の運動方程式を変形すると、 この図も東西平均した図である 物理量を のようにする。 over-barの量は東西に一様であり、南北、高度、時間の関数となる。 これを上の運動方程式に代入すると、 この式に、さらにover-barなる東西平均の操作をほどこす。このとき、primeとover-barの積の項を平均操作するとゼロ。結果として のような式を使って議論される。Prime量が東西に非一様な擾乱で、それが東西平均量に影響をおよぼす。
対流圏での平均東西風に東西に非—様な擾乱が大事だという話しがある。たとえば中/高緯度の傾圧波動が大事だという話しがあります。対流圏での平均東西風に東西に非—様な擾乱が大事だという話しがある。たとえば中/高緯度の傾圧波動が大事だという話しがあります。 東西に非一様な擾乱が構造の決定に大きな役割をはたしている。 2次元軸対称モデルと3次元CCSR/NIES GCMの比較:東西に非—様な擾乱を入れないと、中緯度の西風が強くなる(Satoh et al., 1995, Tellus) —>擾乱の重要性、熱帯域も大分ことなる。左が2次元、右が3次元である。中が地球の回転の場合、下段は自転を3倍にはやくした例 2次元 3次元 (角)運動量輸送の担い手(東西平均子午面循環、東西非一様な擾乱で時間変動するもの、東西非一様な擾乱で停滞性の擾乱)とそれらの輸送量
適当な近似のもとで、東西に平均した東西方向の運動方程式は(平均場について線形にしてある)、適当な近似のもとで、東西に平均した東西方向の運動方程式は(平均場について線形にしてある)、 (1) 1 —5:中層大気東西平均のモデル 右辺の第2項に鉛直方向のみの(渦、分子ではない)粘性を入れてある。また右辺1項は波の効果。 次に熱力学の式の大気加熱を考えよう。成層圏における放射による大気加熱は、近似的に のようになる。ここで右辺の1項はNewton 冷却を、2,3項は基本的な温度における赤外放射による非断熱加熱、4項はオゾンの紫外線吸収による大気加熱をあらわしている。 ここで Qtot = 0 となるような、仮想的に決まる温度をTe(緯度、高度、時間の関数)とする。そうすると Qtotは以下のようになるであろう( Qtotの右辺のうしろの3つの項を一緒にするような形 )。 さらに、年平均としてきまる高さだけの温度 T0(z) を導入すると、 結果として熱力学の式は以下のようになるであろう(ここで擾乱の項は入っていない)。 Q は Net の大気加熱の南北・鉛直偏差 、第2項は赤外放射のNewton 冷却近似としたものである。ここで南北によらず高さのみに依存する量は風には関係ないので基本温度場としてその効果はN2(z)の中に入るとする。 球面ということをきちんと考慮したモデルでまとめてみる。線形の近似はなりたつとすれば、東西平均した式は
ここで、 とする。これは緯度方向の演算子である。鉛直方向と南北方向を分離する方法を用いて、 N2、α、νは鉛直のみの関数として、上の式を1つの方程式に書き直す。 Matsuno(1982)に従って、Geopotential の式になおすと のようにすると。 鉛直拡散係数は上のような値が使われる。<ー作られた波(振幅)の伝播と波の壊れみたいなことで決まってくる。 のように書かれる。ここで は南北と鉛直を分離するさいの変数分離定数と呼ばれるものである。 中層大気の年振動モードは、Sawada and Matsushima(1964) が求めていて、最低次の赤道に対しての反対称モード(赤道にたいして の形が北半球が正のとき、南半球は負になるモード)と考えられる。 そのモードの南北構造の形は図のようである: (u は赤道に関して反対称で、v は対称である) このモードの変数分離の定数はSMにより、 h=-10.82km と与えられている。 一方、f=一定平面のときは、u, v が sin ly の構造を仮定する。(たとえは、Holton, 1982, J. Atmos. Sci. を参照) v の構造が赤道域でまったく異なる。
f(コリオリ)=一定平面近似では l は南北波数である。球の式と形が似ていることに注意。この式をみると、Newton冷却の項と運動量の鉛直拡散の項は同じ形をもっている。-->数値実験の結果は右のようになる(Fx=0)。 鉛直拡散の項を無視し、平衡の形を仮定した解(年振動はゆっくり変化していて、Newton冷却の時間に比べて無視できるであろうから)について見てみる。また、鉛直流を無視すると(Fxを考えず、鉛直拡散を無視すると、東西風の変化は南北風で生成される。東西風の変化を無視する近似は南北風=0であろう、そうすると連続の式から鉛直風=0とおいていいであろう)、熱力学の式は だから加熱に対応してGeopotentialが積みあがっていく。その圧力勾配に従って、地衡風が積みあがることになるから、右のようになる。この結果は数値計算とほとんど同じになっている。 これは観測の風と全く異なる。 東西風を減速するのに東西非一様な擾乱が重要な役割を果たしている この図は上の式の数値実験結果 観測での東西風の時間変化
赤道域の50kmあたりに、(および80kmあたりに)半年振動が存在する。赤道域の50kmあたりに、(および80kmあたりに)半年振動が存在する。 波動が重要である −>下の式のForcingの項に寄与をする。 中緯度ではコリオリ力が効いて 的になる。一方、赤道ではコリオリがゼロになると のようになるから、赤道域ではForcingが直接東西風を振動させている現象が存在する。 擾乱の影響によって準2年振動が現れる、また赤道域成層圏界面や中間圏界面には半年振動も存在すること 赤道下部成層圏の準2年振動
南北方向の運動方程式に於いて、地衡風(コリオリ力と圧力勾配力のバランス)が成り立つとして f u = -d Φ/dy—>すると温度風 fdu/dz=-d/dy (RT/H) から温度差は風のshearに対応風の向きが代わっているようである。 木星の赤道域成層圏で準4年振動があるらしい—>地球の下部成層圏の準2年振動とよく似ているらしい 20mb 10mb 鉛直1次元モデルでの準4年振動 Friedson, 1999, Icarus 温度変動Leovy et al., 1991, Nature
1 — 6: 熱帯対流圏の中の擾乱 擾乱が結構線形波動的に見えることがある(線形の方法が使える) コリオリ力が効くか効かないかは、気象力学的には決定的であろう。熱帯域ではどんな擾乱になっている? 赤道対流圏の擾乱を眺める。 右図は天気 1994, No. 4 にのっている、’日々の衛星画像 1993年10月’なるひまわりの衛星画像である。どのように感ずるであろうか? 赤道近傍に雲らしきものが多く見える。赤道近傍といっても雲のあるところとない所がある。 –>雲が結構集団化されているようである 赤道近傍の渦から台風らしきものが生成されているようでもある (偏東風擾乱からの台風生成?というはなしなどもある) Brightness temperatureの統計 対流活動の指標Ricciardulli and Garcia, 2000, JAS上が定常、下が標準偏差、84年冬 こんなデータを時間・空間別に解析してみると変動成分が見えてくる。 解析すれば、それがどんな変動でどんな形をしているかで、それが研究となる
スペクトル解析−>周期的な擾乱の図:数日周期で結構振動しているよう(右).夏の期間の南北風についての解析,左が140-150E、右が165-170Eで、上から、10-7.5N、赤道、7.5—10S–>周期的なものは波動として議論可能であろう、スペクトル解析−>周期的な擾乱の図:数日周期で結構振動しているよう(右).夏の期間の南北風についての解析,左が140-150E、右が165-170Eで、上から、10-7.5N、赤道、7.5—10S–>周期的なものは波動として議論可能であろう、 太平洋上の偏東風擾乱 は、太平洋の西域と中央域(スペクトルがはっきり)は異なったもののようである. 夏の3.1-5.4日周期変動成分の強度水平分布(Takayabu and Nitta, 1993)、aがTbbで、b: 対称を北に反対称を南半球にc(下図)は南北風
図の右の方(180Eあたり)はRossby-gravity波のようと言われている(繰り返しが西に伝播している–>波動になっている)右はR-G波の水平構造:基礎方程式で赤道域だけ考え、その式を線形にして式を解いてみる波動論による(3章)図の右の方(180Eあたり)はRossby-gravity波のようと言われている(繰り返しが西に伝播している–>波動になっている)右はR-G波の水平構造:基礎方程式で赤道域だけ考え、その式を線形にして式を解いてみる波動論による(3章) 波または対流としての別例:熱帯対流圏のSuper Cluster と Cloud Cluster の絵を示しておこう。このSuper Clusterは、みてわかるように東進している。—方、Super Clusterの中にあるのは,Cloud Clusterと呼ばれるものである。Super Clusterのスケールは ~4000km程度らしい(中沢の論文)。Cloud Clusterの方は1000kmくらいのスケールであろうか? 図は1980年、5-7月、0-5Nの範囲の擾乱の経度-時間断面図、図のA, B, C, Dは同じものを示す。 一方、西の方は渦? (あまり波のようにはみえない)−−>台風? <−−東とは別の話しのよう 西の方の擾乱のSchematicな図、太線は赤道を示す。 対流圏でも、ある部分は波の構造をもっているようである。 水平渦と対流が水平と鉛直を結び付ける気象力学のテーマのようですが —> ここでは可能なものは波としてとりあつかおう。 やはり,結構周期的な運動をしている−>重力波的にも見える−>これはあとで詳しく話そう −> 赤道成層圏では決定的 多くの赤道波は対流圏で何をしているのだろう?
Ogino, Yamanaka, Fukao, JMSJ, 1995:西太平洋上(150Eあたり)での観測、1991年の11月-12月の船上で、温度、風のデータ。大体赤道域 津田のしごと(Tsuda et al., 1994, J. G. R. ):重力波がたしかに対流圏−>成層圏まで伝播している図、(インドネシア、East Java, 1990, Feb. 27-Mar. 22 での観測) 成層圏で鉛直波長が2-2.5kmの重力波が見える。水平波長は 2000km 程度らしい。 赤道域での重力波の鉛直伝播と考えられるもの
成層圏の大規模擾乱:<-横からの熱帯域への影響成層圏の大規模擾乱:<-横からの熱帯域への影響 中層大気大循環において、東西に非一様な大規模擾乱(成層圏では波動と考えたほうがいいかもしれない、何故なら平均的には不安定がないから? しかし振幅がおおきくなると?)が重要な役割を果たしている。 中・高緯度-->熱帯への、中層大気の大規模な渦の様子に目を向けよう。図は10mbの水平断面図(下:等圧面高度)を示す。地球規模の波動的擾乱(惑星波、Planetary wave 又はロスビー波、Rossby wave )をみることが出来る。 ppmv ↑1mb近傍における、水蒸気( ppmv)の分布図。1992年、1月15日、17日、25日である。熱帯に近いところで波、波している。南半球の波は波数3の2日波のよう。北半球では惑星波の中に小さな擾乱がある。 1979年5月26日の南半球における10mbの、オゾン(ppmv, 上図)とgeopotential height 経度/緯度図。赤道から64Sまでの領域。赤道域と中・高緯度域の振る舞いが異なる。Leovy et al., 1985, J. Atmos. Sci.、物質と波がよく対応している。また、赤道の方に伝わっているように見える
金星成層圏における様子 金星の成層圏で速い風が吹いている。100m/s 程度の風。 最近この程度には大気大循環モデル(CCSR/NIES GCM)で風が再現されてきた。(Yamamoto and Takahashi, 2003, J. A. S.)、地表から 95km まで。 このような風系に波動擾乱が重要な役割をはたしている。