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京都ジフテリア禍事件 解明の進展. 田井中克人. 事件解明の発端. 父の死後 『 忘備録 』『 朝日新聞縮刷版(天声人語) 』 の出会い( 2002 年) 事実の究明と関係者の訪問調査 『69 人目の犠牲者 』 の出版( 2003 年)__犠牲者の「生きた証」 被害者・薬害関係者との出会い 『 京都・島根ジフテリア予防接種禍事件研究会 』 の発足( 2005 年). 出版以後の進展. 1 . 島根での被害 2 . 隠されていた郡部での被害 3 . 被害者の後遺症 4 . 毒性ワクチン製造の実態 5.731部隊の関与. 1. 島根への事件の波及. 京都
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京都ジフテリア禍事件解明の進展 田井中克人 69人目の犠牲者
事件解明の発端 • 父の死後『忘備録』『朝日新聞縮刷版(天声人語)』の出会い(2002年) • 事実の究明と関係者の訪問調査 • 『69人目の犠牲者』の出版(2003年)__犠牲者の「生きた証」 • 被害者・薬害関係者との出会い • 『京都・島根ジフテリア予防接種禍事件研究会』の発足(2005年)
出版以後の進展 • 1.島根での被害 • 2.隠されていた郡部での被害 • 3.被害者の後遺症 • 4.毒性ワクチン製造の実態 • 5.731部隊の関与
1. 島根への事件の波及 • 京都 • ホルマリン注入の人為ミス • 国家検定の手抜き • 不良品にを承知で接種 • 島根 • 上記+情報伝達・危機管理 • 京都よりも10日後ですでに死亡者も出ていたのに接種した • 島根では農村・漁村部に発生し実情がよく知られていない
国会答弁による経過 • 島根に1013号注射液が送られていたことをいち早く把握 • 原因が分かり始めてきた11月12日に通報 • 島根で接種したのは新聞で言われる11日ではなく13日である • 電報で通報したが間に合わなかったのだろう
島根が受け取った電報 • 12日には厚生省からの電報を受け取っていない • 11日に京都微研から受け取っている • (厚生省はこれを「島根に通報」としているのか?) • 微研からは9日にも電報が来ている • 厚生省からの直接電報は17日 • 厚生省は国会報告ではこれについては触れていない。
初期の接種停止処置 • 9日微研からの電報で配布停止 • 「ジフテリア チュウシャ ミアワセ」 • 11日の微研からの電報 • 「ジフテリア1013ゴウ、キョウトデシヨウノウチ フクサヨウ ツヨキモノアリ」 • 朝日新聞記事 • 1013号トキソイドが原因、大きな被害なし • 12日に1013以外で再開決定
接種の実施と被害の発生 • 13日 御津村で実施 • 15日 野波村で実施 • 16日 御津村で最初の被害発生 • 17日 五十猛村で実施 • 17日 厚生省からの電報 • 「オオサカニッセキ ロット8ノ シヨウノゾク イサイフミ」 • 1013以外を用いて続けろと読める電文
被害の拡大と接種中止 • 18日 御津村から患者2名を日赤に輸送 • 19日 灘分村で実施 • 玉湯村、出雲郷村、黒木村でも実施 • 20日 五十猛村でも被害発生 • これ以上の継続は無謀と判断接種中止を決定 • すでに配布の注射をどう止めるか?
状況判断以前の本質的な問題 • 1013のみが問題ではなかった • 検査された大半の薬剤が不合格となる中で、検査の不徹底による不良品の漏れ出しが生じたのが実態であり、当然1012、1014にも毒素が含まれていた。 • 検査を怠り、不良品の存在を隠蔽していたことが最大の問題
NHK緊急放送 • 20日夜 NHK松江放送局から緊急放送 • しかし、波根東村、大野村は20日に実施 • 21日 引き続き緊急放送を継続 • 22日 4村で実施、灘分村から被害報告 • 23日 大阪日赤より全面停止通告 • 24日 玉湯村、出雲郷村、黒木村から被害報告到着
被害の深化 • 後麻痺による死亡 • 12月18日 最初の犠牲者 • 1月17日 16番目の犠牲者 • 最終的には • 患者数:324 死亡者数:16
島根事件のまとめ • 五十猛村、御津村、野波村は島根県の判断責任 • 灘分村、玉湯村、出雲郷村、大野村、黒木村、波根東村には厚生省の電文の影響 • 被害者が農村部に多くマスコミ的には大きく取り上げられなかった • 医師送検などの奇妙な対応ー島根を切り離す意図?
2. 当時公表されなかった郡部の被害 • 『京都ジフテリア豫防接種禍記録』(京都府衛生部 昭和25年) • 患者名簿に記載無し • 『京都府保健所五十年史』 • 『ジフテリア予防接種禍 發來翰綴』(京都府立資料館 所蔵) • 「八木保健所管内ジフテリア予防接種副作用患者調査に関する報告書(昭和23年12月21日)」
報告書にある郡部被害 • 患者発生状況 • 船井郡世木村字殿田 14名 • 船井郡世木村字天若 5名 • 船井郡世木村字木住 6名 • 船井郡世木村字中世木 6名 • 船井郡胡麻郷村字志和賀 4名 • 注射実施期日 第2回接種 • 殿田 木住中 11月5日 • 中世木 11月8日 • 天若11月8日 • 生畑 11月5日 • 胡麻郷 11月16日 実施日の不都合を隠したかった?
3.後遺症に関して 伊藤寛:京都宇多野療養所・京都市衛生局防疫課長(事件当時)・京都市中央保健所長 「ジフテリア予防接種禍に関する疫学的症候学的研究」(1960年3月3日 学位授与)
論文要約 ①接種量の多い者に致命率が高かった ②病前頑健であったものに死亡がないー平常の健康状態③麻痺は患者の約半数に発生し、23%が死亡 ④致命的部位遅く発現し、麻痺継続期間は短い。 非致命的部位早期に起こり、しかも長く継続する ⑤上肢麻痺はほとんどすべて片側下肢の麻痺は、麻痺はいづれも両側に出現した。 ⑥84%は麻痺による死亡。(心臓:17%、呼吸器31%) ⑦ジフテリア治療血清は、麻痺が起きてからは効果なし ⑧1ヵ年経過後の観察の結果ジ禍の後遺症としては、接種部位における瘡痕が強いていえば唯一のもの
異常に多いポリオ発症 生年により異なる発生率を統計から算出(和気) この年代は普通よりもかなり発生率が高い それでも積算発生率は最大10万人につき153人
偶然ポリオが多く見える確率 45名中4名がポリオと言うことは「百万が一」にもあり得ない。 862名中のポリオ発生者がこれ以外に全くないとしても 4人はカイ2乗検定棄却レベル以下であり、ジフテリア禍とポリオの因果関係は否定しようがない
ジフテリアはポリオを誘発? 仮説: 『多量のジフテリア毒素が注射で体内に入り、神経系の感受性を高め、その結果、同じく神経親和性の高いポリオウイルスに感染し、麻痺性ポリオに罹りやすくなった。』 だとすれば予防接種でもポリオに 67年版「日本のワクチン」(77年版には無い) 百日せきジフテリア混合ワクチンをポリオの流行中に使用するとポリオの感染を招きやすいとの報告がある。 ポリオが現に流行している地域での混合ワクチンの使用は見合わせる方が賢明である。
4.毒性ワクチンの製造 何故京都が全国に先駆けて予防接種を実施したのか • 昭和22年 厚生省予防局防疫課長 衣川純三氏 • GHQ公衆衛生局予防医学課 ハムリン博士 • 予防接種法起草 • 昭和23年4月 衣川純三氏京都府衛生部防疫課長として出向 • 昭和23年7月 予防接種法施行 • 10月 京都第一回目接種 写真 衣川純三氏 • 11月 京都第二回目接種 • 11月 島根順次接種 • 衣川純三氏略歴 • 昭和9年 長崎医科大学卒業 • 昭和9年 京都帝国大学副手 • 昭和13年 京都陸軍病院 • 昭和14年 陸軍軍医少尉 • 昭和21年 厚生技官(社会保険行政) • 京都新聞 昭和23年11月20日 コラム『裸にする』「今度の注射禍事件も『時期が遅れては「今度の注射禍事件も『時期が遅れては効果がない』と彼の仕事熱心さから全国に先駆けて実施したため造ってから11ヶ月も経った1013号が交付されたといえる」
製造元:大阪日赤医薬学研究所とは • 設立:昭和21年9月 • 設立者:秋山静一(大阪赤十字病院研究科医長兼務) • 社屋:旧陸軍第8連隊(中部22部隊)兵舎北半分 • 南半分:大阪赤十字病院 • 事件後閉鎖 写真 秋山静一氏 第8連隊兵舎
大阪日赤医薬学研究所所員 • 副所長:田端正純(大阪赤十字病院勤務) • 昭和17年 陸軍軍医(マリアナ群島) • 昭和20年10月 大阪赤十字病院研究科医員 • 主任技術者:作山元治 • 製造主任:工藤忠雄 • 資材係:堅田竣 • 技手:松本忠夫(大阪赤十字病院雇員) • 昭和9年 中部23部隊 • 助手:関根彦吉(大阪赤十字病院雇員) • 昭和15年 満州ハイラル陸軍病院 衛生兵 • 昭和18年 ハルピン衛生研究所 • 「作山元治の紹介で大阪日赤に来た」と証言(裁判記録より) • 助手:林禎三(大阪赤十字病院雇員) • その他:38名
元731部隊員の関与(製造) • 製造主任:工藤忠雄 • 昭和14年9月 徳25201部隊(満州第731部隊) 陸軍技手 • 各種予防接種ワクチン製造研究 • 昭和21年9月 大阪日赤医薬学研究所入所 • ジフテリアワクチン製造主任 • 主任技術者:作山元治 • 徳25201部隊(満州第731部隊) 笠原四郎班 • (発疹チフス・コレラワクチン製造研究) • 中部軍管区防疫部 軍医中佐
元731部隊員の関与(実施) • 予防接種実施:太田黒猪一郎 • 昭和17年3月 南方軍防疫給水部(岡9420部隊ーシンガポール) 陸軍軍医大尉 • 昭和23年 京都府衛生部防疫係長(厚生技官) • 昭和25年 京都府衛生部環境衛生課長 • 昭和32年 日本ブラッドバンク京都プラント所長 • ミドリ十字 常務取締役 • 使用決定:貴宝院秋雄 • 昭和14年 満州第731部隊 第一部(天然痘) 陸軍技師 • 昭和20年 山梨医学専門学校教授 • 昭和17年3月 南方軍防疫給水部(岡9420部隊ーシンガポール) • 昭和20年 京都微生物研究所所長
731部隊共著論文 • ①「流行性出血熱の病原体の決定」 • (『日本病理学会誌』第34巻1944年) • 笠原四郎・北野政次・菊池斎・作山元治・金澤謙一・根津尚光・吉村済夫・工藤忠雄 • ②「森林ダニ脳炎」 • (『日本病理学会誌』第34巻 1944年) • 北野政次・菊池斎・笠原四郎・作山元治・金澤謙一・根津尚光・吉村済夫・工藤忠雄
731部隊とワクチンメーカー • 使用菌種:北京系(北里研究所) • 製造元:大阪日赤医薬学研究所 (陸軍歩兵第8連隊兵舎 作山阮治) • 製造主任:工藤忠雄(満州25201部隊) • 北野政次らとの共著論文2本 • 「流行性出血熱の病原体の決定」 • 「森林ダニ脳炎」 • 貴宝院秋雄(使用決定) • 大田黒猪一郎(京都府衛生部)
戦後のワクチンメーカー 日本:40-42社(調査中) 大阪:18社 731部隊に関係するもの 阪大微生物研究所 谷口テンニ(同仁会華中支部)藤野恒三郎(南方防疫給水部)岩田茂(満州医科大学)渡辺栄(731部隊) 目黒研究所 目黒康雄(防疫給水部) 大阪血清薬院 佐多愛彦 武田薬品
まとめ • 調べれば出てくる事件の広がり • 島根・郡部・731 • 歴史の闇を探り出す意味 • 事実を明らかに • 事件を風化させない • 政・官・業の馴れ合い体質の解明・訴求 • 隠蔽体質 • 薬害の根絶