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11章 消費者の関与

11章 消費者の関与 . 香川大学経済学部 堀 啓造.  日本の男性なら、 車 に対して関心が高い人が多い。車をさわられたり、または乗っている車のブランドの文句を言われると怒りを覚える人もいる。 また、女性なら ファッション について関心の高い人が多い。ファッションについてほめられると舞い上がり、ちょっとでも悪く言われると気分が沈んでしまう人もいる。 なぜ、このようなことが起こるのだろうか。それは、車、あるいはファッションに自分が巻き込まれているからである。 このように巻き込まれている状態を 関与 (involvement) という。. 1節 関与がなぜ問題となったか .

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11章 消費者の関与

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Presentation Transcript


  1. 11章 消費者の関与 香川大学経済学部 堀 啓造

  2.  日本の男性なら、車に対して関心が高い人が多い。車をさわられたり、または乗っている車のブランドの文句を言われると怒りを覚える人もいる。 日本の男性なら、車に対して関心が高い人が多い。車をさわられたり、または乗っている車のブランドの文句を言われると怒りを覚える人もいる。 • また、女性ならファッションについて関心の高い人が多い。ファッションについてほめられると舞い上がり、ちょっとでも悪く言われると気分が沈んでしまう人もいる。 • なぜ、このようなことが起こるのだろうか。それは、車、あるいはファッションに自分が巻き込まれているからである。 • このように巻き込まれている状態を関与(involvement)という。

  3. 1節 関与がなぜ問題となったか • 広告などでは,低関与が普通だ 。 • 人は多くの製品クラスに対して低関与である。 • 習慣的問題解決 • 調整変数(moderator variable)

  4. 2節 関与にはどういう側面があるのか

  5. 1 関与概念の始まり • ウィリアム・ジェームス(1891)『心理学 上・下』岩波文庫 • A.W.オルポート(1943) 人格心理学 • M.シェリフとキャントリル(1947) 社会心理学

  6. ウィリアム・ジェームス(1891) • James(1891)は行為者としての自己つまり主我と対象としての自己つまり客我(me)を区別した。 • 客我は物質的客我、社会的客我、精神的客我の3つに分かれる。 • 物質的客我は身体、衣服、家族、家、収集した財産のことである。 • 社会的客我はひとびとから認められたもの、たとえば名誉がそうであり、その社会的立場から要求されることからなる。 • 精神的客我は自分のいろいろの意識状態・心的能力、諸傾向であり、意志的決心のように能動的に感じられるもののほうが中心的なものとなる。

  7. 物質的客我 『物質的客我-身体がわれわれ各人の物質的客我の核心である。...。衣服がこれに次ぐ。...。次にはわれわれの直接近親の家族が自我の一部をなす。...彼らが死ねば、自己の一部が亡くなったようにように感じる。彼らが何か悪事をはたらけば、自ら恥を感じる。彼らが侮蔑されれば、自分がその場に居たかのように怒りが爆発する。次は我々の家である。...。われわれは、皆、自分の身体を大切にし、装飾的な衣服をまとい、父母妻子を大切にし、自分のために自分自身の家を見いだしてその中に住み、これを「改善」しようとする盲目的な衝動を持っている。』 『心理学 上』1992

  8. 『われわれがその所有物を失って落胆するのは、部分的には、その所有物が自然にもたらすであろうと予期していた便益が、いまやなくなってしまったという感じによることは事実であるが、それ以上に、自分自身の一部が無に帰したというような、自分が萎縮した感じが必ずあり、それ自身が一つの心理現象なのである。....』『われわれがその所有物を失って落胆するのは、部分的には、その所有物が自然にもたらすであろうと予期していた便益が、いまやなくなってしまったという感じによることは事実であるが、それ以上に、自分自身の一部が無に帰したというような、自分が萎縮した感じが必ずあり、それ自身が一つの心理現象なのである。....』

  9. 身体的自己 自己同一性(名前、着衣・装飾・特別の身仕舞い) 自尊心 拡大自己(所有の意識;僕の3輪車、わたしの父さん) 自己像(あるがまま・そうありたい・そうでなければいけない) 理性的主動者(考えることについて考えるフロイトの自我;意志的決定をするもの) 固有的希求(方向性・意向性)である。 日常の経験において、7つの様相がばらばらに働くのではなく、それらのいくつか、あるいはすべての側面が共に存在する。 Allport(1961)自己の7つの様相

  10. 2 さまざまな関与概念 • 自我関与←→コミットメント • (広い範囲)   (製品クラス)  (ブランド・店) ニーズ    →  関与  →  コミットメント • 永続的関与  ←→  状況関与自我関与         購買関与製品関与         広告関与

  11. 関与の諸側面

  12. 《関与と重要性》 •  関与と処理についてはRyle(1987)のような考え方が重要である。重要だから注意深く処理するのではなく、注意深く処理しているなどの特徴から重要だという認識が生じる。重要だとわかってもどのように処理するかをコントロールするのは難しい。この点で、Bloch & Richins(1983)の重要性が関与を規定している図式は欠点がある。Bloch & Richinsの図式は重要性という媒介概念をはずし、その役割を直接関与が担えば成立するものである。

  13. 3節 関与の測定 • 感情的関与・認知的関与・ブランドコミットメント(小嶋外弘ほか,1985) • 製品関与 • (1)感情的関与 • (2)認知的関与 • (3)ブランドコミットメント

  14. (1)感情的関与   ①私にとって関心のある製品である②使用するのが楽しい製品である③私の生活に役立つ製品である④愛着のわく製品である⑤魅力を感じる製品である⑥商品情報を集めたい製品である⑦お金があれば買いたい製品である

  15. (2)認知的関与 ①いろいろなメーカー名やブランド名を知っている製品である ②いろいろなメーカーの品質や機能の違いがわかる製品である ③いろいろなメーカーの広告に接したことがある製品である ④友人が購入するとき、アドバイスできる知識のある製品である ⑤いろいろなメーカーの製品を比較したことがある ⑥この製品に関して豊富な知識を持っている

  16. (3)ブランドコミットメント ①この製品の中にはお気に入りのブランドがある ②この製品を次に買うとすれば、購入したい特定のブランドがある ③買いに行った店に決めているブランドがなければ他の店に行っても同じものを手に入れたい製品である

  17. 製品関与とブランドコミットメント

  18. 表2 購買意思決定関与の例(青木他,1988) ①商品について情報を集めたい商品である ②銘柄間でいろいろな特徴を比較してから購入する ③多少時間や金をかけても品質のよいものを買いたい ④いつもとは違う銘柄を購入する時、期待通りであるかどうか心配である ⑤できる限り時間をかけて慎重に銘柄を選ぶ

  19. 永続的関与( or 意思決定関与?) 1 この製品のことを書いてある記事を読むのが好きだ 2 この製品について『暮らしの手帖』などの評価記事を読む 3 ブランド間の製品特徴を比較したことがある 4 この製品の広告にいつも注意している 5 ほかの人といつもこの製品について話している 6 この製品を買う前に他の人のアドバイスをいつも求める 7 この製品を買う前に多くの要因についてあれこれ考える 8 どの種類を買うか選ぶのにいつもたくさんの時間を費やす McQuarrie and Munson(1992)

  20. 4節 関与と情報処理

  21. 1 情報処理の諸側面 • 反応関与でいわれていること。(1) 事前探索(2) 情報探索と獲得(3) 意思決定(4) 意思決定後

  22. 2 関与の水準と情報処理の関係づけ

  23. Maclnnis & Jaworski(1989)

  24. 3 認知エキスパート • 消費のエキスパート化の問題を扱っているものにAlba & Hutchinson(1987)がある。かれらは従来の研究から、認知努力と自動化、認知構造、分析(選択的符号化、分類過程、推論)、精緻化(解釈推論、装飾embellishment、問題解決)、記憶についての仮説を挙げている。 • これらは関与で言われていることと関連する

  25. 関与と説得 • 精緻化見込みモデル

  26. 5 単純な処理・複雑な処理 • Maheswaran & Meyers-Levy(1990)は問題関与を教示によって操作し、認知反応を測度として関与の高低による態度と処理との関係を明らかにしている。 • 認知反応をメッセージ関連思考、単純評価思考、肯定思考、否定思考にわけている。態度を従属変数として、メッセージ関連思考と単純評価思考を独立変数として重回帰分析をしている。 • 高関与の場合はメッセージ関連の思考のみが態度を予測し、詳細な処理が行なわれるのに対し、低関与の場合は単純評価思考のみが態度と予測し、単純な推論が行なわれていることを示した。 • また、高関与のときはネガティブな枠づけ(~しないと、悪い結果がおきますよ)のほうが効果があり、低関与のときにはポジティブに枠づけする(~すると、ましな結果があります)ほうが推奨している行動に対する態度および行動意図に効果がある。 • 態度と意図の関係も高関与のときのほうが高い。

  27. Kardes(1988)は広告の結論を明示した場合と明示しない場合で高関与、低関与の努力量が違うことを立証した。Kardes(1988)は広告の結論を明示した場合と明示しない場合で高関与、低関与の努力量が違うことを立証した。 • 関与の操作は「思っているより早く自分のCDプレーヤーをもてるでしょう。CDプレーヤーのなかにはとてもひどいものと、とてもよいものがあります」という教示を高関与群に与え、低関与群にはこの教示部を除いている。 • 結論を明示した場合は、高関与でも低関与でもブランド態度の形成は明示された結論に基づいて行なわれており、ブランド態度へのアクセス可能性は低く、反応時間が遅い。 • 結論を含まない場合、高関与のときには自動的に結論を創り出して、ブランド態度を形成するので、ブランド態度へのアクセス可能性が高くなり、反応時間は遅くなる。 • 一方、低関与の場合、不完全な情報に基づいてそれなりのブランド態度が形成されるが、結論明示の場合と同じく、ブランド態度へのアクセス可能性が低く反応時間は遅い。

  28. Bolfing & Woodruff(1988)は高関与場面(友達を呼んだ家での土曜の夜のディナーパーティー)と低関与場面がワイン(家族だけでの平日の夕食)を飲んだあとの満足について、検討している。 • 低関与は過去の経験とその場の経験がブランドの評価に影響するが、高関与は過去の経験よりも、その場の経験がブランドの評価に影響する。 • これも、周辺ルートが低関与に影響していることを示す。

  29. Maheswaran & Sternthal(1990)はエキスパート(ここでは知識の多いもの)とノービスによってメッセージタイプ(パソコンの利点だけ、属性だけ、利点と属性の広告)に対する反応が異なることを示した。関与は教示によって操作している。 • エキスパートは低関与でも高関与でも属性だけを与えられたときに製品評価が高く、属性に関する認知反応も多い。高関与になったときに属性+利点広告群は製品評価を高くし、属性に関する認知反応を増やしている。利点だけ群は関与による変化をしない。 • ノービスは、低関与のときすべての群で製品評価も低く、認知反応も少ない。高関与になると低関与に比べ、利点訴求群(利点のみ群と利点+属性群)が製品評価も高くなり、属性の再生および属性関連の認知反応が多くなる。 • ノービスは高関与にすることによって利点を与えると文字通りにとり好意的に評価するようになる。エキスパートは低関与でも属性を与えただけで推論をし評価を下している。 • エキスパートとノービスに最初から処理の仕方に違いがあり、関与の効果はメッセージの与え方に応じそれぞれ違っている。

  30. 6 購買関与と情報処理は同じか •  関与そのものを情報処理としてとらえる立場(Lastovicka,1979; Gensch & Javalgi, 1987; Bolfing,1988など)もある。 • 上の例からすると関与は単純に処理のレベルの違いを現しているようにとることができる。つまり、高関与は広範問題解決型処理をしており、低関与は習慣的問題解決をしているとみる見方である。 • しかし、広告処理方法が関与とエキスパートとの交互作用によって違ってくるように、単純に処理と割り切るとわからない現象がある。関与と処理とは一応切り放しておくほうが、処理方法の切り替えのメカニズムおよび処理タイプの割り出しに役立つ。

  31. 関与をその問題が生じてはじめて行う問題解決だとすると、従来の事前思考(Groeneveld,1964)の概念が関係する。関与をその問題が生じてはじめて行う問題解決だとすると、従来の事前思考(Groeneveld,1964)の概念が関係する。 • 事前思考の程度を客観的指標から割だそうとするものである。価格、購入頻度、大きさ、製品寿命(腐敗・損傷、スタイル旧式化)からその事前思考の程度を割だそうとするものである。心理的な関与を考えずに客観的指標だけで事前思考の程度を推測できるならば、関与の概念は必要ないことになる。

  32. 5節 購買関与が高まる時 1 購買関与の規定因 知覚リスク(主観的)←→客観的(事前思考(Groeneveld,1964)の概念) • 個人的要因 • 製品要因 (3) 場面要因

  33. 2 喜びとしての購買関与と恐れとしての購買関与 • Laurent and Kapfere(1985) • 《-》①マイナスの結果の重要性②間違った購買をする主観的確率 • 《+》③快楽価値④記号価値(象徴価値)

  34. 3 購買関与と製品関与がともに高い場合 4 関与とマーケティング担当者(マーケター )

  35. 6節 関与と消費者行動モデル (追加) • 米国の消費者行動テキストの関与の取り扱いはだんだん小さくなっている。 • アサエルは4つのタイプの消費者行動として関与と消費者行動との関係をまとめている。高関与購買と低関与購買に区別しているが,これは購買関与のことをいっていることになる。アサエルの説明では自己との関わりとリスクの両面をいっているので曖昧であるが,購買関与と考えていいだろう。

  36. 《複雑な意思決定》 • 行動する前によく考えよという伝統的階層(知情意)を表している。 • これは,認知学習のパラダイムとよく一致する。消費者にブランド態度を発展させ,ブランド選択肢の詳細な評価を要求するものとなる。

  37. 《ブランドロイヤルティ》 • 消費者は,過去の満足や,その結果としての特定のブランドへの強いコミットメント(傾倒,肩入れ)によって,深く考えることなく購買する。アサエルはこの事態を道具的条件づけがよく説明するといっているが,どうしてか考えよ。 ブランドロイヤルティでは,購買時に信念や評価が新たに作られるわけでないので,これらは括弧にくくられている。

  38. 《惰性(inertia)》 • ブランドロイヤルティがあるから同じブランドを買うのではない。 • 他の選択肢を捜す時間をつかったり,面倒をするに値しないから同じブランドを買う。 • 惰性ではまず広告などによって信念が作られる。情報探索をしない,受身的である。消費者は古典的条件づけにしたがって,考えることなく,製品と信念が結びつく。そこで製品を見たらその連合が喚起され,その製品を買うことになる。

  39. Hoyer and Brown()の研究だと,ピーナッツバター(低関与製品クラス)の場合,そのブランドを知っているというだけで選んでいる。(これは限定意思決定のほうではないのかな?) • このことから,低関与の場合,一番よく知っているというだけでそのブランドが買われる。 • (→これは,シェア1位をねらう日本企業の戦略と一致する。)このようなブランド知名は広告の繰り返しによって作られると言える。

  40. 《限定的意思決定》 • 新製品の紹介を見て,買ってみる。ここでは受動的に情報を受けているだけで,積極的に理解しようともしない。ただ,名前を覚えていて買ってみるだけだ。 • この形態の意思決定の重要なものに《変化探求》がある。Bruskin の研究では,前のブランドに対する好意は変わらないけど,他のブランドを買ってみるということをしている。不満だからブランドスイッチをするのではなく,ただ単に新奇性を求めているのだ

  41. 低関与からみた消費者像 ①消費者は情報をランダムに学習する。 ②消費者は情報を受け取るだけ。 ③消費者は広告の受身的な聞き手だ。(聴くと聞くの区別に注意) ④消費者は買った後にブランドを評価する。 ⑤消費者は満足の最適水準を求めるというより,受容可能な満足を求めている。 ⑥性格やライフスタイルは消費者の行動に関係しない。 ⑦準拠集団は消費者にほとんど影響を与えない。

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