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IAS / IFRS の国際的受け入れの動向

IAS / IFRS の国際的受け入れの動向. 愛知学院大学 経営学部 教授 向 伊知郎. 本日の内容. 企業活動のグローバル化が進む中で検討され進められてきた会計基準の国際的統一が、現在、世界でどの程度進んでいるのか、またそこにどのような問題が潜んでいるのかについて解説する。 現状に至る経緯についても触れながら、これから日本がどのような道を選択するべきなのかを考える。. 会計基準の国際的調和・統一の必要性. 財務報告の目的:情報利用者に対して、何らかの意思決定に役立つ有用な情報を提供すること 財務報告の中心になるのは、財務諸表とその注記から構成される財務情報

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IAS / IFRS の国際的受け入れの動向

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Presentation Transcript


  1. IAS / IFRSの国際的受け入れの動向 愛知学院大学 経営学部 教授 向 伊知郎

  2. 本日の内容 • 企業活動のグローバル化が進む中で検討され進められてきた会計基準の国際的統一が、現在、世界でどの程度進んでいるのか、またそこにどのような問題が潜んでいるのかについて解説する。 • 現状に至る経緯についても触れながら、これから日本がどのような道を選択するべきなのかを考える。

  3. 会計基準の国際的調和・統一の必要性 • 財務報告の目的:情報利用者に対して、何らかの意思決定に役立つ有用な情報を提供すること • 財務報告の中心になるのは、財務諸表とその注記から構成される財務情報 • 多国籍企業の財務報告がその目的を満たすためには、財務情報が目的適合的で、信頼性高く、かつ理解可能であるといった質を備えているのと同時に、他の財務情報との比較が可能でなければならない。 財務諸表の比較可能性

  4. 比較可能性の意味 • 期間的比較可能性:1つの企業において、前年度と今年度(複数年度)の財務諸表の比較が可能であること • 企業間の比較可能性:複数の企業間において、財務諸表の比較が可能であること 会計方針の継続性 会計基準の同一性 会計が企業活動の実態を写像するものであるならば、その国々の会計環境を考慮して設定された各国の会計基準に従って作成された財務諸表が企業活動の実態を写像することになり、企業実態の比較が可能になる!

  5. 会計は技術か、社会科学か? • 会計は技術:1つの会計事象に1つの会計処理方法(会計基準の国際的統一) • 会計は社会科学:環境が異なれば会計(処理方法)も異なる • 国際会計基準審議会(International Accounting Standards Board, IASB)議長デビッド・トウイーディー(D.Tweedie) 会計は技術 会計基準の国際的統一

  6. 2. 会計基準の国際的調和から統一・コンバージェンスへ2. 会計基準の国際的調和から統一・コンバージェンスへ • 「調和」は、論理的に衝突すべきでないという意味である。 • 会計基準の「調和化」とは、会計実務の多様性を少なくすることによって、その互換性を高める過程をいう。 • 会計基準の国際的調和は、会計環境の相違から、1つの会計事象に対して会計処理方法を1つに限定することができない場合に、2つ以上の会計処理方法の中から選択を認めることにより達成される。

  7. 会計基準の国際的調和が達成されることによって、企業が公表する財務報告は、一定の知識と調整作業によって比較可能になる。会計基準の国際的調和が達成されることによって、企業が公表する財務報告は、一定の知識と調整作業によって比較可能になる。 • 一定の調整作業を行うことによって財務報告が比較可能になることは、会計基準の国際的統一と同様の便益を、特に情報利用者に対して提供する。

  8. 会計基準が調和した状態の中で、認められる会計処理の方法を1つに限定した状態を「統一」という。会計基準が調和した状態の中で、認められる会計処理の方法を1つに限定した状態を「統一」という。 • 会計基準の統一は、すべての状況に対して単一の基準もしくはルールを適用することである。 • 会計基準の「コンバージェンス」、「収斂」あるいは「統一化」とは、かなり厳格で狭い一組のルールを課していく過程をいう。

  9. 会計基準の国際的統一が達成された場合、企業が公表する財務報告は、1つの厳格な会計基準にしたがって作成されることから、国際的に比較可能になると考えられる。会計基準の国際的統一が達成された場合、企業が公表する財務報告は、1つの厳格な会計基準にしたがって作成されることから、国際的に比較可能になると考えられる。 • 国際的に比較可能な財務報告が行われることは、情報利用者および情報を開示する企業の両方に、きわめて大きな便益を与える。 • しかし、会計基準の国際的統一の達成は、各国の会計環境の相違が障害となって、国際的調和以上に困難な問題である。

  10. 会計基準の調和・統一への取り組み機関

  11. 会計基準の国際的統一の動向

  12. 証券市場におけるIFRS受け入れの状況 • 2003年 • 現在

  13. ヨーロッパ証券規制委員会(CESR)による同等性評価(2005)ヨーロッパ証券規制委員会(CESR)による同等性評価(2005) • 第三国基準に対する補完措置とその件数

  14. 会計基準の国際的統一の方法 • ある機関が会計基準を設定し、それを各国の会計基準とする方法 • ある機関が設定した会計基準をもとに、各国が考慮して、国内基準を変更して受け入れていく方法 • 会計基準の発展過程において、会計環境の変容を考慮して、時間をかけて無理のない会計基準の調和を実現させる方法

  15. 国際会計基準によるコンバージェンスの方法 • IASBの会計基準によるコンバージェンス • IFRSの全部を自国基準とする • IFRSの一部を自国基準とする • IFRSの適用を規定する • IFRSの適用を容認する • 自国の会計基準をIFRSと調整努力

  16. 主要国の動向 • オーストラリア・ニュージーランド・香港・フィリピン:IFRSに国内基準を一致させているか、あるいはIFRSをそのまま受け入れている。 • シンガポール:IFRSをほぼそのまま受け入れている。ただし、認識と測定基準の一部が異なっている。 • EU:上場企業が基本的に全面適用。ただし、負債証券だけ取引しているか、外国の証券市場で上場していて、US会計基準のように国際的会計基準に従っている場合には、2007年までIFRSに従わなくても良い。

  17. 中国:一部の上場企業にIFRSの適用を規定している。中国:一部の上場企業にIFRSの適用を規定している。 • 日本・韓国・アメリカ・カナダ等:IFRSの適用を認めていない。

  18. 企業結合会計とのれんの会計処理 • 2005年10月1日:三菱東京フィナンシャル・グループとUFJ ホールディングスが合併(三菱UFJファイナンシャル・グループ) • US会計基準による結合要約財務諸表(プロフォーマ財務諸表)およびUFJ に関する財務諸表を作成して、アメリカ証券取引委員会(SEC) へ提出(経営統合に伴う登録届出書(Form F-4) ) • US会計基準により買収法(Purchase method)・アクイジション法(Acquisition method)で会計処理した結果、4,624,502百万円の「のれん」 (goodwill)を資産計上(内UFJホールディングスに関する「のれん」が4,555,034百万円)

  19. 企業結合の会計 • パーチェス法 • 取得企業の資産および負債は、その帳簿価額で引き継がれる。 • 被取得企業の資産および負債は、時価評価される。 • のれん:取得に要した投資額または支払対価-取得した純資産額 • 持分プーリング法(国際的会計基準は認めていない) • すべての結合当事企業の資産および負債を、帳簿価額で引き継ぐ。 • のれんは生じない。

  20. のれんの会計処理 • IASBおよびUS会計基準:減損 • 日本の会計基準:規則的償却(20年)および減損 • 20年で規則的に償却する場合、三菱UFJファイナンシャル・グループは、毎年2,300億円ずつ償却費 • M&Aを行った企業の財務情報をみるときに注意 • 日本では「のれん」の大きな大型合併が困難になる • ソフトバンク、ボーダフォン日本を1.7~2兆円で買収、巨額のれん発生?

  21. 2006年7月:関東つくば銀行(茨城県土浦市)と茨城銀行(水戸市)が合併予定→中止2006年7月:関東つくば銀行(茨城県土浦市)と茨城銀行(水戸市)が合併予定→中止 • 関東つくば銀行の株価急騰で「のれん」が大きく膨らみ、償却が難しくなったのが主因 • 合併は、関東つくば銀行が新株を発行し、茨城銀行を吸収する形 • 合併発表時(2004年11月株価700円台) • 終値は2100円 • 50億円程度と見込んでいた「のれん」は400億~500億円に膨らんだ。合併後の新銀行が償却することは困難

  22. 会計基準の国際的統一の政治圧力の中で、 • 日本があえてオリジナリティーにこだわって、国際的会計基準と異なった会計基準を設定することの是非 • 日本の企業の国際競争力に影響?

  23. レジェンド問題と日本基準からの乖離 • 日本を見棄てたトヨタ自動車 • レジェンド(legend)問題 • 1999年3月期決算から、日本の監査法人が出す英文の財務諸表の会計監査報告書に、「この決算は日本国内の基準で作られ、国際的に通用する基準ではない」と警句(レジェンド)を付す • 発端は、当時の日本企業の相次ぐ破綻 • 昨日まで、公認会計士が監査報告書で「適正な会計処理を行っており、財務諸表は適切に財政状態と経営成績を表している」とお墨付きをつけた会社が、翌日倒産

  24. 将来の動向 • 日本:2006年7月に意見書『会計基準のコンバージェンスに向けて』を公表して、コンバージェンスに向けての具体的な工程表の作成を要求している。2009年を目処に検討を進める。 • カナダ:2008年初めまでにIFRSのレビューを行い、2011年からIFRSを国内に導入する。会計基準設定主体をなくす可能性も示唆している。 • アメリカ:2009年までに統合プロジェクトを進めた上で、その後、相互承認を予定している。

  25. むすび • 現代の三種の神器として、英語、コンピュータ、国際会計があげられることを考えると、会計基準の国際的統一は、経済のインフラ整備とも考えられる。 • アメリカ、カナダといった北米諸国、EU諸国、そのほか、オーストラリア、ニュージーランド、中国、シンガポール、マレーシア等が、IFRSとの統合を意識して会計基準の設定または改訂を進めている現状から、日本の会計基準だけ異種なものになると、企業活動の国際競争力に影響が生じる。

  26. 一方で、イギリスとアメリカが中心で設定を進めるIFRSによるコンバージェンスが、必ずしも当初の目的であった財務諸表の国際的比較可能性を高めるとは限らない。一方で、イギリスとアメリカが中心で設定を進めるIFRSによるコンバージェンスが、必ずしも当初の目的であった財務諸表の国際的比較可能性を高めるとは限らない。 • 会計が企業実態を表現するものであるならば、各国の会計環境を考慮しながら、時間をかけて会計基準をコンバージェンスしていく必要がある。

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