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植村 誠 @雑誌会 101229

近接連星系が Astrometric binary になる、か? 紹介論文 “Masses of neutron stars in high-mass X-ray binaries with optical astrometry” Tomsick & Muterspaugh , 2010, ApJ , 719, 958-965. 植村 誠 @雑誌会 101229. 紹介論文の概要. 中性子星 (NS) の質量を正確に推定するのは中性子の内部構造を探るのに大事だけど、一番邪魔してるのが連星軌道傾斜角の不定性 。

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植村 誠 @雑誌会 101229

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Presentation Transcript


  1. 近接連星系が Astrometric binary になる、か?紹介論文 “Masses of neutron stars in high-mass X-ray binaries with optical astrometry”Tomsick & Muterspaugh, 2010, ApJ, 719, 958-965 植村誠 @雑誌会 101229

  2. 紹介論文の概要 • 中性子星(NS)の質量を正確に推定するのは中性子の内部構造を探るのに大事だけど、一番邪魔してるのが連星軌道傾斜角の不定性。 • 将来の可視スペース干渉計でμarcsec精度の位置天文(astrometry)ができれば、大質量中性子星連星系(NSXB)の軌道運動が分解できる、かも。 • 試しにスペース干渉計計画「SIM Lite」の目標仕様でシミュレーションしてみると、いくつかのNSXBでは数%の精度でNS質量が決定する、という結果に。

  3. (教科書的な)用語説明 • 中性子星を含む大質量X線連星 • OB型星と中性子星からなる連星系 • Wind accretion • 連星系としての年齢も若く、軌道の離心率が高いことが多い • コンパクト天体が中性子星であることは、パルスやX線バーストがX線で検出されることからわかる。 • 中性子星の内部構造 • よくわかっていない。クォーク星である、との説もあり。 • 状態方程式⇔質量ー半径関係、が内部構造によって異なる。既にいろいろな説が提案。 • 質量は連星運動からケプラーの法則を使って質量関数(mass function)を求めることが多い。 • 半径は中性子星表面の熱放射の観測から、放射領域のサイズを見積もって推定する。 • 位置天文 (astrometry) • 遠方クェーサーなどを基準に座標系を定義して、星の位置を精測する。 • 位置の他に Parallax、固有運動が得られる。 • Hipparcosがmiliarcsec (mas)精度の観測を行った。現在までこれが最も良い精度の全天カタログ。 • SIM Lite計画 • http://sim.jpl.nasa.gov/index.cfm • 可視のスペース干渉計でμarcsec精度を目指す。基線長6m、望遠鏡1つの口径50cm。位置精度=数μas、限界等級20等。15度角くらいの領域内を観測。全天サーベイはしない。 • Astro2010 Decadal Survey で推薦されず。NASAは予算打ち切り。 Tomsick et al. (2010)

  4. なんで今日こんな話をするのか、の背景 • JASMINE計画 • 日本のスペース位置天文計画(干渉計ではない) • nano JASMINE:口径5cm、位置精度~3masを目指す。全天サーベイ。zバンド。小型衛星(35kg)として来年打ち上げ。 • 小型JASMINE:口径30cm、位置精度10μasを目指す。バルジ方向数平方度を観測予定。Hバンド。400kgくらいの予定。現在衛星開発の予算獲得のため、計画白書を作成しようとしているところ。 • JASMINE:最終目標。口径75cm、位置精度10μas。2020年代の実現を目指す。 • 小型JASMINEでできるコンパクト天体連星系のサイエンス • で何か良いアイデアないですか、と問い合わせ。 • ない、と即答するのもなんなので、ちょっと調べてみると、激変星やX線連星の軌道運動の見込み角とほぼコンパラの位置精度であることがわかった。 • 12/1のJASMINEサイエンスWSで議論(野上さん@京大) • 先行研究が当然あるだろう、と調べたらあった、のが今回の紹介論文。 • GAIA計画 • ESAのスペース位置天文計画 • 可視光全天サーベイ • JASMINEと同等かそれ以上の位置決定精度 • GAIAに対するJASMINEのアドバンテージ= 近赤外線でバルジの奥まで。

  5. ここから紹介論文の内容

  6. サンプル 条件:明るいこと。連星軌道の見込み角が大きいこと。軌道周期や距離などのパラメータ、特にが精度よく決まっていること。中性子星であることが確定していること(パルサーorバースター)。  →17個の HMXB。

  7. X Perで予想される位置の変化 連星運動まで含めた 全ての位置変化 固有運動 年周視差の項

  8. サンプルの角度と等級

  9. シミュレーション SIM Lite計画の目標仕様を使う。 既にシミュレーターが SIM Liteチームによって開発済み。 位置精度の「誤差」をシミュレートするのが目的。 →そこから連星パラメータの信頼区間を計算。最終的には中性子星質量の信頼区間を計算したい。

  10. 実際に設定したパラメータ 今回は既知連星系が目的なので、軌道周期、長半径は「既知」として、 他の連星パラメータをmodel fittingで推定する。

  11. Model fitting 天体までの距離、連星(ケプラー)運動、見込み角の関係 天球面上の位置変化 連星軌道を決めるパラメータ7つ :軌道周期 :軌道長半径(角度) :離心率 :軌道傾斜角 :軌道面内における近星点(periastron)の経度 :投影面内のnodeの位置角 : 近星点時刻 Thiele-Innes elements 離心率0の円軌道なら話はもっと簡単。

  12. シミュレーション結果

  13. 結論 • 数μasの位置精度があれば、いくつかのNSXBでは数%の精度でNS質量が決定する。 • NS以外にも、Cyg X-1, SS 433, 4U 1700-377 (2.4MoのNSという報告あり)、LS I+61 303, LS 5039は SIM Liteの精度ならコンパクト天体の質量が精度良く求まる可能性あり。 • ただし、a*sin(i)は別途測っておく必要あり。

  14. ここからオリジナルの補足

  15. 軌道運動の分解 典型的なCV,XRBでの例 • 10μasの位置決定精度なら分解できる? • Astrometric binaryになれば研究史上の「事件」 • 既知天体では軌道傾斜角が不定性なしに決定 • これまでは輝線幅や伴星の楕円変光のモデル計算から推定。 →降着円盤からの輝線の起源、ジェットと円盤は本当に垂直か?など検証 • 近赤外線域なら伴星が卓越 • 伴星がOB型のX線連星なら可視ー近赤外線域で伴星が卓越 • 伴星がGKM型のX線連星や激変星だと、8割以上は伴星からの光(e.g. Dhillon & Marsh 1995, MNRAS, 275, 89) • 可視光では降着円盤やホットスポット、白色矮星からの放射の寄与が比較的大きい。 • JASMINE向き?

  16. 問題点 • 9<H<11で観測可能な天体数が少ない 以下、いずれも全天で、 • CV:~10天体 (Ritter & Kolb catalog) • 伴星が低質量星のXRB:全滅 (Ritter & Kolb catalog) • 伴星が大質量星のXRB:~20天体(Catalogue of Galactic high-mass X-ray binaries) • 時間分解能&精度は足りるか? • 最短で、数時間の軌道周期を10分割するとして、数十分の時間ビンでの解析が可能か? • その場合の位置精度は? 精度的にはギリギリか。もう1ケタ精度が上がれば良いテーマ? • 中性子星+大質量連星は楕円軌道なので、パラメータが増えて難しいだろう。 • 激変星やブラックホールX線連星は円軌道なのでその辺りは楽か。 未知天体については? • 既知天体の観測可能数は少なくても、未知のCV,XRB候補天体、特に質量輸送開始前の天体が見つかる? • 連星進化の観点から面白いかも。 • CV,XRBだけではなく、食連星を含めた連星一般のテーマ? • 通常の proper motion + parallaxのモデルでfittingの後、残差が大きいものを連星候補と考えて周期解析 を行う?

  17. まとめ • JASMINEではちょっと無理かなあ、という印象が日に日に強く。。。 • 狭い観測領域と精度の両面で問題 • かといって未知天体はP,aの推定も含まれるので、より厳しいか。 • GAIA向きかなあ。 • コンパクト天体に限らず、「連星」一般なら可能性が膨らむかも。

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