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情報工学セミナー : 文献紹介 B. Reeves & C.Nass “The Media Equation” How people treat computers, televesion, and new media like real people and places, CSLI Publications, 1996. 塚原 渉. 関連キーワード. Anthropomorphism : 神人同形論 擬人化 ※ Social response Embodied conversational agents Affective computing Animism
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情報工学セミナー : 文献紹介B. Reeves & C.Nass “The Media Equation”How people treat computers, televesion, and new media like real people and places, CSLI Publications, 1996 塚原 渉 UU Seminar, 2006
関連キーワード • Anthropomorphism : 神人同形論 • 擬人化※ • Social response • Embodied conversational agents • Affective computing • Animism • Reciprocity • … ※Nass & Reevesは擬人化によらずMedia equationが起きると主張 勝手な擬人化の例 UU Seminar, 2006
なぜゼミにこの本? • 論文からの引用多 • ほんとに読んだ? • 廃れている? • 今や日本語版あり • 真面目に読んでなかった • 山っ気がある Suzuki, S. V., & Yamada, S. (2005). Social influence of overheard communication by life-like agents to a user.Proceedings of the International Symposium on Artificial Life and Robotics (AROB 10th '05), Beppu, Oita, Japan. UU Seminar, 2006
引用の例: 古典としてSuzuki, S. V., & Yamada, S. (2005). Social influence of overheard communication by life-like agents to a user. • PC内のセールスエージェントが • ユーザに直接(RC,12人) • 別のエージェントに(OC, 12人) 説明する • 立ち聞き状況(OC)の方が「買いたさ」が高かった(p<.01)。 →人間で「棒立ちのサクラ」が有効なのは当たり前 →このような研究スタイルは誰が確立? UU Seminar, 2006
論文からの引用多: 理解しないでもなんとなく使える(?)論文からの引用多: 理解しないでもなんとなく使える(?) 昔引用してしまった! やはりバカなのか orz UU Seminar, 2006
研究方法 • 社会的反応(挨拶、仲直り、説得、萌え、…)に関する知見を集める • 法則性のありそうなものを選ぶ(例: 「挨拶できる人が好まれる」 ) • 「人」をコンピュータまたはメディア(TV、映画)に置き換える • 2.の知見の根拠となる実験方法を調べる • ここでも、実験での「人」をコンピュータに置き換える(例: ユーザとコンピュータで問題を解く) • 2の実験と同じ基準で結果を解釈する • Media equationが成り立つかどうか検討する UU Seminar, 2006
検討対象(1) • マナー(礼儀正しさ) • 対人距離 • お世辞 • 批判・賞賛・自画自賛 • アニメキャラクターの性格 • 性格の一致(支配・服従) • 性格の真似 • 良いシーン、悪いシーン UU Seminar, 2006
検討対象(2) • ネガティブ・ポジティブ • メディア越しの刺激 • 「専門家」レッテル • チームメイト • ジェンダー • 声 • 情報源の評価 • 画面の大きさ • 画質 • 音質 • 同期(遅延) UU Seminar, 2006
検討対象(3) • 動き • シーンの切り替わり • カットの頻度 • サブリミナル UU Seminar, 2006
例1.自己評価を求めるコンピュータには高い評価を与える例1.自己評価を求めるコンピュータには高い評価を与える 仮説「人は自己評価を求めるコンピュータに対して本来の評価より高い評価を与える」 • 22名の学生 • 21インチ白黒モニター+テキスト+ボタンのみ • 画像、音声、アイコンなし • 20の豆知識→テスト→解答表示 • 解答表示の後、コンピュータは自分の性能について、よくやったと自己評価する。 • 半分に分かれ、 • 同じコンピュータで • 違う場所のコンピュータで コンピュータの性能を評価する UU Seminar, 2006
礼儀正しさ:結果 • 実験後インタビューでは全員が「コンピュータを気遣って評価を変えることはないし、これからもしないだろう」と答える • 同じコンピュータ上でtutoringについて評価させると、別コンピュータの条件に比べ • 講習は • よりfriendly • よりcompetent • 評価は • よりfriendly • よりcompetent • 以上の結果は • よりばらつきが少ない • さらに、追加で行った、別コンピュータの代わりに質問紙を使う実験では、上記結果を確認できた他、別コンピュータと質問紙の間に、有意差はなかった。 UU Seminar, 2006
例2.自画自賛PC v.s. 他PCを褒めるPC 仮説「他のコンピュータを褒めるコンピュータは自画自賛するコンピュータよりも好まれる」 • 44名の学生 • 「tutor PCの性能を評価したい、やりとりについてどう感じるか知りたい」と説明 • 講師PCで講習~音声つき • テストPCで12~15問テスト:別の音声つき • その後、教え方についての批評を • 講師PCがする • 評価PCがする「講習の知識はこの質問にうってつけでしたね。講師のコンピュータはすぐれていたようです。」 • アンケート(紙)で講師PCと評価PCの能力を形容詞で評価「適切」「分析的」「知的」「友好的」「正確」… UU Seminar, 2006
結果 • ユーザによる評価は、評価PCが出した褒め評価に影響される • 褒められた場合>批判された場合(p<.001) • 評価PCが講師PCを褒めた場合、講師PCが講師PCを褒める(=自画自賛)場合に比べ、 • 講師PCは高性能(p<.01)と評価される(図3) • PCによる評価は正確(p<.05)と評価される • PCによる評価は友好的(p<.01) と評価される(図2) • 批判する評価PCよりも褒める評価PCのほうが知的であると評価される(p<.03, 図3) UU Seminar, 2006
例3.コンピュータによるお世辞 B. J. FOGG and CLIFFORD NASS, Silicon sycophants: the effects of computers that flatter, International Journal of Human-Computer Studies, Volume 46, Issue 5, May 1997, Pages 551-561 • 41人の性別バランスされた学生 • ユーザの考えた動物をPCがあてる「20の質問」ゲームを12回(15分) 「その動物は卵を産みますか?」 • すべてテキストベース • PCが外したらユーザに質問を入力させる「その動物は袋を持っていますか?」 • ユーザが考えた新質問に対して「褒める」。その際、 • 根拠あり:事前に、他のユーザの質問事例から褒めるかどうかを計算している(実はウソ)と説明 • 根拠なし(お世辞):事前に、開発段階なので、ランダムに褒めコメントが出る(実はウソ)と説明 • なにも褒めない「次のゲームをスタート」メッセージのみ • その後質問紙で性能を評価 • 4ページの質問、10段階評価→インタラクションの印象、PCの印象など、6つの指標を抽出 UU Seminar, 2006
結果:お世辞は有効 • 自分の作った質問を良いと思う • お世辞を言うPCのほうがゲームが楽しい • 実験後インタビューで確認:お世辞には根拠がないと十分分かっている UU Seminar, 2006
例4: 支配的・服従的コンピュータ • 仮説 • 支配的性格人物→支配的表現PCを好む • 200人からアンケートにより24人の支配的人物、24人の服従的人物 • 砂漠生き残り課題 • 懐中電灯、ナイフ、地図、雨具、磁石、ガーゼ、塩、水、サバイバル本、酒、上着、鏡 • アンケート評価 • 「役に立つ」「好ましい」「鋭い」「楽しかった」「興味が持てた」…について聞く • コンピュータのタイプと振る舞い • 発話順番:コンピュータからアイテムリストアップ/ユーザからアイテムリストアップ • 口調: 断定口調/提案口調 • 自信度数値表示: コンピュータが伝える自信度が高/低 • 結果: 支配的人物は、支配的PCをより高く評価する • 結果から推測されるユーザインタフェース設計の指針(例) • 性格の一貫性 • 友好性(協調性)、支配性のバランスはタスクによる • ユーザ類型毎にあらかじめ4パターン用意しておく UU Seminar, 2006
検討対象(1) • マナー(礼儀正しさ): 評価を要求するコンピュータ • 目の前のPCが求める自己評価に対しては良い評価を下す • 対人距離: アップショットと注意・記憶・印象の強さ • アップになると印象が強まる • お世辞: 褒めるコンピュータ • お世辞を出力するコンピュータの評価は高い • 批判・賞賛・自画自賛: 自画自賛するコンピュータ • 自画自賛するコンピュータの評価は低い • アニメキャラクターの性格判断: 容易に可能 • 短時間で性格を推測する • 性格の一致(支配・服従): 自分に似たコンピュータ • 人は自分に似た性格の表現をするコンピュータを好む • 性格の真似: 性格を変えるコンピュータ • 人は操作の過程で性格を変化させるコンピュータを好む • 良いシーン、悪いシーン: 最初に判断、良=左半球、悪=右半球 • 人はメディアにおいて良い・悪いについてすぐに判断でき、脳の活動は現実世界の場合と同じになる UU Seminar, 2006
検討対象(2) • ネガティブ・ポジティブ: • ネガティブな画面ほど記憶に残りやすい • メディア越しの刺激: 感情価・覚醒度と記憶 • 現実と同様、感情価と覚醒度で整理でき、記憶と関連する • 「専門家」レッテル: ~専門TVと番組評価 • 専門TVと言うだけで信頼性が上がる • チームメイト: PCと「砂漠生き残り問題」を解く • チームとして宣言するとPCの評価が上がる • ジェンダー: 男声技術系コンピュータと女声恋愛知識コンピュータ • PCは、男声だと技術に強いと評価され、女声だと恋愛知識が豊富と評価される • 声: 複数の声を出すコンピュータとポライトネス • 複数の声を出すコンピュータの自己評価では、一つの声を出す場合に比べ「礼儀正しさ」の効果は見られない • 情報源の評価(16章、p.p.256): 講習を作ったプログラマか目の前のコンピュータか • プログラマが作ったと教示した場合よりも教示しない場合のほうが評価が高まる→礼儀正しさに関して、プログラマに対するより社会的に振舞う • SUNDAR and NASS Source Orientation in Human-Computer Interaction: Programmer, Networker, or Independent Social Actor Communication Research 2000 27 (6), p. 683 • 画面の大きさ: • 大きな表示画面では覚醒度上がる UU Seminar, 2006
検討対象(3) • 画質: 低画質・高画質と注意・記憶・評価 • 画質は無関係 • 音質: 高音質・低音質 • 音質によって提示内容に関する評価が変わる • 同期: 音声と画像、人物評価 • 遅延によって人物評価が下がる • 動き: 静止画と動画と脳電位 • 動画を挿入するだけで脳が活性化する • 動き: 静的、動的と人物評価の低下 • 動的場面の人物評価が高い • シーンの切り替わり: カットと脳電位 • カット部分で脳が活性化する • カットの量: MTVと注意の度合い • カットが多量にあると脳は活性化しなくなる • サブリミナル: 楽しげな顔(16.5ms)と人物評価 • 一瞬、楽しげな顔を提示し、その後に別の人物評価をさせると評価が上がる UU Seminar, 2006
まとめ、感想、疑問 • 人-人の間の社会的反応に関する知見が人-メディア間でも成り立つことを実験で検証した • なぜ、どのような仕組みで成り立っているかは問わない • 当たり前に思えることもかなりある(画面の大きさ、音質、サブリミナル) • 統一的研究方法、単純化された実験方法 • 強いインパクトを感じさせる • 内観の排除、内観と逆の結果 • 読み物としての面白さ UU Seminar, 2006
質問 • その後、彼らのUI設計の提案は検証されたのか? • 人による程度問題 • Ben Schneidermann は擬人化インタフェースが嫌い “Designing User Interface” • 擬人化インタフェースの必要性 • 擬人化されていなくとも社会的反応を返していた • 生得的か、環境依存か • 音声出力にタッチパネルで入力する世代 UU Seminar, 2006
参考資料 • B. Reeves & C.Nass , The Media Equation. How people treat computers, televesion, and new media like real people and places, CSLI Publications, 1996. • Suzuki, S. V., & Yamada, S. (2005). Social influence of overheard communication by life-like agents to a user.Proceedings of the International Symposium on Artificial Life and Robotics (AROB 10th '05), Beppu, Oita, Japan. • SUNDAR and NASS Source Orientation in Human-Computer Interaction: Programmer, Networker, or Independent Social Actor, Communication Research 2000 27 (6), p. 683-703 • C. Nass, J. Steuer, and E. R. Tauber, Computers are Social Actors, Human Factors in Computing Systems (CHI '94), pp.72-78 1994. • B. J. FOGG and CLIFFORD NASS, Silicon sycophants: the effects of computers that flatter, International Journal of Human-Computer Studies, Volume 46, Issue 5, May 1997, Pages 551-561. UU Seminar, 2006