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わが国企業および産業における IT 投資の効果発現メカニズムについて micro-macro linkages に関する日米比較

わが国企業および産業における IT 投資の効果発現メカニズムについて micro-macro linkages に関する日米比較. 実積 寿也(長崎大学) 三友 仁志(早稲田大学) 鬼木 甫 (大阪学院大学). 研究の背景. 米国における IT 生産性パラドクスの「発生」と「解消」 IT 投資の効果に関する研究は、米国において1970年代以降、労働生産性・総要素生産性( MFP) の成長が停滞した一方、増加が著しい IT 資本の経済成長への貢献が有意に計測できなかったことにはじまる。

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わが国企業および産業における IT 投資の効果発現メカニズムについて micro-macro linkages に関する日米比較

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  1. わが国企業および産業におけるIT投資の効果発現メカニズムについてmicro-macro linkagesに関する日米比較 実積 寿也(長崎大学) 三友 仁志(早稲田大学) 鬼木 甫 (大阪学院大学)

  2. 研究の背景 • 米国におけるIT生産性パラドクスの「発生」と「解消」 • IT投資の効果に関する研究は、米国において1970年代以降、労働生産性・総要素生産性(MFP)の成長が停滞した一方、増加が著しいIT資本の経済成長への貢献が有意に計測できなかったことにはじまる。 • You can see the computer age everywhere but in the productivity statistics. (Solow, 1987) • その後、1990年代後半より、労働生産性、多要素生産性が急激に改善されつつあり、IT生産性パラドクスの存否にかかわる議論は下火に。 • 他方、わが国では、IT投資自体は積極的に進められてはきたものの、米国に見られたような労働生産性の急改善等は観察されず、米国とは対照的に依然としてIT生産性パラドクスの下にあると解釈できる状況がある。 Jitsuzumi, T., Mitomo, H. and Oniki, H., 2001.

  3. The orthogonal componentsare the residuals obtained by separately regressing the average GDP per worker and the average IT capital per worker against two control variables (non-IT capital per worker and the number of workers). IT投資経済効果の格差(Dewan & Kraemer 2000) Jitsuzumi, T., Mitomo, H. and Oniki, H., 2001.

  4. プロジェクトの目的 • 個別企業のIT化がミクロ的効果を生み、さらに集約されてマクロ経済指標にインパクトを及ぼすメカニズム(micro-macro linkages)の解明 • 「生産性パラドクスを克服した後、生産性向上を謳歌している米国企業・経済のシナリオは、わが国においても成り立つのか? あるいはわが国では別のシナリオが成立するのか?」 • 特に今回の報告に係る目的は以下の2点 • プロジェクトの準拠する分析フレームワークの紹介 • Micro-macro linkagesを左右する制約要因の指摘 • 制約要因に関する日米対照 • わが国企業を対象とした実証分析の結果の提示 Jitsuzumi, T., Mitomo, H. and Oniki, H., 2001.

  5. 本報告の結論:実証分析から得られた知見 • IT投資はわが国においても生産に対してプラスの貢献をしている。 • IT投資の効果がそのコストを上回っているか否かは不明 • IT化を順調に進めるための周辺環境整備施策が所期の効果を挙げていない。 • IT化を順調に進めるためには、企業・産業の行動パターン自体を変える必要がある。 • IT投資は企業の収益性に有意な影響を与えていない。 • IT投資の果実は競争メカニズムを通じて消費者にきちんと還元されている可能性がある。 • 日米の産業構造の差が、両国のIT投資のマクロ経済への顕われ方に影響している可能性がある。 Jitsuzumi, T., Mitomo, H. and Oniki, H., 2001.

  6. IT化投資 IT化が経済に及ぼす影響 情報通信技術(IT)の進歩 メトカーフの法則:ネットワーク化されたコンピュータは接続台数の二乗に応じた能力を発揮する。 ムーアの法則:コンピュータチップの集積度は18ヶ月で2倍 ドッグイヤー、マウスイヤー IT供給産業 経済の拡大 IT利用産業 生産拡大による経済規模の拡大 IT機器製造業 通信事業者 コンテンツ製造者 効率化・コスト削減・生産性向上 新商品・新サービスの提供 既存商品の高品質化・低価格化 消費者ニーズへの対応 ビジネスモデルの転換 生産性向上による一人当たりの所得の増加 IT機器 産業構造の転換 生産性向上 製品の高性能化 低価格化 IT供給産業の拡大 IT化への対応に成功した産業のシェア拡大 IT消費 新商品   新サービス 非IT消費 IT化への対応に失敗した産業の衰退 IT消費財 消費者 雇用構造の転換 個人の情報武装 需要の高度化・多様化 Prosumer化 生産性向上による雇用削減 生産拡大による雇用増大 IT関連職種の拡大 IT非関連職種の縮小 Jitsuzumi, T., Mitomo, H. and Oniki, H., 2001.

  7. 経済メカニズムのIT化 情報通信技術(IT)の進歩 メトカーフの法則:ネットワーク化されたコンピュータは接続台数の二条に応じた能力を発揮する。 ムーアの法則:コンピュータチップの集積度は18ヶ月で2倍 ドッグイヤー、マウスイヤー 経済の拡大 IT供給産業 IT利用産業 生産拡大による経済規模の拡大 IT機器製造業 通信事業者 コンテンツ製造者 効率化・コスト削減・生産性向上 新商品・新サービスの提供 既存商品の高品質化・低価格化 消費者ニーズへの対応 ビジネスモデルの転換 生産性向上による一人当たりの所得の増加 生産拡大 産業構造の転換 IT化投資 生産性向上 製品の高性能化 低価格化 IT供給産業の拡大 IT化への対応に成功した産業のシェア拡大 IT消費 非IT消費 生産拡大 IT化への対応に失敗した産業の衰退 生産拡大 消費者 雇用構造の転換 高度情報通信ネットワーク社会 個人の情報武装 需要の高度化・多様化 Prosumer化 生産性向上による雇用削減 インターネットその他の高度情報通信ネットワークを通じて自由かつ安全に多様な情報又は知識を世界的規模で入手し、共有し、又は発信することにより、あらゆる分野における創造的かつ活力ある発展が可能になる社会 生産拡大による雇用増大 IT関連職種の拡大 IT非関連職種の縮小 IT化が社会に及ぼす影響 IT投資 政治・社会メカニズムのIT化 社会のあらゆる局面におけるIT化 公的サービス:   社会福祉、老人介護、電子政府  教育:遠隔教育、インターネット大学  医療:遠隔医療  政治メカニズム:選挙、国民投票 Jitsuzumi, T., Mitomo, H. and Oniki, H., 2001.

  8. 企業内のIT投資効果発現経路 [Micro-level Mechanism] Micro-level Mechanismの制約要因 IT投資の潜在能力:  技術自体の価値  投資目的   e.g.広告・宣伝目的では、マクロ効果は見込めない Conversion Effectiveness(企業内の環境整備) IT化は個人の情報処理能力の向上とともに、協同作  業の効率性を著しく向上させるため、新たなビジネス  モデル、組織形態を要求する。 IT投資の実施 投資効果の発現 (Product/Process Innovation) 生産性・収益性の向上、環境負荷の軽減 Macro-level Mechanismの制約要因 産業内/間の競争環境: IT化に先行した企業のレントの持続可能性を左右 e.g.参入障壁の大きさ、知的財産権の保護の程度 産業構造:  生産物の品質向上・価格低下による波及効果  特定産業の生産性改善による中間投入物の増大  ネットワーク外部性、環境負荷軽減等の外部経済 産業・経済レベルのIT投資効果発現経路 [Macro-level Mechanism] 競争、Value-chain等を通じた効果波及 経済全体の生産性の向上、環境負荷の軽減 経済環境の変化 IT投資による経済効果の波及経路(micro-macro linkage)とその制約要因 今回前提としている因果関係 IT投資決定モデルの内生化 Jitsuzumi, T., Mitomo, H. and Oniki, H., 2001.

  9. 米国における先行研究の成果 日米格差の存在(当初の想定) IT投資の潜在能力 IT資本の付加価値弾力性、Gross Marginal Productは有意にプラス。Net Returnについてもプラスであると推定される。 (Hitt & Brynjolfsson 1996) IT技術の技術伝播は急速かつ普遍的であり、日米格差は存在しない。 従って、IT資本は生産に対して同程度のプラスの貢献をしている。 Conversion Effectiveness IT投資、労働者の高技能化、企業組織変革(権限委譲、チーム活動)の間には正の補完性がある。 (Bresnahan et al. 1999) IT化に伴う企業内環境の整備は、経営方針・企業文化と密接に関連している。従って、最適施策の選択については日米格差は存在する。 競争環境 IT投資は個別企業の収益性に有意な効果をもたず、その代わりに大きな消費者余剰を生み出している。(⇒充分な競争環境下にあることを示唆) (Hitt & Brynjolfsson 1996) 法的規制の格差は消失しつつあるが、一部産業では業界自主規制など実効的な参入障壁の格差は残存。わが国の企業はIT投資に由来するレントを長期的に享受しうる可能性がある。 産業構造 Domar Weightによる分析がある。 日米の産業構造は明らかに同一ではない。 制約要因に関する日米格差の存在 Jitsuzumi, T., Mitomo, H. and Oniki, H., 2001.

  10. 本邦企業のIT投資に係るデータを収集し、米国先行研究との比較を行う。本邦企業のIT投資に係るデータを収集し、米国先行研究との比較を行う。 分析に使用するデータセットについては、以下の二種類の収集方法で得られたデータを統合。 アンケート調査 本邦上場企業の全社を対象に2000年1月に実施 有効回答数 195社(回収率6%) 回答企業の産業別構成は統計的に見て母集団に概ね一致(χ2検定) 従業員規模についても母集団と一致 財務データ 財団法人日本経済研究所発行のCD-ROM所収の財務諸表データ 1996~98年度までの3年度分のデータを各種デフレーターにより実質化して利用 わが国企業を対象とした実証分析 Jitsuzumi, T., Mitomo, H. and Oniki, H., 2001.

  11. アンケートにみられるわが国企業のIT化の現状1アンケートにみられるわが国企業のIT化の現状1 • ネットワーク化率は既存パソコンの79%、1998年度導入のパソコンのみを対象とすると88%に達している。 • 情報化投資の目的は既存のビジネススタイルを前提とした業務効率化が主流で、新規事業の創出を主目的とした企業は少ない。 Jitsuzumi, T., Mitomo, H. and Oniki, H., 2001.

  12. アンケートにみられるわが国企業のIT化の現状2アンケートにみられるわが国企業のIT化の現状2 • IT投資は企業の情報処理能力の向上を通じて、業務効率化に貢献しているが、財務的なインパクトを産む段階には至っていない。 Jitsuzumi, T., Mitomo, H. and Oniki, H., 2001.

  13. アンケートにみられるわが国企業のIT化の現状3アンケートにみられるわが国企業のIT化の現状3 • 環境改善を目的としてIT投資を決定した企業は14%弱であるが、多くの企業においてIT投資の環境効果を認知している。 Jitsuzumi, T., Mitomo, H. and Oniki, H., 2001.

  14. 仮説1 「わが国のIT投資は、個別企業の生産に対してプラスの貢献をしている。」 Y:生産高(売上高) L: 労働投入量 X: 中間投入 Ko:非IT資本 Ki: IT資本 S:産業セクター 分析仮説と検定モデル Jitsuzumi, T., Mitomo, H. and Oniki, H., 2001.

  15. 仮説2 「IT投資に伴って実施されるビジネス環境整備は所期の効果を生んでいる。」 Di:考慮したビジネス環境整備施策 勤務形態の変更 組織形態の変更 企業形態の変更 パートタイム労働力の重用 アウトソーシング化 X:複数生産物ベクトル 生産高(売上高)、質的効果指数 自然環境効果指数、IT効果指数 Y:生産要素ベクトル 労働投入、中間投入、総資産 IT化インデックス 分析仮説と検定モデル 単一生産物モデルのパラメトリック検定 (最小二乗法によって得られたパラメーターに対するt検定) 複数生産物モデルのノンパラメトリック検定 (Data Envelopment Analysisによって導出される効率値を用いた順位和検定) Jitsuzumi, T., Mitomo, H. and Oniki, H., 2001.

  16. 仮説3 「IT投資は収益性の改善に貢献している(超過利潤を生み出している)。」 π: ROAあるいはROE IT: IT化インデックス Ki/L :一人当たりIT資本 SG:売上高伸び率 CI:労働装備率 分析仮説と検定モデル Jitsuzumi, T., Mitomo, H. and Oniki, H., 2001.

  17. 仮説1に関する推計結果 • IT資本の限界生産力をあらわすパラメーター(β4)については統計的に有意な正の値を安定的に得ている。(有意水準5%) • モデル1-1~1-8は、資本データの算出方法の違い及び産業セクターの差に由来するクロスセクションの影響の取り扱い方法によって区別されている。 • **:有意水準 5%、*: 有意水準 10% Jitsuzumi, T., Mitomo, H. and Oniki, H., 2001.

  18. 仮説1の検定結果についての考察 • わが国企業においても、米国企業と同様、IT投資が生産にプラスに貢献。 • 投資対象となるIT技術の潜在能力に日米格差が存在すれば、両国のマクロ的状況への波及効果が異なるのは当然。 • しかしながら、情報通信ネットワークを介することで誰でもどこからでも最先端の技術情報にアクセスすることが可能で、しかもIT関連財の大部分が電子商取引形式で入手可能であるという現状では、IT投資の潜在能力自体に日米格差があることを想定することは困難であったが、ここで得られた検定結果はこの当初の予想と整合的。 • 今回の推計では、IT投資に係るコストを得ることが困難であったためNet Marginal Productの推計には至っていないが、合理的な企業、自由な資本市場の存在という前提条件の下、日米企業のIT投資は、同水準のNet Returnを生むことが期待できる。 Jitsuzumi, T., Mitomo, H. and Oniki, H., 2001.

  19. 仮説2に関する推計結果(単一生産物モデル)仮説2に関する推計結果(単一生産物モデル) • ビジネス環境整備施策は企業の生産に対する所期の効果を生んでいない。 • 施策相互間には負の補完性が観察される場合がある。 • 施策によっては、IT化の効果発揮を妨げているように解釈可能な結果も存在する。 • ±0=すべての推定結果においてパラメータは有意には0と異ならない。 • Negative#1=すべての推定結果においてパラメータは負。 • Negative#2=8分の3の推定結果においてパラメータは負。残余の推定結果は有意でない。 • Positive#1=8分の1の推定結果においてパラメータは正。残余の推定結果は有意でない。 • Positive=すべての推定結果においてパラメータは正。 Jitsuzumi, T., Mitomo, H. and Oniki, H., 2001.

  20. 仮説2に関する推計結果(複数生産物モデル)仮説2に関する推計結果(複数生産物モデル) • 単一生産物モデルの結果は、複数生産物モデルにおいても維持されている。 • **:有意水準 5% • *: 有意水準 10% Jitsuzumi, T., Mitomo, H. and Oniki, H., 2001.

  21. 仮説2の検定結果についての考察 • わが国では各ビジネス環境整備施策は所期の効果を生んでおらず、米国企業のケースとは対照的。 • 今回分析したビジネス環境整備施策は恣意的に選択されたものであることに留意すべきであり、補完性の有無について確定的な議論を行うためには、企業が選択する可能性のある施策を悉皆調査することが必要。 • 但し、これら施策は企業体質改善策の代表例であり、それらが所期の効果を生んでおらず、負の補完性が観察されるケースさえ存在することは実務上大きな問題。これは施策自体に問題があるのではなく、本邦企業の体質そのものに問題がある可能性がある。 • 仮説2を巡る分析結果からは、わが国企業におけるIT化はその導入過程の状況(conversion effectiveness)に問題があることが強く示され、ミクロレベルにおける「経営ミス説」が少なくとも今回のサンプル企業の間においては広く成立している可能性が示された。 Jitsuzumi, T., Mitomo, H. and Oniki, H., 2001.

  22. 仮説3に関する推計結果 • IT資本と収益性の間には有意な関係が存在しない。(有意水準5%) • モデル3-1~3-4、3-5~3-8は、資本データの算出方法の違いによって区別されている。 • **:有意水準 5%、*: 有意水準 10% Jitsuzumi, T., Mitomo, H. and Oniki, H., 2001.

  23. 仮説3の検定結果についての考察 • 仮説1の結果を合わせて考えると、わが国のIT化は、新製品の開発や既存製品の改善による企業のレント拡大を引き起こしているのではなく、既存製品の生産プロセスの合理化に主として用いられ、その結果、生産物価格が下落し、消費者余剰の増大という形でマクロ経済に貢献しているという姿が示唆される。 • あるいは、この結果は、IT投資が金銭的な効果を生むためにはある程度の時間がかかるということを意味している可能性もある。 • 米国の先行研究においてIT投資が効果を発揮するためにはビジネス環境を整える必要があることが示されているが、そういったビジネス環境を整えることは、長年培ってきた企業慣行を転換するという点で大きなエネルギーを必要とするため、実現には長い時間がかかることが予想される。 • これら二つの解釈のいずれが正しいかを明らかにするためには、クロスセクションデータではなく、各企業のパフォーマンスを継続的に観察することによってパネルデータを構築し、分析に供することが必要である。 Jitsuzumi, T., Mitomo, H. and Oniki, H., 2001.

  24. 日米のDomar weight • Domar weight(産業のGrossアウトプットと経済全体の付加価値生産額合計の比率)は、各産業の総要素生産性成長の経済全体への貢献度を示す。 • 他産業との中間財取引が多い(すなわちDomar weightの高い)産業における生産性上昇は経済全体に与える波及効果が大きい。 Jitsuzumi, T., Mitomo, H. and Oniki, H., 2001.

  25. Domar weightによる産業構造の比較 • IT化の進展によるミクロレベルでの効果が日米両国では実質的には同程度だった場合でも、マクロ経済指標に与えるインパクトは米国優位として観察される可能性が示されている。 • IT投資によるマクロ経済の成長を国際比較として分析するためには、Jorgenson & Stiroh (2000a, 2000b)も指摘しているように、少なくとも産業毎の比較分析としてモデルを構築する必要がある。 Jitsuzumi, T., Mitomo, H. and Oniki, H., 2001.

  26. 本報告の結論:実証分析から得られた知見(再掲)本報告の結論:実証分析から得られた知見(再掲) • IT投資はわが国においても生産に対してプラスの貢献をしている。 • IT投資の効果がそのコストを上回っているか否かは不明 • IT化を順調に進めるための周辺環境整備施策が所期の効果を挙げていない。 • IT化を順調に進めるためには、企業・産業の行動パターン自体を変える必要がある。 • IT投資は企業の収益性に有意な影響を与えていない。 • IT投資の果実は競争メカニズムを通じて消費者にきちんと還元されている可能性がある。 • 日米の産業構造の差が、両国のIT投資のマクロ経済への顕われ方に影響している可能性がある。 Jitsuzumi, T., Mitomo, H. and Oniki, H., 2001.

  27. 今後の主要研究課題 • 企業内の意思決定行動の分析を通じた日本型シナリオの探求 • わが国企業のIT投資にまつわるconversion effectivenessの改善方策 • 米国では効果的とされた施策がわが国で有効ではない理由は何か? • 時系列的な観点の導入 • あらゆる技術にはインキュベーション期間が必要。 • 企業の行動パターンが変わるためにも時間が必要。 • 因果関係テストの実施 • データの精緻化 • IT資産に係るコストの推定 • 日米比較のみならず、第三国との比較も必要 • IT化が所期の効果を生むか否かは企業文化・労働慣行により大きく左右される。 • 米国型モデルが唯一の解答ではない(日本に関しては最適解ではない)。 Jitsuzumi, T., Mitomo, H. and Oniki, H., 2001.

  28. Bresnahan, T.F., Brynjolfsson, E., and Hitt, L.M. 1999. Information Technology, Workplace Organization, and the Demand for Skilled Labor: Firm-Level Evidence. NBER Working Paper Series, No.7136. Cooper, W.W., Seiford, L.M., and Tone, K. 1999. Data Envelopment Analysis: A Comprehensive Text with Models, Applications, References and DEA-Solver Software, Kluwer Academic Publishers, Boston, MA. Dewan, S. and Kraemer, K.L. 2000. Information Technology and Productivity: Evidence from Country-Level Data. Management Science, 46(4), 548-562. Domar, E.D. 1961. On the Measurement of Technological Change, Economic Journal, 71(284), 709-729. Hitt, L.M. and Brynjolfsson, E. 1996. Productivity, Business Profitability, and Consumer Surplus: Three Different Measures of Information Technology Value. MIS Quarterly, 20(2), 121-142. Jitsuzumi, T., Mitomo, H., and Oniki, H. 2001. ICTs and Sustainability: the Managerial and Environmental Impact in Japan. Foresight, 3(2), 103-112. Jorgenson, D.W. and Stiroh, K.J. 2000a. Raising the Speed Limit: U.S. Economic Growth in the Information Age. Brookings Papers on Economic Activity, 0(1), 125-211. Jorgenson, D.W. and Stiroh, K.J. 2000b. U.S. Economic Growth at the Industry Level. American Economic Review, 90(2), 161-167. 三友仁志・実積寿也・鬼木甫 2001. 「情報通信技術によるSustainable Societyの実現可能性とわが国における情報化投資の現状」『平成12年度情報通信学会年報』 1-14. Solow, R.M. 1987. We’d Better Watch Out. New York Times Book Review, July 12, 36. 主要参考文献 Jitsuzumi, T., Mitomo, H. and Oniki, H., 2001.

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