救急室における外科的気道確保：救急気道管理に関する多施設前向き観察研究 (JEAN study)

救急室における外科的気道確保：救急気道管理に関する多施設前向き観察研究(JEAN study) on behalf of the JEMRA investigators 沖縄県立中部病院　救急科中山由紀子

第39回日本救急医学会総会・学術集会ＣＯＩ 開示筆頭発表者名: 中山由紀子演題発表に関連し、開示すべきCO I 関係にある　企業などはありません研究助成金 • St. Luke’s Life Science Institute Grant (Hasegawa K.) • Richard Wuerz Clinical Research Grant from Harvard Medical School (Hasegawa K.)

背景・目的 我が国における救急医学の専門分野としての認識が高まるにつれ、救急医による気道管理の重要性が増している。しかし、我が国のERでの緊急気道確保に関する研究はほとんど存在しない。従って今回、ERにおける外科的気道管理の実態を明らかにする。

Measurements 期間：2010年3月 –から2011年8月の18ヶ月間対象：救急11施設に来院した全ての患者でERにて気管挿管をされた症例を前向きに蓄積。　　　　そのうち、外科的気道管理をされた症例　　　　について検討した。

結果研究機関：18ヶ月外科的気道確保をされた患者：23例(0.84%) 気道確保不成功：0例 JEANデータベース：2710例 (回収率 97.6%).

適応外因性適応 13例(2.8%) N=464 内因性適応 10例(0.4%) N=2246

内因性・外因性適応のうちわけ

外科的気道確保を選択するまでの気道確保 試行回数気道閉塞頭頚部外傷症例数内因性CPA 気道熱傷外傷CPA 意識障害

外科的気道確保以前の気道確保における薬剤使用外科的気道確保以前の気道確保における薬剤使用鎮静薬＋筋弛緩薬(RSI)を使用した例の緊急気道確保の適応は気道熱傷であった。

外科的気道確保以前の気道確保における挿管器具外科的気道確保以前の気道確保における挿管器具 21例症例数 1例 1例 χ2乗検定χ2=2.66201、p=0.10277 有意差なし

外科的気道確保による合併症 23例中5例で記録された。ただし出血については、どれくらいの出血だったかは記録なし。症例数

結論 • 初回に外科的気道確保を選択する割合はこれまでの北米の研究(NEAR )1.1%と近いものであった。 • 内因性適応と比較し、外傷性適応による外科的気道確保のほうが多かった。(χ2乗検定χ2=25.377、p<0.0001) • 半数以上で外科的気道確保の前に経口気管挿管が試されていたが、ビデオ喉頭鏡のある施設と無い施設で、外科的気道確保に有意差は無かった。（χ2乗検定χ2=2.66201、p=0.10277）

謝辞 The authors acknowledge the following research personnel at the study sites: • 福井大学病院 (森田浩史,永井秀哉) • 福井県立病院 (東秀律,加藤之紀) • 日本赤十字社和歌山医療センター (岡本洋史) • 亀田総合病院 (田中研三) • 国立国際医療研究センター (中尾俊一郎,阪本太吾) • 名古屋掖済会病院　(坪井重樹 ) • 新潟市民病院 (佐藤信宏) • 公立小浜病院 (千葉拓世) • 沖縄県立中部病院 (大久保雅史) • 大阪済生会千里病院 (重光胤明) • 湘南鎌倉総合病院 (大渕尚 ,今村太一) We are grateful to our many emergency physicians and residents for their perseverance in pursuing new knowledge about this vital resuscitative procedure

救急室における外科的気道確保：救急気道管理に関する多施設前向き観察研究 (JEAN study)