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ペニングイオン化によって生成した ClCN + イオンの A 2 S + - X 2 P i 電子遷移の 高分解能フーリエ変換発光分光. High resolution Fourier transform emission spectroscopy of the A 2 Σ + - X 2 Π i electronic transition of the ClCN + ion produced by Penning ionization. 量子化学 佐藤徹典. Introduction (分子イオン). プロトネィテッドイオン、 ラジカルイオン. 分子イオン.
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ペニングイオン化によって生成したClCN+イオンのA2S+-X2Pi電子遷移の高分解能フーリエ変換発光分光ペニングイオン化によって生成したClCN+イオンのA2S+-X2Pi電子遷移の高分解能フーリエ変換発光分光 High resolution Fourier transform emission spectroscopy of the A2Σ+-X2Πi electronic transition of the ClCN+ ion produced by Penning ionization. 量子化学 佐藤徹典
Introduction(分子イオン) プロトネィテッドイオン、 ラジカルイオン 分子イオン ・炎 ・プラズマ ・大気 ・彗星 ・星間空間 反応中間体 CO+, H3+, HCO+ H3O+, H2CN+ の中に存在する 星間分子 C4H-, C6H-, C8H- 星間空間での反応 極低温での反応 (数K) 活性化エネルギーの低い イオン分子反応が重要 反応過程の理解 多原子分子イオンの分光研究が重要
Introduction(分子イオンの分光) Photoelectron spectroscopy MPI or REMPI + LIF Cavity ringdown Laser spectroscopy Matrix isolation spectroscopy present work 発光分光 フーリエ変換分光 広い波長領域を 同時に測定できる 高分解能での測定 高感度の分光 赤外線~可視光~紫外線 10~45000 cm-1
Introduction(XCN+イオン) XCN+イオン(X = Cl , Br , I ) ・直線型のラジカルカチオン ・不対電子と正電荷をもつ 高い反応性を持つ 反応中間体 W=1/2 ・ClCN分子 X1S |A| : スピン軌道相互作用定数 ・ClCN+イオン X2Pi 電子基底状態 A2S+ W=3/2 第一電子励起状態 ・Renner-Teller効果(振電相互作用) k2S 2D3/2 変角振動の励起状態では エネルギー準位がさらに分裂する スピン軌道相互作用 + Renner-Teller効果 |A| Renner-Teller効果の詳細な研究 NH2, NCO, N2O+ BrCN+, ICN+ 2D5/2 m2S
ClCN分子の電子配置 2s 1s 5s 3s 5s 3p 4s 1p 1p 4s 3s 2p 2p Cl C N 4s Cl C N 3s Cl ClCN CN
ClCN+イオンの電子配置 5s 2s 1s 3s 5s 3p 1p 1p 4s 3s X2Pi 2p A2S+ 2p 4s Cl C N 4s Cl C N 3s ClCN+ Cl CN
cm-1 ClCN+の振電バンドの観測 J.Fulara, J.P.Maier, J.P.C. 89,4213(1985) 11690 ・ClCN+の生成:超音速フリージェット法 +電子衝撃法 ・低分解能での発光分光 A2S+ n1 : C-N伸縮振動 n2 : 変角振動 n3 : C-Cl伸縮振動 (000)-(000) W=3/2 W=1/2 276 X2P1/2 (001)-(001) |A|=276cm-1 (001)-(001) A (000)-(000) (010)-(010) 0 (010)-(010) X2P3/2 276cm-1 A:スピン軌道相互作用定数 A(cm-1) ClCN+-276 BrCN+-1477 ICN+-4343 〔cm-1〕 11400 11800 11600 Renner-Teller効果で分裂している
ClCN+イオンのエネルギー準位 (001) (010) A2S+ (000) k2S W=1/2 2D3/2 W=1/2 (001) (010) 2r (000) X2Pi |A| W=3/2 2D5/2 W=3/2 m2S
ペニングイオン化反応 He原子の準安定状態によるイオン化反応 反応: • ClCN + He*(23S) • (ClCN+)* + He (11S) + e- I. P. 12.34eV t =20msec. 20.61eV 二重禁制 (ClCN+)*→ClCN+ + h t ~150min. 19.81eV 反応に使うエネルギーは一定 : 放電と比べて選択的な反応 He原子の電子エネルギー準位
Experimental He 2~2.5Torr 検出器 :光電子増倍管 交流放電 (37 mA, 62 kHz) 測定範囲 : 11000~17000cm-1 波数分解能 : 0.02cm-1 積算時間 : 90.5時間 石英レンズ (f=201mm) 鏡 フーリエ変換分光器 (Bruker IFS 120HR) ClCN 微量 PMT He* 鏡 ClCN+ 石英レンズ (f=42mm) ポンプ
観測されたスペクトル n1:C-N伸縮振動 n2:変角振動 n3:C-Cl伸縮振動 A2S+ (n1 n2 n3) W=3/2 (000)-(000) X2P1/2 |A| (001)-(001) (010)-(010) X2P3/2 m2S 2D5/2 [cm-1] 11600 11700 11800 11900 W=1/2 (000)-(000) (010)-(010) (001)-(001) k2S 2D3/2 [cm-1] 11300 11400 11500 11600
ClCN+のA2S+(000)→X2P3/2(000)電子遷移 J=30.5 →29.5 R1 R21 P1 J=30.5 →29.5 Q1 J=20.5 →19.5 Q21 J=29.5 →30.5 J=19.5 →20.5 J=9.5 →10.5 J=11.5 →11.5 J=1.5 →1.5 J=20.5 →20.5 11670 11680 11690 11700 11710 [cm-1]
ClCN+のA2S+(000)→X2Pi(000)電子遷移 N J A2S+ 3 7/2(F1) - - 5/2(F2) 2 - 3/2(F1) 1 - 1/2(F2) 0 R2 Q2 1/2(F1) + P2 P12 5/2(F1) R12 Q12 + R1 Q1 P1 - 3/2(F2) + + R21 Q21 P21 + - J J - - + 9/2 7/2 + - 7/2 + + - - 5/2 5/2 + X2P1/2(F2) - 3/2 + 3/2 X2P3/2(F1) 1/2
ClCN+のA2S+(000)→X2P1/2(000)電子遷移 P12 Q2 J=30.5 →30.5 J=20.5 →20.5 J=29.5 →30.5 J=19.5 →20.5 J=30.5 →31.5 R2 11400 11410 11420 11430 [cm-1]
ClCN+イオン分子定数 ・スピン軌道相互作用定数 ・核間距離(rCN=1.1606 Å(Fix)) A = T01/2-T03/2 = -274.583(22) [cm-1] X2Pi rCCl=1.5941Å ・スピン軌道相互作用の影響を受けていない X2Pi 状態の回転定数 B3/2+B1/2 A2S+ rCCl=1.5807Å B(000) = = 0.205217(35) [cm-1] 2
回転定数Bの考察 2p [cm-1] X C N X2Pi状態の方が Bが小さい A2S+、X2Pi状態の Bが同じ X2Pi状態の方が Bが大きい 2p軌道の電子はほとんどが Cl上だけでなくCN上にも存在している 2p軌道の電子はほとんどが Br, I 上に存在している Cl-C間の反結合が弱くなる C-N間の結合が弱くなる Cl-C間の反結合が弱くなる
結論 ・A2S+-X2Pi電子遷移のW=1/2、3/2それぞれについて (000)-(000)、(010)-(010)、(001)-(001)の振電バンドを観測した。 ・Renner-Teller効果に関しての情報を与える(010)-(010)バンドの k2S、2D3/2、2D5/2、m2Sのスペクトルを観測した。 ・ W=3/2 、1/2のA2S+-X2Pi電子遷移オリジンバンドを解析し A2S+(000)、 X2P3/2(000)、 X2P1/2(000)状態の 分子定数を決定した。 ・X2Pi状態のBがA2S+ 状態のBより小さくなっていることから ClCN+イオンでは2p軌道の電子は CN上にも存在していることがわかった。
変角振動の励起によって生じる振電相互作用 Renner-Teller効果 V V- V0 V+ k2S (2r)2 = A2+4e2w22 2D3/2 e:Renner パラメータ 2r |A| dr A:スピン軌道相互作用定数 2D5/2 w2:変角振動の振動数 m2S
Renner-Teller分裂 ~ ~ ・A = -271.8 [cm-1] k2S ・2r = 295.1 [cm-1] 積算を重ねて 回転状態の解析をしなければ Renner-Teller効果に関する 定数を決定できない 2D3/2 (2r)2 = A2+4e2w22 X2Pi(010) 2r |A| e = -0.18 2D5/2 ICN BrCN e -0.1966 -0.1853 m2S k2S 295.1 2D5/2 2D3/2 m2S 271.8 11540 11560 11580 11820 11840 11860 [cm-1]
結論 ・A2S+-X2Pi電子遷移のW=1/2、3/2それぞれについて (000)-(000)、(010)-(010)、(001)-(001)の振電バンドを観測した。 ・Renner-Teller効果に関しての情報を与える(010)-(010)バンドの k2S、2D3/2、2D5/2、m2Sのスペクトルを観測した。 ・ W=3/2 、1/2のA2S+-X2Pi電子遷移オリジンバンドを解析し A2S+(000)、 X2P3/2(000)、 X2P1/2(000)状態の 分子定数を決定した。 ・A2S+状態のBがX2Pi状態のBより大きくなっていることから ClCN+イオンでは2p軌道の電子は CN上にも存在していることがわかった。 ・(010)-(010)バンドのk2S、2D3/2、2D5/2、m2Sのスペクトルから Rennerパラメーターの値を e = -0.18と見積もった。 今後の課題 ・さらに積算を重ねてRenner-Teller効果に関しての情報をもつ (010)-(010)バンドの解析を行い、 Renner-Teller効果の定数を決定する。