510 likes | 792 Views
オルソポジトロニウムの 寿命測定による QED の実験的検証. 課題演習 A2, 2013 年度後期 角田峻太郎 徳宿邦夫 中谷侑司 福島由章 古川雅博. 第 1 章 序論. 目的. オルソポジトロ二ウムの寿命を測定し,その測定値を QED( 量子電磁気学 ) によって求められた理論値と比較・考察する.. 第 2 章 理論. Positronium. Electron と positron が電気的な相互作用で束縛された状態のこと. 対消滅により γ 線を放出する.. Positronium の崩壊. スピン状態によって崩壊過程が異なる.
E N D
オルソポジトロニウムの寿命測定によるQEDの実験的検証オルソポジトロニウムの寿命測定によるQEDの実験的検証 課題演習A2, 2013年度後期 角田峻太郎 徳宿邦夫 中谷侑司 福島由章 古川雅博
目的 オルソポジトロ二ウムの寿命を測定し,その測定値をQED(量子電磁気学)によって求められた理論値と比較・考察する.
Positronium • Electronとpositronが電気的な相互作用で束縛された状態のこと. • 対消滅によりγ線を放出する.
Positroniumの崩壊 スピン状態によって崩壊過程が異なる. • p-Ps(singlet) 偶数光子に崩壊(主に2光子に崩壊) 寿命の理論値:1.25×10-10[sec] • o-Ps(triplet) 3つ以上の奇数光子に崩壊(主に3光子に崩壊) 寿命の理論値:1.39×10-7[sec]
実験原理 22Na線源のβ+崩壊による陽電子放射 シリカパウダー(SiO2)内で電子をcapture ポジトロニウム生成 ポジトロニウムの 寿命測定 ポジトロニウム崩壊
実験装置のセッティング シリカ パウダー 22Na線源 プラスチック シンチレーター NaIシンチレーター
実験装置の様子 NaIシンチレーターに入ってくる余計な放射線の遮蔽を心掛けた
信号の概要 ①PSが鳴る. ②1200nsのgateを開く. ③Psが崩壊し,γ線がNaIを鳴らす. ④PSによる信号とNaIによる信号のcoincidenceをとる. ⑤PSによる信号を840ns delayさせて時間幅(TDC4)をはかる. ⑥840 - TDC4 = decay time
ADC calibration ADC値とエネルギー値の対応を調べる. ADCの生データ 横軸がchannel,縦軸がevent数 Calibrationはペデスタルと 511keVの2点で行った.
以上の対応から,次のような式が得られた. Energy[keV]= 0.4327(ADC1 - 163) Energy[keV]= 0.4291(ADC2 - 180) Energy[keV]= 0.4881(ADC3 - 155)
Calibration後のグラフは次のようになる. 横軸がkeV,縦軸がevent数
TDC calibration TDCの生データ TDC値と時間の対応を調べる. 寿命測定にはTDC4のみ必要なのでcalibrationはTDC4のみ行った.
回路に組み込んでいた fixed delay とTDCの値との対応
以上の対応から,次のような式が得られた. Time[ns]= (TDC4 – 58.37) / 3.984
Calibration後のグラフは次のようになる. 横軸が時間,縦軸がevent数
時間とエネルギーの相関 本来は時間とエネルギーには 相関はないにも関わらず, 生データには相関が見られる 図:生データのエネルギー対時間分布
TQ補正 このΔTの時間分を補正する
TQ補正関数の導出 仮定 t0,y0はEに依存しない 最終的なTQ補正関数
pick-off反応とその補正 o-Psの崩壊以外も反応は生じている o-Psがp-Psに変化してp-Psが崩壊する 結合状態の陽電子が周囲の電子と対消滅をする.etc pick-off反応
寿命のfitting関数 よって寿命のfittng関数は
真空度による結果の違い • シリカパウダー中の酸素分子の数が多いほどpick-off反応が起こりやすいと考えられる. • 本実験である真空状態におけるデータに加え大気圧下でのデータもとり両者を比較した.
真空状態(v状態)での結果 真空状態でのTDC図
真空でない状態(nv状態)の結果 真空でない状態でのTDC図
両者のpick-off反応と見られるスペクトル(491~531keV)を比較したが大きな違いはみられなかった.両者のpick-off反応と見られるスペクトル(491~531keV)を比較したが大きな違いはみられなかった. • 真空状態にすることによりpick-off反応を抑えられると考えた予想に反するものであった. Pick-off反応のスペクトルの比較
TQ補正後のそれぞれの寿命 • TQ補正後の寿命 • pick-off補正をしてないので真空状態の方が寿命が延びると予想される. • NaI3以外は予想通りの結果となった.
TQ補正による誤差 • TQ補正関数による誤差が寿命に影響を与える. • TQ補正関数の誤差を伝播の式から見積もりその最大と最小の値を用いて寿命を求めた. • 以上のうち最大のずれをだしたものをTQ補正による誤差σTQとする.
TQ補正による誤差 TQ補正関数による寿命の誤差 • よってそれぞれのNaIに対するσTQは以下のようになる. TQ補正による寿命の誤差
pick-off補正による誤差 • pick-off補正の際にもo-Psの崩壊とpick-off反応の比の関数f(t)を見積もる際の誤差も寿命に影響を与える. • TQ補正の時と同様にf(t)の誤差を伝播の式から見積もりその最大と最小の場合を用いて寿命を求めた. • 以上のうち最大のずれを出ししたものをpick-off補正による誤差σpick-offとする.
pick-off補正による誤差 f(t)による寿命の誤差 • それぞれのNaIに対するσpick-offは以下のようになる. pick-off補正による寿命の誤差
fittingの際の誤差 • 最後に生データをfittingする際にも誤差が生じる. • fittingする際ROOTの算出した誤差をfittingの際の誤差σfittingとする.
誤差の評価 • 上記の三つの誤差を考慮して最終的な誤差を求めた. それぞれの誤差 誤差の伝播
寿命と誤差 NaI毎の寿命と誤差 各NaIによる寿命と誤差は以上のようになった. 期待していた寿命から大きく離れてしまい,また誤差も10%~20%ほど出てしまった.
データ数の問題 • pick-off補正時に純粋なo-Psのみを抜き出すためより多くの元データを必要とする. • さらにそれを区分して用いるのでさらに多くのデータを必要とする. • TQ補正による誤差よりもpick-off補正による誤差の方が大きかった事からデータ数をさらに多くする必要性が考えられる.
fittingの際の誤差 • 本来どの範囲でfittingしても寿命は一定であるはずである. • しかし上の表のようにfittingの範囲を変えることにより寿命が変わってしまった. • fitting範囲が早いほど寿命が短くなることからpick-off反応が除去しきれなかった可能性が考えられる. fitting範囲による寿命の差