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情報経済システム論 : 第9回

情報経済システム論 : 第9回. 担当教員 黒田敏史. 政策評価のための計量経済分析. 政策の評価 ある政策がどのような成果を上げたかを統計的に評価を行う 同一の属性を備えた集団AとBに対し、一方にある政策を投じ、他方に投じなかった場合の差を、政策の効果と見なす このような統計的手法を、実験アプローチと呼ぶ. 政策評価のための計量経済分析. 政策評価における実験の重要性 医薬品における効果測定 トリートメントグループ:医薬品の投与が実際に行われるグループ コントロールグループ:医薬品の投与が行われないグループ(プラシーボ効果を防ぐため、偽薬が与えられる).

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情報経済システム論 : 第9回

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Presentation Transcript


  1. 情報経済システム論:第9回 担当教員 黒田敏史 情報経済システム論

  2. 政策評価のための計量経済分析 • 政策の評価 • ある政策がどのような成果を上げたかを統計的に評価を行う • 同一の属性を備えた集団AとBに対し、一方にある政策を投じ、他方に投じなかった場合の差を、政策の効果と見なす • このような統計的手法を、実験アプローチと呼ぶ 情報経済システム論

  3. 政策評価のための計量経済分析 • 政策評価における実験の重要性 • 医薬品における効果測定 • トリートメントグループ:医薬品の投与が実際に行われるグループ • コントロールグループ:医薬品の投与が行われないグループ(プラシーボ効果を防ぐため、偽薬が与えられる) 情報経済システム論

  4. 政策評価のための計量経済分析 • 政策評価における実験の重要性 • 医薬品における効果測定 同質 医薬品の効果 情報経済システム論

  5. 政策評価のための計量経済分析 • 政策評価における実験の重要性 • コントロールグループが無い場合 • 1・医薬品の効果とプラセボの違いが特定できない • 2・事前と事後の間に生じたその他の変化の影響を排除できない→薬の効果を知る事ができない • 政策においても、コントロールグループが無ければ政策の効果を知る事ができない 情報経済システム論

  6. 政策評価のための計量経済分析 • 政策評価における実験の重要性 • 政府の政策は公平で有るべきでは無いか? • 保育園から大学まで、教育補助金を受け取る額は公平では無い。特に教育補助金は高所得の家の子どもであればあるだけ長い教育年数・高額の補助金が投じられる学校に入る傾向があり、格差を拡大する。 • 公平の名の下に教育補助金の効果が評価されない結果、このような不平等が是正されていないのは公平な社会では無い。 • 人の生死に関わる医療で実験が行われているのに、その他の政策で実験が行われるべきでは無いとする道徳的根拠はあるか? 情報経済システム論

  7. 政策評価のための計量経済分析 • 政策評価における実験の重要性 • 次善の策:自然実験 • 何らかの歴史的偶然によって、同質の標本の中で政策の対象となった者と、ならなかった者が生じた時の差を利用 • 例:Ito, K (2010) 同じ都市の中で2つの電力会社が異な流電力料金を設定。その結果、極めて似通った世帯が異なる料金に直面。 情報経済システム論

  8. 政策評価のための計量経済分析 • 政策評価における実験の重要性 • 次善の策:自然実験 • 例2:Angrist (1990): ベトナム戦争のある時期において、誕生日をクジで引き徴兵が行われていた時期を用いて、徴兵が収入に与える影響を分析。徴兵は平均で賃金を15%下げる効果があったとされる。 • 例3:Angrist and Lavy (1999): イスラエルでは教室の人数は40人までとルール付けられている。学校の同年代が40人のコホートは40人学級、41人のコホートは半分に分割されるため、この二つのグループは極めて似通っているにもかかわらず、クラスサイズが大幅に異なる結果となる。分析の結果、クラスサイズが大きいことで有意な学習効果の低下があったとされる。 情報経済システム論

  9. 政策評価のための計量経済分析 • 政策の割り当てがランダムに生じている場合 • 政策の対称となったグループと、ならなかったグループの評価変数の平均値の差は政策の効果となる • 平均値の差 • 平均値の差の検定 • t統計量(分散が既知の場合) • 厳密にはt統計表を使う必要があるが、サンプルが大きければ1.96以上で5%有意とみなす 情報経済システム論

  10. 政策評価のための計量経済分析 • 平均値の差のバイアス • 政策がランダムに割り当てられていたとしても、平均値の差には以下のようなバイアスが生じる • 1・共変量によるバイアス • 2・固定効果によるバイアス 情報経済システム論

  11. 政策評価のための計量経済分析 • 共変量によるバイアス • 評価変数Yの値と相関のある共変量Xの値が、グループ間で異なっている場合に生じるバイアス • 対象となる標本数が無限大になれば消失するため、しばしば小標本バイアスと呼ばれる • 固定効果によるバイアス • 分析者には観察することのできない固定的な変数Xの値が存在する場合に生じるバイアス • 異質な集団から抽出されたデータや、パネルデータ(多数の標本を追跡的に捉えたデータ)において生じる事が多い 情報経済システム論

  12. 政策評価のための計量経済分析 • 共変量によるバイアス • 例:米国の幼稚園における少人数クラスが成績に与える影響に関する社会実験 • Tennessee STAR Experiment:1985-1986年の間に幼稚園児11,600人を対象として行われた社会実験。総予算は1200億ドル。 • 少人数クラスと標準サイズクラスの成績の間には統計的に有意な差が存在する 情報経済システム論

  13. 政策評価のための計量経済分析 • 共変量によるバイアス • 政策はランダムに与えられたが、共変量が完全にコントロールされているとは限らない • 成績と相関を持つと考えられる様々な変数を用いて重回帰分析を行う • 重回帰分析(最小二乗法) • Y:非説明変数、X:説明変数のベクトル、Wi:政策の対象となった固体は1を取り、それ以外は0を取る変数 • 最小二乗法による政策の効果 情報経済システム論

  14. 政策評価のための計量経済分析 • 固定効果によるバイアス • 統計によって捉え切れない標本固有の差が存在するかもしれない • 例:建物の設計、学校の立地、校長の管理能力・・・ • このような観察されない学校毎の固有の効果を取り除くため、学校ダミー変数を導入する • 固定効果ダミー:ある学校に属していれば1、それ以外の学校では0を取る変数。10校あれば、学校1、学校2・・・、学校9を表すダミー変数を9つ作成する 情報経済システム論

  15. 政策評価のための計量経済分析 • 固定効果によるバイアス • ダミー変数を用いる方法以外に、差分を用いて固定効果を除去する方法も存在する • 平均との差 • 1期ラグ 情報経済システム論

  16. 政策評価のための計量経済分析 • 固定効果によるバイアス • Difference in Difference • 政策の対象となったグループと、コントロールグループそれぞれの事前と事後の差を推定し、その差を求めることを、特にDifference in Difference(DID)と呼ぶ事がある • DIDは共変量Xiに時間を加えた重回帰分析に他ならない • このとき、政策の効果を得るには、では無く、                を回帰する必要があることに注意 情報経済システム論

  17. 政策評価のための計量経済分析 • 交差項を入れる意味 • 回帰式                は以下の図のような値を得ている • 回帰式           は  と  (政策の導入前後に生じたその他の差)を含んだ値になる 情報経済システム論

  18. 政策評価のための計量経済分析 • 重回帰分析の結果 情報経済システム論

  19. 政策評価のための計量経済分析 • 重回帰分析の結果 • 平均値の差は5.9であったが、重回帰分析により他の属性をコントロールした結果、5.36~5.37へスコア差は減少 • 平均値の差には10%程度のバイアスが存在したと考えられる • 逆に、固定効果を考えない(1)では4.82と過小評価を行っている • ランダムな割り当てであっても、政策の対象となった学校とそれ以外には観察されない不均一性が存在していたことが示唆される 情報経済システム論

  20. 政策評価のための計量経済分析 • セレクションバイアス • 政策がランダムに割り当てられない場合に生じる。政策の対象になりやすさがもたらすバイアス。 • 例:教育年数と賃金 • 教育年数の長い人の方が賃金が高い • 元々の能力が高く、教育を受けることで賃金が伸びる事が期待される人が教育を受け、そうではない人は教育を受けない • 例:ワインと健康 • ワインを飲む人はそれ以外の飲酒をする人よりも長生きである • ワインを飲む人はその他のお酒を飲む人よりも高所得であり、より良い生活環境・医療サービスの下にある 情報経済システム論

  21. 政策評価のための計量経済分析 • 潜在的な成果アプローチ • 関心のある観察された変数 Yi • Yiが政策の対象となった場合にとる値 Yi(1) • Yiが政策の対象とならなかった場合にとる値 Yi(0) • Yi(1)とYi(0)はいずれか一方しか観察されない • 政策の対象となった事を表すダミー変数Wi • 観察されたYi • 政策の効果 差            • ただし、iへの政策が     へ影響を与えない、すなわち外部性が存在しない場合を想定している

  22. 政策評価のための計量経済分析 • 条件付き独立アプローチ • 政策の割り当てが外生変数Xiの下で条件付き独立(CIA)が成立している、つまりXiの条件の下で成果に割り当てが依存しないのであれば、Xiの下での因果を知る事ができる。 • CIA(Conditional Independence Assumptions) • Xiの下での独立性を成立させる方法 • 1・傾向スコア法(Propencity Score Methods) • 2・マッチング法(Matching Methods) 情報経済システム論

  23. 政策評価のための計量経済分析 • 傾向スコア加重法(Propensity Score Weighting) • 傾向スコアとは、標本が政策を受ける確率である • ある標本iがXiの下で政策を受ける確率を     とする。 • このとき、iが政策を受けた個体として観察される可能性は     となり、政策を受けなかった個体として観察される可能性は       となる。 • 直感的解釈 • 政策がランダムに割り当てられていたのであれば、政策の対象となったiは1/2の確率で観察されるはずである • 標本iが政策を受ける確率が     の場合、政策を受けたiは本来の確率より     だけ過剰に観察されているため、iをウエイト      で重み付けて評価する • 政策を受けていない標本は         で重み付ける 情報経済システム論

  24. 政策評価のための計量経済分析 多く出現する観察なので、低いウエイト(1/1-P(x))で評価 希少な観察なので、高いウエイト(1/1-P(x))で評価 1 0 希少な観察なので、高いウエイト(1/P(x))で評価 多く出現する観察なので、低いウエイト(1/P(x))で評価 分析方法:傾向スコア加重法

  25. 政策評価のための計量経済分析 • 傾向スコア法 • 傾向スコアによって加重された平均値の差は政策の効果である • 傾向スコアの計算方法にはProbit、Logit等と呼ばれる統計分析手法が用いられることが多い • Probit,Logitについては明日取り扱う 情報経済システム論

  26. 政策評価のための計量経済分析 • マッチング法(Matching method) • マッチング法は 標本iの成果と、標本iとコントロール変数の値が近いが、政策の受け方が異なるM個の標本の集合    の成果の平均値の差を政策の違いとする • 標本間の近さの指標 • 1・各変数の差の絶対値を分散の逆数をウエイトとして加重した指標を標本間の距離とする • 2・傾向スコアの値の近い標本を標本間の距離とする • 傾向スコアを用いる場合、傾向スコアには同じ方向で影響するが、成果には逆の影響を与えるような変数が存在する場合にバイアスが生じるため、1を用いる方が望ましい? 情報経済システム論

  27. 政策評価のための計量経済分析 • 分析方法:マッチング法 • W=1の対照群としてW=0の標本から近い2標本とマッチさせる場合

  28. 政策評価のための計量経済分析 • マッチング法 • マッチした対照群から、潜在的な成果を求める • 政策の効果とならなかった場合の潜在的な成果 • 政策の対象となった場合の潜在的な成果 • 政策の効果 情報経済システム論

  29. 政策評価のための計量経済分析 • 小標本バイアス・固定効果への対処 • 政策がランダムに割り当てられた場合同様に、共変量によるバイアス、固定効果によるバイアスが存在する • 実際の政策分析を行う上では、傾向スコア法、マッチング法によってセレクションバイアスを除去し、重回帰分析によってその他のバイアスを除去する手法を用いることが好ましい 情報経済システム論

  30. 政策評価のための計量経済分析 • 傾向スコア法と回帰の合成 • Double Robustness (Robins and Rotnitzky, 1995) • Regression methodsとPropensity score Weightingを組み合わせた方法 • 何らかの方法でpropensity score     を推定しを求めることで、政策の効果        を得ることができる • Propensity scoreか、regressionのいずれか一方の定式化が正しければ一致性を持ち、定式化が共に正しければより効率的な推定量となる 情報経済システム論

  31. 政策評価のための計量経済分析 • マッチング法と回帰の合成 • Bias Corrected Matching Estimator (Abadie et al, 2001) • Bias Corrected Matching Estimatorは、iと    のコントロール変数の値の差によって生じる小標本バイアスを線形回帰によって修正する手法である • iが他の標本のマッチに利用される回数を    とし、潜在的な成果関数を推定する 情報経済システム論

  32. 政策評価のための計量経済分析 • マッチング法と回帰の合成 • Bias Corrected Matching Estimator (Abadie et al, 2001) • 得られた条件付き市場成果の推定値から、潜在的な成果は以下のように表される • 政策の効果は、             となる 情報経済システム論

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