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日本の百貨店の海外進出 - 失敗分析と新たな戦略 -. 甲南大学経営学部 4 回生 BLT 長坂ゼミ 10951082 山形翔吾. 本発表の趣旨. 問題意識 グローバル化が進むなかなぜ日本の百貨店の海外撤退が相次いだのか? 海外進出の歴史 日系百貨店海外店舗の問題点と失敗分析 発見 海外店舗が対象とする市場規模の縮小 提案 これからの百貨店海外進出のありかた. 日本の百貨店海外進出の歴史 - 戦前 -. 1906 年三越京城店 ( 現在のソウル ) 1907 年三越大連店 どちらも当時日本が強い影響力を保有
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日本の百貨店の海外進出-失敗分析と新たな戦略-日本の百貨店の海外進出-失敗分析と新たな戦略- 甲南大学経営学部4回生BLT長坂ゼミ 10951082 山形翔吾
本発表の趣旨 • 問題意識 • グローバル化が進むなかなぜ日本の百貨店の海外撤退が相次いだのか? • 海外進出の歴史 • 日系百貨店海外店舗の問題点と失敗分析 • 発見 • 海外店舗が対象とする市場規模の縮小 • 提案 • これからの百貨店海外進出のありかた
日本の百貨店海外進出の歴史-戦前- • 1906年三越京城店(現在のソウル) • 1907年三越大連店 • どちらも当時日本が強い影響力を保有 • 1905年・・・韓国の保護国化、大連の租借権取得 • 現地の日本人市場、日本向け物資の買い付け(商社機能。特に戦中)、日本軍向けの商売 • 大丸、高島屋、松坂屋、白木屋などが 中国大陸、朝鮮半島、東南アジア進出 • 終戦後に全て消滅 当時の店舗運営経験が 今後大きく影響を及ぼす
日本の百貨店海外進出の歴史戦後~2012年 戦後の主な出店地域 • 北米・・・1958年高島屋ニューヨーク店 • 総出店数:7店舗 • ヨーロッパ・・・1971年三越パリ店 • 総出店数:20店舗 • アジア・・・1960年大丸香港店 • 総出店数:106店舗 →現存:1店舗 ※ディズニーワールド日本館内 →現存:4店舗 ※内2店舗は 免税カウンターのみ →現存:34店舗 注:地域名横はその地域での初進出店舗。総出店数は日本の百貨店全体の数 店舗閉鎖に至らなくても資本・業務提携を解消した場合は現存数に含まず オーストラリアにも1991年大丸がメルボルンに出店。総出店数3だが現存は0
なぜ撤退したか? -既存研究で挙げられている問題点-なぜ撤退したか? -既存研究で挙げられている問題点- 今回はここに注目 • 対象顧客 • ターゲットの日本人旅行客の減少 • 現地外部環境の急激な変化 • 家賃の高騰、為替の不安定性 • 日本本社側の業績悪化 • 例:そごうの破綻、大丸の海外完全撤退 • 流通システムの問題 • 日本独自の問屋システムの不在 • 強力な現地財閥の流通システムを独占
対象顧客(1) –既存研究の整理と疑問- • 多くの海外店舗の ターゲットは日本人 • 日本人旅行客 • 日本人現地在住者 • 挙げられている問題点 • 日本人海外旅行客の減少 疑問:本当に日本人旅行客は減少しているのか? ※川端基夫、「日系百貨店による海外ツーリスト市場戦略の再評価 : 欧州における新しい変化」、『商学論究』、第58巻第4号(2011年3月)、244 ページ図1を基に作成 ⇒その真偽と関連性を独自に検証
対象顧客(2)-日本人海外旅行客数推移- 日本人海外旅行客数推移(1990-2011年) 旅行客数は98年頃から伸びが鈍化。年によって大幅な減少も見られる 海外旅行客数の減少と閉店数の関連性は低いのでは? 90-99年 百貨店海外店舗の戦後全閉店数の 62%が集中 新型インフル リーマンショック ※ SARS 同時多発テロ ※川端基夫、「日本小売業の多国籍化プロセス : 戦後における百貨店・スーパーの海外進出史」、『龍谷大学経営学論集』、第45巻第3号(2005年12月)より 出入国管理統計(法務省)の日本人出国者数を基に作成 年度 が、
対象顧客(3)-ヨーロッパ- ※ ※欧州総出店数24の内21店がフランス、イギリス、ドイツ、スペインの4カ国に集中 仏英独西への日本人旅行客数とその総買物額、百貨店閉店数の推移 十万円・人 つまり、旅行客数の減少よりも 市場規模の大幅縮小が閉店要因の1つとなったといえる 旅行客数: 2010年は1990年比で20.9%減 となっているが、 トータルで減少していない 90-99年に11の閉店があるため 関連性は弱いといえる。 4店閉店 7店閉店 2店閉店 6店閉店 =市場規模 93: 閉店2 94: 閉店1 98: 閉店4 99: 閉店1 総買物額: 2010年は1990年比で 4分の1以下の80%減 90-93年の大幅減や95-99の減少も閉店数に対応。 明らかな関連性が見られる! 年度 旅行客数は「UNWTO(世界観光機関)資料」を基に集計 総買い物額は「JTB REPORT 91-12」記載の海外旅行者1人あたりの買い物額に、上記旅行者数を乗じて算出 百貨店閉店数は2005年までは「日本小売り業の多国籍化プロセス」より、06年以降は独自集計
(参考)三越欧州店舗の主な国での売上高と市場規模の関係(参考)三越欧州店舗の主な国での売上高と市場規模の関係 イギリス フランス(2010年閉店) 市場規模(万) 売上高(万) 市場規模(万) 売上高(万) 年度 年度 市場規模(万) 売上高(万) ドイツ(2008-2009年にかけて閉店) 市場規模の大幅縮小が 売上高減少を招いた と言える 年度
対象顧客(4)–アジア- ※ アジアへの日本人旅行客数とその総買物額の推移 ※香港、台湾、シンガポール、タイ、マレーシア、インドネシア 十万円・人 旅行客数は「UNWTO(世界観光機関)資料」を基に集計 総買い物額は「JTB REPORT 91-12」記載の海外旅行者1人あたりの買い物額に、上記旅行者数を乗じて算出 年度 アジアでも市場規模が大幅に縮小しており、 それが閉店の要因の1つとなったと推測できる
対象顧客(5)–検証後の自分の意見のまとめ- • 日本人海外旅行客の減少が 日本の百貨店の海外店舗閉店の直接的な理由では無く • 日本人海外旅行客の買物額減少により 市場規模が大幅に縮小していることが原因 ということは・・・ 今後、日本人海外旅行客が増えたとしても それだけでは過去のような市場規模に回復するとは 考えにくい 戦前から続く日本人需要頼りではダメ 現地住民をターゲットにした店舗運営が必要
じゃあ、現地住民をターゲットに、日本の百貨店であることを強みに日本ブランドを多くそろえて売ればいいのでは?じゃあ、現地住民をターゲットに、日本の百貨店であることを強みに日本ブランドを多くそろえて売ればいいのでは? • 市場に百貨店の数自体も増え、ハイパーマーケットなど多様な流通形態が力をつけ、日系ブランドの商品がもはや珍しくなくなる中、他店、他業態との違いが見えづらくなった。 (上海伊勢丹の例) ⇒さらなる差別化が必要 一部のアジア出店で使われた戦略 最初は成功したが、その後・・・
日本文化・流行情報発信基地化 統一阪急百貨台北店の例 • テナント- 日本ブランドの充実 • 日本ブランド店舗:全体の16.9% 日本関連店舗と合わせて22.7% • 参考:近隣店舗新光三越信義新天地店 • 日本ブランド店舗:全体の7.2% 日本関連店舗と合わせて11.8% • 新しい店舗テーマ • 顧客参加型のイベント広場「コトコトステージ」等、 物販以外のスペースを多く設置し、 そこで生活シーンや使用価値を提案し、商品を買ってもらう ⇒日本製品や日本の流行を より深く現地顧客に知ってもらい 価値を実感してもらうことが可能 ※各店舗HPのテナント一覧から独自に集計 「モノ」リテイラーから「情報」リテイラーへ
今後の海外店舗に必要な戦略 • 何でもそろう現地メガ百貨店との対抗 (参考) 売場面積 上海第一八百伴 :10.8万㎡ 上海伊勢丹 :1.5万㎡ • 市場が成熟につれて消費者嗜好の多様化が始まる • オンリーワンブランドでの来店動機の向上 • 店舗コンセプトをさらに絞った店舗 ⇒規模は小さくてもブランド力や個性の強い百貨店であれば海外展開が可能に • 日本と現地の流行をミックスした独自のスタイルの提案 • 脱“日本依存”のスタート
最後に・・・海外進出の必要性 • 国内市場減退の中での 新たな市場開拓 • 訪日外国人客の誘導 • 百貨店売上高は減少傾向の中、 外国人売上高は増加傾向にある。 • 日本政府は2010年現在訪日外国人数861万人を2016年までに1800万人、将来的に3000万人に 増やす方針 ・・・これからも売上増加が見込める ⇒ブランド力を海外現地でも高め、 訪日時の来店動機を高める 海外進出は必要!! 時事通信社 時事ドットコム 「 【図解・経済】百貨店売上高の推移」より
参考資料(1)-文献- • 川端基夫、「戦前・戦中期における百貨店の海外進出とその要因」、『龍谷大学経営学論集』、第49巻第1号(2009年6月)、1-22ページ • 川端基夫、「日本小売業の多国籍化プロセス : 戦後における百貨店・スーパーの海外進出史」、『龍谷大学経営学論集』、第45巻第3号(2005年12月) • 川端基夫、「日系百貨店による海外ツーリスト市場戦略の再評価 : 欧州における新しい変化」、『商学論究』、第58巻第4号(2011年3月) • 林廣茂、「京城の五大百貨店の隆盛と、それを支えた大衆消費社会の検証 ~主として昭和初期から同15年前後まで~」、『日韓歴史共同研究報告書』、上巻(2005年11月)、129-166ページ • 上村淳三、「大型小売業の海外進出」、『流通現代史:日本型経済風土と企業家精神』日本経済新聞社、1993年4月 • 『JTB REPORT 91-12』JTB総合研究所、(1991-2012) • UNWTO(世界観光機関)資料 (「世界観光統計資料集:海外主要目的地別アウトバウンド旅行者数」、アジア太平洋観光交流センター、(1996,1997,2000-2010)
参考資料(2)-インターネット- • 株式会社三越伊勢丹ホールディングスHPIR情報http://www.imhds.co.jp/ir/ • 株式会社三越決算説明資料、平成12-19年度 • 株式会社伊勢丹決算説明資料、平成15年3月期-平成20年3月期 • 出入国管理統計(法務省) http://www.moj.go.jp/housei/toukei/toukei_ichiran_nyukan.html • BiZpresso.net 「伊勢丹(中国)投資 – 得意商品分野に絞り込み」 2010/09/22 http://bizpresso.net/special/article/279.html • 統一阪急百貨台北店HP http://www.uni-hankyu.com.tw/taipei/index.asp • 新光三越百貨信義新天地店HP http://www.skm.com.tw/10/index.asp • 株式会社エイチ・ツー・オー リテイリングニュースリリース 「阪急うめだ本店 2012年11月下旬グランドオープン」について」 • 日本貿易振興機構(JETRO) 「市場・トレンド情報 2011年上海百貨店(単店)販売額トップ20」http://www.jetro.go.jp/world/asia/cn/fashion/trends/1202001.html • 時事通信社、時事ドットコム「 【図解・経済】百貨店売上高の推移」2012/01/19http://www.jiji.com/jc/v?p=ve_eco_retail-departmentstore-sales • 日本百貨店協会HP http://www.depart.or.jp/ • 国土交通省観光庁「訪日旅行促進事業(ビジット・ジャパン事業) 」http://www.mlit.go.jp/kankocho/shisaku/kokusai/vjc.html 以上すべて2012/12/26チェック済
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