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計測工学 講義. 2年次前期2単位必修 担当: 玉野 和保. (第3巻). 単元7(1/38). 第7単元 長さの基準とその計測法. 講義で話したいこと. 単位の定義. メートル法で示されていた定義 国際単位( SI) の定義. トレーサビリティ. 標準器と副標準器. 単元7(2/38). 講義で話したいこと. 長さとは、何か. 長さと距離、変位の違い 長さを測る考え方. 長さを測る基本方法. 測定法の基本原理 微小部分の拡大による精度向上. 単元7(3/38). メートル法の当初の定義. 当初の定義:パリを通る地球の子午線長の1/4000万.
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計測工学 講義 2年次前期2単位必修 担当: 玉野 和保 (第3巻)
単元7(1/38) 第7単元 長さの基準とその計測法 講義で話したいこと 単位の定義 メートル法で示されていた定義 国際単位(SI)の定義 トレーサビリティ 標準器と副標準器
単元7(2/38) 講義で話したいこと 長さとは、何か 長さと距離、変位の違い 長さを測る考え方 長さを測る基本方法 測定法の基本原理 微小部分の拡大による精度向上
単元7(3/38) メートル法の当初の定義 当初の定義:パリを通る地球の子午線長の1/4000万 1792年に制定 確定メートル原器(メートル・デ・ザルシブ) 1798年に制定 国際メートル原器 1875年メートル法で制定 国際単位へ移行 1960年に制定
単元7(3/38) メートル法の当初の定義 当初の定義:パリを通る地球の子午線長の1/4000万 1792年に制定 確定メートル原器(メートル・デ・ザルシブ) 1798年に制定 国際メートル原器 1875年メートル法で制定 国際単位へ移行 この形はトレスカ断面と呼ばれる ねじれや曲げ、温度変化でのゆがみが最も少ない断面形状 1960年に制定
単元7(4/38) 講義で話したいこと 単位の定義 メートル法で示されていた定義 国際単位(SI)の定義 トレーサビリティ 標準器と副標準器
単元7(5/38) 国際単位(SI)の定義 • 1960年、SI制定当初の定義 86Kr原子の2P10と5d5の間の遷移に対する光の、 真空中における波長の1650763.73倍 • 1983年、第17回国際度量衡総会(GCPM)で決定 1/299792458秒の時間に 光が真空中を伝わる行程の長さ
単元7(5/38) 国際単位(SI)の定義 メートル条約制定(1875年)よりやや前に、 J.C.Maxwellや他の物理学者は特定物質が発する光の 線スペクトル波長の一定性に注目。 これを単位制定に利用する可能性を指摘。 1920年代、Michelsonや渡辺・今泉等が研究。 8桁の精度で計測 • 1960年、SI制定当初の定義 86Kr原子の2P10と5d5の間の遷移に対する光の、 真空中における波長の1650763.73倍 • 1983年、第17回国際度量衡総会(GCPM)で決定 1/299792458秒の時間に 光が真空中を伝わる行程の長さ 1970年代、CH4やI2の吸収スペクトルを基準に、 He-Neガスレーザの波長を10-11桁で安定させ、 これを単位基準に利用する可能性が研究。 元理化学研究所研究員の霜田等が研究 9桁の精度で計測
単元7(6/38) 講義で話したいこと 単位の定義 メートル法で示されていた定義 国際単位(SI)の定義 トレーサビリティ 標準器と副標準器
単元7(7/38) トレーサビリティとは アポロ計画推進過程で明確化 言葉の意味 すべての測定器を 国家標準-上級測定器-下級測定器 という体系に位置付け、 測定結果の信頼性、統一性を保とうとすること トレースの流れ 企業・団体の 標準器 企業・団体の 副標準器 国際 標準器 各国の 標準器 国の 副標準器 商品・生産品 一次標準 二次標準
単元7(8/38) 講義で話したいこと 単位の定義 メートル法で示されていた定義 国際単位(SI)の定義 トレーサビリティ 標準器と副標準器
単元7(9/38) 標準器と副標準器 • 1875年、メートル条約制定で国際メートル原器が標準器として指定 • (パリ郊外サンクルー公園内の国際度量衡中央局に保管) • Pt90%+Ir10%白金イリジウム合金製 • 1885年、我が国は副原器2個を受領、 • (2個のうち、No.22が工業技術院計量研究所に保管)
単元7(9/38) 標準器と副標準器 • 1875年、メートル条約制定で国際メートル原器が標準器として指定 • (パリ郊外サンクルー公園内の国際度量衡中央局に保管) • Pt90%+Ir10%白金イリジウム合金製 • 1885年、我が国は副原器2個を受領、 • (2個のうち、No.22が工業技術院計量研究所に保管) 1798年に1mの定義に基づき白金製の確定メートル原器が作成 その後、230kgの白金イリジウム合金から32本の原器が複製 No.6が偶然にも確定メートル原器と同一長さであった。 これを国際メートル原器と定めた。
単元7(10/38) メートル法の当初の定義(当単元(2/31)の再掲) 当初の定義:パリを通る地球の子午線長の1/4000万 1792年に制定 確定メートル原器(メートル・デ・ザルシブ) 1798年に制定 国際メートル原器 1875年メートル法で制定 国際単位へ移行 1960年に制定
単元7(10/38) メートル法の当初の定義 当初の定義:パリを通る地球の子午線長の1/4000万 1792年に制定 確定メートル原器(メートル・デ・ザルシブ) 1798年に制定 国際メートル原器 1875年メートル法で制定 国際単位へ移行 この形はトレスカ断面と呼ばれる ねじれや曲げ、温度変化でのゆがみが最も少ない断面形状 1960年に制定
単元7(11/38) メートル原器の扱い方 • 原器と他の物差しとの比較 • [温度差への配慮] • 蒸留水のタンク内に両者を沈め、 • 水を攪拌しながら0.01℃まで両者の温度差を • 合わせ比較測定する • [支える点の配慮] • 両端を支えた場合、 • たわみで長さが0.6μm短くなる • Bessel点では0.01μm以下
単元7(12/38) 副標準器(第二次線度器) メートル原器(各国に配布)の代わりに各種の尺の比較に使用
単元7(13/38) 光の波長によるメートルの制定 後に特殊相対性理論発展に繋がる マイケルソン=モーレーが使用した干渉計
単元7(13/38) 光の波長によるメートルの制定
単元7(14/38) 光の速度によるメートルの制定 ネオアーク(株)製 よう素安定化He-Neレーザー NEO-92SI-NF 長さ標準の原点ともなる2.5×10 -11 周波数不確かさを達成している波長標準レーザー産業技術総合研究所で長さ標準トレーサビリティ特定標準器として採用されている。(国際度量衡委員会1992年及び1997年勧告に準拠) ※コントローラーは㈱エヌエフ回路設計ブロック製。
単元7(15/38) メートル以外の長さの標準器 1 inch (in) =25.10095mm 1yard (yd) =0.914399204m
単元7(16/38) 講義で話したいこと 長さとは、何か 長さと距離、変位の違い 長さを測る考え方 長さを測る基本方法 測定法の基本原理 微小部分の拡大による精度向上
単元7(17/38) 長さと距離・変位の違い 共通する考え 幾何学的指標: 空間の広がりの程度を表す度合い 1次元指標: 幅のない一連の離れた程度を示す度合い 異なる考え 長さ: 単なる離反状態の程度を表す幾何学的指標 距離: 「行く」「戻る」など行程を意味 (時間要素を意識する場合もある) 身体に対して比較的規模の大きい幾何学的指標 変位: 「ずれ」「ゆがみ」など、差異に着目した指標 身体に対して比較的規模の小さい幾何学的指標
単元7(18/38) 長さと距離・変位の感覚的程度 「離れている」という感覚が強い 「行く」「帰る」などの時間要素が含まれる 「ずれている」という感覚が強く、 長さの感覚は薄い 変 位 距 離 数mm以下 数1cm~数m 数10m以上 数nm以下では 量子状態が無視できず、 変位とは言えない 光年の単位を含めて巨大距離では 距離感がつかめない場合、 距離の意味が薄れる
単元7(19/38) 講義で話したいこと 長さとは、何か 長さと距離、変位の違い 長さを測る考え方 長さを測る基本方法 測定法の基本原理 微小部分の拡大による精度向上
単元7(20/38) 長さの計測の基本概念 • 幾何学的な「広がり」の見方からの計測 基準の物体(物差し)との比較 • 「時間的要素」を考えた計測 物体がある速度で移動した時間から計測 物体の変位に対する弾性力(加速度)で計測 eg. 光年=光が1年間進む距離 発電機の電圧の大きさで計測 バネの伸びに対する力の大きさで計測 • 物体の「数」による計測 同一形状の物体の縦列個数で計測 eg. 歯車の歯数で計測 原子、分子の数で計測 波の数で計測
単元7(21/38) 長さの計測の基本式 幾何学的な「広がり」の見方からの計測 μ1.μ2はスケール比 ( )内は差分量 副尺(バーニヤ)の原理 「時間的要素」を考えた計測 eは例えばモータの発電電圧 Fは力、圧力、応力 物体の「数」による計測 nはサイズが既知で それが同一の物体の縦列個数
単元7(22/38) 講義で話したいこと 長さとは、何か 長さと距離、変位の違い 長さを測る考え方 長さを測る基本方法 測定法の基本原理 微小部分の拡大による精度向上
単元7(23/38) 計測法の基本変換原理 機械式 電気式 光学式 熱力学式 化学式 原子式 機械式 電気式 光学式 熱力学式 化学式 原子式 原理・理論 表示方式 ・・・・・
単元7(24/38) 計測法の基本原理 • 物体を使って幾何学的な広がりの比較で計測 物差し(身体を含む)、テコ、歯車、コロ • 車、光・電磁波など、動く物体の時間的要素を使って計測 • 幾何学的要素と関係する電気、光の物理学現象で計測
単元7(25/38) 幾何学的広がりからの計測法(ブロックゲージ)
単元7(26/38) 幾何学的広がりからの計測法(歯車で精密計測)
単元7(27/38) 幾何学的広がりからの計測法(くさびとボールゲージによる内径測定)
単元7(28/38) 幾何学的広がりからの計測法(ねじを利用した精密計測)
単元7(29/38) 顕微鏡を利用した変位の計測法 • 微小部分を拡大し基準の物差しと比較 • 光の干渉を物差しとし干渉縞数で計測 企業の製品紹介 ユアサテクノ(株)製 Universal Measuring and Analysis MicroscopeUMAMシステム 万能計測 解析 顕微鏡 Keyence(株)製 表面形状測定顕微鏡
単元7(30/38) 光波・電磁波を利用した距離計測 光波の伝搬時間から距離を測定 • 光・電磁波の伝搬時間を利用 L=(光速*反射して帰る時間)/2 光波の干渉から微小長さ(変位)を測定 2つの光波の振幅の重なり(合成)が、 1波長の変化で強弱を表すことを利用 シミュレーション結果 プログラム
トワイマン・グリーン干渉計 単元7(30/38) 光波・電磁波を利用した距離計測 光波の伝搬時間から距離を測定 • 光・電磁波の伝搬時間を利用 L=(光速*反射して帰る時間)/2 光波の干渉から微小長さ(変位)を測定 2つの光波の振幅の重なり(合成)が、 1波長の変化で強弱を表すことを利用 シミュレーション結果 プログラム
単元7(30/38) 光波・電磁波を利用した距離計測 光波測距儀の製品紹介 LaserAtlantaOptics社製 アイセーフレーザーポータブル距離計 MDL社製 レーザー距離計 軽量・コンパクトLaserAce300 スピードガンの製品紹介 関西エスアンドエー製
単元7(31/38) 発電器を利用した長さ(距離)の計測法 モーターは発電器になる 力:F 電線に回転により磁界中で発生する起電力 B N L Flemingの右手の法則をもとに表される起電力 S 起電力:e ※2辺のそれぞれに起電力が発生するので
単元7(32/38) (つづき) Faradayの電磁誘導の法則から [V] 磁束数Φは [Wb] ゆえに起電力eは [V]
単元7(33/38) (つづき) [V] ここで [rad/s] [m/s] 整理すると [V] ベクトルで書くと Flemingの右手の法則をもとに表される起電力 モーターを強制して同じ方向に回転させると、逆向きの起電力(電流)を生じる。
単元7(34/38) 講義で話したいこと 長さとは、何か 長さと距離、変位の違い 長さを測る考え方 長さを測る基本方法 測定法の基本原理 微小部分の拡大による精度向上
単元7(35/38) 副尺(バーニャ)を利用した精密長さ(寸法)計測 • 短い長さを相似を利用して拡大化 • 長さの違う2つの物差し間の長さの差を利用し精密化 副尺の構成法
単元7(36/38) 短い長さを相似を利用して拡大化 長さdの目盛り • 幅Lの補助尺を描く • o点よりbに斜線を引く • xの長さの位置の線を延ばし斜線との交点をc点を求める。 • c点からのLへの投射点eよりxを拡大し求める 大きな値のyで小さな値xを求めることができる
0 10 1 0 単元7(37/38) 長さの違う2つの物差し間の長さの差を利用し精密化 主尺10目盛に対し 1目盛減し、10等分 した副尺を主尺1目盛 内の変量表示に利用 より高精密化へ100目盛 対象にすることへの発展
単元7(38/38) バーニヤの事例(その1) 伊能忠敬が用いた、 「相似を利用した目盛り拡大」の副尺をもつ 物差し これは「遊尺」と呼ばれている 物差しの裏に「田中柳作」の銘がある
単元7(38/38) バーニヤの事例(その2) 江戸時代に用いられた 「長さの差異を利用した精密化」の バーニヤ(測量集成に掲載) ノギスに用いられているバーニヤ (1/20の分解能=副尺は19目盛りを20等分)
単元8(1/39) 第8単元 時・時間の基準とその計測法 講義で話したいこと 時と時間の違い 時とは何か 時と時間 単位の定義 メートル法以前の定義 メートル法で示されていた定義 国際単位(SI)の定義 標準器と副標準器
単元8(2/39) 講義で話したいこと 時計の計測 ストップウォッチ 発信器(クロック・オシレータ) 時計を使った計測の基本方法 飛行法(Time of Flight Method) 積分法・累積法 時間変化を利用した計測(映写)
単元8(3/39) 時とは?時間とは? • 時間 観測者を取り巻く世界の事物の状態が 変化している観測者が感じる継続した意識 • 時 事物の状態の変化に対する観測者の 「過ぎ去っていく」と考える 継続した時間の意識のうちの瞬時