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これからの地域保健・地域栄養 ~東日本大震災を経験した保健師・栄養士から~

これからの地域保健・地域栄養 ~東日本大震災を経験した保健師・栄養士から~.       女川町健康福祉課       栄養士 今野 恵美子. 避難所・避難者数. ※ 3月13日が最大の避難者数で5,720人 25箇所の避難所 ※ 避難所完全閉鎖 11月9日.

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これからの地域保健・地域栄養 ~東日本大震災を経験した保健師・栄養士から~

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  1. これからの地域保健・地域栄養~東日本大震災を経験した保健師・栄養士から~これからの地域保健・地域栄養~東日本大震災を経験した保健師・栄養士から~       女川町健康福祉課      栄養士 今野 恵美子

  2. 避難所・避難者数 ※3月13日が最大の避難者数で5,720人 25箇所の避難所※避難所完全閉鎖 11月9日

  3. ・備蓄食品が流出してしまった・命をつなぐための食であった(きちんとした食事が食べられない状況)・育児用ミルクが物資ですぐに届かなかった(震災後3日目)・一型糖尿病患者・・・自己血糖測定器がなかった・食事量が少なかったため、減量により血圧が安定している人が思っていたよりも 多かった 糖尿病の治療を行っている人には、血糖値を下げる薬は出さなかった・備蓄食品が流出してしまった・命をつなぐための食であった(きちんとした食事が食べられない状況)・育児用ミルクが物資ですぐに届かなかった(震災後3日目)・一型糖尿病患者・・・自己血糖測定器がなかった・食事量が少なかったため、減量により血圧が安定している人が思っていたよりも 多かった 糖尿病の治療を行っている人には、血糖値を下げる薬は出さなかった 震災後~1週間

  4. 第二小学校共同調理場(震災後~1週間) <状況> ・震災後次の日から、炊き出しを開始 ・ライフラインの状況 ガス(プロパン)が使用可 水は給水車対応  電気は2日間は使用できなかったが、その後は発電機により使用可 ・食数2,500人分 

  5. 震災後3日間の炊き出しの内容(第二小学校共同調理場)震災後3日間の炊き出しの内容(第二小学校共同調理場) ※14日から物資が届くようになった

  6. <課題> 震災後~1週間 ・食器が500人分しかなかった(食数2,500人) ・町内の加工会社からさんまや鮭のフィーレが大量に届いたがうまく活用できなかった ・役場の職員の人の調整役が入れ替わりだったので、調整がうまくいかなかった

  7. 震災後1週間~1ヵ月

  8. 物資班が感じた事、苦労した事 ・県は生ものの物資を受けつけなかったため、生鮮食品は、直接市町  村へ持ってきていただいた。 ・途中から、今後も物資支援してくれるという方を登録制にして台帳  を作成した(何を支援していただけるか、連絡先) ・おにぎり、パンは初めは県が発注していた。届いた段階で消費期限  賞味期限が切れていたり、切れそうなものが多かった。  期限切れは職員が食べていた。 ・外国産の物は、何か分からない物、味が好まれない物がたくさんあ  った。 ・牛乳は常温保存可能であったが、夏場は高温であったため、冷蔵庫  が必要であり保存に苦労した。 ・届いた物資の数により調整等が大変であった。 ・ベビーフードや高齢者用の食品などは、健康福祉課で仕分けをして  もらった。

  9. 避難所ごとに食事内容を確認・食中毒予防の重要性避難所ごとに食事内容を確認・食中毒予防の重要性 <調理する場所がある避難所>  おにぎりやパンの物資と調理した料理(おかず)を食べていました  ・食中毒予防  ・食事内容の確認(過不足している食品、栄養はないかどうか)  4月11日~各避難所の巡回開始   各避難所でチェック、記入をして意識を高めてもらう    ①感染症・食中毒予防対応リスト    ②食事状況調書(県に月1回提出)、食事献立

  10. ・平成23年4月1日 宮城県保健福祉部長避難所における食事状況・栄養関連ニーズのアセスメントについて県では、被災者の栄養・食生活改善を把握し、今後の支援活動を  効果的に実施するため、別紙のとおり各避難所に対する調査を実施1回目 4月1日~12日の状況(震災後21日~32日)全避難所   2回目 5月1日~20日の状況(震災後51日~70日)全避難所   3回目以降 6月~毎月11日~20日まで連続して2日間  50人以上の避難所対象 10月まで実施 

  11.     震災後1~2週間の食事(調理施設のない避難所:     総合体育館避難所 800人)    震災後1~2週間の食事(調理施設のない避難所:     総合体育館避難所 800人) 調理者:自衛隊、共同調理場、おにぎり握り(町民)

  12. 朝 食

  13.       震災後1~2週間の食事 (調理施設のある避難所:          第一小学校避難所 210人)      震災後1~2週間の食事 (調理施設のある避難所:          第一小学校避難所 210人) 調理者:保育所給食調理員

  14. ・平成23年4月21日 厚生労働省 避難所における食事提供の計画・評価のために当面 の目標とする栄養の参照量について    エネルギー・栄養素摂取不足の影響による栄養不    良や体力低下が顕著になってくる時期にあること    から、避難所生活の長期化を視野に入れ、必要な    栄養量の確保のために安定的に食事提供を行う条    件の整備が急務となっています。    被災後の3ヶ月までの当面の目標として、避難所    における食事提供の計画・評価のための栄養の参    照量を算定しましたので、管理栄養士等行政栄養    関係者の関与の下、留意事項を参考に、地域や避    難所の実情を十分に考慮し、食事回数や食事量の    確保・調整を行い、必要な栄養量の確保に努める。

  15. ・平成23年6月14日 厚生労働省避難所における食事提供に係る適切な栄養管理の・平成23年6月14日 厚生労働省避難所における食事提供に係る適切な栄養管理の 実施について    避難所によっては、以前として、野菜の摂取不    足など食事内容に改善が必要な状況も見受けら    れており、避難所生活が長期化する中、日々の    食事は栄養不足の回避、生活習慣病の予防・改    善、さらには生活の質の向上のために、一層重    要となっています。    被災後の3ヶ月以降の避難所における食事提供    の評価・計画のための栄養の参照量をお示しす    るとともに、食事提供に係る配慮事項をとりま    とめましたので、避難所の運営において管理栄    養士等行政栄養関係者の関与の下、地域や避難    所の実情を十分に考慮し、適切な栄養管理の実    施に努める。

  16. <総合体育館避難所> ●エネルギ-摂取の過不足の回避

  17. <総合体育館避難所> ●栄養素の摂取不足の回避

  18. 総合体育館避難所 対象特定に応じて配慮が必要 ●栄養素の摂取不足  の回避

  19. 総合体育館避難所 ●生活習慣病一時予防 対象特定に応じて配慮が必要

  20. 4月分の総合体育館の栄養価 年齢構成:乳幼児2%、小学生6%、中・高校生7%、65歳以上25%、その他60% 不足が気になる栄養素はカリウム、カルシウム、鉄分、ビタミン、食物繊維であり、今後エネルギー、脂質、食塩の過剰摂取も気になった。そのため、今後は手軽に食べられ、長期保存、常温保存できるもの(人参、玉ねぎ、かぼちゃ、じゃがいも、きゅうり、トマト)の物資の確保を要望した。その他、菓子パンから食パン、ロールパンに出来ないか。常温保存できる牛乳、長期保存できる豆腐なども物資の確保を要望する。

  21. 食事状況・栄養アセスメントからの課題と要望食事状況・栄養アセスメントからの課題と要望 ①食事回数を2食から3食へ   →食料班、物資班へ自衛隊の方々に調理や、昼食にお弁当を提供    できないか要望 ②パン食について(パンが食べられない高齢者がいる。パンを食べたくないという人が増えている)   →物資班へ要望し、朝食のパンを米飯(おにぎり)にできないか ③炊き出しで子どもが食べられないメニュー(カレー、マーボー豆腐)がある。介護食用食品が欲しい   →食料班へ相談   →日本栄養士会に要望 ④ビタミン、ミネラル摂取不足   →物資班へ野菜、牛乳の食材確保を要望   →自衛隊とメニュー検討 ⑤水分の摂取不足(水は冷たくて飲めない)   →食料班へお茶の設置を要望 ⑥冷蔵庫が欲しい(物資で食材が送られてくるが保存できない状況である)   →県の災害対策本部に冷蔵庫を要望する ⑦食器が欲しい   →栄養士会に要望

  22. 国、県の対応 ・平成23年3月22日 厚生労働省  東北地方太平洋沖地震に伴う災害発生により避難所等で生活する者 への栄養・食生活支援について ・平成23年4月1日 宮城県保健福祉部長  東北地方太平洋沖地震における被災者への栄養・食生活支援活動に ついて 乳幼児や高齢者、慢性疾患等をもつ方への栄養的配慮が早急に求められ    るため、市町村における食品等支援物資の流通や食事の提供状況などの    課題を把握し、課題に応じた栄養改善活動を行うことで、基本的な食事    の提供体制の整備と食環境の向上を図る

  23. ・平成23年4月26日 宮城県保健福祉部長 被災地における栄養補助食品等の使用について  栄養改善に活用する栄養補助食品等について、支援物資の提供  ①嚥下困難者・・・トロミ剤  ②低栄養者用・・・アイソトニック飲料、蛋白、ビタミン、ミネ           ラル強化ゼリー  ③ビタミン、ミネラル強化食品・・・飲料、ゼリー、粉末、強化米  ④妊婦、授乳婦用食品・・・葉酸強化クッキー   ・平成23年5月3日 宮城県が厚生労働省へ照会 災害救助法に係る基準額について  炊き出しその他食料の供与「1人1日当たり1,010円以内」を「1人1日当たり1,500円以内」 (理由)   メニューの多様化、適温食の提供、栄養バランス(必要カロリー数を   含む)の確保、高齢者等要支援者への配慮された食事の提供等を行う   必要があるため 

  24. 課題に対しての対応(震災後1ヵ月以降~) ①食事を2食から3食へ ・自衛隊へお願いしたが   3食に出来るのは、1食分が300人分になったら可能となる  ・お弁当を発注できないか   町内では弁当業者がない、1,000食分準備できる業者がない   →ユニセフからお弁当業者を紹介してもらう    5月9日~(震災から約2カ月後)全避難所で1日3食となる    その後、石巻市にある業者も営業再開し業者変更    お弁当業者へご飯の量などの食品の使用量、エネルギー量の目    安を提示するが、お弁当の内容が高カロリー、副菜が少なかっ    たお弁当が続いた    そこで、町の麺飯飲食店組合から、町民のために自分たちがお    弁当を作りたいと要望があった    しかし、作る場所がない!

  25. ②パン食について(パンが食べられない高齢者がいる。パンを食べたくないという人が増えている。)②パン食について(パンが食べられない高齢者がいる。パンを食べたくないという人が増えている。) ・物資班に菓子パンをコンビニのおにぎりにできないか  要望   →賞味期限の関係や配送の関係で実施が難しいとの    回答    しかし、震災から2か月が経っても2食のままに    はしておけない。    その後、町内のお弁当業者が再開するにあたり、    6月13日から朝食におにぎりを提供してもらう    ようにした

  26.     お弁当業者へ

  27. 町内のお弁当業者2社に発注したため、お弁当の内容を統一町内のお弁当業者2社に発注したため、お弁当の内容を統一 【曜日により主菜の内容を決めた】 (例)

  28. 昼食お弁当

  29. そこで・・・“調理厨房施設”の設置を決定  厨房の設置と調理器具を提供していただける業者の支援を受けることになった     7月23日に施設完成 7月28日から朝食と夕食を町が麺飯   飲食店組合に委託   (献立は町の栄養士が作成)

  30. 麺飯飲食店組合による調理 配膳の様子 【メニュー】 ごはん          鮭の焼き魚         ひじきの煮物     白菜ときゅうりの浅漬け        パイナップル

  31. 朝食 6月13日~ 7月28日~

  32. 避難所に掲示

  33. <6月13日~> <5月9日~> 避難所の食事 <8月11日~11月8日> <7月28日~> 夕食の調理支援(曜日により避難所変更) ①自衛隊(主食、汁物)     ・・・ 3月18日~7月27日(約4ヵ月間)  ②すかいらーく(主菜、副菜) ・・・ 4月11日~8月18日(約4ヵ月間)

  34. ③炊き出しで子どもが食べられないメニュー(カレー、マーボー豆腐)がある。介護食用食品が欲しい。③炊き出しで子どもが食べられないメニュー(カレー、マーボー豆腐)がある。介護食用食品が欲しい。  ・食料班へ相談   カレーやマーボー豆腐を調理しているのが、自衛隊   であるため、状況を伝えてもらうと、カレーは子ど   も用の甘口を今後用意してくれることになった。  ・震災後1~2週間後、アレルギー対応食品の業者か   らアレルギー用・幼児用食品の提供があった    →子ども用、アレルギー用の食事への対応開始  ・日本栄養士会からは、ベービーフード、介護食用食   品、スキムミルク、粉末プロテインの提供があった    →巡回栄養相談を実施し、必要な方へ配布

  35. ④ビタミン、ミネラル摂取不足 ・物資班へ野菜、牛乳の食材確保を要望    →野菜の種類を提示して、全国から食材の支援をもらうこと     にした  ・自衛隊と連絡調整し、メニュー検討、強化米を活用してもらう   ことにした    →4月29日から自衛隊の方が試作品を持ってくれて味付け     を確認したり、料理の食材の確認をした    (自衛隊の方が地元の味を食べられるようにという配慮があ     った)     野菜の食材が多い時は、野菜多めのメニューにしてもらう     ようにした     県と日本栄養士会から強化米の提供があり活用  ・日本栄養士会から栄養補助食品等(マルチビタミン、液体食物   繊維、カルシウム・鉄強化ふりかけ)の提供があり活用  ・日本栄養士会を通し、日本酪農乳業協会より6月8日から毎日   牛乳を提供していただいた

  36. ⑤水分の摂取不足  ・水が冷たくて飲めないという声が多かった    →お茶を設置したいと要望を出した     日本栄養士会からエアーポットをいた     だき、4月29日から毎日自衛隊の方     にお茶を作ってもらいお茶コーナーを     設置 季節により対応を変える    夏場は、大塚製薬から提供していただい    たポカリスエットを薄めに作り設置や    ウォーターサーバーの設置も行っていた

  37. <災害時栄養> 地震、津波などの自然災害により広域な 地域の破壊と窮迫によって避難している 被災者の健康維持のため、緊急・短期的 および中長期的に必要な栄養管理と効率 的な栄養支援を行うこと ・支援、配給物資(食料)やライフラインの状況    が影響する   ・長期的、持続的な栄養支援が必要である   ・支援時期や被災者によって栄養支援の内容が異 なる

  38. 災害時に特に必要な栄養素 ①被災直後にも必要な水分、エネルギー ②補給しないと失われやすいたんぱく質、ミネラル(ナトリウム、カリウム) ③避難所の主食中心の食事により、2~4週間で欠乏症の発生する可能性が指摘されるビタミン(ビタミンB1.B2.C)

  39.  エネルギー参照量:1,800~2,000kcal  町内避難所の平均 たんぱく質参照量:55g以上

  40. 脂質参照量:45~55g ビタミンB1参照量:0.9mg以上

  41. ビタミンB2参照量:1.0mg以上 ビタミンC参照量:80mg以上

  42. 食塩参照量:男性9g未満、女性7.5g未満食塩参照量:男性9g未満、女性7.5g未満

  43. いも類 穀 類 野菜類 果物類

  44. 肉類 魚介類 卵類 豆類

  45. 乳・乳製品 日本酪農日本栄養士会を通し、日本酪農乳業協会より        6月8日から毎日牛乳を提供していただいた 野菜は7月28日から麺飯飲食店組合で調理する食事で多くとれるようなメニューにし、250gを超えられるようになったが、果物は値段が高いという理由からなかなか出すことができなかった。たんぱく質源は、魚介類、肉類、卵類、豆類を偏りなくメニューに入れるように心がけた。やはり、港町ということで、魚を食べたいという声が多くあり、焼き魚、煮魚を定期的に入れるようにした。

  46. ⑥冷蔵庫が欲しい  (物資で食材が送られてくるが保存できない   状況である)  ・県の災害対策本部に冷蔵庫を要望したが   小さいサイズしかないと言われ    →ユニセフから難民を助ける会で冷蔵庫     を設置していただけるとの連絡をもら     い9か所に設置を要望     4月21日に冷蔵庫設置     その後物資班用の業務用冷蔵庫も設置     していただいた

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