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文献紹介 3. 行動計量学研究分野 B4 植村菜穂子. 文献. セルフコントロールを主とした犯罪類似行動の要因研究 村上有美 2000 犯罪類似行動における促進要因と抑制要因 西村英輔 2002 犯罪心理学におけるセルフコントロール尺度の再検討 松田淑美 2003 犯罪の基礎理論 M.R.Gottfredson &T.Hirschi 1990 松本忠久訳. 目次. 社会コントロール理論 セルフコントロール理論 卒論 ×3 犯罪の基礎理論 卒論計画. 1. 社会コントロール理論. なぜ犯罪を行わないのか 人間は誰もが犯罪を犯す可能性がある
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文献紹介3 行動計量学研究分野 B4 植村菜穂子
文献 • セルフコントロールを主とした犯罪類似行動の要因研究 • 村上有美 2000 • 犯罪類似行動における促進要因と抑制要因 • 西村英輔 2002 • 犯罪心理学におけるセルフコントロール尺度の再検討 • 松田淑美 2003 • 犯罪の基礎理論 • M.R.Gottfredson &T.Hirschi 1990 • 松本忠久訳
目次 • 社会コントロール理論 • セルフコントロール理論 • 卒論×3 • 犯罪の基礎理論 • 卒論計画
1.社会コントロール理論 • なぜ犯罪を行わないのか • 人間は誰もが犯罪を犯す可能性がある • 人々がルールに従っている理由を見出す • アメリカ合衆国で発展 • 1970年代に急速に支持者が増加 • 1980年代以降はアメリカでは支配的な犯罪学理論
Walter C. Recklessの抑制理論 • 犯罪の促進要素 • 社会的圧力 • 生活の困窮、家族の不和、機会の欠如など • 社会的牽引力 • 友人、非行副次文化、逸脱集団、マスメディアなど • 犯罪の抑制要素 • 外的抑制力 • 人間関係の中で育まれる倫理観、所属意識、周囲の期待、しつけなど • 内的抑制力 • 自己統制、自我、責任感、目的意識、上昇志向など
Travis Hirschiのボンド理論 • attachment • 他人に対する愛情・尊敬の念 • commitment • 犯罪に伴う利益損失の理性的計算 • involvement • 合法的な活動への関わり • belief • 社会のルールに従わなければいけないという意識 • これらの社会的な絆(ボンド)が弱くなると非行に至る
批判 • 社会コントロール理論 • 軽微な犯罪は説明できても、重大な犯罪を説明できていないのではないか • 男性犯罪よりも女性犯罪を説明しやすいのではないか • 主な適用対象は少年であって、成人の犯罪は説明できないのではないか • ボンド理論 • ボンドと犯罪の相互作用が重要なのではないか • ボンドが弱まれば逸脱を生む • 犯罪の発生がボンドを弱める
2.セルフコントロール理論 • 社会コントロール理論からセルフコントロール理論へ • 1990年代 • Hirschi & Gottfredson • 「全ての犯罪に応用できる一般理論」と主張 • 人種間、地域間、男女間の犯罪率の相違 →それぞれのセルフコントロールの差異
犯罪と犯罪性の区別 • 犯罪=利己追及に企てられた暴力と不正手段使用の行為 • 犯罪性=暴力や不正手段を使う傾向 • 犯罪性のある者=低セルフコントロールの者 • 低セルフコントロールと犯罪機会 • 犯罪性のある者+犯罪機会→犯罪 • 犯罪機会がなければ犯罪を犯さない • 犯罪性のない者 • 犯罪機会があれば犯罪を犯す
セルフコントロール • 自分の欲求を抑制できる能力 • 低セルフコントロールの6つの要素 • 衝動性 • 複雑な課題よりも単純な課題を好む • 危険を求める • 知的活動よりも身体的活動を好む • 自己中心性 • 欲求不満に対する低い耐性と結びついたかんしゃく • これらの要素を、個人の特性として同時に持つ傾向がある • 6要素が1因子にまとまる
低セルフコントロールの要因 • 主要因=無能な育児 • 適切な育児の最低条件 • 親の監督 • 子どもの行動を監視すること • 逸脱行動の認識 • 子どもの逸脱行動をその発生時に認知すること • 逸脱行動の懲罰 • 子どもの逸脱行動を罰すること
3.(1)村上さんの卒論 検証する内容 • セルフコントロールの1次元性 ・6つの要素が「低セルフコントロール」という単一の尺度になる • 親の養育態度によりセルフコントロールのレベルが決定されているか • セルフコントロールと犯罪機会の犯罪類似行動への影響 • 低セルフコントロール→犯罪類似行動 • 犯罪機会→犯罪類似行動 • 低SCと機会の交互作用→犯罪類似行動
調査方法 • 回答者 • 大学生221人(男性139人、女性82人) • 質問紙 • 親の監督(中学3年時) • 親の愛着(中学3年時) • セルフコントロール(質問項目24項目) • 犯罪類似行動(高校のとき、この一年間) • 犯罪機会(高校のとき、ここ一年間)
衝動性 単純な課題を好む 危険を求める 身体的活動性 自己中心性 かんしゃく 検証的因子分析 次のスライドの図 適合度は良くない ↓ 1次元性は否定される? 結果(1)SCの1次元性
.79 .31 .23 .06 .28 カイ2乗=61.740 自由度=9 確率水準=0.000 GFI=0.906 AGFI=0.782 RMSEA=0.179 .27
SCの要素の犯罪類似行動への影響 • 重回帰分析 • 従属変数:犯罪類似行動 • 独立変数:SCの6要素 • 各要素に割り当てられた項目の回答値を加算して得られた尺度 • 犯罪類似行動 • 全体 • 暴力犯罪、詐欺犯罪、無分別な行動
有意な要素 b,dの効果なしと判断 ↓ 残りの4要素の項目の得点を合計 =低セルフコントロール改 4尺度で検証的因子分析 次のスライドの図 ・適合度は良い ・4要素の1次元性が示された
.55 .39 .33 カイ2乗=0.447 自由度=2 確率水準=0.800 GFI=0.999 AGFI=0.994 RMSEA=0.000 .35
親の監督、親の愛着の2尺度間に意味的な重なりがある親の監督、親の愛着の2尺度間に意味的な重なりがある (相関=0.502) 結果(2)親の養育態度→SC
結果(3)SC尺度→犯罪類似行動 • 重回帰分析 • 従属変数:犯罪類似行動 • 独立変数: • 低セルフコントロール改 • 犯罪機会 • 低セルフコントロール改と犯罪機会の交互作用 • 親の養育態度(監督+愛着) • 年齢 • 性別
有意な尺度 ・1,2の影響はある ・3の影響があるかどうか ということは明確には言えない ・どのグループでも、回帰係数は 低SC < 犯罪機会 ↓ SCの高低に関わらず、犯罪機会があれば犯罪の原因となり得る
結論 • 低セルフコントロールの6要素の1次元性は支持されない • 低セルフコントロールは親の養育態度(愛着と監督)によって形成される • 低セルフコントロール、犯罪機会は犯罪類似行動を予測する • それらの交互作用については支持できない
3.(2)西村さんの卒論 • 検討する内容 1.犯罪促進要因と犯罪抑制要因の交互作用 • 犯罪促進要因:低セルフコントロール • 犯罪抑制要因:道徳観、失望感、自己受容、両親との愛着、犯罪の容易さ、遵法、学校成績 2.セルフコントロール構成要素の追試 • 村上さんの結果から • 6要素から「単純な課題を好む」と「身体的活動性」を抜いた4要素が1次元で表されるかどうか
方法 • 回答者 • 内部データ • 大阪大学301人(男性180人、女性121人) • 外部データ • 梅田、難波の夜の繁華街162人(男性86人、女性76人) • 質問紙 • セルフコントロール尺度16項目 • 村上さんの24項目-8項目(「単純な課題を好む」、「身体的活動性の項目を除く」) • 犯罪抑制要因 • 犯罪類似行動 • 全体 • 詐欺、窃盗、暴力、無分別な行為
結果 • SCの1次元性について • 4要素の1次元性が示された • 犯罪促進要因と犯罪抑制要因の交互作用 • 分散分析 • 外部データ • 交互作用は見られなかった • 内部データ • 交互作用有意:犯罪類似行動全体、詐欺 • 交互作用がある傾向:暴力、無分別な行動 • 交互作用なし:窃盗
3.(3)松田さんの卒論 • 検討する内容 1.セルフコントロール尺度の因子構造 2.セルフコントロール尺度への社会的望ましさの影響 3.家庭環境とセルフコントロールのレベルとの関連 4.低セルフコントロールと犯罪および犯罪類似行動の頻度の関連 *今回見るのは1と4
方法 • 回答者 • 大学生235人(男性78人、女性157人) • 質問紙 • セルフコントロール尺度(24項目) • 犯罪、犯罪類似行動 • 詐欺、暴力、無分別な行動 • 社会的望ましさ尺度 • 社会規範に従って応答しようとする傾向(必ずしも意図的、故意ではない)
結果(1)SC尺度の因子構造 • 探索的因子分析 • 6因子構造衝動性、単純な課題を好む、危険を求める、身体的活動性、自己中心性、かんしゃく • 検証的因子分析 • 6因子でCFA(仮説モデル) →適合度悪い • モデル修正 (最終モデル) *本研究の目的×SC尺度の尺度構成 ○項目間の関連、因子構造の検討 ↓ 単純構造を崩すパスでも、その意味が解釈可能であれば許容した
適合度は悪い ↓ SCの1次元性は否定される *F2,F4については注意が必要 • 6つの要素の1次元性についての検討 • 最終モデルの因子間相関を用いて、最尤法による探索的因子分析
結果(2)低SCと犯罪類似行動との関連 • 仮説:6つの要素から犯罪・犯罪類似行動に対して、正の影響がある
低SC要素の中でも、「危険を求める」が犯罪・犯罪類似行動に最も関連の強いものであると考えられる低SC要素の中でも、「危険を求める」が犯罪・犯罪類似行動に最も関連の強いものであると考えられる
結論 • セルフコントロール尺度は6因子構造である • 想定外の因子から影響を受けている項目もある • 1次元性は否定される • 低SCと犯罪類似行動の関連 • 罪種によって影響する要素が異なる • 「犯罪の原因は個人のSCの低さにある」(Gottfredson&Hirschi,1990)という主張を部分的に支持する
犯罪の基礎理論 • 「低セルフコントロール」については説明済 • 性別と犯罪と低セルフコントロール • 5ページくらいしか書かれてないんですが 人種間、地域間、男女間の犯罪率の相違 →それぞれのセルフコントロールの差異 • 公式統計、過去の研究 • 過去の理論 • セルフコントロール理論
犯罪率の性差 • 犯罪の差 • 性別特有の犯罪 • 強姦、売春など または • 犯罪機会の差 • ほとんどの非行が親の直接監督のない所に発生する • 親の監督がないこと→犯罪機会の発生 • 女子の方が厳重に監督される→犯罪機会が少ない *先行研究ではこの仮説が一般的
直接監督説は正しいのか? • 親から平等に監督された男女間にも、犯罪率に差がある このような差が現れるのは男女でSCが異なるから
監督≠社会化 • 社会コントロールとセルフコントロールが、犯罪の見込みに独立の効果を持つ • 社会コントロール=親の監督 • 外的なもの • セルフコントロール=社会化 • 反非行の態度と行動、内的なもの
男女で親の監督が違っても、反非行の態度(=SC)は同じように育つ男女で親の監督が違っても、反非行の態度(=SC)は同じように育つ • 非行と関係する変数 • 親への愛着欠如など • 非行を抑止する変数 • 学業的野心、良い成績、「犯罪は悪」という信念 • これらは男女で共通 • ただし、男女でSCの内容が同じでも、その程度が異なる→犯罪の性差
犯罪率の性差は • 犯罪の差 & • セルフコントロールの差
犯罪性と関連 セルフコントロールの発達 • 性同一性の形成 • 3歳くらいまで • 養育者(主に母親)との相互作用の中で • 女児:母親との親密さ • 分離によって脅かされる • 男児:母親と自分を分離 • 親密さによって脅かされる ↓ • 女児 • 他人への愛着、共感 • 男児 • 他人と自分の区別 *犯罪性=暴力や不正手段を使う傾向
性同一性の強化 • 思春期 • 親の監視、コントロール • 期待される性役割 • 女子 • 性別の規範を内面化させやすい →セルフコントロールへ組み込む →犯罪性の低下 • 犯罪性の差=SCの差 • 犯罪性 男>女 • SC 男<女 これが男女で異なる
卒論に繋げる • 犯罪の性差 • セルフコントロールの差(男<女) • 犯罪(類似行動)の差(男>女) • 外的コントロールのSCへの組み込み方 • 親の監視、コントロールの違い • 期待される性役割の違い • それらがSCに与える影響の違い • SCが犯罪(類似傾向)に与える影響の違い
性役割 親の監視 低SC 犯罪 ・親の監視、性役割の違い ・それらがSCに与える影響の違い ・SCの違い (SCの一次元性) ・SCが犯罪率に与える影響の違い ・犯罪率の違い
次回予告 • 7月8日 質問紙構成大会 • セルフコントロール • 社会コントロール • 親の監視 • 期待される性役割 • 社会コントロールに入れるべき? • 犯罪類似行動
反省・感想 • 紹介しすぎ • まとまりがなくてごめんなさい • 「犯罪の基礎理論」の訳者の問題 • 日本語の意味がわからん • 先行研究をもっと探す • 因子分析、SEMの勉強 • 版権問題が怖い