440 likes | 503 Views
OUG ライフサイエンス分科会 診療ガイドラインとこれをめぐる話題. (財)国際医学情報センター 鈴木博道. 平成 14 年 12 月 19 日(木) 14 : 00 ~ 16 : 00 於ファイザー製薬株式会社会議室. ガイドラインとは. 絶対守らねばならない法律ではない あれば便利という「手すり」のようなもの. 臨床判断を支援するもの. 目的は医療の質の改善 ガイドラインが有効かどうかの評価も必要. ガイドラインの種別. Informal Consensus Development Formal Consensus Development
E N D
OUGライフサイエンス分科会診療ガイドラインとこれをめぐる話題OUGライフサイエンス分科会診療ガイドラインとこれをめぐる話題 (財)国際医学情報センター 鈴木博道 平成14年12月19日(木)14:00~16:00 於ファイザー製薬株式会社会議室
ガイドラインとは 絶対守らねばならない法律ではない あれば便利という「手すり」のようなもの 臨床判断を支援するもの 目的は医療の質の改善 ガイドラインが有効かどうかの評価も必要
ガイドラインの種別 • Informal Consensus Development • Formal Consensus Development • Evidence-based Guideline Development • Explicit Guideline Development
ガイドライン作成手順 リサーチクエスチョン作成 文献検索・収集・選択 アブストラクトフォーム作成 アブストラクトテーブル作成 サイエンティフィックステートメント作成 推奨(リコメンデーション)作成
EBMの必要性 われわれは臨床上疑問に思うことが数多くある 例:大腿骨頸部骨折は緊急手術をすべきか? アスピリンはDVT予防に有効か? 患者・家族からの質問に的確に答えたい 例:先生、人工骨頭は永久には保たないと伺いましたが 平均何年保つのでしょうか
Evidence-basedなガイドラインのサンプル形式(1)「科学的根拠に基づく白内障診療ガイドラインの策定に関する研究」より抜粋Evidence-basedなガイドラインのサンプル形式(1)「科学的根拠に基づく白内障診療ガイドラインの策定に関する研究」より抜粋 3.術後管理 術後薬物療法 推奨(Recommendation) a 術後炎症の発生予防にステロイドの使用が推奨される(グレードB)。 b 術後炎症・黄斑浮腫の発生予防にジクロフェナックナトリウムの使用が推奨される(グレードB)。 c 術後炎症の発生予防にブロモフェナックナトリウムの使用が推奨される(グレードB)。 Scientific Statement 白内障術後炎症、黄斑浮腫はステロイドや非ステロイド系消炎剤の点眼で抑制できる1-9)(I-Ⅳ)。非ステロイド系消炎剤の中でもジクロフェナックナトリウムの術後点眼はステロイド点眼と同様に術後炎症を抑える作用があり術後フレア値、前房内細胞数、視力、眼圧に差はなかった1,4,10)(III)。術後早期ではジクロフェナックナトリウムのほうが術後フレア値が低い報告もある11-13)(III)。術後黄斑浮腫はジクロフェナックナトリウムを使用したほうが発生頻度が低く、血液房水柵破錠の指標であるフレア値と相関する12,14,15)(II-III)。ジクロフェナックナトリウムの副作用については認めなかった報告1)(III)と角膜炎を起こすという報告11)(III)がある。ブロモフェナックナトリウムは白内障術後炎症を低下させる16)(III)。 1) 11937Reddy MS, Suneetha N, Thomas RK, Battu RR: Topical diclofenac sodium for treatment of postoperative inflammation in cataract surgery. Indian J Ophthalmol 48 (3): 223-226, 2000 2) 12006Missotten L, Richard C, Trinquand C: Topical 0.1% indomethacin solution versus topical 0.1% dexamethasone solution in the prevention of inflammation after cataract surgery. The Study Group. Ophthalmologica 215 (1): 43-50, 2001
Evidence-driven questions Level Ⅰ Level Ⅱ Level Ⅲ Level Ⅳ Level Ⅴ Necessity-driven questions
今回のガイドライン作成手順 章・節・項(RQ)の設定 文献検索・選択・収集 批判的吟味・アブストラクトフォーム作成 Scientific Statement 作成 推奨(Recommendation)作成
今回のガイドライン作成手順 章・節・項(RQ)の設定 文献検索・選択・収集 批判的吟味・アブストラクトフォーム作成 Scientific Statement 作成 推奨(Recommendation)作成
アブストラクトフォーム入力項目の例 ( 診療ガイドライン作成の手順【ver.4.3】より )アブストラクトフォーム入力項目の例 ( 診療ガイドライン作成の手順【ver.4.3】より ) A:書誌情報(バンクーバースタイルにしたがって記す) ・タイトル ・著者名 ・雑誌名,巻:頁 B:構造化抄録 ・目的 ・研究デザイン ・研究施設 ・対象患者 ・介入 ・主要評価項目とそれに用いた統計学的手法 ・結果 ・結論 C:アブストラクターのコメント(末尾に署名を入れる) ・コメント *大腿骨頸部骨折ガイドラインでは、上記に研究期間、症例数、脱落率、対象人種を追加
Evidence-basedなガイドラインのサンプル形式(2)「科学的根拠に基づく白内障診療ガイドラインの策定に関する研究」より抜粋Evidence-basedなガイドラインのサンプル形式(2)「科学的根拠に基づく白内障診療ガイドラインの策定に関する研究」より抜粋
今回のガイドライン作成手順 章・節・項(RQ)の設定 文献検索・選択・収集 批判的吟味・アブストラクトフォーム作成 Scientific Statement 作成 推奨(Recommendation)作成
Evidence-basedなガイドラインのサンプル形式(1)「科学的根拠に基づく白内障診療ガイドラインの策定に関する研究」より抜粋Evidence-basedなガイドラインのサンプル形式(1)「科学的根拠に基づく白内障診療ガイドラインの策定に関する研究」より抜粋 3.術後管理 術後薬物療法 推奨(Recommendation) a 術後炎症の発生予防にステロイドの使用が推奨される(グレードB)。 b 術後炎症・黄斑浮腫の発生予防にジクロフェナックナトリウムの使用が推奨される(グレードB)。 c 術後炎症の発生予防にブロモフェナックナトリウムの使用が推奨される(グレードB)。 Scientific Statement 白内障術後炎症、黄斑浮腫はステロイドや非ステロイド系消炎剤の点眼で抑制できる1-9)(I-Ⅳ)。非ステロイド系消炎剤の中でもジクロフェナックナトリウムの術後点眼はステロイド点眼と同様に術後炎症を抑える作用があり術後フレア値、前房内細胞数、視力、眼圧に差はなかった1,4,10)(III)。術後早期ではジクロフェナックナトリウムのほうが術後フレア値が低い報告もある11-13)(III)。術後黄斑浮腫はジクロフェナックナトリウムを使用したほうが発生頻度が低く、血液房水柵破錠の指標であるフレア値と相関する12,14,15)(II-III)。ジクロフェナックナトリウムの副作用については認めなかった報告1)(III)と角膜炎を起こすという報告11)(III)がある。ブロモフェナックナトリウムは白内障術後炎症を低下させる16)(III)。 1) 11937Reddy MS, Suneetha N, Thomas RK, Battu RR: Topical diclofenac sodium for treatment of postoperative inflammation in cataract surgery. Indian J Ophthalmol 48 (3): 223-226, 2000 2) 12006Missotten L, Richard C, Trinquand C: Topical 0.1% indomethacin solution versus topical 0.1% dexamethasone solution in the prevention of inflammation after cataract surgery. The Study Group. Ophthalmologica 215 (1): 43-50, 2001
今回のガイドライン作成手順 章・節・項(RQ)の設定 文献検索・選択・収集 批判的吟味・アブストラクトフォーム作成 Scientific Statement 作成 推奨(Recommendation)作成
Evidence-basedなガイドラインのサンプル形式(1)「科学的根拠に基づく白内障診療ガイドラインの策定に関する研究」より抜粋Evidence-basedなガイドラインのサンプル形式(1)「科学的根拠に基づく白内障診療ガイドラインの策定に関する研究」より抜粋 3.術後管理 術後薬物療法 推奨(Recommendation) a 術後炎症の発生予防にステロイドの使用が推奨される(グレードB)。 b 術後炎症・黄斑浮腫の発生予防にジクロフェナックナトリウムの使用が推奨される(グレードB)。 c 術後炎症の発生予防にブロモフェナックナトリウムの使用が推奨される(グレードB)。 Scientific Statement 白内障術後炎症、黄斑浮腫はステロイドや非ステロイド系消炎剤の点眼で抑制できる1-9)(I-Ⅳ)。非ステロイド系消炎剤の中でもジクロフェナックナトリウムの術後点眼はステロイド点眼と同様に術後炎症を抑える作用があり術後フレア値、前房内細胞数、視力、眼圧に差はなかった1,4,10)(III)。術後早期ではジクロフェナックナトリウムのほうが術後フレア値が低い報告もある11-13)(III)。術後黄斑浮腫はジクロフェナックナトリウムを使用したほうが発生頻度が低く、血液房水柵破錠の指標であるフレア値と相関する12,14,15)(II-III)。ジクロフェナックナトリウムの副作用については認めなかった報告1)(III)と角膜炎を起こすという報告11)(III)がある。ブロモフェナックナトリウムは白内障術後炎症を低下させる16)(III)。 1) 11937Reddy MS, Suneetha N, Thomas RK, Battu RR: Topical diclofenac sodium for treatment of postoperative inflammation in cataract surgery. Indian J Ophthalmol 48 (3): 223-226, 2000 2) 12006Missotten L, Richard C, Trinquand C: Topical 0.1% indomethacin solution versus topical 0.1% dexamethasone solution in the prevention of inflammation after cataract surgery. The Study Group. Ophthalmologica 215 (1): 43-50, 2001
Levels of Evidence (情報の質) I 1a ランダム化比較試験のシステマティックレビュー 1b 個々のランダム化比較試験(狭い信頼区間を伴う) 1c 治療群以外全てが亡くなっている場合(all)または治療群は全 て生存している場合(none) II 2a コホート研究のシステマティックレビュー 2b 個々のコホート研究(質の低いランダム化比較試験を含む; 例:経過観察が80%以下) 2c アウトカム研究 III 3a ケース・コントロール研究のシステマティックレビュー 3b 個々の ケース・コントロール研究 IV ケース・シリーズ (または質の低いコホート研究、ケース・コント ロール研究) V 明確な批判的吟味のない、または生理学、基礎実験に基づく専 門家の意見 Centre of Evidence-Based Medicine 1998
推奨の強さ A:行うことを強く推奨 結果が一貫したLevel 1の試験が多数ある場合 B:行うことを推奨 結果が一貫したLevel 2,3の試験がある、あるいは Level 1の 試験から結果が外挿できる場合 C:推奨する根拠がはっきりしない Level 4の試験がある、あるいはLevel 2、3の試験から結果が 外挿できる場合 D:行わないよう勧められる Level 5の試験がある、あるいは levelに係わらず結果が一貫 しない場合
(1) ガイドラインの目的が明確に述べられている(1) ガイドラインの目的が明確に述べられている (2) ガイドラインの作成理由と基本原理、重要性が記載されて いる (3) ガイドライン作成委員とその専門分野が記載されている (4) 対象となるテーマ(健康問題、医療技術など)が明確に定義 されている (5) 対象となる患者集団が特定されている (6) 想定している読者、使用者が特定されている (7) 診断や治療、予防に関する選択肢が利用可能で主要なもの を網羅している (8) 予期される健康上のアウトカムが記載されている (9) 作成したガイドラインの外部評価の結果が記載されている (10) 有効期限若しくは改訂の予定を記載している yes/no yes/no yes/no yes/no yes/no yes/no yes/no yes/no yes/no yes/no 診療ガイドラインの質の評価 I.ガイドラインの作成方法と様式について
(11) エビデンスの検索方法を明示している(11) エビデンスの検索方法を明示している (12) どの時期(期間)のエビデンスを検索したのかを記載して いる (13) エビデンスを引用し、参考文献として列挙している (14) データを抽出した方法を示している (15) エビデンスのグレードのつけ方、分類方法を記載している (16) エビデンスや専門家の意見をフォーマルな方法で統合し、 その方法を記載している (17) 診療行為の利得と害を記載している (18) 利得と害が定量的に記載されている (19) 診療行為のコストへの影響が記載されている (20) コストが定量的に示されている yes/no yes/no yes/no yes/no yes/no yes/no yes/no yes/no yes/no yes/no 診療ガイドラインの質の評価 II.エビデンスの検索・要約について
(21) 勧告を作成する際の価値判断が明示されている(21) 勧告を作成する際の価値判断が明示されている (22) 患者の意向が考慮されている (23) 勧告が具体的で、ガイドラインの目的に沿っている (24) 勧告がエビデンスの質に応じてグレード付けされている (25) 勧告が柔軟性のある内容となっている yes/no yes/no yes/no yes/no yes/no 診療ガイドラインの質の評価 III.勧告の作成方法について Terrence M. Shaneyfeltら提唱 (JAMA 1999;281:1900-5)
厚生労働科学研究費による診療ガイドラインの研究課題一覧厚生労働科学研究費による診療ガイドラインの研究課題一覧 平成11年度開始分 (計5課題) ○ 本態性高血圧症 ○ 糖尿病 ○ 喘 息 ○ 急性心筋梗塞 ○ 前立腺肥大症及び 女性尿失禁 → 完成 平成12年度開始分 (計7課題) ○ 白内障 ○ 胃潰瘍 ○ くも膜下出血 ○ 腰痛症 ○ アレルギー性鼻炎 → 完成 ○ 脳梗塞 ○ 慢性関節リウマチ → 14年度完成 予定 平成13年度開始分 (計4課題) ○ 肺がん ○ 乳がん ○ 胃がん ○ アルツハイマー病 → 14年度完成 予定 平成14年度開始分 (計4課題) ○ 脳出血 ○ 椎間板ヘルニア ○ 大腿骨頸部骨折 ○ 肝ガン → 15年度完成 予定