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滑膜肉腫の新たな組織亜型の報告とそのタンパク発現プロファイル

【 はじめに 】  滑膜肉腫は 15 歳~ 40 歳と比較的若い人にできる傾向がある、悪性の腫瘍です。四肢(特に膝付近に多い)などの軟部組織(内蔵などを除いた部分)に発生することが多いとされています。腫瘍の発育は比較的遅いのですが、悪性度は高く、5年生存率は50%以下といわれています。組織学的には、上皮様細胞成分と紡錘形細胞成分が混じる二相性の構造を示し、上皮性マーカーが陽性となるのが特徴的ですが、そのどちらかのみ(紡錐形細胞成分のみのことが多い)の単相性のタイプや、どちらとも判別のつかない未分化なタイプのものも存在します。

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滑膜肉腫の新たな組織亜型の報告とそのタンパク発現プロファイル

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Presentation Transcript


  1. 【はじめに】  滑膜肉腫は15歳~40歳と比較的若い人にできる傾向がある、悪性の腫瘍です。四肢(特に膝付近に多い)などの軟部組織(内蔵などを除いた部分)に発生することが多いとされています。腫瘍の発育は比較的遅いのですが、悪性度は高く、5年生存率は50%以下といわれています。組織学的には、上皮様細胞成分と紡錘形細胞成分が混じる二相性の構造を示し、上皮性マーカーが陽性となるのが特徴的ですが、そのどちらかのみ(紡錐形細胞成分のみのことが多い)の単相性のタイプや、どちらとも判別のつかない未分化なタイプのものも存在します。  滑膜肉腫の治療においては、化学療法(抗がん薬)や放射線療法の有効性を示すデータが確立されておらず、手術による治療が主体となります。しかし広範切除という方法で完全に摘出できた患者さんでも、再発したり転移したりすることがあります。  近年、滑膜肉腫の細胞に特異的な染色体転座があること、またそれに伴って二つの遺伝子がくっつくことで腫瘍化を促進するような働きをもつ「キメラ遺伝子(融合遺伝子)」を持っていることが判明しました。このキメラ遺伝子はSS18-SSX (SYT-SSX)と呼ばれており、RT-PCR方法を用いて検出すると、滑膜肉腫の症例のうち90%以上の症例でSS18-SSX1もしくはSS18-SSX2が陽性となるため、この遺伝子検査が診断に非常に役立っています。  しかし、このキメラ遺伝子が実際にどういう働きをしているかははっきり解っていません。また、滑膜肉腫の発生起源や分化の性質も解明されておらず、WHO(世界保健機構)の分類でも、「Miscellaneous Soft Tissue Tumors (「その他」の軟部腫瘍)」に分類されています。(「滑膜」肉腫という名前がついてはいますが、関節の中にある滑膜組織とは関係ありません。)  本研究では滑膜肉腫の中に新たな亜型がある事を報告し、その形態とタンパク発現パターンを解析します。 【対象】  当研究は、 1960年から2010年8月31日までの間に当院形態機能病理学教室において滑膜肉腫、神経分泌性腫瘍、性索間質腫瘍と診断された方の組織標本を対象に研究を行います。対象者になることを希望されない場合は、下記連絡先まで連絡をお願いいたします。 滑膜肉腫の新たな組織亜型の報告とそのタンパク発現プロファイル 【研究内容】  九州大学形態機能病理学教室において診断された滑膜肉腫の標本を使って、新たに見出された亜型や、その性質を示す腫瘍がどの程度の頻度で存在するかを検討します。(図1、図2)また、従来の分類との蛋白発現パターンの比較、キメラ遺伝子の有無の検索を行います。  標本は治療や診断のために採取されており、この研究を行うことで患者さんに日常診療以外の負担は生じていません。 【患者様の個人情報の保護について】  本研究では個人情報漏洩を防ぐため、氏名、カルテ番号などの個人を特定できる情報を削除し、匿名化した上で、データの数字化などの厳格な対策を取っています。本研究の実施過程及びその結果の公表(学会や論文等)の際には、患者さんを特定できる情報は一切含まれません。  【研究期間】 2010年 当院研究倫理審査委員会による承認日から 2014年 3月31日まで。 【医学上の貢献】  滑膜肉腫における新たな亜型を報告することで病理診断の鑑別に寄与することができます。また、その性質を解析することが腫瘍化のメカニズムの解明につながる可能性があります。 【研究機関】  九州大学大学院 形態機能病理  教授   小田 義直  大学院生  薛 宇孝 連絡先:〒812-8582 福岡市東区馬出3-1-1 Tel 092-642-6061  担当: 薛 宇孝 図1.典型的な二相性滑膜肉腫の組織像 紡錘形細胞と腺管様構造が隣接している  図2.顆粒状の細胞質を有する大型の 上皮様細胞を認める、非典型的な症例 

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