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全球海上風・海面応力格子データセットの 構築および精度検証と 大気・海洋相互作用研究への応用. 指導 轡田 邦夫教授 5AOOM009 森本 直樹. 海上風による海面応力⇒ 海洋へ運動量を輸送⇒ 海洋表層を駆動(風成循環流) 海上風 ⇔ 海流 :風成大循環理論・・・ Sverdrup(1947) 高空間解像度を有する海上風データセット ⇒ 衛星データ 、 数値気象予報 (NWP) データ. Aqua/AMSR-E. ADEOS-2/SeaWinds. ERS-1&2. ADEOS-1/NSCAT. QSCAT/SeaWinds.
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全球海上風・海面応力格子データセットの 構築および精度検証と 大気・海洋相互作用研究への応用 指導 轡田 邦夫教授 5AOOM009 森本 直樹
海上風による海面応力⇒ 海洋へ運動量を輸送⇒ 海洋表層を駆動(風成循環流)海上風による海面応力⇒ 海洋へ運動量を輸送⇒ 海洋表層を駆動(風成循環流) 海上風 ⇔ 海流 :風成大循環理論・・・Sverdrup(1947) 高空間解像度を有する海上風データセット ⇒ 衛星データ 、 数値気象予報(NWP)データ Aqua/AMSR-E ADEOS-2/SeaWinds ERS-1&2 ADEOS-1/NSCAT QSCAT/SeaWinds 1990 2000 背景 衛星データ ・海上風観測衛星は1990年代から現在まで、連続したデータを提供 衛星観測海上風データから全球海上風・海面応力格子データを構築 J-OFURO【Japanese Ocean Flux data sets with Use of Remote sensing Observations】 各種熱Fluxデータと共に継続して構築・配布(Kubota to al., 2002) NWPデータ ・現場観測・衛星データを取り込み、仮想大気の場から海上風・海面応力を算出 データに欠測が無く、期間が長い ⇒ 長期変動解明、海洋大循環モデルの駆動力に多く使用。 過去、衛星・NWPデータを使用した研究 ・Wunsh(1998) ・・・ 南極周極流にて複数の衛星・NWPデータからSv流量を算出し、 海上風による運動量輸送の重要性を報告。 ・Qiu and Chen(2006) ・・・ NWPデータを大循環モデルの駆動力とし、 黒潮続流域の亜熱帯モード水変動を解析
衛星データ ・・・ マイクロ波散乱強度から、間接的に風速・風向を決定衛星データ ・・・ マイクロ波散乱強度から、間接的に風速・風向を決定 NWPデータ ・・・ 現場や衛星観測データを取り込んだ、仮想大気の場から算出 ⇒現実の場を再現している保障は無い。 衛星・NWPデータの精度検証の必要性 現場観測データ(船舶・ブイ)との精度検証が必要 過去の海上風・海面応力精度検証を行った研究 ・ Ebuchi et al(1996) ・・・ 衛星観測データとブイデータとの精度検証 ・ Kutsuwada(1998) ・・・ 衛星格子データセットの作成とブイデータとの精度検証 ・ Bourassa et al(2002) ・・・ 太平洋中緯度での 衛星観測データと船舶観測データとの精度検証 ・ 笠原ほか(2003) ・・・赤道・アメリカ沿岸ブイデータと 衛星格子・NWPデータの精度検証および、 中・高緯度でのデータセット間の相互比較
NDBC TAO/TRITON PIRATA 衛星・NWPデータの精度検証において 衛星データに比べ、NWPデータはブイとの系統・ランダム誤差が大きい データセットの相互比較 しかし、 ・ブイは赤道に集中 ・船舶観測は期間・海域が様々 現場観測データの少ない中・高緯度では、現場データとの比較が困難 ⇒ 各データセット間の相互比較 笠原(2004)による相互比較結果 ① ② (a) 衛星データ:QSCAT/J-OFURO NWPデータ:NRA-1 ⇒海上風、海面応力にて QSCAT/J-OFURO< NRA-1 (b) 図 ①: 海上風東西成分の2000年平均場 (a):QSCAT/J、(b):NRA-1 図 ②: 2000年での緯度平均した東西成分海上風の南北プロファイル
新たなNWPデータ NRA-1・・・アメリカNCEP/NCARが作成、配布しているNWPデータ 近年、NRA-1に存在した既知のエラーを修正した、「NRA-2」データを作成・配布 しかし、NRA-2データは、 「次世代データとして考えておらず、いくつかの要素はNRA-1よりも良くない可能性がある。NRA-1と2の二つを継続して作成していくことにより、比較を簡単に行える。」 (Kanamitsu et al., 2002) ⇒NRA-2データ傾向の把握のため、精度検証が必要 新たな現場観測データ Kuroshio Extension Observatory(KEO) ブイ ・・・ 近年、NOAA/PMELが北西太平洋黒潮続流域にブイを設置。 ・期間:2004年6月16日 ・位置:144.5oE-32.3oN ⇒現場観測データが少ない太平洋中緯度での精度検証が可能。
近年新たに設置されたKEOブイを利用し、 これまで困難であった太平洋中緯度の衛星・NWPデータの精度検証を行う。 新たに作成されたNRA-2データセットの傾向把握、また、衛星・ブイの期間が延長していることから、赤道ブイを中心とする現場観測データとの精度検証を行い、再度精度を確認、NRA-2を含めた相互比較を行う。 ⇒データセット選択の指標・注意を喚起 新たに作成、精度を検証した高解像度衛星データを用いて、 近年注目される、海洋から大気への作用検出を試みる ① ・・・ ② ・・・ ③ ・・・ 目的 使用データ 衛星格子データ ・QSCAT/J-OFURO ・QSCAT/IFREMER ・QSCAT/LEVEL-3 NWPデータ ・NRA-1 ・NRA-2 ⇒主な違いは格子作成方法 J-OFURO・・・荷重平均法(Kutsuwada,1998) IFREMER・・・最適内挿法 LEVEL-3・・・単純平均 海面応力データはNCEPから提供されるMomentum Fluxを使用 以後それぞれ、NRA-1/FLUX、NRA-2/FLUXと記す
太平洋中緯度において KEO・太平洋NDBCブイとの比較結果から ・QSCAT/J-OFURO ・・・ 平均差≒0 ・NRA-1 ・・・ 海上風・海面応力を過大評価 ・NRA-2 ・・・ 海面応力を過大評価>NRA-1 中緯度外洋にて、データ間の相互比較 QSCAT/J-OFURO NRA-2/FLUX NRAデータは中緯度の広域で海上風・海面応力を過大評価 a b 結果②を含め、太平洋・大西洋にて ・南北成分を顕著に過大評価 ・KEO比較結果と傾向一致 ⇒KEOブイ測点は中緯度評価に重要 130E-140W海域平均した海面応力南北プロファイル(a:東西、b:南北)
太平洋中緯度において KEO・太平洋NDBCブイとの比較結果から ・QSCAT/J-OFURO ・・・ 平均差≒0 ・NRA-1 ・・・ 海上風・海面応力を過大評価 ・NRA-2 ・・・ 海面応力を過大評価>NRA-1 Curl-tauを算出し比較 NRA-2・FLUX QSCAT/J-OFURO NRAデータはCurl-tauを過大評価 NRAデータのCurl-tau過大評価は Sverdrup流量にも影響(Aoki and Kutsuwada,2007) データの信頼性⇒継続的な精度検証・相互比較
ブイとの精度検証・相互比較の結果 ・QSCAT/J-OFURO ・・・ 海上風・海面応力を精度良く評価 ・NRA-1 ・・・ 海上風・海面応力を過大評価⇒ 過去の比較と一致 ・NRA-2 ・・・ ①・②結論 ・東西成分FLUX平均差 >NRA-1 ・海上風平均差 < NRA-1 ・RMSD> NRA-1 ⇒スペクトル解析により、ブイとの変動が大きく異なる NRA-1⇒NRA-1/FLUX NRA-2⇒NRA-2/FLUX ⇒それぞれデータの傾向が違う NRA-2/FLUXの東西成分平均差が大 ≠ a b データ選択に注意 ⇒海上風に対する海面応力の傾きが大きい>NRA-1 図:縦軸NRA/FLUX、横軸NRA海上風 (a:NRA-1、b:NRA-2)
衛星・NWPデータの大気海洋相互作用への応用 近年、衛星・NWPデータを利用した、新たな大気海洋相互作用現象が報告 Chelton(2004) ・・・ Gulf-Stream海域にて、海面水温高温域と正のCurl-tauが正相関 Xie(2004) ・・・ 黒潮続流域にて、海面水温と海上風速が正の関係 従来の大気⇒海洋への作用とは逆の関係 海洋から大気への作用のメカニズム ・従来 ・・・ 海上風 ⇒ 風成循環流 = 大気から海洋への作用(総観規模現象) ・近年 ・・・ 海洋から大気への作用(局所的現象) 海面水温の高い海域では、海洋からの蒸発によって鉛直混合が発生、大気上方から下方に運動量が輸送され、海上風が強化される 海洋⇒大気への作用 海上風は大気上方につれ て指数関数的に上昇 Curl-tau>0
(c) (a) (b) 海洋⇒大気への作用解明・・・高解像度データが必要 高解像度データの必要性 Chelton(2004)より High-pass Curl-tau & SST (a):QSCAT/Curl-tau (b):NRA-1/Curl-tau (c):SST(Color)、Tau(Vector) ・格子間隔の粗い海上風データを使用した場合、 局所的な現象である海洋⇒大気への作用検出が困難 ・大循環モデルの駆動力に入力される海上風において、 入力する海上風データの特性により、結果に差異が生じる ⇒ データセットの特性把握・選択が必要 ← 精度検証 信頼性ある、高空間解像度データが必要
高解像度QSCAT/J-OFUROデータを用いて、海洋から大気への作用検出高解像度QSCAT/J-OFUROデータを用いて、海洋から大気への作用検出 結果③ 高解像度データの大気海洋相互作用現象への応用として 使用データ <海上風> ・QSCAT/J-OFURO ・・・ 局所的な現象検出のため、格子間隔を0.5°とした ・Aqua/AMSR-E ・・・ 衛星観測海上風速のみ(風向は観測していない) RSSより取得。0.25°格子、期間:2002年~ <海面水温> ・MergedSST・・・東北大学大気海洋センターより取得。 0.005°格子、日本近海のみ、期間2003/6~ ・TRIMM/TMI・・・RSSより取得、0.25°格子、期間:1998年~ 海面水温データ処理 ・それぞれの緯度により、緯度平均値からの偏差を算出 ⇒総観規模の海面水温場を除去
1年平均場にて海洋⇒大気への現象を検出 J-OFUROによるCurl-tau・海上風速(Contour)とMergedSST海面水温偏差(Color) ⇒同海域の3ヶ月平均場にて検出を試みるが、季節的な特性は把握できず Xie(2004)より、3ヶ月平均場、局所的に現象検出が報告 Chelton(2004)より、海面水温勾配が大きい海域は作用が大 ⇒期間の長いTMI海面水温にて、海域・季節依存性特定のため 海域を限定して月ごとにAMSR-E海上風と比較(小山,2007) 季節によらず、正の関係が検出。しかし、特定の月では低相関 ⇒季節風の卓越により大気⇔海洋現象が卓越、検出困難 Xie(2004) より 上:海面水温(℃)、 下:海上風速(m/s) (2001年4-7月平均場)
<海洋⇒大気への作用検出への応用> ・高解像度J-OFUROデータセットは、現象把握に有効 ⇒NRAデータでは、格子間隔の粗さから検出が困難 ・黒潮続流域では、季節依存性なく現象検出 ⇒海面水温勾配の高い海域では、高い正の関係 ・季節風が卓越する時期は大気⇒海洋への現象も活発、 海洋⇒大気への作用のみ検出は困難 ③結論 <今後の課題> ・海上風のHigh-passフィルター方法 ⇒Chelton(2004)と同様? ・海面水温勾配による比較 ⇒海面水温High-passフィルターは緯度平均からの偏差でよいか?
・衛星格子データの異常日 KEOブイとの比較過程にて、QSCATデータにブイと正負(風向)が逆転する日が存在。 付録 ⇒QSCAT/SeaWindsの観測がKEO上で少ない +風向が1日のうちに大きく変化 ⇒J-OFURO、IFREMERは異常日が異なる QSCATデータのKEOブイとの異常日 ○:異常日 ●:QSCAT/J-OFURO1度格子のみ異常日 △:ブイ海上風と5m/s以上差がある ×:異常日ではない
衛星観測個数の問題 ・北半球中緯度は、全球において観測数が少ない(a) ・QSCAT/SeaWindsにて、降雨時(Rain Flag)の観測は精度が低下するため、 欠測値としている(b) ⇒Rain Flagを含め、観測数を増加・空間荷重範囲を小さく⇒異常日はなくなる? 4パターンのJ-OFUROを作成 b a
J-OFURO荷重平均観測数 00-05ave(L) SD(R) 観測数・・・赤道:多、北半球の中・高緯度:少 変動・・・太平洋中緯度では、衛星軌道に沿った菱形の高SD海域が存在 衛星データの異常値は気象条件と衛星観測数が関係していると考えられる。 また、NRA/WNDはNRA/FLUXに比べ統計結果が悪い。 これらについて、 ・KEOブイから、NRA/WNDと同じ0,6,12,18時から作成したKEO/6hrを作成。 ・同様に衛星観測がおおよそ同じ海域で1日2回なので、6,18時からKEO/12hrを作成。 意図的にサンプリング数を減らした二つのデータと比較して、 観測時間の違いによって精度の変化があるのかを調べた。
新たな大気-海洋相互作用のメカニズム ・従来 ・・・ 海上風 ⇒ 風成循環流 = 大気から海洋への作用(総観規模現象) ・近年 ・・・ 海洋から大気への作用(局所的現象) 大気⇒海洋への作用 Curl-tau > 0 海上風は大気上方につれ て指数関数的に上昇 海上風の回転により表層の海水が発散し、深層の海水が湧昇、 海面水温を下げる。 海面水温の高い海域では、 海洋からの蒸発によって鉛直混合が発生、 大気上方から下方に運動量が輸送され、海上風が強化される 海洋⇒大気への作用 Curl-tau > 0 海面水温が高い海域の上空の大気で対流活動が盛んになり、海上風の低気圧性運動が起こる。
結果① KEOブイ観測値と、統計値にて比較した結果、海上風では ⇒平均差QSCAT≒0、NRA-1,2>0 海面応力比較結果では ⇒ Tx平均差:NRA-1<NRA-2、RMSD:NRA-1 > NRA-2 ・・・海上風と傾向が違う
①・②まとめ ブイとの精度検証・相互比較の結果 ・QSCAT/J-OFURO ・・・ 海上風・海面応力を精度良く評価 ・NRA-1 ・・・ 海上風・海面応力を過大評価⇒過去の比較と一致 ・NRA-2 ・・・ ・FLUX平均差>NRA-1 ・海上風平均差 < NRA-1 ・FLUX・海上風RMSD> NRA-1 ・東西成分平均差 > WND NRA-2/FLUXの平均差が大 RMSDが大 a b ⇒海上風に対する海面応力の傾きが大きい>NRA-1 図:縦軸NRA/FLUX、横軸NRA海上風 (a:NRA-1、b:NRA-2) ⇒現場観測データと変動が大きく異なる 図:各海面応力データでのスペクトル (データ期間:KEOデータの存在する500日)
NRA海面応力について NRA/FLUXはモデル内で算出 一般的に海面応力は、下記のバルク式により10分毎平均値から算出される τ:海面応力 CD:抵抗係数 ρ:大気密度 W:海上風 データの傾向が NRA ≠NRA/FLUX ・・・ 大気密度×抵抗係数が起因? バルク式によるCDの決定⇒抵抗係数算出式 NRA6時間毎海上風から、抵抗係数に海上風のみが作用する Large and Pond (1981)を用いたNRA/WNDを作成、 以降比較 ⇒NRA-2のエラーの修正によるFLUXへの影響を確かめる Report of the Working Group on Air Sea Fluxes より ⇒NRA-2/FLUXはWNDと比較して東西成分平均差を大きくする
NDBCPIRATA b a QSCAT/J-OFURO NRA-2/FLUX 70W-10E海域平均した 海面応力南北プロファイル(a:東西、b:南北) ・太平洋と同様に、NRA-1,2は中緯度で海上風・海面応力を過大評価 ・赤道域では±10oでNRA-2/FLUXが顕著に大きい NRA-2は赤道海域で、強い収束帯を形成する傾向にある
NDBC TAO/TRITON PIRATA 過去に検証が行われた、ブイデータ ・TAO/TRITON・・・太平洋赤道 ・NDBC・・・大西洋アメリカ沿岸 ・PIRATA・・・大西洋赤道 ⇒NRA-2の傾向把握、過去の比較からブイ期間を延長して比較 TAO/TRITON QSCAT/J-OFURO NRA-1/FLUX NRA-2/FLUX ⇒NRA-1南北成分が赤道(2oN付近)で顕著に負、南部でNRA-1,2共に正に大きい NRA-2は10~15oN付近で負に大きい
海上風観測衛星 ・QSCAT/SeaWinds ・・・1999/7 – 2007/2~ ・ADEAS-2/SeaWinds・・・2003/4 – 2003/9 ⇒短期間であるが、2つの同測器を持つ衛星 QSCAT/SeaWinds ADEOS-2/SeaWinds 笠原(2004) ・・・ 二つの観測データを合わせ、観測密度を倍にして高解像度データを作成 高解像度: 従来1.0°格子 ⇒0.5°格子 比較のため、QSCAT/SeaWinds単一での高解像度データを作成 QS&AD-2/J QS/J 図:Curl-tau平面分布図(x10-6N/m3) ⇒QSCAT/J-OFURO-05 ≒QSCAT&ADEOS-2/J-OFURO-05 QSCAT/SeaWinds単一でのJ-OFURO 1.0→0.5度格子化は欠測なく、信頼性を維持