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4 ・猫食と自文化中心主義. 2012.05.16. 成蹊教養・文化人類学の考え方. 前々回 映像資料:広州市場. 市場ではねこが食用として売られてい た ということは、 必然的に「ねこを食べるという〈異文化 〉 」がそこに存在することになるが、それについてどう思うか 自分 のスタンスについて また、この講義を受けている他の人々はどう考えていると思うか 他人 の スタンスに ついて. 自分 は「猫食文化」をどう思うか. 否定派・中間派・肯定派. ほかの人はどう思っ た と思うか (1). 自分を多数派と思うか、少数派と思うか?.
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4・猫食と自文化中心主義 2012.05.16. 成蹊教養・文化人類学の考え方
4・猫食と自文化中心主義 前々回映像資料:広州市場 • 市場ではねこが食用として売られていた • ということは、必然的に「ねこを食べるという〈異文化〉」がそこに存在することになるが、それについてどう思うか • 自分のスタンスについて • また、この講義を受けている他の人々はどう考えていると思うか • 他人のスタンスについて
4・猫食と自文化中心主義 自分は「猫食文化」をどう思うか
4・猫食と自文化中心主義 否定派・中間派・肯定派
4・猫食と自文化中心主義 ほかの人はどう思ったと思うか(1)
4・猫食と自文化中心主義 自分を多数派と思うか、少数派と思うか?
4・猫食と自文化中心主義 ほかの人はどう思ったと思うか(2)
4・猫食と自文化中心主義 自文化中心主義/文化相対主義 • 自文化中心主義とは、自分の文化の基準で周囲をはかり、自分と異なる点について、ヘンだ・おかしい・間違っている・劣っている・遅れている、などと判断する立場 • それだけ聞くと、ずいぶんよくないスタンスのようだが、ひとは誰でも成長過程で「自分の文化」を形づくっている以上、完全にこの見方を排除することは極めて難しい • 文化相対主義とは、相手の文化も自文化同様しっかりとした「体系」を持っており、そのひとびとの間で共有・学習され、継承・ブラッシュアップされてきたものであるから、互いに尊重されあうべきものだ、と考える立場 • それだけ聞くと、とてもすばらしいスタンスだが、これを実現するためには、i. 相手の文化を(コミュニケーションを重ねた上で)きちんと認める、ii. 自文化を相対化・客観視(3次元的に眺める)する、iii. 全体の中での位置を(自他ともに)把握することが必要であり、なかなか簡単に成し遂げられるものでもない
4・猫食と自文化中心主義 異文化をみる目 • 自分たちの基準に照らして、猫食を「ヘンだな」と思ってしまうこと、あるいは裸の人々の生活を「遅れているな」と思ってしまうことは、ある意味「自然」で「常識的」な反応 • ただ、文化人類学的には、そうした「常識」的な見方を再検討したい • だからといって「実は自分たちがヘンなのだ」「自分たちも別の意味で劣っているのだ」と単純に正誤や優劣をひっくり返すのでは、「正誤・優劣」という枠組み自体から抜け出せたわけではない点に注意
4・猫食と自文化中心主義 視点と次元 • 0次元……点 • 1次元……直線(長さ) • 2次元……平面(縦と横) • 3次元……立体(縦・横・高さ) • 視点は0次元であり、視線は1次元となる • 視野は2次元・3次元の広がりをもつ • わたしたちはどのように「視野を広げる」ことができるのだろうか?
C B A 乏 豊 4・猫食と自文化中心主義 上下関係を生み出すもの(1) • 文化について、上とか下とか(不本意ながらも)考えてしまうのは、単一の基準で(たとえばモノが豊かかそうでないか)相互を位置づけようとしてしまうから。
4・猫食と自文化中心主義 1次元のみかた • ある1つの基準(絶対的な基準)を設けて(モノの豊かさなど)世界を眺めると、それは必然的に「上下関係」「先後関係」になってしまう……1次元のみかたの特徴 • 「西洋に追いつき、追い越せ」「先進国と発展途上国」といったスローガンや枠組みは、1次元のもののみかたに拠っている • 「進化論」的な文化のみかた • 裸で暮らしているひとびとは「文化が遅れている」? • 先進国の援助で「遅れた地域のくらしを良くしてやる」? • 「優劣」ではない文化のみかたはできないだろうか?
適合 C B A 不適合 乏 豊 4・猫食と自文化中心主義 上下関係を生み出すもの(2) • もし基準を2つとれば、単純な上下関係ではなくなる • たとえば、ものの豊かさ+自然への適合の2つの基準をとろうとしてみる
4・猫食と自文化中心主義 2次元のみかた • 2つ、3つと、さまざまな基準からみていけば、「上下」「優劣」とは異なる視点から、互いの文化をみつめることができる……2次元のみかたの特徴 • さまざまな基準からみていくには、ある文化を相対的に(総体的・全体的に)とらえようとする必要がある • 3つ基準をとれば3次元、10個とれば10次元と、どんどん視野は広がっていくだろうか?……答えは、否。 • 基準を増やしていってもそれだけでは、ちょうど同心円の中心にいる自分からの遠近でしか、他者をみることはできない
4・猫食と自文化中心主義 視点の移動 • 基準を増やしていってもそれだけでは、ちょうど同心円の中心にいる自分からの遠近でしか、他者をみることはできない • 評価の基準は、まず最初には自文化のそれになってしまう……自文化中心主義・自文化絶対主義 • 「3次元のみかた」のためには、自分を中心とする同心円(を含む平面)から離れて視点を移動してやり、別の角度・高さから、その平面を見直してやる必要がある……自文化の相対化・文化相対主義
4・猫食と自文化中心主義 ヘルダーの「文化相対主義」 • ヘルダー…Johann Gottfried Herder[1744-1803, ドイツの文学者・哲学者。スピノザ・ライプニッツの影響を受け汎神論的世界観を説き、人間を自然の頂点とし、民族の詩と言語の歴史における重要性を説いた。著「人類史哲学の理念」「言語の起源」など。] • 「あらゆる文化共同体に、それぞれ固有で独自の価値を認めるべきだ」と主張 • フランスの普遍主義(彼によれば表面的で画一的)に対するドイツ文化からの異議申し立て=自分たちが他者とは違った存在でいられる権利・差異に対する権利を、自らの権利として要求すること……自らの権利の主張で、他者の権利を認めるのではない点に注意
4・猫食と自文化中心主義 ボアズの文化相対主義 • ボアズ…Franz Boas[1858-1942, 文化相対主義を唱えた人類学者、黒人文化運動へコミットしたリベラル知識人、北西海岸でのネイティブ・アメリカンの言語・フォークロアの調査者、そして多くの優れた弟子を育てたコロンビア大学教授] • 西洋中心主義的普遍主義である進化主義(西洋文化に対する全ての差異を劣等性(錯誤と不足)へ還元する)への批判として、文化相対主義を主張 • 差異に対する権利を、自らの権利としてではなく、他者の権利として要求→文化多元主義(一国民国家内の複数の文化集団が、その差異を保持しつつ共存することを認めようとする)
4・猫食と自文化中心主義 ヘルダーとボアズの違い • 「(文化の)差異に対する権利」を、 • 自己のものとして主張するか(ヘルダー) • 他者のものとして主張するか(ボアズ)