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「貨幣・国際通貨制度の歴史における中南米の銀の意義」. 財団法人 国際通貨研究所 松井謙一郎 日本国際経済学会(関東部会) 平成18年11月18日. 本発表の概要. 「中南米の銀」の通貨(貨幣)制度の歴史での意義の考察 中南米からヨ-ロッパへの銀流入の影響(一般的説明) 価格革命・商業革命 重商主義 ペル-の銀 ミタル労働 最近の資源国有化の動きとの関係
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「貨幣・国際通貨制度の歴史における中南米の銀の意義」「貨幣・国際通貨制度の歴史における中南米の銀の意義」 財団法人 国際通貨研究所 松井謙一郎 日本国際経済学会(関東部会) 平成18年11月18日
本発表の概要 「中南米の銀」の通貨(貨幣)制度の歴史での意義の考察 • 中南米からヨ-ロッパへの銀流入の影響(一般的説明)価格革命・商業革命 重商主義 • ペル-の銀ミタル労働 最近の資源国有化の動きとの関係 • メキシコの銀(19世紀後半における位置付け)ヨーロッパでの金銀複本位制度崩壊と銀の役割の後退 北米・東アジアでのメキシコ銀の位置付け 江戸後期・明治時代の日本における銀との関係 • メキシコの銀(現代における位置付け) 銀の活用の動き(銀貨流通のための法案)
一般的な位置付け中南米(最初はペル-、後はメキシコ)の銀は、16世紀のヨ-ロッパに大量にもたらされ、価格革命・商業革命・重商主義思想の出発点になったとされる。世界史上で中南米の銀が表に出てくるのは専らこの文脈に関連してである。一般的な位置付け中南米(最初はペル-、後はメキシコ)の銀は、16世紀のヨ-ロッパに大量にもたらされ、価格革命・商業革命・重商主義思想の出発点になったとされる。世界史上で中南米の銀が表に出てくるのは専らこの文脈に関連してである。 メキシコの銀の歴史的な役割に係る認識の必要性メキシコの銀は、ヨ-ロッパ以外でも19世紀末まで東アジア・北米でも重要な位置付けにあり、その歴史的事実は現在のメキシコの通貨制度を考える際にも不可欠である。その代表的な例として、最近のメキシコにおける銀貨流通のための動きを紹介する。 発表の問題意識
銀相場の変動要因銀の価格の変動要因としては、工業用途の需要、産出高の変動、通貨・為替の一般的な動向等がある。産出高で見ると、現在メキシコ・ペル-が世界の主要な銀の産出国であり、現在の銀相場を見る上でも両国の動向が相場の変動の大きな要因となっている。銀相場の変動要因銀の価格の変動要因としては、工業用途の需要、産出高の変動、通貨・為替の一般的な動向等がある。産出高で見ると、現在メキシコ・ペル-が世界の主要な銀の産出国であり、現在の銀相場を見る上でも両国の動向が相場の変動の大きな要因となっている。 銀の用途銀の用途としては、宝飾品だけでなく、写真の感光剤・医療用途への応用の他、電気抵抗が少ない性質を利用して電子工学分野に幅広く使われている。但し、金と比較すると産出量が増えているので希少価値は減少している。 銀の位置付け①(銀相場・用途)
銀の位置付け②(算出量の歴史的推移:金と銀の比較)銀の位置付け②(算出量の歴史的推移:金と銀の比較) (出所)増田義郎「物語 ラテンアメリカの歴史」(P.81より)
銀の位置付け②(算出量の歴史的推移:メキシコとペル-の比較)銀の位置付け②(算出量の歴史的推移:メキシコとペル-の比較) (出所)増田義郎「物語 ラテンアメリカの歴史」(P.123より)
中南米の銀産出国 現在のボリビア(当時のペル-)のポトシ銀山が有名だが、メキシコでも複数の 銀山が発見があり、産出量が急速に増えていった。産出量は、当初はペル-がメキシコを上回っていたが、18世紀頃になるとメキシコがペル-を大きく上回る事となった。 「メキシコ銀」の定義16世紀以降、スペインがメキシコ産の銀で鋳造した銀貨。東洋貿易に使用されてアジア各地に流通、アジアの近代的貨幣制度の発達を促した。メキシコ‐ドル、墨銀(ぼくぎん)とも呼ばれる。 銀の位置付③(「メキシコ銀」とは)
銀の位置付け④(産出量の比較推移) (出所)出所:総務省統計局『世界の統計2004』国立印刷局 2004
価格革命16世紀を中心にヨーロッパ諸国におこった長期の物価騰貴。騰貴は早いところでは15世紀末から始まり,17世紀初頭(1620ごろ)までつづいたが,地域によって時期にも,騰貴の幅にも大きな差があった。価格革命16世紀を中心にヨーロッパ諸国におこった長期の物価騰貴。騰貴は早いところでは15世紀末から始まり,17世紀初頭(1620ごろ)までつづいたが,地域によって時期にも,騰貴の幅にも大きな差があった。 商業革命 南ドイツ商人の繁栄が大きく崩れた。新大陸産銀が南ドイツ産銀に代わって東インド貿易におけるヨーロッパからの対貨としての役割を担うことになり,東インド貿易と新大陸貿易とは,銀という商品を通して不可分に結びついた。 価格革命・商業革命
重商主義国家の産業として商業を特に重要視した経済思想および経済政策の総称。15世紀半ばから18世紀にかけヨーロッパで絶対主義を標榜する諸国家がとった。重商主義国家の産業として商業を特に重要視した経済思想および経済政策の総称。15世紀半ばから18世紀にかけヨーロッパで絶対主義を標榜する諸国家がとった。 資本本主義が産業革命によって確立する以前、王権が絶対主義体制(常備軍・官僚制度)の維持・国富増大を目指して行われた。 重商主義の考え方 「富とは金(や銀、貨幣)であり、国力の増大とはそれらの蓄積である」の認識。 植民地維持のコストの増大や、国内で政権と結びついた特権商人の増加などが問題となり、古典派経済学の発達を促すもととなった。 重商主義の思想
スペインの財政事情 スペインには新大陸から大量の金銀が流入したが、対トルコの戦争などで多額の負債を抱えていた。スペインは財政事情の改善のために新大陸の銀へ注力し、特にポトシ銀山からの産出増強が進められるようになった。 ミタ労働インディオの保護を求める聖職者の声が高まるなか、王室からの要求に応えるために、インディオにミタ労働(強制移住・輪番制労働)が強制されるようになった。ポトシ銀山(現在はボリビア領内にある)のミタ労働が知られている。 ペル-の銀
最近(2006年に入ってから)の中南米での資源ナショナリズムの高まり最近(2006年に入ってから)の中南米での資源ナショナリズムの高まり • ベネズエラ • 4月、大統領が石油産業の国有化推進を強化する旨発表 • ボリビア • 5月上旬、大統領が資源(天然ガス・石油)の国有化表明 • ペル- • 6月に、大統領選挙の有力候補者(左派のウマラ候補)が、選出後の公約として資源の国有化を表明 • エクアドル • 5月中旬、政府が、米系の石油大手との開発契約を破棄を発表(資源国有化の意図は否定)
グレシャムの法則(定義) • 改鋳等で、貨幣の含有量等内容が異なる貨幣を、同一の価値を持たせて並列して流通させる結果として、グレシャムの法則が発生する。 • 異なる貨幣(金・銀、金とドル等)が並存して流通している場合に、法定の交換比率と市場の交換比率に乖離が生じて法定の交換を維持できなくなる事象もグレシャムの法則と呼ぶ • 「交換比率が法定比率と市場評価において乖離が生じ」「その結果として市場評価の低い通貨(悪貨)が使われ、良貨(市場評価の高い通貨)が使われなくなる」という意味においては両者は本質的には同一であると考えられる。
金銀複本位制度の定義銀貨と金貨を共に本位貨幣とする制度を指す。日本の江戸時代でも、東日本で主に金貨、西日本で主に銀貨、補助貨幣として銭という制度が施行されていた。金銀複本位制度の定義銀貨と金貨を共に本位貨幣とする制度を指す。日本の江戸時代でも、東日本で主に金貨、西日本で主に銀貨、補助貨幣として銭という制度が施行されていた。 しかし、この金銀複本位制が形骸化して銀貨のみが流通、事実上の銀本位制度となる場合が少なからず見られる。 グレシャムの法則の発生19世紀ヨーロッパ諸国の多くも金銀複本位制を採っていたが、 銀産出高の増加などにより銀の市場価格が下落、金貨との法定比価との間に開きができた。 この場合、銀貨を流通させて金貨を退蔵した方が有利な為、グレシャムの法則、 なし崩し的に事実上の銀本位制となった。 金銀複本位制度①(グレシャムの法則の発生)
金本位制度への移行この時期の銀の市場価格の変動は大きくまた下落傾向が顕著であった。当時世界経済の主導的地位を占めていたイギリスが金本位制度に転じていた。このため、 銀本位制諸国は深刻な影響をうけ、19世紀の終りにはほとんどの国が金本位制に転じた。 銀の役割銀は貨幣の歴史においては本位貨幣として位置づけられてきたが、金本位制度が主流になる事で金に主役の座をゆずる事となる。以降は、銀は通貨としてではなく、貴金属資源としての役割が中心となる。 金銀複本位制度②(銀の役割の変化)
金銀複本位制度③(金と銀の交換比率) 金と銀の交換比率 世紀 (出所)コインの散歩道http://www1.u-netsurf.ne.jp/~sirakawa/A007.htm
ラテン通貨同盟の結成1865年にフランス、イタリア、スイス、ベルギ-の代表が集まり、結成された。当時、主流となりつつあった金本位制度の動きに対抗して、金銀複本位制存続の道を選んだ。ラテン通貨同盟の結成1865年にフランス、イタリア、スイス、ベルギ-の代表が集まり、結成された。当時、主流となりつつあった金本位制度の動きに対抗して、金銀複本位制存続の道を選んだ。 結成の背景 ①複本位制を維持すると金 準備が減っても銀準備が増える ②東アジアが銀本位制を採用,貿易関係や為替相場を安定させるため銀を本位貨幣として残す必要 ③部分的にでも、イギリスに対抗することができる ラテン通貨同盟①(同盟の結成)
ラテン通貨同盟の崩壊1876年フランスは銀貨の発行を停止し,他の同盟国とともに1878年より 金本位制を事実上採用することを余儀なくされた(跛行本位制) これにより、ラテン通貨同盟も崩壊を余儀なくされた。 金本位制度が主流へグレシャムの法則に従えば、金と銀の交換バランスが崩れた場合、悪貨である銀が良貨である金を流通から駆逐する事になる。しかしながら、対外的な信用確保のためには金本位制度の採用が必要となり、19世紀末のヨ-ロッパでは金本位制度が主流となる。 ラテン通貨同盟②(崩壊)
18世紀の状況独立戦争の最中までは、植民地時代のスペインドルの流通が見られた。1785年にもスペインドルを統一的な通貨単位として認めている。独立後の1792年になって始めて独自通貨鋳造が行われた。18世紀の状況独立戦争の最中までは、植民地時代のスペインドルの流通が見られた。1785年にもスペインドルを統一的な通貨単位として認めている。独立後の1792年になって始めて独自通貨鋳造が行われた。 19世紀の状況1857年には外国通貨の流通を禁止して様々な通貨の並存状況を収束させようとした。しかしながら、南北戦争の戦費調達による政府紙幣(グリ-ンバック紙幣)の乱発によるインフレ等制度は安定していなかった。 19世紀におけるメキシコペソの流通状況①(アメリカ)
カナダ19世紀半ばまでは、各Provinceによる独自通貨発行の動きのため、統一が取れず、スペインドルも広く流通した。1858年に、Province of Canadaが自国通貨の発行を宣言。 その他の地域での流通メキシコペソは、中南米全体でも広く流通したとされる。(グアテマラ等の中米、チリ・ペル-・ベネズエラ等のアンデス地域)東アジアでもメキシコペソ(銀貨)は、貿易決済として広く利用され、19世紀後半においては国際通貨であったと言える。 19世紀におけるメキシコペソの流通状況②(カナダ等)
マニラの役割マニラが当時はスペイン領として東アジアにおける貿易の拠点となっていた。マニラを拠点に中南米と中国との貿易が行われたが、この過程で銀が中国にも流入した。マニラの役割マニラが当時はスペイン領として東アジアにおける貿易の拠点となっていた。マニラを拠点に中南米と中国との貿易が行われたが、この過程で銀が中国にも流入した。 銀が主流の東アジア日本も明治の初期には、東アジアとの貿易のために、銀貨を発行している。当時の東アジアでは日本・中国を始めとして銀本位制度を取る国が主流であった。 当時の東アジアの状況
開国時の状況 それまで鎖国を行っていたため、海外の貨幣との交換比率を決める必要が出てきた。 基準となったのは、当時東アジアの貿易決済で一般的に使用されていたメキシコ銀と日本の銀貨であった。 グレシャムの法則の発生幕末の開国と金の流出国内の金銀交換比率(対外的に適用する公的交換比率)=1:5 国際的な金銀交換比率=1:15 この金銀の交換比率の違いを利用した裁定取引(銀を金に交換して海外に持ち出し)が働き、金が流出。 日本への影響①(開国時の状況)
新貨条例(1871年) 日本においては1871年に「新貨条例」を制定、形式上金本位制が採用された。 しかし、当時は東洋市場においては銀貨による対外支払いが一般的であった為、 1円銀貨を発行し、貿易などの対外支払用貨幣として使用した。 1870年後半~1890年後半 1878年には銀貨の国内流通が認められ、事実上の金銀複本位制となったが、 金貨の流出と政府不換紙幣の大量発行で、金貨は殆ど流通せず。 1897年に正式に金本位制を採用するまで、事実上の銀本位制が継続した。 日本への影響②(明治後半の状況)
メキシコの通貨制度19世紀の前半は金・銀・銅貨が並存流通する状況にあったが、1861年に銀を中心とする本位制度へ移行20世紀に入り世界の主要国が金本位制度に移行する中で、メキシコも金本位制度へ以降(1905年)、その後はメキシコは革命のため混乱するメキシコの通貨制度19世紀の前半は金・銀・銅貨が並存流通する状況にあったが、1861年に銀を中心とする本位制度へ移行20世紀に入り世界の主要国が金本位制度に移行する中で、メキシコも金本位制度へ以降(1905年)、その後はメキシコは革命のため混乱する ドルブロックの形成パナマは、1903年の独立以降、公式ドル化政策を採用しておりドル圏に組み込まれる。 1930年代には中南米全域にドル圏が拡大した。 ドルブロックの形成とメキシコの状況
ECCUカリブ海の6か国で、通貨同盟結成 NAFTA、MERCOSUR通貨圏としての選択肢は、従来より多くの議論有り 中米公式ドル化国(パナマ、エルサルバドル)、それ以外の国でも全般的にドルの影響は強まっている。 アンデス地域政治では全体的に左傾化が進んでおり、今後動向が注目される地域(過去にアンデス共通通貨構想も有り)エクアドル→公式ドル化国、但しExitの可能性有りペル-・ボリビア→ドル化比率が高い国コロンビア・チリ→親米であるが、ドル化比率低[ベネズエラ→反米] 中南米地域の現在の通貨圏の現状
概要メキシコでは過去の銀貨の歴史・世界有数の銀の産出国として銀の活用が議論される事が往々にしてある。ここではメキシコにおける最近の銀貨流通のための法案を活用の事例として取り上げる。概要メキシコでは過去の銀貨の歴史・世界有数の銀の産出国として銀の活用が議論される事が往々にしてある。ここではメキシコにおける最近の銀貨流通のための法案を活用の事例として取り上げる。 銀貨流通のための法案銀貨の流通を超党派(PAN、PRI,PRD)の議員の支持の下、法案として議会に提出。脱ドル化・自立性を高める意味で銀貨を流通させる意義が重要という主張。2005年4月に下院に提出され、現在審議中の状況にある。 メキシコでの銀の活用の動き①
メキシコでの銀の活用の動き② • 法案の概要 • 既存の通貨(ペソ)と並行して銀貨(Onza de Plata Libertad)も流通させる。 • 銀貨には固定した表面価値を設定せずに、中銀が常時価値を公示する。中銀の価値公示に際しては、常にショニリッジを確保できる水準の設定とする。 • 中銀による銀貨の公示価格は、銀の価格動向(下落)に左右されないようにするため、価格引下げは行わないが、設定価格の引き上げは許容する。
メキシコでの銀の活用の動き③ • 法案の狙い • 銀貨のみの流通ではなく、既存の通貨との並存を前提として銀のメリットを生かした形で銀貨を流通させて銀の活用を図りつつ、ドル等への過度の依存を回避する。 • ドル等の基軸通貨の動向に左右されない体制の具体的な検討としてメキシコの自立性をアピ-ルするだけでなく、中南米地域全体の自立性もアピ-ルする。
メキシコでの銀の活用の提案④ 1995年 2005年 (出所)http://www.legisladoresproplata.org/legisladores/cont_articulo7.aspのサイトより提案書の中の図
メキシコでの銀の活用の動き④ (出所)http://www.legisladoresproplata.org/legisladores/cont_articulo7.aspのサイトより提案書の中の図
メキシコでの銀の活用の動き④ (出所)http://www.legisladoresproplata.org/legisladores/cont_articulo7.aspのサイトより提案書の中の図
メキシコでの銀の活用の動き④ (出所)http://www.legisladoresproplata.org/legisladores/cont_articulo7.aspのサイトより提案書の中の図
メキシコでの銀の活用の動き④ (出所)http://www.legisladoresproplata.org/legisladores/cont_articulo7.aspのサイトより提案書の中の図
過去の事例12グラム銀貨(1920~1945)7グラム銀貨(1947~1949)4グラム銀貨(1950~19541.6グラム銀貨(1957~1967→前掲の図で見たように、いずれも銀の時価が溶解点を上回ってからは、銀貨が退蔵されて失敗。過去の事例12グラム銀貨(1920~1945)7グラム銀貨(1947~1949)4グラム銀貨(1950~19541.6グラム銀貨(1957~1967→前掲の図で見たように、いずれも銀の時価が溶解点を上回ってからは、銀貨が退蔵されて失敗。 1979年の試み銀貨に法定価値を刻印せず、時価で流通させる試みが1979年に行われるが、価値が変動する銀貨の流通は浸透せず、失敗に終わる。 →この際の教訓が、今回の提案の「銀貨の公示価値は下げない」という所に取り入れられている。 メキシコでの銀の活用の動き④
当時の世界の状況ヨ-ロッパにおける金銀複本位制度の崩壊に見られるように、19世紀の後半には銀を金に主役の座を譲る事になる。一方で、日本を含む東アジアでは銀が20世紀に入る直前までメキシコ銀は重要な位置付けを占めていた。当時の世界の状況ヨ-ロッパにおける金銀複本位制度の崩壊に見られるように、19世紀の後半には銀を金に主役の座を譲る事になる。一方で、日本を含む東アジアでは銀が20世紀に入る直前までメキシコ銀は重要な位置付けを占めていた。 北米での状況19世紀の北米においても、メキシコの銀は中心的な貨幣としての位置付けを占めていた。しかしながら、20世紀初頭には大部分の国が金本位制度へ移行して、メキシコを含む中南米もドルブロックに組み込まれる事となる。 まとめ①(19世紀におけるメキシコの銀の位置付け)
メキシコにとっての銀 銀は、メキシコにとってスペインの植民地時代から19世紀末に至るまで重要な位置付けを占めている。単なる資源に留まらず、国の過去の繁栄を象徴するものとしての意味も持っていると考えられる。 メキシコの通貨制度の選択メキシコにとっては、銀本位制度も選択肢の一つで有り得る。(例えば、ドル化と銀本位制度はメキシコに取って同等の選択肢という主張もある。)実際に2005年に銀貨流通のための法案が議会に提出されたのはその象徴と言える。 まとめ②(メキシコの銀の現代における位置付け)
銀の活用の提案の現実性 銀の活用の提案は相応に工夫された内容(銀貨の表面価値を固定しない、かつ公示する価値の引下げも行わない)であるが、 提案の実現やこの動きの中南米全体への波及は、難しいものと思われる。 中南米全体での位置付け本法案はその実現性・効果よりも、ドル・米国の覇権に対するアンチテ-ゼとしての政治的なメッセ-ジとしての意義が大きいと言える。 最近アンデス諸国を中心に資源ナショナリズムの高まりが見られるが、メキシコの法案の動きも関連事項として留意すべきと思われる。 まとめ③(メキシコの銀の現代における位置付け)
現在のペル-にとっての銀ペル-では種々の鉱物資源が採れるが、現在は輸出品目としては金・銅・亜鉛・鉛が主なものとなっている。現在のペル-にとっての銀ペル-では種々の鉱物資源が採れるが、現在は輸出品目としては金・銅・亜鉛・鉛が主なものとなっている。 この意味では銀の資源としての位置付けは大きく低下しているが、象徴的な意味は依然として相応にあると考えられる。 資源国有化の動きとの関係最近大統領候補が問題にした資源国有化の対象は、天然ガス・原油であるが、ペル-における銀の歴史(ポトシ銀山の繁栄、輪番制労働等)もこの動きの理解のためには不可欠であると考えられる。 まとめ④(ペル-の銀)
主要参考文献(和文) • 「物語ラテンアメリカの歴史」(中公新書、1998年、増田義郎) • 「南米ポトシ銀山」(中公新書、2000年、青木康征) • 「経済思想」「国際金融の知識」「マネ-の経済学」(日経文庫) • 「貨幣から見た日本史」( 朝日選書) • ラテン通貨同盟 http://www.e.u-tokyo.ac.jp/~sbaba/20051110.htm • 日本の通貨の歴史 日本銀行貨幣研究所HP • 金と銀の交換比率 コインの散歩道http://www1.u-netsurf.ne.jp/~sirakawa/A007.htm • 一般的な用語検索・事典デジタル大辞泉(小学館)/提供:JapanKnowledge フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』wikipediahttp://ja.wikipedia.org/wiki旅研 世界歴史辞典デ-タベ-スhttp://www.tabiken.com/
主要参考文献(西文) • メキシコの通貨の歴史 メキシコ中銀のサイトHPhttp://www.banxico.org.mx/siteBanxicoINGLES/index.html • 銀貨流通のための法案議員連盟による説明のサイトhttp://www.legisladoresproplata.org/legisladores/cont_articulo7.asp法案関連の論文http://www.plata.com.mx/plata/