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抑うつ 症状を主訴に受診した高齢発症側頭葉てんかん症例. 九州大学病院 精神科神経科 前川 敏彦. 高齢発症 てんかんは意外に多い. 認知症 との 鑑別 が 重要と言われている。. 症例 . 62 歳 , 女性 専業主婦 。 [ 主訴 ] 周囲がなにか話していても分からないことがある。言葉が出ない。 [ 家族歴 ] 精神疾患の遺伝負因なし。 [ 既往歴 ] メニエール病 [ 生活歴 ] 同胞 3 人の 2 番目 。 短大卒業後,銀行事務員を経て,結婚し 子供を 3 人 もうけ , 45 歳から銀行事務のパートをしていた。現在は夫,息子と 3 人暮らし。
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抑うつ症状を主訴に受診した高齢発症側頭葉てんかん症例抑うつ症状を主訴に受診した高齢発症側頭葉てんかん症例 九州大学病院精神科神経科 前川敏彦
高齢発症てんかんは意外に多い 認知症との鑑別が重要と言われている。
症例 • 62歳,女性 専業主婦。 • [主訴]周囲がなにか話していても分からないことがある。言葉が出ない。 • [家族歴]精神疾患の遺伝負因なし。 • [既往歴]メニエール病 • [生活歴]同胞3人の2番目。短大卒業後,銀行事務員を経て,結婚し子供を3人もうけ,45歳から銀行事務のパートをしていた。現在は夫,息子と3人暮らし。 • [病前性格]まじめ,世話好き。
現病歴 • X-4年,後頭部痛が時々出現するようになったが,受診はしていなかった。X-1年8月,頭重感,意欲低下が増悪し,A内科医院でうつ病と診断された。セルトラリン等が処方されたが,改善なく,X-1年11月,B総合病院精神科に転医した。X年6月,夜間自宅で20秒程度の意識消失発作があり,救急搬送された。その後,当院に精査目的で紹介受診となった。
初診時所見 • 夫同伴で受診。表情は穏やかで,疎通良好。動作はスムーズで,質問に対する反応の遅れや,的外れな返答もなかった。気分については,抑うつ気分や意欲低下を訴えた。意識消失発作は週に1回程度出現していた。
治療経過 • 脳波検査で左側頭部からてんかん性異常波を認め,側頭葉てんかんと診断した。カルバマゼピン200mg投与し,意識消失発作は出現しなくなった。抑うつ気分や意欲低下も改善したため,抗うつ薬等は中止した。
治療経過図 カルバマゼピン セルトラリン エスシタロプラム スルピリド エチゾラム ゾルピデム 気分 意識消失発作 初診 紹介受診
考察 初診時はてんかんを疑う症状はなく,抑うつ気分が主体であった。 高齢女性ではうつ病の有病率が高止まりしている。 夫の定年退職 認知機能の低下 身体機能の衰え 親の介護 骨粗しょう症 娘の出産 近親者の死別
てんかん患者の精神疾患有病率 Schmitz B:Epilepsia 46(Suppl 4):45-49, 2005 ※:Ettinger AB et al:Neurology 65(4):535-540, 2005
てんかん外科手術後抑うつ:術後2~3か月以内に発症のピークがあり,極めて重篤なことがある。典型的には1回だけで繰り返すことは少ない。てんかん外科手術後抑うつ:術後2~3か月以内に発症のピークがあり,極めて重篤なことがある。典型的には1回だけで繰り返すことは少ない。 (兼本ら,臨床精神薬理 2012)
うつ病と鑑別を要する高齢者の疾患にNCESを加える。うつ病と鑑別を要する高齢者の疾患にNCESを加える。 非けいれん性てんかん発作 抑うつ症状で発症する高齢発症てんかんもある。 大うつ病 エピソード 認知症 (仮性痴呆)
結語 • 抑うつ症状を主訴に受診した高齢発症側頭葉てんかん症例を紹介した。 • 高齢女性はうつ病のリスクが高いが,鑑別診断として認知症やてんかんを考慮して脳波検査を実施すべきである。