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総合基礎薬学特別講義 I. 物理平衡. SBO 平衡と化学ポテンシャルの関係を説明できる SBO 物質の溶解平衡について説明できる。 SBO 代表的な物理平衡を観測し,平衡定数を求めることができる。. 平成 25 年 5 月 28 日. 化学ポテンシャル. 【 化学ポテンシャル m 】 純物質 混合物 (AB) : . 1 mol 当たりのギブズエネルギー. 部分モルギブズエネルギー. 化学ポテンシャル.
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総合基礎薬学特別講義 I 物理平衡 SBO 平衡と化学ポテンシャルの関係を説明できる SBO 物質の溶解平衡について説明できる。 SBO 代表的な物理平衡を観測し,平衡定数を求めることができる。 平成25年5月28日
化学ポテンシャル 【化学ポテンシャル m 】 純物質 混合物 (AB) : 1 mol当たりのギブズエネルギー 部分モルギブズエネルギー
化学ポテンシャル ○ 圧力を標準状態(1 bar)から p bar まで変化させたときの モルギブズエネルギー変化 Gmと化学ポテンシャル → ○ 理想溶液の溶媒 A (モル分率) → ○ 溶液中の溶質 B(濃度C) → ○ 実在溶液中の溶質 B(活量a) →
平衡と化学ポテンシャルの関係 標準条件下,非理想混合系の化学反応 各成分(i)の化学ポテンシャル 反応ギブズエネルギー
平衡と化学ポテンシャルの関係 【実在溶液中の化学反応】 反応系 生成系 反応ギブズエネルギー 平衡の条件 質量保存の法則
問1 化学ポテンシャルに関する記述について正誤を示せ。問1 化学ポテンシャルに関する記述について正誤を示せ。 1 化学ポテンシャルは,多成分系の各成分1モル当たりのギブズエネルギーである。 2 反応は,化学ポテンシャルが増加する方向に自発的に進行する。 3 平衡にある系では,それぞれの成分の化学ポテンシャルは同じである。 4 氷と水の化学ポテンシャルは融点において等しい。 5 過冷却状態の水の化学ポテンシャルは,同温度での氷の化学ポテンシャルより小さい。
問1 化学ポテンシャルに関する記述について正誤を示せ。問1 化学ポテンシャルに関する記述について正誤を示せ。 1 化学ポテンシャルは,多成分系の各成分1モル当たりのギブズエネルギーである。 2 反応は,化学ポテンシャルが増加する方向に自発的に進行する。 3 平衡にある系では,それぞれの成分の化学ポテンシャルは同じである。 4 氷と水の化学ポテンシャルは融点において等しい。 5 過冷却状態の水の化学ポテンシャルは,同温度での氷の化学ポテンシャルより小さい。 減少する 大きい
物質の溶解平衡 • (1) 溶解平衡 固体B → 溶液中の溶質B DG < 0 Bの溶解速度 = Bの析出速度 DG = 0 理想溶液と仮定すると,
物質の溶解平衡 • (1) 溶解平衡 発熱 ファントホッフの式 発熱 lnxs 非理想溶液では, 吸熱 1/T
物質の溶解平衡 (2) 分配平衡 溶質B が互いに接触しているが,混じり合わない2液相 (α相,β相)のそれぞれに溶解して平衡になっている系。 溶質Bのモル分率を caおよび cbとすると, K:分配係数(P)
物質の溶解平衡 安息香酸の油水分配平衡 水相 Water 無極性溶媒相 Oil
安息香酸の油水分配平衡 問2 安息香酸は多くの無極性溶媒中では二量体を形成するが,ピーナツ油中ではモノマーとして存在する。水相中では pH に依存して解離する。 1. 安息香酸のみかけの油水分配係数 Pobs 2. 真の分配係数 P 3. 水相pHとの関係 4. 化学ポテンシャルmw,mo
安息香酸の油水分配平衡 問2 安息香酸は多くの無極性溶媒中では二量体を形成するが,ピーナツ油中ではモノマーとして存在する。水相中では pH に依存して解離する。 水相 Water 油相 ピーナツ Oil
1. 安息香酸のみかけの油水分配係数 Pobs 油相 ピーナツ油 CO 水相 Water CW 2. 真の分配係数 P
3. 水相 pH との関係 みかけの分配係数 真の分配係数 解離定数
ピーナツ油中と水相中に共通の分子種 4.化学ポテンシャル 分子形 HAの安息香酸 分配平衡が成立しているとき, 両相の化学ポテンシャルは等しい。
問3 安息香酸をベンゼンー酸性水溶液間で分配させると,ベンゼン中で二量体(HA)2を形成し,水中では分子形分子として存在する。安息香酸の水/ベンゼンの間における分配の式を記述せよ。問3 安息香酸をベンゼンー酸性水溶液間で分配させると,ベンゼン中で二量体(HA)2を形成し,水中では分子形分子として存在する。安息香酸の水/ベンゼンの間における分配の式を記述せよ。 水相 Water 油相 ベンゼンOil
1. ベンゼン中の単分子 (HA) と会合分子 (HA)2との間に 存在する平衡 二量体 単分子 2. ベンゼン中の単分子と会合分子との間に平衡定数 Kd 油相 ベンゼン Oil CO 水相 Water CW
3. 分配係数 P 4. 化学ポテンシャル 油相 ベンゼン Oil CO 水相 Water CW
問4薬物Aと Bはモル比 1:1の複合体ABを生成する。Aの濃度が 2.0 mMの水溶液 500 mL,Bの濃度が 1.8 mMの水溶液 500 mLと油 1000 mLを一定温度で混合,振とうした。 分配平衡に達した後のAの水層中,油層中の濃度はそれぞれ 0.7 mM,0.3 mM,Bの水層中,油層中の濃度はそれぞれ 0.6 mM,0.3 mMであった。 複合体ABの油―水分配係数 P (C油/C水)=1 であり,AおよびBの油に対する溶解度は無視できるとして,水溶液中における複合体の安定度定数(K)を求めよ。
安定度定数(K) A 0.3 mM B 0.3 mM 油相 1 L AB 0.3 mM 混合・振とう A 0.7 mM B 0.6 mM A 1.0 mM B 0.9 mM 水相 1 L
問5pH 7.4 におけるみかけの分配係数を求める目的で, pKa = 7.4 の1価の酸性薬物300 mg を秤量し,pH 7.4 の緩衝液に完全に溶解して50 mLとした。 ついで,クロロホルム 50 mLを加えて激しく振り混ぜ,静置して分配平衡が成立した後,各相の薬物濃度を測定したところ,クロロホルム中の濃度は4 mg/mLであった。 次の問に答えよ。ただし,薬物のイオン形はクロロホルムに移行しないものとする。 1みかけの分配係数(クロロホルム/緩衝液)を求めよ。 2水相中の分子形薬物の濃度(mg/mL)を求めよ。
1 pKa=7.4 酸性薬物の pH 7.4 緩衝液とクロロホルム相間のみかけの分配係数 Pを求める。 pH 7.4緩衝液 50 mL 100 mgの薬物 ( 2 mg/mL) 薬物 300 mg 4 mg/mL クロロホルム 50 mL 1 みかけの分配係数 2 水相中の分子形薬物の濃度: 1 mg/mL pH =pKaなので分子形とイオン形の濃度は等しい。
問6 互いに混じり合わない有機溶媒相と水相間での,溶質の分配平衡に関する記述について,正誤を判定せよ。問6 互いに混じり合わない有機溶媒相と水相間での,溶質の分配平衡に関する記述について,正誤を判定せよ。 1 分配平衡では,溶質の各相での化学ポテンシャルは等しい。 2 分配係数をK,測定時の絶対温度をT,気体定数をR とするとき,有機溶媒相と水相における標準自由エネルギーの差 DGOは,DGO = RTlnK で与えられる。 3薬物の有機溶媒中での会合の有無にかかわらず,見かけの分配係数は薬物濃度によって変化しない値となる。 4 親油性の溶質は,誘電率の小さい有機溶媒ほど分配係数が小さくなる。 5 弱酸のみかけの分配係数は,水相のpHが低いほど小さくなる。
問6 互いに混じり合わない有機溶媒相と水相間での,溶質の分配平衡に関する記述について,正誤を判定せよ。問6 互いに混じり合わない有機溶媒相と水相間での,溶質の分配平衡に関する記述について,正誤を判定せよ。 1 分配平衡では,溶質の各相での化学ポテンシャルは等しい。 2 分配係数をK,測定時の絶対温度をT,気体定数をRとするとき,有機溶媒相と水相における標準自由エネルギーの差 DGOは,DGO = - RT lnK で与えられる。 3薬物の有機溶媒中での会合の有無にかかわらず,見かけの分配係数は薬物濃度によって変化しない値となる。 4 親油性の溶質は,誘電率の小さい有機溶媒ほど分配係数が大きくなる。 5 弱酸のみかけの分配係数は,水相のpHが低いほど大きくなる。 有機溶媒に良く溶けるので
問7 有機溶媒中で会合しない薬品の水‐ベンゼン間の分配係数に影響を与えないものを選べ。問7 有機溶媒中で会合しない薬品の水‐ベンゼン間の分配係数に影響を与えないものを選べ。 1 温度 2 振とう速度 3 弱電解質の薬品について水相のpH 4 水相中に共存する中性塩の濃度 5 水相とベンゼン相の溶媒量の比
問7 有機溶媒中で会合しない薬品の水‐ベンゼン間の分配係数に影響を与えないものを選べ。問7 有機溶媒中で会合しない薬品の水‐ベンゼン間の分配係数に影響を与えないものを選べ。 1 温度 2 振とう速度 3 弱電解質の薬品について水相のpH 4 水相中に共存する中性塩の濃度 5 水相とベンゼン相の溶媒量の比
問8 薬物 A の溶解度に対する溶解補助剤 B の効果は下図のようになった。この複合体 AB の安定度定数 Kはいくらか。
問8 薬物 A の溶解度に対する溶解補助剤 B の効果は下図のようになった。この複合体 AB の安定度定数 Kはいくらか。 [AB] [A] [A]T = [A]0 + [AB] [B]T = [B] + [AB] [A]T= 0.35 [A]0 = 0.15 [AB] = 0.20 [B]T = 0.30 [B] = 0.10
問9 カフェインの水に対する溶解度を測定したところ,問9 カフェインの水に対する溶解度を測定したところ, 0.13 mol/Lであった。0.30 mol/L の安息香酸ナトリウム水溶液中で測定したところ,溶解度が 0.33 mol/L に増加した。カフェインと安息香酸ナトリウムが1:1 の可溶性複合体を形成するとして,複合体の安定度定数を求めよ。 カフェインの溶解度 [A]T [AB] [A]0 • [A]0 (S ) [B]T B の添加量
問9 カフェインAの水に対する溶解度を測定したところ,0.13 mol/L であった。0.30 mol/Lの安息香酸ナトリウムAB水溶液中で測定したところ,溶解度が0.33 mol/Lに増加した。カフェインと安息香酸ナトリウムが1:1の可溶性複合体を形成するとして,複合体の安定度定数を求めよ。 カフェインの溶解度 [A]T [AB] = [A]T – [A]0 [A]0 [A]T = [A] + [AB] • [A]0 = [A] [B]T = [B] + [AB] [B]T (S ) Bの添加量 [AB]T= [AB] + [A] = [AB] + [B]
問9 カフェインAの水に対する溶解度を測定したところ,0.13 mol/L であった。0.30 mol/Lの安息香酸ナトリウムAB水溶液中で測定したところ,溶解度が0.33 mol/Lに増加した。カフェインと安息香酸ナトリウムが1:1の可溶性複合体を形成するとして,複合体の安定度定数を求めよ。 • [A]0 = [A] = 0.13 mol/L [AB] = [A]T – [A]0 = 0.20 mol/L [B] = [AB]T – [AB] = 0.30 - 0.20 = 0.10 mol/L
問94 互いに混ざり合わない2つの液相間における分配平衡に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。問94 互いに混ざり合わない2つの液相間における分配平衡に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。 1 溶質の分配係数は、溶け込んでいる溶質の濃度に比例して大きくなる。 2 一定温度、一定圧力下での分配係数は、それぞれの液相における溶質の標準化学ポテンシャル差により決まる。 3 有機相と水相を利用した親油性化合物の抽出では、誘電率の低い有機溶媒の方が抽出率は高い。 4 それぞれの液相における溶質の標準化学ポテンシャルが温度の依らず一定のとき、定圧下での液相の温度を上昇させると分配係数は低下する。