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事例2 TMO 構想に基づいた取組み. ~高松市と佐賀市~. ここでは TMO (タウンマネジメント機関)構想に基づいて地元利害関係者と連携を図り、中心市街地の商業活性化を目指した計画の事例を紹介する。. TMO とは?. タウンマネージメント機関 ( Town Management Organization, TMO ) 中心市街地における商業まちづくりをマネージメント(運営・管理)する機関をいう。 様々な主体が参加するまちの運営を横断的・総合的に調整し、プロデュースするのが役割。 TMO になることが出来るのは、商工会議所、商工会、第三セクター機関等。.
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事例2 TMO構想に基づいた取組み ~高松市と佐賀市~
ここではTMO(タウンマネジメント機関)構想に基づいて地元利害関係者と連携を図り、中心市街地の商業活性化を目指した計画の事例を紹介する。ここではTMO(タウンマネジメント機関)構想に基づいて地元利害関係者と連携を図り、中心市街地の商業活性化を目指した計画の事例を紹介する。
TMOとは? タウンマネージメント機関(Town Management Organization, TMO) 中心市街地における商業まちづくりをマネージメント(運営・管理)する機関をいう。 様々な主体が参加するまちの運営を横断的・総合的に調整し、プロデュースするのが役割。 TMOになることが出来るのは、商工会議所、商工会、第三セクター機関等。
中心市街地活性化法では商業活性化を目的とした再開発事業を行う際は、TMOを設置し行うことが適切とされている。中心市街地活性化法では商業活性化を目的とした再開発事業を行う際は、TMOを設置し行うことが適切とされている。 • 中心市街地における商業集積を一体として捉え、業種構成、テナント配置、基盤整備及びソフト事業を総合的に推進し、様々な主体が参加するまちづくりを横断的、統合的にプロデュースするのがTMOの役割である。
2つの事例 • それではここから実際にTMOを立ち上げ中心市街地の商業活性化を目指した2市の取り組みを紹介する。 高松市におけるTMO →「高松丸亀町まちづくり株式会社」 佐賀市におけるTMO →「株式会社まちづくり佐賀」
高松市 都道府県 香川県 総人口 418,125人(2005年) 面積 375.09㎢ 1999年から中核市に移行 香川県、四国地方の中心都市として機能
高松市における中心市街地衰退 • 高速交通網の進展等による地域間競争の激化とともに,モータリゼーションの進展や郊外型店舗の立地及び機能強化などにより,都市機能の拡散や人々の活動範囲が広域化する中,高松市の中心市街地は,一定の商圏や通勤圏が形成されているものの,人口の減少や商店街の空き店舗の増加など,にぎわい・活力の低下が見られる。
高松市における中心市街地衰退(1) • 市全体に占める人口シェアの低下 出典:高松市中心市街地活性化基本計画 上段:人,下段:H2を1とした場合の指数 ※市全体の数値は合併した旧塩江町,牟礼町,庵治町,香川町,香南町,国分寺町のものを含んで作成。 なお,市全体の数値は国勢調査(各年10月1日),中心市街地の数値は住民基本台帳(各年4月1日)で作成。
高松市における中心市街地衰退(2) • 65歳以上の人口の割合が上昇 年齢3 区分別人口割合(平成17 年) 出典:高松市中心市街地活性化基本計画 資料:国勢調査,住民基本台帳
高松市における中心市街地衰退(3) • 小売商業従業者数のシェアの低下 出典:高松市中心市街地活性化基本計画
小売商業売場面積のシェアの低下 出典:高松市中心市街地活性化基本計画
高松市における中心市街地衰退(4) • 商店街における空き店舗率の上昇 ①店舗数(店) ②空き店舗数(店) ③空き店舗率 (調査日は各年12月31日) 出典:高松市中心市街地活性化基本計画
高松市中心市街地活性化基本計画 • 平成11年、まちづくり3法の施行をうけて3月に高松市中心市街地活性化基本計画を策定,同年5月に高松商工会議所が策定した中小小売商業高度化事業構想(TMO構想)を認定 • 平成19年2月には,中心市街地活性化法の改正に伴って、中心市街地活性化協議会から意見を受けるとともに,中心市街地活性化本部との調整を経て,19年3月30日に認定申請を行い,5月28日に認定を受ける。
高松市の計画の基本方針 • 商業・サービスの高度化 →中心市街地の空き店舗率、小売業年間商品販売額 • 回遊したくなる中心市街地づくり →中央商店街での歩行者通行量 • 定住人口の増加 →中心市街地内の定住人口
高松市の計画の特徴(1) • 高松市の中心市街地には丸亀町商店街を中心とし,南新町,兵庫町,片原町西部,片原町東部,常磐町,田町,ライオン通の八つの商店街により中央商店街が形成されており,その長さ2.7 ㎞にも及ぶアーケードは全国有数。 • そのため計画では地元の商工会を中心として民間にある程度再開発計画を任せる形に →TMOによる開発のマネジメント
高松市の計画の特徴(2) • TMOの計画に従った小規模連鎖型の再開発計画 • 小規模連鎖型とは街区全体を建て直すのではなく小規模な建て替えを連鎖的に実施する再開発の手法 • 通常の再開発に比べ、地権者の合意形成がスムーズで、時代のニーズをとらえたタイムリーな開発となり、疲弊する中心商店街の活性化に向けて、即効的な事業効果も期待できる。
高松丸亀町まちづくり株式会社 • 設立年月日 平成11年1月12日 • 資本金 100,000,000円 • 株式総数 授権株式総数 2,000株 発行済株式総数 2,000株 株主構成 高松丸亀町商店街振興組合 1,860株 高松市 100株 高松丸亀町商店街A街区市街地再開発組合 10株 高松丸亀町商店街G街区市街地再開発組合 10株 高松丸亀町弐番街株式会社 10株 高松丸亀町参番街東株式会社 10株 (高松丸亀町商店街ホームページより抜粋)
高松丸亀町まちづくり株式会社 会社の目的 • 市街地再開発に関する計画立案並びに設計業務 • 商業施設の開発に関する調査、分析、企画設計、管理及びコンサルティング • 建物内外の運営・警備・清掃業務 • 催事の企画・運営 • 広告・宣伝に関する業務 • 企業経営の商業に関する研修会の開催 • 商店街情報誌の発行及び販売 • 情報処理サービス及び情報提供サービス業務 • 前各号に付帯関連する一切の業務 (高松丸亀町商店街ホームページより抜粋)
高松丸亀町商店街の再開発事業 • 高松丸亀町商店街振興組合が平成2年より開始した市街地再開発事業を継承し、事業の促進を図り、事業全般の管理運営を司る会社として 「高松丸亀町まちづくり株式会社」(TMO)を市の協力の下で設立。 • 「高松丸亀町商店街タウンマネージメント・プログラム」を策定し、デザインコード・事業プログラム・MD戦略を定め、これに基づき、商店街のリニューアルに取り組んでいる。 • 手始めにA街区(高松丸亀町壱番街)の再開発を行い平成18年12月に完成、オープン。
高松丸亀町商店街の再開発事業 • 高松丸亀町商店街の再開発事業は、平成19年度に高松丸亀町商店街A街区市街地再開発関連事業が完了したことにより、商業・サービスの魅力強化が図られるとともに、魅力的な空間が創造されており、A街区(高松丸亀町壱番街)では従前の約3倍の売上となったほか、その周辺では、歩行者通行量が増加し、空き店舗は減少するなど、事業の効果が現れている。
高松丸亀町商店街の再開発事業 • またA街区に続き、20年度には商店街街路整備が完成したほか、B街区・C街区の再開発事業が実施され、現在、B街区(高松丸亀町商店街弐番街)の店舗が順次オープンしており、今後、C東街区・C西街区(同参番街)も順次オープンして行く予定。また、G街区の再開発事業も急速な景気低迷により若干の遅れが見られたものの、まもなく工事着手される見込み。
高松丸亀町商店街A 街区 市街地再開発事業区域
高松丸亀町商店街の再開発事業 • 一方、大型空き店舗を含む空き店舗率が高い中央商店街の南部地域では、依然、空き店舗の増加や歩行者通行量が減少するなど、実施事業の波及効果が現れていないことから、空き店舗活用事業に対する支援のほか、大学と地域との交流施設の整備や学生と連携した事業、子育て支援事業、芸術・文化を発信する交流拠点施設の整備など、にぎわいの創出に向けたさまざまな事業が行われている。 • また、郊外に大規模商業施設であるイオン高松SC(平成19年4月)、イオン綾川SC(平成20年7月)がそれぞれオープンしたが、中心市街地への影響はオープン当初よりも小さくなっているものと思われる。
目標の達成状況 出典:高松市中心市街地活性化基本計画
今後の課題 • 中央商店街全体としての活性化、また、中心市街地の魅力を強化するためには、懸案となっている南部地域の活性化による商業・サービスの魅力強化を図り、北部地域とのにぎわいの連携による中央商店街全体としての回遊を促進することが重要。 • 依然として、空き店舗の増加、歩行者通行量の減少が見られるなど、事業の効果が中央商店街全体に波及するには至っていない。
計画のまとめ • 高松市ではTMO構想に基づいた中央商店街の再開発計画が着々と進んでおり実施地区では効果も現れている。 • 高松市の取り組みは全国のTMO構想に基づいた活性化計画の中でも数少ない成功例と言える。 • 計画の目標値には未だ達していないが今後計画が進むことによって効果が波及し数値の改善も期待できる。
佐賀市 都道府県 佐賀県 総人口 237,939人(2010年) 面積 431.42㎢ 2005年(平成17年)10月1日に佐賀郡大和町、富士町、諸富町、神埼郡三瀬村と合併(新設合併) 2007年(平成19年)10月1日に川副町、東与賀町および久保田町を編入
佐賀市における中心市街地の衰退 • 1970年代から佐賀市では、駅前から佐賀城址にかけての中心市街地から郊外地域への人口、商業の流出が問題視されていた。 • 佐賀市での日常生活での移動手段は、鉄道などの公共交通機関ではなく、自動車が中心であったため早くから郊外型商業施設や住宅団地などが郊外にでき、市街地の拡大が進んでいた。
佐賀市における中心市街地活性化計画 • そのため佐賀市の中心市街地の再開発の必要性が叫ばれ、市は第三セクター事業を立ち上げ白山地区に商業施設と公団住宅が一体となった再開発ビルの建設を行い、中心商店街活性化の起爆剤にしようとする計画が持ち上がった。 • 1996年2月に地元商業者や市によって第三セクター会社「まちづくり佐賀」がTMO機関として設立される。
佐賀市の中心市街地再開発事業 • 空洞化が進む佐賀市の中心市街地活性化への起爆剤として、佐賀市などが出資する第三セクター「まちづくり佐賀」が運営する再開発ビル「エスプラッツ」が1998年にオープンした。
再開発ビル「エスプラッツ」(1) • 第1種市街地再開発事業(権利変換方式)であり再開発準備組合も存在した。 • 地上12階のビルの内、1階から3階までの大部分が商業スペースで、5階以上は都市基盤整備公団の運営する分譲住宅として建設された。 • 開発当初は官民一体となった中心市街地再開発のモデルケースとして全国的に注目された。
(補足)第一種市街地再開発事業とは? • 市街地再開発事業において多くの場合にとられる一般的な手法。 • 再開発地区に新しく中高層の施設建築物を建て再開発の区域内の土地・建物等の権利者は、再開発事業前のそれらの権利の額に対応する再開発ビルの床(権利床)及びそれに対応する土地持分を、事業者から取得する。 • 事業者は新しい建築物内の権利床以外の余分な床(保留床)を売却・賃貸することで収入を得て事業費用に充てる。
(補足)第一種市街地再開発事業とは? • 行政は事業全体の推進について指導・援助をしながら、再開発後の公共用地の確保や補助金・起債による事業費の確保を担当。 • 再開発地区の地主や借地権者によって再開発組合を組織し事業者としてその権利の公正な配分や移転補償などが行われるケースが多い。(組合施行) • 権利変換方式とも呼ばれ、特殊なケースでしか認められない第二種市街地再開発事業(用地買収方式)に比べ、多くの再開発事業において採用されている。
再開発ビル「エスプラッツ」(2) • 佐賀市の中心市街地再開発は1970年代から懸案となっており、エスプラッツの開業まで20年もの歳月を費やした。 • この間にはバブル経済の崩壊や、急速な自動車化社会の進展など再開発ビルに求められるものを変えてしまうような大きな事態も発生したが、第三セクターの事業にありがちな「動き始めると止まらない」と言う特性により、この点は大きく省みられることは無かった。 • 結果、バブル期に作成された計画がバブル後に完成し、しかも既に地方都市の商業施設には不可欠となっていた大型の無料駐車場を備えていない施設として完成してしまった。
再開発ビル「エスプラッツ」(3) • また、バブル崩壊による地方経済の疲弊の影響として、当初は新しく出来る再開発ビルに進出を予定していた元の地権者の多くが進出を取り下げる事態が続出。権利床にまで空きが出る状況に。 • 新規の出店交渉も難航し、オープン時に3階の商業スペースが丸々開いたままという異常事態となった。 • これにより、撤退した地権者の権利床は「まちづくり佐賀」が買い上げたうえ、予定していたテナント賃料は大幅な減収を強いられるなど運営会社はスタートから大きな負債を抱えることになった。
再開発ビル「エスプラッツ」(4) • 2001年の5月には佐賀市に対し財政支援を要求したが、佐賀市はこれを拒否。 • その後「まちづくり佐賀」はおよそ16億円の負債を抱えて倒産した。 • 今では第三セクターによる事業の失敗例として取り上げられている。
佐賀での再開発事業失敗の原因 失敗の原因として次のようなものが挙げられる。 • 事前のマーケティングの不足 • テナント未決のまま事業が先行したこと • 保留床の運営以外に収入源を持たなかったこと
計画のまとめ • 佐賀におけるTMOの取り組みは、第三セクター特有の売上目標や来店客数など見通しの甘さを露呈し、完全な失敗に終わった。 • 官民一体の事業と言いながら結局は行政主導のビジネス感覚を欠いた事業になってしまった。 • 似たような理由からTMOが失敗に終わる事例は佐賀だけでなく全国で報告されている。
2つの事例の検討 ~TMOの成功と失敗の要因~
高松での成功と佐賀での失敗 • これまで多くのTMOが中心市街地活性化基本計画の認定に伴って全国で設立されてきたが成功例は少ないと言える。 • それでは佐賀をはじめ全国の多くのTMOが失敗する中、なぜ高松では成果を上げることが出来たのかその要因について検討していきたいと思う。
要因(1) 設立経緯の違いと意思決定の速度要因(1) 設立経緯の違いと意思決定の速度 • 高松のTMO 「高松丸亀町まちづくり株式会社」では商店街振興組合が中心として設立され、商店街側の意見を細かく反映し、地元のニーズやトレンドを素早く取り入れる小回りの利いた再開発が可能な体制であった。 • それに対し佐賀では第三セクターの運営会社をTMOとして設立したため事業の進展が遅く、トレンドを反映しにくい再開発となってしまった。
要因(2) TMOの権限 • 高松ではTMOに対して、再開発の計画立案、テナントの誘致や配置、イベントの企画など様々な役割が与えられていた。そのため商店街全体のグランドデザインを描きながら統合的に再開発を進めることが出来た。 • しかし佐賀では第3セクターのエスプラッツの運営以外には基本的に権限はなく、近隣商店街や中心市街地全体を含めた一体的運営を行うことは難しかった。
要因(3) 人材の確保 • 高松では中心市街地に大規模な商店街があり、そのため商店街振興組合や商工会の規模も大きく企画力のある優秀な人材がTMOに集まり易かった。 • しかし佐賀では商店街の規模が小さく地元関係者のTMO参加に乏しかったため、結局行政主導型の計画にならざるを得なかった。
以上3つの要因が2市の成否を分けた要因として考えられる。以上3つの要因が2市の成否を分けた要因として考えられる。 • また佐賀の事例は、第三セクターのTMO設定によって得られる資金調達面での優遇を目当てとした後付けのTMOという側面も拭えない。 (TMO設置は中心市街地活性化のための再開発事業において必ずしも必要ではない。ex.浜松市)
まとめ • TMOは中心市街地活性化においてとても重要かつ中心的な役割を果たし、また成果の期待できる制度と言っていい。 • しかし現状では成功例は少なく、優遇措置を目当てに形式的にTMOを取り入れているに過ぎない自治体も存在する。 • TMOがその本来の力を発揮するには地元関係者の積極的参加や委譲権限の拡大が必要となってくるだろう。
参考文献 • 高松市中心市街地活性化基本計画①http://www.city.takamatsu.kagawa.jp/file/8171_L11_H22.3kihonkeikaku1.pdf • 高松市中心市街地活性化基本計画②http://www.city.takamatsu.kagawa.jp/file/8171_L12_H22.3kihonkeikaku2.pdf • 認定中心市街地活性化基本計画のフォローアップに関する報告http://www.city.takamatsu.kagawa.jp/file/8171_L13_H21followup.pdf • 高松丸亀町商店街ホームページ「kame3.jp」 http://www.kame3.jp/redevelopment/
中小企業庁:がんばる商店街77選:高松丸亀町商店街http://www.chusho.meti.go.jp/shogyo/shogyo/shoutengai77sen/nigiwai/7shikoku/1_shikoku_25.html中小企業庁:がんばる商店街77選:高松丸亀町商店街http://www.chusho.meti.go.jp/shogyo/shogyo/shoutengai77sen/nigiwai/7shikoku/1_shikoku_25.html • 「TMO -Wikipedia -」http://ja.wikipedia.org/wiki/TMO • ㈱UFJ総合研究所報告「TMOによる中心市街地商業活性化の可能性」http://www.murc.jp/report/ufj_report/802/33.pdf • 「安全でゆたかな街づくりへ 東大阪市の市街地再開発事業」http://www.city.higashiosaka.osaka.jp/140/140040/kumiai/kumiaisekou.html • 佐賀市中心市街地活性化基本計画 http://www.city.saga.lg.jp/contents.jsp?id=19136