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レトロウイルス. 2008 年 5 月 8 日 日本大学医学部 3 年生 早川 智. レトロウイルス科 逆転写酵素を有する RNA ウイルス. 粒子構造 : ヌクレオカプシドが エンベロープに包まれる 遺伝子 : 直鎖一本鎖(+) RNA 粒子内に二分子入っている 複製に逆転写酵素が働く。. アルファレトロウイルス属 Genus : Alpharetrovirus 主なウイルス:トリ白血病ウイルス Avian leukosis virus ( ALV )
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レトロウイルス 2008年5月8日 日本大学医学部3年生 早川 智
レトロウイルス科逆転写酵素を有するRNAウイルスレトロウイルス科逆転写酵素を有するRNAウイルス 粒子構造:ヌクレオカプシドが エンベロープに包まれる遺伝子:直鎖一本鎖(+)RNA 粒子内に二分子入っている 複製に逆転写酵素が働く。 アルファレトロウイルス属 Genus:Alpharetrovirus 主なウイルス:トリ白血病ウイルス Avian leukosis virus(ALV) ラウス肉腫ウイルス Rous sarcoma virus (RSV) 藤波肉腫ウイルス Fujinami sarcoma virus (FuSV) ベータレトロウイルス属 Genus:Betaretrovirus 主なウイルス:マウス乳ガンウイルス Mouse mammary tumor virus(MMTV) ガンマレトロウイルス属 Genus:Gammaretrovirus 主なウイルス: ネズミ白血病ウイルス Murine leukemia virus (MLV) ネコ白血病ウイルス Feline leukemia virus (FeLV) Guinea pig typeC oncovirus (GPCOV) Porcine typeC oncovirus (PCOV) デルタレトロウイルス属 Genus:Deltaretrovirus 主なウイルス:ウシ白血病ウイルス Bovine leukemia virus(BLV) 成人型T細胞白血病ウイルスHuman T-lymphotropic virus-1 (HTLV-1) 、-2 (HTLV-2) イプシロンレトロウイルス属 Genus:Epsilonretrovirus 主なウイルス:Walleye dermal sarcoma virus(WDSV) レンチウイルス属 Genus:Lentivirus 主なウイルス:ヒト免疫不全(エイズ)ウイルス-1Human immunodeficiency virus 1(HIV-1),2 HIV-2 ネコ免疫不全ウイルス Feline immunodeficiency virus (FIV) サル免疫不全ウイルス Simmian immunodeficiency virus (SIV) ウマ免疫不全ウイルス Equine immunodeficiency virus (EIV) ウシ免疫不全ウイルス Bovine imuunodeficiency virus (BIV) スプマウイルス属 Genus:Spumavirus 主なウイルス:Shimpanzee foamy virus(CFV)
複製の方法 • エンベロープが細胞膜の受容体と結合し、細胞内にRNAと逆転写酵素が侵入 • 逆転写酵素がウイルスRNAを鋳型にマイナス鎖DNAを合成、さらにこれを鋳型にプラス鎖DNAが合成され、一本鎖RNAが二本鎖DNAに変換される • 二本鎖DNAは宿主細胞のDNAに組み込まれ、プロウイルスとなる • プロウイルスは恒常的に発現し,ウイルスRNAやmRNAを合成 • mRNAはウイルス蛋白となり、完成したウイルスは宿主細胞から発芽
逆転写酵素の3つの活性 1. RNA-directed DNA polymerase (1st DNA strand) 2. RNase H (ribonuclease that removes viral RNA) 3. DNA-directed DNA polymerase (2nd strand DNA)
レトロウイルスによる発がん • ヒトではHTLV-I.IIのみ • MMTVと乳がんの弱い相関が報告 • レトロウイルスが宿主細胞の様々なProto-oncogeneを持ち出す • 一種の遺伝子の水平移動である 細胞の情報を取り込むことによりウイルス固有の遺伝情報が喪われると複製能に欠損を生じた一種のdefectivevirusを生じる. 欠損ウイルスは複製に際しては補助レトロウイルスの存在を必要とする.(欠損ウイルスに必要な情報を提供する)
レトロウイルス研究から生まれたノーベル賞 RNA をDNA に変える逆転写酵素の発見 Baltimore and Temin, 1975 発癌ウイルスの分離 Rous1966 細胞内発癌遺伝子の発見 Bishop,Vermus1989
Luc Montagnier Robert GalloHIVを発見Luc Montagnier Robert GalloHIVを発見
HIV/AIDS治療の歴史 1981 米国で新たな免疫不全症が報告 1983HIVの分離 1985 シークエンスの決定 1985HIV抗体検査の実用化 1987AZTの実用化 1994dT4の実用化 1994 妊婦におけるAZT投与の有効性(ACTG076) 1996 コレセプターとしてケモカインレセプターが関与 CCR5の多様性と予後の関与 1995 プロテアーゼ阻害剤の実用化とHAARTの普及 1996HAARTによるエイズ患者余命の改善 2000HIVリザーバーの発見(旧来の治療法では根治不能) 2000 樹状細胞上の接着因子としてDC-SIGN 2003Fusin阻害剤の実用化 2003 各国でワクチンの臨床治験開始
HIVの構造 HIV粒子の直径は約100nm外被膜にはenv産物の2種の糖蛋白質(HIV-1 : gp120、gp41/HIV-2 : gp125、gp36) 内側にはgag産物の基本骨格蛋白質(HIV-1 : p17/HIV-2 : p16)とコア蛋白質(HIV-1 : p24/HIV-2 : p26) その中にRNAとRT(HIV-1 : p66/HIV-2 : p68)およびIN(HIV-1 : p32/HIV-2 : p34)の複合体が2分子含まれる
Nature Reviews Microbiology 3, 799-808 (2005)S. Nisole, J. Stoye, and A. Saib
HIV-1とHIV2の遺伝相同性は約50%である • プロウイルスDNA5´側キャップ構造と3´側ポリA構造との間に、gag、pol、vif、vpr、env、tat、rev、nef、vpu(1型)、vpx(2型)遺伝子がある[配列は違う] • 1型には10種、2型には6種のサブタイプがある
Integration of HIV Fusion of HIV gp120 env and target cell surface CD4 cause structural change of gp120 and exposure of V3 loop -> Fusion of V3 and CoR gp41 gp120 (V3) CD4 CoR Structure change Exposure of V3 Membrabe fusion by activated gp41
T細胞株指向性(X4),マクロファージ指向性(R5)ウイルスT細胞株指向性(X4),マクロファージ指向性(R5)ウイルス • R5 ウイルス(CCR5 をコレセプターとして利用):ヒトからヒトへの感染と感染個体内での持続感染の成立に関与する • X4 ウイルス(CXCR4 をコレセプターとして利用),R5‐X4 ウイルス(両者を利用):感染後期に出現し、急速なCD4 陽性T 細胞数の低下の原因となる Nature Rev.Microbiol.2006
HIVの感染経路 性交渉 同性愛,異性愛ともに (特に rectalintercourse) 性交渉(男→女)0.1-1%/回 逆は1/10,肛門交渉は10倍 血液製剤 非加熱製剤,輸血 ほぼ100% 経静脈麻薬 ほぼ100% 母子感染 無治療の場合20% 垂直感染による小児AIDSは予後不良
HIV感染・エイズの診断 • 抗HIV抗体 • HIVRNAの証明 • CD4リンパ球数 • 二次的感染症 ニューモシシチス(カリニ)肺炎,結核など
HIV感染症・エイズの治療 ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤 非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤 プロテアーゼ阻害剤 を組み合わせたHAARTを行う 他にケモカインレセプターブロッカー ワクチン(開発中) HIV薬物療法の問題点 HIVは変異が多く極めて耐性を生じやすい 長期投与のため、副作用や患者の経済的負担が大きい パラダイムの変換 免疫が荒廃してきても再建できる Hit as early as possible → Hit when it is required
抗HIV剤の作用点 Fusin阻害剤 CD4 プロテアーゼ 阻害剤 逆転写 Y Y 逆転写酵素阻害剤 CCR5/CXCR4 Provirus DNA 中和抗体 インテグラーゼ 阻害剤 CTL Y ワクチン
推奨される初回治療の組み合わせ(A群の一つとB群の一つを組み合わせる)推奨される初回治療の組み合わせ(A群の一つとB群の一つを組み合わせる) (B群) Stavudine (d4T) + Didanosine (ddI)Stavudine (d4T) + Lamivudine (3TC) Zadovudine (AZT) + Didanosine(ddI)Zadovudine (AZT)+Lamivudine(3TC)Didanosine (ddI)+Lamivudine (3TC) (A群) Efavirenz (EFV) Indinavir (IDV) Nelfinavir (NFV) Ritonavir (RTV)+ Indinavir (IDV) Ritonavir (RTV)+ Lopinavir (LPV) Ritonavir (RTV)+ Saquinavir (SQV) 推奨できない組み合わせ、併用してはいけない組み合わせ AZT+d4T、ddC+ddI、ddC+3TC、ddC+d4T 全ての単剤(妊婦に対するAZT単剤使用は例外)
HAART無効時の処方変更 NRTI:核酸系逆転写酵素阻害剤、NNRTI:非核酸系逆転写酵素阻害剤、 PI:プロテアーゼ阻害剤
ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤の副作用 • 核酸逆転写酵素阻害剤はミトコンドリアのDNAポリメラーゼγに結合しミトコンドリア障害を起こす. • 臨床的には肝障害,心筋障害,ミオパシー,ニューロパシー,乳酸アシドーシスの報告があり死亡例の報告もある. • これらの副作用は特に妊婦で多くみられるとする報告もあり厳重な管理が必要である。 • 副作用発現はとくにstavudineとdidanosineの投与例に多い。 zalcitabine>didanosine>stavudine>>lamibudine>zidovudine>abacavir
結核とHIV感染 • エイズに合併する結核は増加傾向にあり、全結核の14%に達する • 南米やタイでは結核とHIV感染の合併が周産期死亡の大きな原因となっており米国でも中米移民に多い.HIV陽性妊婦ではルーチン検査として結核皮内反応を行うべきである • HIVのgp120と結核菌体のMN-LAMは共に樹状細胞の特異的レセプターであるDC-SIGNに結合すると有効な抗原提示を行えず,TGF-bやIL-10など抑制性のサイトカインを誘導する。
HIV感染と子宮頸部悪性腫瘍 • HIV感染者では高率にHPV感染や子宮頸部の上皮内腫瘍が多い • HIVとHPVがともにSTDであり、multiple partnerなど感染に至るbehaviorが共通している • それ以外にもHIVによる細胞性免疫の低下がHPVの増殖や子宮頸部上皮の癌化を促進している可能性がある • 適切な治療によってHINの進行を阻止できると考えられるので積極的に細胞診を行う
同性愛は精神疾患ではない(米国精神病学会)同性愛は精神疾患ではない(米国精神病学会) • Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders (DSM)-I(1952): 病的性欲を伴った精神病質人格 • DSM-II(1973): 上記記述を削除 • DSM-III (1980):同性愛者であることへの著しい違和感や苦 悩について「自我異和的同性愛」と定義 • DSM-IIIR(1987):上記記載を削除 • DSM-IV(1994):上記同様 • WHO 国際疾病分類」(ICD-10) 1993年: • 「同性愛はいかなる意味でも治療の対象とはならない」
Kinsey Scale 4-6% 18 %
成人T細胞白血病 ADULTT-CELLLEUKEMIA ATL患者の男女比はやや男性が多く、20歳以降で発症、平均年齢は57歳皮膚症状(38.5%)、リンパ節腫脹(60.1%)、肝腫(25.7%)、脾腫(21.7%)、高Ca血症(31.8%)が主要症状。 他の白血病と比べ、貧血や出血傾向が少ない。 分布; 世界的に日本(九州、沖縄) アジア太平洋地域では、バヌアツ、パプアニューギニア アフリカではナイル川流域からソマリア、ケニア、タンザニア,ルワンダ, ガーナ、象牙海岸など中央部から西部海岸地域 南米アメリカではカリブ海沿岸地域 感染経路 授乳性行為(男性→女性*)輸血 年間発症率 平均0.1-0.2%累積70年で2-5% 花弁状核を有する腫瘍細胞
HTLV-1 • レトロウイルスの一つで感染者の5-10%にT細胞白血病をきたす • 感染細胞は生涯消えず、感染者をHTLV‐1 キャリアという。 CD4 + T感染細胞が数種類の突然変異で腫瘍化し単クローン性に増殖したのがATL である • HTLV‐ 1感染には感染細胞が他のT細胞に接触することが必要で、母乳を介するもの以外の感染経路は、血液の移入(輸血、臓器移植、注射)と性交に限定される。
Taxによる発がんの証明 • Tax遺伝子をT細胞および胸腺細胞で発現させたトランスジェニックマウスではT細胞性白血病 / リンパ腫を発症する Hasegawa et al.Nature Medicine 2006; 12:466-472
診断と治療 診断基準 (1)血液組織学的または病理学的にリンパ系腫瘍と診断され、(2)腫瘍細胞はT細胞由来(特にCD2,CD3,CD4が陽性)(3)抗HTLV-I抗体が陽性 確定 : HTLV-IプロウイルスDNAのモノクローナルな組み込みの証明 鑑別疾患 : 他のT細胞腫瘍(慢性リンパ球性白血病や Sezary 症候群など、 ウイルス学的検索により鑑別診断を下す 治療 悪性リンパ腫への治療法に準じるが予後不良 Lymphoma Study Group(LSG)の集計ではATL全例の生存期間の中央値は9か月で、4年生存率10.3%であった。 急性型およびリンパ腫型は特に予後不良であり、くすぶり型と慢性型は良好である VEPA療法ビンクリスチン(VCR)、シクロホスファミド(CPM)、ドキソルビシン(ADM)、プレドニゾロン(PSL)に加えてブレオマイシン(BLM)、メトトレキサート(MTX)、ビンデシン(VDS)、プロカルバジン(PCZ)、エトポシド(VP-16)も併用される。完全寛解率は45%程度
HTLV-I関連ミエロパチー(HAM)と熱帯性痙性対麻(TSP) 。HTLV-I関連ミエロパチー(HAM)と熱帯性痙性対麻(TSP) 。 神経学的に以下のような所見があり、脊髄液中(または血液中)に HTLV-I抗原または抗体 を証明する HAM/TSPの治療 抗痙縮薬による対症療法と 副腎皮質ステロイドの経口投与。 αインターフェロン、ミゾリビン、アザチオプリンなども試みられる。
有毛細胞白血病(hairy cell leukemia,HCL) • 位相差顕微鏡や走査電子顕微鏡によって細胞質の突起を細胞外部に伸ばしている白血化細胞が毛髪のように見える かつて、その形態から網内系起源と考えられ、白血性細網内皮症(leukemic reticuloendotheliosis)と呼ばれたが、その後リンパ系起源の細胞に由来することが確認され、慢性リンパ性白血病(CLL)の一種に分類 大部分が表面免疫グロブリンを有するB細胞由来のもので、稀にT細胞性と考えられる症例が存在する。 病因は不明で、家族性、放射線性を示唆する報告がある一方、T細胞性HCL症例中にHTLV-IIのゲノムを認めた報告がある しかし、疫学的にレトロウイルス感染症としての証明は未だ確立していない 発病年齢は50台以降で、男性が女性の3-4倍多い。人種的な発病頻度の違いは世界的に調べられていないが、欧米では全白血病の2-6%を占めるとされるのに対し、日本では今まで100例ほどしか報告がない。
Sezary症候群 Sezary細胞はヘルパーT細胞を起源とし、皮膚に浸潤する。1938年、Sezaryによって初めて記述された。 HTLV-Iが病原ウイルスと考えられており、皮膚T細胞リンパ腫(cutaneous T-Celllymphoma,CTCL)の半数以上を占める。菌状息肉症(mycosis fungoides,MF)が白血化したものである。 本症は稀な疾患で、アメリカ合衆国での発生は年間100万人当たり2~3例、死亡は約300例と推定される。診断時の平均年齢は52歳で男性にやや多い。 HTLVの病理学的関与は解明されておらず、否定的な意見もある
あなたは縄文人か弥生人か? 1.顔は四角ばっていますか? はい/いいえ2.顔の彫りは深いですか? はい/いいえ3.眉は太く濃いですか? はい/いいえ4.ひげ(または口周りの毛)は濃いですか? はい/いいえ5.瞼は二重ですか? はい/いいえ6.耳たぶは福耳ですか? はい/いいえ7.耳垢は湿っていますか? はい/いいえ8.鼻は高いですか? はい/いいえ9.唇は厚いですか? はい/いいえ10.前歯の裏は平らですか はい/いいえ11.手足は長いですか? はい/いいえ12.右手の薬指の第2関節に毛が生えていますか? はい/いいえ
内在性レトロウイルス われわれのゲノムの約8%を占める Gem cellに取り込まれており、親から子に伝わる 進化の上で、過去に感染したレトロウイルスのなごり 大部分はgagやpolに致命的な変異があって複製できない Nature403, 715-717 (17 February 2000) HERVの関与が示唆される疾患 悪性腫瘍 自己免疫疾患 統合失調症 神経変性疾患
妊娠初期胎盤にWERV-Wが発現 Smallwood A et al. BIOLOGY OF REPRODUCTION 69, 286–293 (2003)
乳癌組織・細胞株でHERV-Kが発現している。Feng Wang-Johanning et al. Clinical Cancer Research Vol. 7, 1553-1560, June 2001
統合失調症患者の脳におけるHERV発現Frank O et al.J.Virol2005, p. 10890-10901, Vol. 79, No. 17