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教育 政策 と経済成長. 中京大学経済学部 古川雄一ゼミ 2011年11月26日 斎藤 佐野 佐溝 佐藤. 研究の背景と重要性. 現在、日本の教育政策は転換期である。 民主党による政権交代で新たな二つの教育政策改革が実施されている。 子ども手当 高校無償化. 教育政策のポリシーミックスが行われている. 研究の背景と重要性. 子ども手当 2010年4月より実施、2012年3月にて廃止 15歳以下の子供を対象として、子供の数に応じて扶養する保護者に対して手当を支給。 2010年6月~2011年9月:受給者ごとに一律13000円
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教育政策と経済成長 中京大学経済学部 古川雄一ゼミ 2011年11月26日 斎藤 佐野 佐溝 佐藤
研究の背景と重要性 • 現在、日本の教育政策は転換期である。 • 民主党による政権交代で新たな二つの教育政策改革が実施されている。 • 子ども手当 • 高校無償化 教育政策のポリシーミックスが行われている
研究の背景と重要性 • 子ども手当 • 2010年4月より実施、2012年3月にて廃止 • 15歳以下の子供を対象として、子供の数に応じて扶養する保護者に対して手当を支給。 • 2010年6月~2011年9月:受給者ごとに一律13000円 • 2011年10月~2012年3月:3歳未満と小学生までの第3子以降が月額15000円、3歳から小学生の第2子までと中学生は月額10000円が支給 • 子ども手当の経済学的意義 • 子供の数を増加させるインセンティブがあり、少子化対策政策と考えられる。 • 子供の数の増加は労働者の増加につながる。
研究の背景と重要性 • 高校無償化 • 2010年4月より実施 • 公立高校の授業料を無料にし、私立高校の授業料を低減させる政策。 • 私立高校には公立高校と同額分を減額 • 高校無償化の経済学的意義 • 教育費用を減少させ、教育投資費用の低減による人的資本蓄積の加速を目指した政策という側面もある。 • 人的資本蓄積の加速は労働の生産性の向上につながる。
研究の背景と重要性 • 教育政策と経済成長 • 子ども手当→労働者の増加 • 高校無償化→労働の生産性の向上 • 二つの教育政策は経済成長を促進する効果が期待できる(成長会計理論、Solow(1956)参照) はたして本当に二つの政策のポリシーミックスの 政策効果は有効なのか?
研究の背景と重要性 • 子ども手当と高校無償化の政策効果 • 理論的観点・実証的観点からも明確な結論は得られていない • 本当の二つの政策効果はどうなのか? • 子供の数と教育水準(人的資本蓄積)が内生的であるような世代重複モデルを構築し、子ども手当と高校無償化、そのポリシーミックスの効果を理論的に分析する。
先行研究と本研究 • 教育や人的資本蓄積が経済成長に与える影響の重要性を論じた研究 • Romer(1986) , Lucas(1988) • 特に教育による人的資本蓄積の経済成長への影響を世代重複モデルにおいて強調した論文 • Glomm and Ravikumar(1992) • Galor and Moav(2004) • Galor and Moav(2002)
先行研究と本研究 • 本研究と先行研究との関係 • 本研究では子ども手当と高校無償化の影響を分析するため、子供の数と教育投資の二つを内生化する必要がある。 • そのモデルを使用して、子ども手当と高校無償化およびポリシーミックスの政策効果を分析する。
モデル概要 • 現在の高校進学率はほぼ100%(2010年98%) • 人的資本蓄積の加速を目指した政策とは言えない。 • 本研究では子供の人 数に応じた所得移転政 策としてモデル化
モデル概要 • 教育水準と子供の数が内生的な世代重複モデル • 世代は3世代(ヤング期、アダルト期、オールド期) • ヤング期とアダルト期のみ経済行動を行い、オールド期は何もしない • 子供手当と高校無償化をモデル化 • 別々のパラメーターとしてモデル化 • 子供手当はヤング期、高校無償化はアダルト期にもらえる • 完全競争下の小国開放経済 • 財価格1、利子率は世界利子率 • 子供の親は1人
モデル概要(生産) 技術 産出量 効率的労働単位 の総量
モデル概要(個人の選好) 消費者 t 期 消費 消費 子供を産む 選好: 子供 t+1期 教育 割引率: 子供の人数 子供の 人的資本水準 子供 t+1期
モデル概要(個人ヤング期予算制約) 消費 消費者 t 期 予算制約(t期) 貯蓄 子供手当 労働所得 子育て時間 子育て 労働賃金: 所得税:
モデル概要(個人アダルト期予算制約) 消費者 t+1 期 教育 予算制約(t+1期) 高校無償化 貯蓄 利子率:
モデル概要(個人) 消費者 t 期 消費者 t+1 期 予算制約 (t+1期) 予算制約(t期) 子供 t+1期 子供 t+1期 生産
モデル概要(人的資本蓄積) 教育水準 子供の人的資本水準 教育水準が子供の 人的資本に与える影響:
家計の最適行動 • 各家計は以下のことについて予算制約の下で自分の満足度が最大になるように選択する • どれだけ子供を産むのか • どれだけ子供を教育するのか
分析の結果 • 各家計の最適行動は子供の数と教育投資をどのように決めるのかによって特徴づけられる • 子供の数:教育政策によって増加する • 教育投資:教育政策によって減少する • ともに所得の増加によって増加する • 教育投資は教育政策があまりにも規模が大きいとゼロになってしまう
分析の結果 • 子供の人的資本は親の人的資本によって変化する • 教育政策を行うと子どもの人的資本は減少する • (教育政策によって教育投資が減少するため) • 次の期の人的資本は、今の期の人的資本によって決まり、徐々にある均衡人的資本水準に収束する。均衡人的資本水準においては今の期と次の期の人的資本の値が一致し、その値で一定となる
分析の解釈 • この経済の成長プロセスが複雑であることを示唆している。 • ほとんどの人が高校に進学している状況下では高校無償化と子供手当はほとんど同じ効果 • パラメーターによっては、図に示されているような複数定常均衡が発生し、初期教育水準が低すぎると、経済は低開発の罠に陥る可能性がある。 • 教育政策(子供手当と高校無償化)が動学プロセスに重大な影響を与えることを示すことができる。 • 次に3つのパターンに分けて成長プロセスを図に表す。
定理1(ⅰ)政策なし (ⅰ)の場合は政策がない場合()の 成長プロセス。 ソローモデルや ダイアモンドモデルと同様の成長 をする。
定理1(ⅱ)中間的な政策 (ⅱ)の場合は中間的な教育政策の 成長プロセス。 複数定常均衡が発生する。
定理1(ⅲ)極端な政策 (ⅲ)の場合は極端な教育政策の 成長プロセス。 人的資本蓄積が低水準の定常均衡に収束する。
分析の結果 人的資本 の上昇→子供の数 の上昇 教育投資をお金としてモデル化したことで教育政策の規模によっては以下のプロセスが起こる可能性がある ・子供手当(高校無償化) → 教育投資の減少と子供の数の増加 → 所得の減少 → 子供の数の減少 1、適度な教育政策は子供の数を増加させるが、 極端な教育政策は一時的には子供の数を増加させるが、 結果的には子供の数を減少させてしまう 2、教育政策による可処分所得の増加と、教育政策による 教育投資の減少に伴う所得の減少の大小関係によって 子供の増加が一時的なものか、最終的なものかが決まる
経済成長 • 消費者: と のトレードオフがある • 経済成長率は と の大小関係によって変わる • 教育政策(子供手当と高校無償化)の規模によって経済成長に影響をあたえる
まとめ • 子供の人数と各子供への教育投資水準が内生化されている、子供手当政策(η)と高校無償化政策(φ)の効果を分析可能な世代重複モデルを構築 • 結果 • 教育政策(子供手当と高校無償化)が動学プロセスに重大な影響を与える • 教育政策の規模によっては結果的に子供の数が減少する可能性がある • 経済成長は子供の数と人的資本の大小関係で変化する • 教育政策は動学プロセスと経済成長に影響を及ぼすため状況に応じた程度で行うべきである