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欧州の安全保障 ― NATOとEUを中心に ―. 安全保障論 (第7回) 担当:神保 謙. (参考)リージョナル・アナトミー論I 特別講義 ジェームズ・D・ケリー 在日米海軍司令官. Special Lecture RADM James D. Kelly Commander, US Naval Forces, Japan. 日 時: 6 月 8 日(木) 第 2 限 場 所: τ 11 (大学院棟) 演 題: US-Japan Alliance and the Role of US Forces in Japan
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欧州の安全保障―NATOとEUを中心に― 安全保障論 (第7回) 担当:神保 謙
(参考)リージョナル・アナトミー論I 特別講義ジェームズ・D・ケリー 在日米海軍司令官(参考)リージョナル・アナトミー論I 特別講義ジェームズ・D・ケリー 在日米海軍司令官 Special Lecture RADM James D. Kelly Commander, US Naval Forces, Japan • 日 時: 6月8日(木) 第2限 • 場 所: τ11 (大学院棟) • 演 題: US-Japan Alliance and the Role of US Forces in Japan • 使用言語: 英語
質問1:あなたは、今後核兵器を持つ国は増えると思いますか。減ると思いますか。質問1:あなたは、今後核兵器を持つ国は増えると思いますか。減ると思いますか。 それとも、変わらないと思いますか。 質問2:あなたは、今後10年のあいだに、世界のどこかで核兵器が使われると思い ますか?そうは思いませんか。
質問3: (質問2で「使われると思う」と答えた人に)では、誰によって使われると思い ますか? 質問4: 「核兵器によって、ほかの国からの攻撃を防ぐことができる」という考え方 があります。あなたは、この核抑止論の考え方を支持しますか?
第7回講義のねらい • ヨーロッパ(欧州)における安全保障の重層的構造と役割分担を理解する(ポスト冷戦・ポスト9.11) • NATO・EUが、任務の拡大、加盟国の拡大、機構改革を通して、いかなる安全保障秩序を構築しようとしているのか • アジア・太平洋地域への示唆は?(次週の課題)
学習の手引き • ウェブサイト • 安全保障論ノススメ「欧州における安全保障:NATO・EUを中心に」 • NATO (http://www.nato.int/) • EU (http://europa.eu/) • EU駐日代表部(http://jpn.cec.eu.int/home_jp.php) • 論文 • 広瀬佳一「欧州安全保障・防衛政策の可能性―NATOとの関係を中心に」『国際政治』第142号(2005年8月) • 鶴岡路人「国際政治におけるパワーとしてのEU―欧州安全保障戦略と米欧関係―」『国際政治』(第142号、2005年8月) • 植田隆子「欧州連合(EU)の軍事・非軍事的危機管理―欧州の地域的国際組織における国際平和維持活動の構造変動」『国際法外交雑誌』(2003年11月)
北大西洋条約機構(NATO) • 1949年、北大西洋条約に基づき米国・カナダ及び欧州10カ国を原加盟国として発足⇒現在は26カ国 • 本部はベルギー・ブリュッセル
NATOの集団防衛(第5条) 第5条 締約国は、ヨーロッパまたは北アメリカにおける1以上の締約国に対する武力攻撃を全締約国に対する攻撃とみなすことに同意する。・・そのような武力攻撃が行われたときは、各締約国が、国際連合憲章第51条の規定によって認められている個別または集団的自衛権を行使して、北大西洋地域の安全を回復しかつ維持するためにその必要と認める行動(兵力の使用を含む)を、個別的に及び他の締約国と共同して直ちにとることにより、その攻撃を受けた締約国を援助することに同意する。
参考:第5条事態としての9.11 • 2001年9月12日に北大西洋理事会(NAC)は、9.11事件が外国からの攻撃であれば、第5条事態とみなすことに合意。 • 2001年10月2日に、NATOは第5条規定を発動 • 地中海常設海軍(STANAFORMED)の展開 • 早期警戒管制機(AWACS)を米本土に派遣
ポスト冷戦・ポスト9.11のNATO • 任務の拡大 • 加盟国の拡大 • 機構の変革
「新戦略概念」(1999年4月) • 新戦略概念の採択 • 欧州の周辺地域における地域紛争も、欧州の安全保障上の脅威になるとの認識の下、初めて域外地域を対象とした紛争予防、危機管理等を新たな任務(非5条任務)として加えた • 転機となったバルカン紛争 • ボスニア・ヘルツェゴビナへの空軍力の提供(1993) • ボスニア・ヘルツェゴビナへの平和履行部隊(IFOR)の展開(1995)⇒安定化部隊(SFOR)の展開(1996) • コソボ紛争における空爆実施(1999.3)
(参考)国際安全保障システムの類型 脅威の性格 特定 不特定 非包括 包括 非包括 包括 外 部 内 部 脅威の所在 (出所)山本吉宣「協調的安全保障の可能性—基礎的な考察」 『国際問題』第425号(1995年8月)4頁
アフガニスタンにおける活動 • 国際治安支援部隊(ISAF)の総指揮権を継承(2003.8) • カブール及び周辺地域における治安維持 • 地域復興チーム(PRT) • ISAFの指揮の下、クンドゥス他の地域における治安維持区域を拡大
イラク戦争への対応 • プラハ首脳会合(2002年11月) • 安保理決議1441の支持 • イラクに対して同決議の完全遵守の要請 • イラク戦争開戦過程での欧州断裂 • 「古い欧州」(仏・独・ベルギー)と「新しい欧州」(スペイン・ポーランド)の分断(ラムズフェルド米国防長官) • 対トルコ安全保障支援(米提案)への反対 • イラク戦争後の対応 • ポーランドの平和維持活動を支援(情報提供・後方支援) • イスタンブール首脳会議(2004年6月):安保理決議1546の効果的実施のための支援
NATO拡大プロセス • 第1次拡大(1999年3月) • ハンガリー/チェコ/ポーランド(3カ国) • 第2次拡大(2002年11月) • バルト三国(エストニア・ラトビア・リトアニア)・スロバキア・スロベニア・ブルガリア・ルーマニア(7カ国)
NATO拡大と欧州の安全保障の変革 • NATO拡大と役割の変革 • 集団防衛から集団安全保障へ?(cf. 第2回講義) • 危機管理・不拡散・対テロ対策 • 軍備管理・信頼醸成措置 • 軍軍協力・軍改革 • NATO・ロシア関係 • 「平和のためのパートナーシップ協定」(1994) • 「常設合同理事会(PJC)」設立(1997) • 「NATO・ロシア理事会」設立(2002年5月)
(参考)国際安全保障システムの類型 脅威の性格 特定 不特定 非包括 包括 非包括 包括 外 部 内 部 脅威の所在 (出所)山本吉宣「協調的安全保障の可能性—基礎的な考察」 『国際問題』第425号(1995年8月)4頁
NATOの変革 (I) • プラハ首脳会合(2002年11月) • 「対テロ防衛に関するNATO軍事概念」 • 情報共有や危機対応措置の改善 • 「プラハ軍事能力コミットメント」(PCC) • 戦略的航空輸送能力・空中給油能力の強化 • NBC兵器に対する防御装備の調達加速 • 展開可能な戦闘支援部隊に関する能力強化 • 機構の改編 • 欧州連合軍最高司令官(SACEUR)の指揮の下、欧州/大西洋連合軍を、単一の作戦連合軍に統合 ⇒指令部:作戦連合軍司令部(SHAPE) • NATO即応部隊(NRF)の創設 • 単一の指揮官の下に組織され、地理的制限なく(wherever needed)展開できる陸・海・空の統合部隊。2006年10月までに約2万人より組織される、完全な作戦能力を有する部隊とすることで合意
NATO変革 (II) • イスタンブール首脳会合(2004年6月) • 「有用」かつ「展開可能」な軍事能力向上に向けた変革 • 各国陸軍の40%は海外への展開が可能なように準備され、8%はNATOが常に使用可能な状態にするという数値目標に合意 • NATOアウトリーチ問題 • 「地中海ダイアローグ」 • 中東・中央アジア・コーカサスへのPfP拡大構想
NATO変革の課題 • 加盟国間の防衛能力ギャップ問題 • 「防衛能力イニシアティブ」(DCI) • 「プラハ能力コミットメント」(PCC)2002年11月 • 旧東側諸国の標準化問題 • EUとの任務・役割分担
EU拡大とEU憲法批准問題 • EU憲法 • 25カ国に拡大したEUの目的・市民の権利・共通外交安全保障政策等に関する規定 • 欧州理事会議長(EU大統領)及び欧州委員会委員長(EU外相)ポストの設置 • EU憲法批准問題 • フランス (賛成:45.1% 反対:54.9%) • オランダ (賛成:38% 反対:62%)
EUの欧州安全保障防衛政策(ESDP) • マーストリヒト条約(1992年) • 欧州共通外交安全保障政策(CFSP) • 英仏サン・マロ首脳会議(1998年12月) • EUが欧州独自の軍事行動を遂行する能力・機構を保持すべきことを提言 • 欧州緊急展開部隊(EU-RRF)の設置に向けた動きが加速 • アムステルダム条約(1999年) • CFSPの一部として欧州安全保障防衛政策(ESDP)に関する規定を設置
欧州緊急展開部隊(RRF)構想 • 欧州緊急展開部隊(RRF)構想(99年11月) • 2004年までの緊急展開部隊の設置 • 規模:6万人 • 展開:60日以内に展開・1年間継続可能 • NATOの基地・施設・装備等を有効活用 「ペータースベルク任務」 • 人道援助・救援 • 平和維持 • 危機管理 • RRFの課題 • 独自の派遣能力(長距離輸送能力)が不足 • EU域内での能力ギャップ問題 • 「ヘッドライン・ゴール」設定(1999年12月) • NATO即応部隊(NRF)との機能重複
EU「欧州安全保障戦略」(ソラナ・ペーパー)(2003)EU「欧州安全保障戦略」(ソラナ・ペーパー)(2003) • 欧州が直面する脅威として、①テロ、②大量破壊兵器の拡散、③地域紛争、④破綻国家、⑤国際組織犯罪を規定 • 軍事力に限らない包括的な手段を用いた予防的関与(preventive engagement)の重要性を強調 • EUの戦略目標として、「脅威への取組み」「近隣地域の安全保障」「多国間主義に基づく国際秩序」の3つを明記
EUの安全保障 活動実績 • 警察部隊 • ボスニア・ヘルツェゴビナ「欧州連合警察ミッション(EUPM)」(2003年1月) 警察官:500人・民間人:300人 • マケドニア「プロクシマ」(2003年12月)⇒警察改革等 • 緊急展開部隊 • マケドニア「コンコルディア作戦」(2003年3月~12月) ⇒非武装停戦監視団の防護・治安維持 • コンゴ「アルテミス作戦」(2003年6月~9月) ⇒コンゴ情勢の安定化・人道状況の改善 • ボスニア・ヘルツェゴビナ「安定化部隊」(SFOR)
欧州憲法とESDP • 「相互防衛」条項(I-40-7) • EU加盟国の領土に対する軍事的な侵略に対し、他の加盟国は国連憲章第51条に従いあらゆる手段で援助する義務を王 • NATOのコミットメントと整合的 • 欧州装備・調査・軍事能力庁の設置(I-40-7) • 2003年11月に開催されたESDPに関する国防大臣会合で設置合意 • 欧州防衛能力の改善努力を支援 • 危機管理の分野における防衛能力の開発 • 欧州防衛能力の促進・強化 ⇒ 「修正ペータースベルグ任務」 (共同武装解除・危機管理における戦闘部隊任務) • 欧州防衛産業及び技術基盤の強化 • 将来の防衛安全保障能力に関する要求に応えるための研究促進
欧州安全保障協力機構(OSCE) • 「欧州安全保障協力会議」(CSCE) • 「ヘルシンキ・プロセス」(1975年) • 東西両陣営35カ国による緊張緩和 • 信頼醸成措置・予防外交 • 「欧州安全保障協力機構」(OSCE) • 「欧州安全保障憲章」の採択(1999年) • 「テロ対策に関する決定及び行動計画」(2001年12月)
「ベルリン・プラス」枠組み • 「ベルリン・プラス」枠組み(1999年4月) • 「NATOとして関与しない」紛争について、NATOの能力(作戦立案、情報収集)やアセット(装備、兵器、インフラ)等を、EUが利用しながら独自の作戦行動を行えるようにした取り決め • 「ベルリン・プラスの実践」 • コンコルディア作戦 • NATOアセットの利用→軍事ミッション引継ぎ→終了 • EU平和安定化部隊 • NATOアセットの利用→SFORの引継ぎ→民生分野へ拡大 • EU-NATO間の多層的な協力関係(作戦運用計画・軍事力整備計画) • 「EU政治安全保障委員会」⇔「NATO理事会」 • 「EU軍事委員会」⇔ 「NATO軍事委員会」 • 「EU作戦司令部」⇔ 「欧州連合軍最高司令部(SHAPE)」
「軍事ミッション」から「非軍事ミッション」へ―「ベルリン・プラス」を超えて―「軍事ミッション」から「非軍事ミッション」へ―「ベルリン・プラス」を超えて― • 「地理的分担論」 • グローバル(NATO) vsリージョナル(EU)⇔ cf. アルテミス作戦 • 「機能的分担論」 • ハイエンド(NATO) vs ローエンド(EU) ⇔ cf. EUBG構想 • 「ベルリン・プラス」を超えて? • NATOのExit Model と EUへの移管 • EU の Exit Model と 現地政府の take-off • EU・NATO加盟プロセス • 「安定化連合協定」(SAA)による国内改革 • NATO加盟に向けた布石としてのイラク・アフガンへの派兵