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企業結合規制について

企業結合規制について. 平成22年7月2日 公正取引委員会事務総局 経済取引局企業結合課 深町 正徳. (注)本資料は個人の責任でとりまとめたもので,所属する 組織の見解を示したものではありません。. 目次. 公正取引委員会・独占禁止法の概要 企業結合規制の概観 企業結合規制の手続 企業結合審査の流れ・考え方 実際の企業結合審査事例. 目次. 2. 公正取引委員会とは. 公正取引委員会は, 1947 年に制定された独占禁止法を運用するための機関として, 1947 年に設立 公正取引委員会は,内閣総理大臣の所轄に属し,内閣府の外局として設置された独立行政委員会

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  1. 企業結合規制について 平成22年7月2日 公正取引委員会事務総局 経済取引局企業結合課 深町 正徳 (注)本資料は個人の責任でとりまとめたもので,所属する組織の見解を示したものではありません。

  2. 目次 公正取引委員会・独占禁止法の概要 企業結合規制の概観 企業結合規制の手続 企業結合審査の流れ・考え方 実際の企業結合審査事例 目次 2

  3. 公正取引委員会とは 公正取引委員会は,1947年に制定された独占禁止法を運用するための機関として,1947年に設立 公正取引委員会は,内閣総理大臣の所轄に属し,内閣府の外局として設置された独立行政委員会 公正取引委員会は,委員長1名と委員4名から成る合議制の機関 公正取引委員会の事務を処理するために事務総局が置かれている(2010年度末791名) 公正取引委員会・独占禁止法の概要 3

  4. 公正取引委員会・独占禁止法の概要 公正取引委員会の職員数の推移 2010年度末 791 284 237 2009 4

  5. 公正取引委員会の組織図 公正取引委員会・独占禁止法の概要 ……総合調整,審判事務, 海外当局との協力 官 房 ……独占禁止政策の企画, 経済実態の調査,企業結合の審査 経済取引局 審判官 事務総局 公正取引委員会 取 引 部 …不公正な取引方法の指定等, 下請法の運用 委員長 委員(4人) 事務総長 審 査 局 ……独占禁止法違反事件の処理 犯則審査部 …犯則事件の審査 地方事務所等 …北海道事務所 東北事務所 中部事務所 近畿中国四国事務所 中国支所 四国支所 九州事務所 (沖縄総合事務局 総務部公正取引室) 5

  6. 独占禁止法及び関連法 独占禁止法による主な規制 私的独占 (支配型・排除型) 不当な取引制限 (カルテル,入札談合) 不公正な取引方法 競争制限的な企業結合 独占禁止法の補完法 下請法(1956年制定) 入札談合等関与行為防止法(2002年制定) 公正取引委員会・独占禁止法の概要 独占禁止法の禁止行為の 3本柱 6

  7. 企業結合規制の概観 ○広義の企業結合規制 <市場集中規制> 複数の企業が合併等の企業結合を行うことにより,特定の市場における競争を実質的に制限することを防止 <一般集中規制> 特定の企業グループに過度に経済力が集中することを防止 ・事業支配力が過度に集中することとなる会社の設立の禁止(第9条) ・銀行・保険会社の持株制限(第11条)   銀行が他の国内の会社の議決権を5%を超えて保有することを禁止(保険会社は10%) 以下では,企業結合規制=市場集中規制として,話を進める。 7

  8. 企業結合規制の概観 ○独占禁止法に基づく企業結合規制 企業結合(株式保有,役員兼任,合併,分割,共同株式移転,事業譲受け等)により,一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなる場合には,当該企業結合は禁止される。 株式保有,役員兼任,合併,分割,共同株式移転,事業譲受け等(企業結合)  企業結合のうち, 一定の要件に合致するもの 事前届出の義務付け(30日前) 企業結合により 一定の取引分野における 競争を実質的に制限することとなる場合 企業結合の 禁止 ※ただし,独占禁止法上の問題を解消する措置が採られる場合には容認 独占禁止法の関係条文 第10条:会社の株式保有の制限  第15条の2:分割の制限 第13条:役員兼任の制限  第15条の3:共同株式移転の制限 第14条:会社以外の者の株式保有の制限  第16条:事業の譲受け等の制限 第15条:合併の制限 8

  9. 企業結合規制の概観 企業結合規制の意義・重要性 • 企業結合規制により,競争制限的な企業結合を禁止し,活発な競争を維持することは,例えば,以下の点から重要。 • - 生産効率の改善 • - 技術革新の推進 • - 効率的な資源配分の達成 • - 国際競争力の強化  • 日本国内の市場におけるシェア変動率が高い(国内競争が激しい)産業ほど,世界全体の輸出額合計に占める日本の当該産業の輸出額シェアが有意に高いとする実証研究が存在。(“Competing at Home to Win Abroad: Evidence from Japanese Industry” M. Sakakibara, M.E. Porter, The Review of Economics and Statistics, Vol.83, No.2, May 2001) 9

  10. 企業結合に関する届出制度 企業結合規制の手続 注1 「企業結合集団」=当事会社の「最終親会社」及びその子会社からなるグループ 2  「議決権保有割合」=企業結合集団ベースで保有する議決権の割合 10

  11. 平成21年改正独禁法による企業結合の届出制度の改正平成21年改正独禁法による企業結合の届出制度の改正 従来事後届出であった株式取得について,事前届出制を導入。 届出が必要となる株式取得を,3段階(10%超,25%超,50%超)から2段階(20%超,50%超)に簡素化。 届出基準として企業グループベースの国内売上高を採用し,基準となる金額を200億円及び50億円に設定(改正前は総資産100億円及び10億円)。 外国会社についても,国内の会社と同様の届出基準を適用。 同一企業グループ内の企業再編について,届出を免除。 共同株式移転に関する届出規定の整備。 企業結合規制の手続 11

  12. 企業結合規制の手続 企業結合の届出等の件数 うち新法に基づく届出件数 (1月~3月) 71件 1258 1284 1240 1229 1187 1189 1071 1037 1008 985 12

  13. 企業結合規制の手続 企業結合計画に関する法定手続のフローチャート 合併等の届出受理. 独占禁止法上問題 がある場合 検討に当たり追加的な 報告等が必要な場合 30日以内 事前通知 審査に必要な報告等の請求 独占禁止法上問題がない 意見申述・証拠提出の機会 報告等の受理 90日以内 排除措置命令 事前通知 独占禁止法上問題がない 意見申述・証拠提出の機会 確定 (審判請求) 排除措置命令 審決 (請求の棄却) 審決(命令の取消し・変更) (審判請求) 確定 審決取消しの訴え (訴訟) 13

  14. 事前相談への対応フローチャート 企業結合規制の手続 事前相談申出前の照会 事前相談の申出 = 企業結合計画の具体的内容を示す資料の提出 (追加資料が必要な場合) (追加資料が必要ない場合) 20日以内 第1次審査に必要な追加資料リストの提示 追加資料の提出 = 第1次審査の開始 第1次審査の開始 30日以内 第2次審査が必要な旨の通知  = 第2次審査に必要な資料の提出要請 独占禁止法上問題がない旨の回答 (おおむね3~4週間で提出される。) (意見のある者は第2次審査を行う旨の公表後30日以内に意見書を提出することができる。) 第2次審査の開始・公表 第2次審査に必要な資料の提出 (問題点を指摘する場合には,具体的根拠を示す。) 90日以内 独占禁止法上の問題の有無に係る回答 ※当事会社は,必要に応じて,いつでも資料・意見書等を提出することができる。 1週間以内 事前相談の内容及び回答内容の公表 14

  15. 企業結合審査の流れ・考え方 画定された一定の取引分野ごとに競争を実質的に制限することとなるか否かを判断 セーフハーバーに該当しないものについて検討 単独行動による競争の実質的制限 協調的行動による競争の実質的制限 企業結合審査の流れ 対象行為が企業結合審査の対象となるか否か 一定の取引分野の画定 取引対象商品の範囲,地理的範囲等を画定 競争を実質的に制限することとなる場合,問題解消措置を検討 15

  16. 企業結合審査の流れ・考え方 企業結合ガイドライン ■「企業結合審査に関する独占禁止法の運用指針」(平成16年5月31日) 企業結合審査に関する法運用の透明性を一層確保し,事業者の予測可能性をより高める観点から策定。  第1 企業結合審査の対象  第2 一定の取引分野  第3 競争を実質的に制限することとなる場合  第4 水平型企業結合による競争の実質的制限  第5 垂直型及び混合型企業結合による競争の実質的制限  第6 競争の実質的制限を解消する措置   (付1)事前相談について   (付2)禁止期間の短縮について 16

  17. 企業結合審査の流れ・考え方 企業結合審査の対象  ○ 企業結合審査は,「結合関係」の形成・維持・強化により,市場構造が非競争的に変化し,一定の取引分野における競争に何らかの影響を及ぼすことに着目。 ※ 「結合関係」とは,複数の企業が,株式保有,合併等により一定程度又は完全に一体化して事業活動を行う関係をいう。  ○ 議決権保有比率が50%を超える場合,20%を超え単独筆頭株主である場合などは,企業結合審査の対象となる。  ○ 通常,企業結合審査の対象とはならない場合をガイドラインに例示(例:同一企業グループ内の株式取得等) 。 17

  18. 企業結合審査の流れ・考え方 一定の取引分野について ■「一定の取引分野」についての基本的考え方 ①一定の取引分野:企業結合により競争が実質的に制限されることとなるか否かを判断するための範囲。需要者にとっての代替性の観点から判断。必要に応じて,供給者にとっての代替性の観点も考慮。 ②需要者にとっての代替性:独占事業者を仮定し,その事業者がある商品について小幅であるが実質的かつ一時的でない価格引上げ(Small but Significant and Non-transitory Increase in Price = SSNIP)をした場合に,需要者がその商品の購入を他の商品・他の地域に振り替える程度を考慮。 ③供給者にとっての代替性:SSNIPをした場合に,他の商品・他の地域の供給者が,当該商品・地域に製造・販売を転換する程度を考慮。 18

  19. 一定の取引分野(商品範囲) 企業結合審査の流れ・考え方 一定の取引分野の画定 市場支配力が形成され得る場の特定 需要者にとっての代替性 効用等が同種の商品の間では,代替性が高い場合が多い 切り替わる程度が高い=需要者にとっての代替性が高い⇒同一の商品範囲 甲商品の価格上昇 → 乙商品への需要に切り替わるか否か? 価格の引上げ 甲商品 乙商品 甲商品 切り替わる程度が低い=需要者にとっての代替性が低い⇒異なる商品範囲 19

  20. 一定の取引分野(地理的範囲) 企業結合審査の流れ・考え方 一定の取引分野の画定 市場支配力が形成され得る場の特定 需要者・供給者の行動や輸送に係る問題の有無等により判断できる場合が多い 需要者にとっての代替性 甲地域の供給者の価格上昇 →乙地域の供給者への需要に切り替わるか否か? 切り替わる程度が高い⇒甲地域と乙地域は同一の地理的範囲 価格の引上げ 甲地域の供給者 乙地域の供給者 甲商品 切り替わる程度が低い⇒甲地域と乙地域は異なる地理的範囲 20

  21. SSNIP Test: 例1 企業結合審査の流れ・考え方 (P0-C)Q0>(P1-C)Q1P0からP1への価格引上げは利益とならない。市場はこれより広い。 Price 価格上昇後の利潤=(P1-C)Q1 需要曲線 P1 P0 C 限界費用曲線 価格上昇前の利潤=(P0-C)Q0 Q1 Q0 Quantity 21

  22. SSNIP Test: 例2 企業結合審査の流れ・考え方 Price 需要曲線 P1 P0 C 限界費用曲線 Q1 Q0 Quantity (P0-C)Q0<(P1-C)Q1P0からP1への価格引上げは利益となる。市場はこれより狭い。 価格上昇後の利潤=(P1-C)Q1 価格上昇前の利潤=(P0-C)Q0 22

  23. SSNIP Test: 例3 企業結合審査の流れ・考え方 (P0-C)Q0=(P1-C)Q1P0からP1への価格引上げによる利潤の変化はない。市場はこの範囲で画定される。 Price 価格上昇後の利潤=(P1-C)Q1 P1 需要曲線 P0 C 限界費用曲線 価格上昇前の利潤=(P0-C)Q0 Q1 Q0 Quantity 23

  24. 企業結合審査の流れ・考え方 「競争を実質的に制限することとなる」の解釈 ■「競争を実質的に制限する」とは?  「競争を実質的に制限するとは,競争自体が減少して,特定の事業者又は事業者集団がその意思で,ある程度自由に,価格,品質,数量,その他各般の条件を左右することによって,市場を支配することができる状態をもたらすことをいう」(東宝株式会社ほか1名に対する件(昭和28年12 月7日東京高等裁判所判決)より) ■「こととなる」とは?  「こととなる」とは,企業結合により,競争の実質的制限が必然ではないが容易に現出し得る状況がもたらされることで足りるとする蓋然性を意味するものである。 独占禁止法第4章では・・・ 企業結合により市場構造が非競争的に変化して,当事会社が単独で又は他の会社と協調的行動をとることによって,ある程度自由に価格,品質,数量,その他各般の条件を左右することができる状態が容易に現出し得るとみられる場合には,一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなり,禁止される。 24

  25. 企業結合の類型 企業結合審査の流れ・考え方 • 水平型企業結合は,市場における競争単位の数を減少させる • 垂直型企業結合・混合型企業結合は,市場における競争単位の数を減少させない 水平型企業結合(競争関係にある事業者同士の企業結合) 垂直型企業結合(取引関係にある事業者同士の企業結合) 混合型企業結合(水平型企業結合・垂直型企業結合以外)・ 商品拡大型・ 地域拡大型・ その他(純粋) 25

  26. 水平・垂直・混合型企業結合の割合 企業結合審査の流れ・考え方 企業結合の類型別割合 • 2008年度に公正取引委員会に届出のあった企業結合について,どの類型に該当するかを分類したもの。 • 2008年度の届出実数は,合併が69件,分割が21件,事業譲受けが89件。 26

  27. 企業結合審査の流れ・考え方 水平型企業結合のセーフハーバー基準 セーフハーバー基準(通常競争を制限することとはならない企業結合の範囲)を具体的に明示。 ※1)セーフハーバーの範囲は,市場の寡占度を表すHHI(ハーフィンダール・ハーシュマン・インデックス)により規定されている。HHIは,各企業のシェアを2乗し,それを合計して算出。 ※2)米国は,現在,水平合併ガイドラインを見直している。 27

  28. セーフハーバーに該当するかどうかの例 企業結合審査の流れ・考え方 • HHIは市場参加企業のシェアの2乗値を足し上げたもの • ⊿HHIは,企業結合によるHHIの増分 <数字例> 企業結合前のHHI =40×40+25×25+20×20+10×10+5×5=2750 DとEの企業結合後のHHI = 40×40+25×25+20×20+15×15=2850 CとDの企業結合後のHHI = 40×40+25×25+30×30+5×5=3150 DとEとの企業結合は,セーフハーバーに該当 CとDとの企業結合は,セーフハーバーに該当しない 28

  29. 企業結合審査の流れ・考え方 水平型企業結合による競争の実質的制限【単独行動による競争の実質的制限①】 A社 B社 C社 D社 需要者は購入をA+B社から C社,D社に切り替えられない 当事会社グループが,単独で,競争制限し得るような市場が形成 A+B社 (A社~D社の商品が同質的な場合)  例えば,C社・D社の供給余力が十分ないときには,A+B社の価格引上げ等があってもC社,D社は販売拡大が不可能。 (A社~D社の商品が差別化されている場合)  例えば,A社の商品の代替品として,B社のものがC社やD社のものよりも選択されている。  →A商品の価格引上げ等があっても,B商品が選択されるだけで,C,Dの各社は販売拡大が不可能。 価格の引上げ 生産量の削減による価格の上昇 29

  30. 商品が同質な場合の数値例 企業結合審査の流れ・考え方 Price 産業全体の需要曲線 120 100 限界費用曲線 50 180 200 Quantity 30

  31. 商品が差別化されている場合の数値例 企業結合審査の流れ・考え方 A B C D Aの価格引上げ • 多くの顧客がBにスイッチ • CやDにはほとんどスイッチしない • Aの価格引上げにより,Aの販売数量は100から60に40だけ減少。 • 40のうち,30はBにスイッチ。CとDには5ずつスイッチ。 • AとBが別会社の場合,Aの価格引上げによりAの売上げは2800(10000→7200)減少し,当該価格引上げはAにとって利益とならない。 • AとBが企業結合した場合,Aの価格引上げによりAの売上げは2800だけ減少するが,AからBへの顧客のスイッチによりBの売上げは3600(8400→12000)増加し,AとB全体として利益が上昇する。 31

  32. 企業結合審査の流れ・考え方 水平型企業結合による競争の実質的制限【単独行動による競争の実質的制限②】 ■考慮事項(その1) (1)当事会社グループの地位及び競争者の状況 市場シェア及び順位,当事会社間の従来の競争の状況,競争者の市場シェアとの格差,競争者の供給余力,差別化の程度等 (2)輸入 (おおむね2年以内を目安に評価) 制度上の障壁の程度,輸入に係る輸送費用の程度や流通状の問題の有無,輸入品と当事会社グループの商品の代替性の程度,海外の供給可能性の程度 (3)参入 (前同) 制度上の参入障壁の程度,実体面での参入障壁の程度,参入者の商品と当事会社の商品の代替性の程度,参入可能性の程度 32

  33. 企業結合審査の流れ・考え方 水平型企業結合による競争の実質的制限【単独行動による競争の実質的制限③】 ■考慮事項(その2) (4)隣接市場からの競争圧力 競合品(当該商品と類似の効用等を有する商品)の市場の存在,地理的に隣接する市場の状況等を考慮 (5)需要者からの競争圧力 需要者の間の競争状況,取引先変更の容易性等を考慮 (6)総合的な事業能力,効率性 (7)当事会社グループの経営状況 業績不振の場合についても考慮 33

  34. 企業結合審査の流れ・考え方 水平型企業結合による競争の実質的制限【協調的行動による競争の実質的制限①】 カルテルを行わずに,協調して 競争を制限し得る市場が形成 B社 A社 A+B社 C社 D社 ・・・・・ 価格の引上げ 生産量の削減による価格の上昇 34

  35. 企業結合審査の流れ・考え方 水平型企業結合による競争の実質的制限【協調的行動による競争の実質的制限②】 • 考慮事項 (1)当事会社グループの地位及び競争者の状況 競争者の数,少数の有力な事業者にシェアが集中しているか否か,商品が同質的か否か,費用条件の類似性の有無,当事会社間の従来の競争の状況,競争者の供給余力等 (2)取引の実態等 取引条件に関する情報の入手の容易性の有無,取引の頻度,需要動向・技術革新の動向,過去の競争の状況等 (3)輸入,参入及び隣接市場からの競争圧力等 輸入,参入,隣接市場からの競争圧力,需要者からの競争圧力 (4)効率性及び当事会社グループの経営状況      (単独行動の場合に準じて判断) 35

  36. 企業結合審査の流れ・考え方 垂直・混合型企業結合による競争の実質的制限【基本的考え方】 • 競争単位の数が減少しない⇒一般的には,水平型企業結合よりも競争に与える影響は小さい。 • 2つの観点(単独・協調)から検討  ①単独:市場の閉鎖性・排他性  ②協調:垂直・混合型の企業結合を通じて協調的行動が容易になる可能性 • セーフハーバー    ①市場シェア10%以下    ②HHI2500以下かつ市場シェア25%以下 36

  37. 垂直的市場閉鎖 企業結合審査の流れ・考え方 顧客閉鎖 販売先がE社・F社だけになる ⇒C社・D社は十分な販売先を確保できない A+B社 A社 C社 D社 (取引関係) B社 E社 F社 購入元がC社・D社だけになる ⇒E社・F社は十分な購入量を確保できない 市場閉鎖効果 投入物閉鎖 37

  38. 企業結合審査の流れ・考え方 競争の実質的制限を解消する措置【問題解消措置】 企業結合が一定の取引分野における競争を実質的に制限することとならないよう,当事会社が講じる措置。    ⇒競争上の問題を解消することができれば容認。 (具体例) ■事業譲渡等 ・事業部門の全部又は一部の譲渡 ・当事会社グループと結合関係にある会社の結合関係の解消  (議決権保有の取りやめ又は保有比率の引下げ,役員兼任   の取りやめ等) ■その他 ・輸入又は参入を促進する措置等(輸入設備の利用開放,  競争者に対する特許権等の実施許諾等) ・当事会社の行動に関する措置(設備の利用等について,  結合関係にない事業者を差別的に取り扱うことを禁止) 38

  39. 最近の企業結合審査の件数 企業結合審査の流れ・考え方 39

  40. 企業結合審査の流れ・考え方 海外の競争当局と協力しつつ企業結合審査を行った事例 ■Johnson & JohnsonによるGuidantの株式取得(平成17年度) アメリカの医療機器メーカー同士の企業結合事案 ■パナソニックによる三洋電機の株式取得(平成21年度) 日本の電機メーカー同士の企業結合事案 ■ Agilent TechnologiesによるVarianの株式取得(平成22年度) アメリカの分析機器メーカー同士の企業結合事案 40

  41. 実際の企業結合審査の事例日清食品株式会社による明星食品株式会社の株式取得実際の企業結合審査の事例日清食品株式会社による明星食品株式会社の株式取得 概要 当事会社 日清食品株式会社 明星食品株式会社 日清が明星の株式を取得を計画 (2007年度) 関係法条=独占禁止法第10条 検討対象市場=即席めん等 実際の企業結合審査事例 41

  42. 各製品 即席めん (袋めん,カップめん) 実際の企業結合審査事例 チルドめん めん入りカップスープ 冷凍めん 調理めん 乾めん 42

  43. 一定の取引分野(商品の範囲) 両社は,以下の5製品について競合 袋めん カップめん めん入りカップスープ チルドめん 冷凍めん 実際の企業結合審査事例 • 上記以外にも,簡便な方法により食することが可能なめん食品として,調理めん,乾めん,パスタ等が存在。 43

  44. 一定の取引分野(商品の範囲) 袋めん,カップめん等の商品の形状による区分のほか,中華めん,和めん,焼きそば等のめんの種類による区分も可能。 商品の形状・種類ごとに細かく区分して,需要の価格弾力性等を計測したものの,データ面での制約等もあり,必ずしも有意な結果は得られず。 ただし,少なくとも,袋めんやカップめん等,商品の形状が同じ場合,中華めんや和めん等いずれのめんであっても製造設備は基本的に共通していることから,供給面での代替性が存在。 商品の形状ごとに,①袋めん,②カップめん,③めん入りカップスープ,④チルドめん,⑤冷凍めんの5品目について,一定の取引分野(商品の範囲)を特定。 実際の企業結合審査事例 44

  45. セーフハーバーに該当する製品 めん入りカップスープ 当事会社のシェアの合計: 約10% HHI: 約3700 ⊿HHI: 約40 チルドめん 当事会社のシェアの合計: 約5% HHI: 約300 ⊿HHI: 約5 冷凍めん 当事会社のシェアの合計: 約10% HHI: 約1200 ⊿HHI: 約10 実際の企業結合審査事例 45

  46. 詳細な検討を行った取引分野- 袋めんとカップめん (1) 市場規模 袋めん 約900億円 (2005年度) 市場規模は減少傾向 カップめん 約3600億円 (2005年度) 市場規模はおおむね横ばい 実際の企業結合審査事例 46

  47. 袋めん 実際の企業結合審査事例 (2) 市場シェアとHHI • HHI: 約2400, ⊿HHI: 約500 47

  48. カップめん 実際の企業結合審査事例 • HHI: 約3500, ⊿HHI: 約800 48

  49. (3) 価格の動向 当事会社の製品及び競争事業者の製品の小売価格は,袋めん,カップめんともに総じて低下。 実際の企業結合審査事例 (4) 需要者からの競争圧力 • スーパーやコンビニエンスストア等の小売店は,大きな購買力を背景として,メーカーに対して優位な立場にあるといわれている • メーカーにとっては,スーパーにおける特売や,コンビニエンスストアにおける棚割りが競争上重要な位置を占めているが,その決定は小売店側が握っている。 49

  50. (5) 新製品の発売状況 新製品の発売頻度 年間に販売される新製品数 袋めん: 60~100 カップめん: 600~700 製品のライフサイクル 一部のロングセラー商品を除き,一般的にライフサイクルは短い 新製品の発売によるシェアの変動 実際の企業結合審査事例 50

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