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第3回 星間物質その1. 平成 24 年度 新潟大学理学部物理学科 集中 講義 松原英雄(JAXA宇宙研). 星間物質と可視・赤外スペクトル線. 星間物質(ガスと塵)は、星から放出され、やがて再び新しい星たちの原料となります。. 星間ガス 雲 (“ 星の胎盤 ”). 星の誕生 星内部での重元素生成. 星の終焉 : ガス 放出/超新星爆発、塵の生成/破壊. 太陽の元素組成. 中性水素(HI)ガス. 銀河系円盤の主要部分を占めるHIガス雲の分布は、水素原子自身の放つ波長 21cm の電波輝線の観測によって調べられました。. HI 21cm 線の起源:
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第3回星間物質その1 平成24年度新潟大学理学部物理学科 集中講義 松原英雄(JAXA宇宙研)
星間物質と可視・赤外スペクトル線 • 星間物質(ガスと塵)は、星から放出され、やがて再び新しい星たちの原料となります。 星間ガス雲 (“星の胎盤”) 星の誕生 星内部での重元素生成 星の終焉: ガス放出/超新星爆発、塵の生成/破壊
中性水素(HI)ガス • 銀河系円盤の主要部分を占めるHIガス雲の分布は、水素原子自身の放つ波長21cmの電波輝線の観測によって調べられました。 • HI 21cm線の起源: • 陽子と電子のスピンの向きが並行か、反並行か、でほんのわずかに束縛エネルギーに差が出ます(反並行の方がエネルギーが低い) • HIガスの柱密度[ 1cm2あたりの水素原子の数] がHI 21cm線の観測で得られる輝度温度TBから求められます: • [cm-2] (3.4) • TB=TStn , TS (スピン温度)はほぼガスの温度と一致、場所に依らず一定とした。 • :光学的厚み
我々の銀河系のHIガスの分布 • 銀河円盤の回転則を使って各速度成分の太陽からの距離を割り出し、2次元的な分布図を作ることができます。
分子雲 • 低温高密度の星間ガスは分子状態。 • 水素分子は電気双極子モーメントをもたないので、電磁波を出しにくい。 • 一方一酸化炭素分子は、大きな電気双極子モーメントを持つ直線状分子。 • 回転エネルギー準位: • 従ってJ+1 Jへの遷移に伴って
HII領域 • 若い大質量星(や白色矮星)の紫外線によって、水素原子が電離したような領域。 • ガスの加熱は、電離した光電子の余剰運動エネルギー。一方、冷却は、金属イオンからの禁制線(光学的に薄いのでガスを効率的に冷やすことができます)。
HII領域における加熱・冷却率 小暮智一「星間物理学」(ごとう書房)
オリオン分子雲 左: 近赤外線(2MASS),生まれた星の分布、HII領域 右: 野辺山45m電波望遠鏡によって取得された一酸化炭素分子のイメージ。 (国立天文台)
Orion Bar 電離源 赤:COJ=1-0 黄:H2 1-0 S(1) 青:3.3um PAH
第3回の問題 • 問(1). HI 21cm電波輝線の輝度温度から、HIの柱密度を求める式(3.4)の定数に数値を入れて、右辺 になることを示せ。 • 問(2). HI 21cm電波輝線の速度分布に関する平均的な光学的厚みを t0とした時、(3.4)は のように書ける(TS:スピン温度、Dv: 速度幅 kms-1)。今TS=100K、Dv=100kms-1とした場合、光学的厚みが1となるHI柱密度 N(HI)を求めよ。その柱密度を超えるようなHIガス雲からの21cm電波輝線の強さ(輝度温度)はどうなると考えられるか?