1 / 76

日 本 中 央 競 馬 会 特別振興資金助成事業

日 本 中 央 競 馬 会 特別振興資金助成事業. 平成1 7 年度 獣医師 生涯 研修 事業 HACCP手法研修用教材 「養豚基礎編」. 企画・出版 社団法人 日本獣医師会. 編集・製作. 獣医師研修体制整備推進検討委員会. 委員長  酒井 健夫(日本大学生物資源科学部教授). HACCP手法研修用教材検討 小 委員会. 委員長 副 委員長 委 員 . 岡本 嘉六  柏崎 守 天野 弘 長田 貴 川邊久浩 種市 淳 濵岡隆文 宮里俊光. 鹿児島大学農学部教授 社団法人畜産技術協会参与 静岡県農業水産部 畜産振興 室主幹

Download Presentation

日 本 中 央 競 馬 会 特別振興資金助成事業

An Image/Link below is provided (as is) to download presentation Download Policy: Content on the Website is provided to you AS IS for your information and personal use and may not be sold / licensed / shared on other websites without getting consent from its author. Content is provided to you AS IS for your information and personal use only. Download presentation by click this link. While downloading, if for some reason you are not able to download a presentation, the publisher may have deleted the file from their server. During download, if you can't get a presentation, the file might be deleted by the publisher.

E N D

Presentation Transcript


  1. 日 本 中 央 競 馬 会 特別振興資金助成事業 平成17年度獣医師生涯研修事業 HACCP手法研修用教材 「養豚基礎編」 企画・出版 社団法人 日本獣医師会

  2. 編集・製作 獣医師研修体制整備推進検討委員会 委員長  酒井 健夫(日本大学生物資源科学部教授) HACCP手法研修用教材検討小委員会 委員長 副委員長 委 員 岡本 嘉六  柏崎 守 天野弘 長田 貴 川邊久浩 種市 淳 濵岡隆文 宮里俊光 鹿児島大学農学部教授 社団法人畜産技術協会参与 静岡県農業水産部畜産振興室主幹 千葉県東部家畜保健衛生所次長 熊本県城北家畜保健衛生所参事 山形県農林水産部生産流通課畜産室長補佐 動物衛生研究所七戸研究施設長 鹿児島県鹿児島中央家畜保健衛生所衛生課長 編集協力 鹿児島県 食品安全性問題研究会

  3. パート1 養豚の歴史と現状 ●イノシシの家畜化と豚の品種改良 ◆美味しい肉を、より多く生産する技術体系の構築 ●日本における養豚のあゆみ ◆稲作農家の数頭飼い「有畜農業」から、専業化、大規模化による飼養管理技術の向上

  4. イノシシから家畜化された豚は、産肉量の向上のため品種改良が行われ、それは今後も続けられる。イノシシから家畜化された豚は、産肉量の向上のため品種改良が行われ、それは今後も続けられる。 豚の祖先 イノシシ 畜産情報ネットワーク「畜産Zoo鑑」からの引用 (http://zookan.lin.go.jp/)

  5. イノシシが家畜化された場所と時期 (社)日本養豚協会からの引用 (http://www.pig-pins.or.jp/youton/top.html)

  6. アフリカ オセアニア 北米その他 米国 ヨーロッパ その他 ブラジル 中南米 その他 スペイン ドイツ アジア その他 ベトナム 日本 中国  中国には、世界の豚の約半数が飼育されており、中華料理は豚肉が中心となっている。 外周円 飼養頭数 92,290万頭 内部円 豚肉生産量 91,188,000t 世界のおもな国での豚飼養頭数と豚肉生産量(2001年)

  7. 大湖豚(梅山猪):長江の下流域 黄淮海黒豚:黄河の中下流域 大花白豚:珠江デルタ地域 両广小花猪:広東省、広西自治区 藏猪:チベット、四川西部、雲南西北部 栄昌豚:四川省 金華猪:浙江省金華地区 民猪:東北地方の吉林省、黒龍江省 海南猪:海南省 (株)埼玉種畜牧場「サイボクぶた博物館」からの引用 (http://www.saiboku.co.jp/index.html)

  8. ヨークシャー イギリス、1885年 バークシャー イギリス、1862年 ランドレース デンマーク、1896年 大ヨークシャー イギリス、1870~1880年頃 ハンプシャー アメリカ、1904年 デュロック アメリカ、1885年 品種名 原産国名、品種確定年 日本で多く飼育されている豚の品種 (交雑種を除く) 畜産情報ネットワーク「畜産Zoo鑑」からの引用 (http://zookan.lin.go.jp/)

  9. 0 2 4 6 8 10 31.9 38.0 36.5 32.9 33.2 ロース芯 断面積 バークシャー 2.12 1.83 1.56 1.89 1.83 デュロック 背脂肪層 厚さ ハンプシャー 大ヨークシャー ランドレース 3.24 3.26 3.39 3.35 3.39 飼料 要求率 752 834 805 812 790 1日平均 増体量 種雄豚の品種による生産性の差異 (1992-1994年平均、農水省畜産局「豚産肉能力直接検定成績」)

  10. 品種 系統造成 1日当りの増体量は、1985年から2002年の間に200g程度増加できた。その他の生産指数についても同様であり、これからも、家畜改良の努力は続けられる。 豚の能力の推移及び平成27年度目標の検討値 食料・農業・農村政策審議会 生産分科会 畜産企画部会 家畜改良増殖目標についての研究会 (平成16年10月12日) 

  11. バークシャー ヨークシャー ランドレース 大ヨークシャー ハンプシャー デュロック その他 交雑種 2004 種雄豚 1990 1970 2004 種雌豚 1990 1970 2004 肉豚 1990 1970 0 20 40 60 80 100 構成割合(%) 日本における種雄豚、種雌豚、肉豚の品種の移り変わり

  12. ホモ 純系 × 交雑種 ヘテロ 繁殖・育成能力の優れた大型品種 産肉形質の優れた品種 L♀ × W♂ 原種豚 デュロック(D) ランドレース(L) ハンプシャー(H) LW♀ D♂ × F1雌豚 大ヨークシャー(W) バークシャー(B) 肥育豚 三元交雑種 H♂ LWD W♀ × L♂ B♂ WL♀ D♂ × 白の優性遺伝子は、ヘテロとなっても発現する WLD 赤の劣性遺伝子は、ヘテロとなることで発現しない 三元交配による雑種強勢

  13. 千戸 頭/戸 万頭 1400 900 800 1200 700 1000 600 800 500 400 600 300 400 200 200 100 0 0 1965 1990 1960 1970 1981 1926 1938 1945 1955 1985 1995 1887 2001 日本における養豚のあゆみ 一戸当り頭数 飼養戸数 飼養頭数 データは(社)日本養豚協会からの引用 (http://www.pig-pins.or.jp/youton/top.html) 丹羽 太左衞門著「20世紀における日本の豚改良増殖の歩み」

  14. 1938 年 飼養頭数 99 万8 千頭 1946年 飼養頭数  8 万8 千頭 1 戸当たり飼養頭数 1.4 頭 戦争による食料不足 養豚飼料と食料が競合 肉不足のため「食い潰し」が進行 庭先の簡易な木造豚舎で、農場副産物や厨芥も養豚飼料として使われていた。 1951年 「無畜農家解消国会決議」 → 「有畜農家創設計画」 1953年 「有畜農家創設特別措置法」制定 「有畜農業」: ①農場副産物のような未利用資源の活用、②堆きゅう肥に よる金肥の節約、③多少の現金収入をもたらす副次部門としての位置づけ 耕種農業の補助にすぎず、独立した畜産農家の育成ではなかった 1953 年 99 万4千頭 → 1962 年 403 万3 千頭 飼養頭数は、10 年間で4.1 倍、年率15.1 %という驚異的な成長率。 1戸当たり飼養頭数は1.6頭から3.9 頭へと2.4倍。 豚価は3 年周期の規則的な変動(ピッグサイクル)を繰り返していたが、1961年後半から1962年2月にかけて、かって経験したことのない大暴落を招いた。 多頭経営の再編合理化 養豚の生産地域 養豚の階層構造 飼養戸数: 31.0%減少 飼養頭数: 13.3%減少

  15. 1. 国による食肉価格安定制度の確立 2. 農協による「営農団地構想」 3. 農家による一貫経営の進展 豚価の激しい変動 付随する子豚価格の変動 1961年 「農業基本法」 1961年 「畜産物の価格安定等に関する法律」 高度経済成長による豚肉需要の増大と食肉加工流通施設の整備 ①卸売市場における豚枝肉の格付体制の整備と格付けに基づく価格公表 ②畜産振興事業団による余剰の豚枝肉買入れ・備蓄 養豚団地の造成 1961年 全国規模で専業の養豚農家を育成する農協の「営農団地構想」 子豚の預託制度、子豚の契約取引、長期平均払制度、繁殖豚センター 繁殖・肥育の分業形態から一貫経営へ  畜産統計に初めて「一貫経営」が登場するのは1968 年で、一貫経営の全国の養豚農家戸数に占める割合は7.4 %、頭数割合は20 %前後だった。  一貫経営の頭数割合が50 %を超えたのは1977 年で、1997 年には戸数62.8 %、頭数85.2%に達し、一貫経営が養豚の支配的な経営形態になった。

  16. 100 80 国内生産量+輸入量 人口×365 60 40 一人当たり 一日消費量 = 20 0 消費量 (g/人/日) 2002年の 自給率 53% 2010年の 努力目標値 73% 自給率(%) 500 400 300 1993年 農産物貿易の原則自由化 (ウルグアイ・ラウンドの合意) 200 100 1960年 4.5 g/人/日 2001年 48.7 g/人/日 0 1960 1970 1980 1990 2000 豚肉の摂取量と自給率の推移

  17. 1930年代の世界不況 関税引き上げ 貿易数量制限 為替制限 自国の産業保護 第二次世界大戦 国際復興開発銀行( IBRD ;1945) 1944年 ブレトン・ウッズ会議(米国) 国際通貨基金( IMF ;1947) 世界戦争の回避策 ガット体制(GATT; 1948 ) 「関税及び貿易に関する一般協定」 1947年 第1回関税交渉妥結 →ガット採択 経済紛争の元となる貿易障壁をなくし、自由貿易を確保する基本原則 (i)貿易制限措置の削減 (ii)貿易の無差別待遇(最恵国待遇、内国民待遇) GATT 第20条 一般的例外: 動植物防疫に係る検疫等の措置 「衛生植物検疫措置の適用に関する(SPS)協定」 ケネディ・ラウンド(1967) 、東京ラウンド(1979 )妥結 ウルグアイ・ラウンド(1986 ~1993)妥結: 農産物貿易の原則自由化 1995年 世界貿易機関( WTO ) ←ガット体制 「世界貿易機関を設立するマラケシュ協定(通称:WTO設立協定)」 「農業に関する協定」 食料の輸出入における安全性確保と関わる国際的枠組み

  18. GATT(関税と貿易に関する一般協定) 日本は1955 年に加盟 協定の範囲内での課税方式の検討 1994年度 5% (円/Kg) 部分肉 547 輸入価格 + 関税 関税率 4.3% 1994年度 470円 基準輸入価格 枝肉 410 メキシコFTA (自由貿易協定) 2.2% 関税 枝肉:393 部分肉:524 輸入価格 分岐点価格 輸入豚肉について の差額関税制度

  19. 日本における養豚のあゆみ 千戸 頭/戸 万頭 1400 900 一戸当り頭数 800 1200 飼養戸数 700 1000 600 800 500 400 600 飼養頭数 300 400 200 200 100 0 0 1965 1990 1960 1970 1981 1926 1938 1945 1955 1985 1995 1887 2001 データは(社)日本養豚協会からの引用 (http://www.pig-pins.or.jp/youton/top.html) 丹羽 太左衞門著「20世紀における日本の豚改良増殖の歩み」

  20. 100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 2001 2002 2003 1991 1992 1993 1994 1996 1997 1998 1987 1988 1989 1999 繁殖専門 >2000 1000-1999 500-999 100-299 300-499 <100 肥育豚の飼養頭数規模別にみた飼養戸数 (註: 1989年までは、1000頭以上が一まとめとされていた)

  21. 30,000 25,000 20,000 15,000 10,000 5,000 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 円 入場頭数: 成立頭数: 成立割合: 年間最高価格: 年間平均価格: 年間最低価格: 31,255頭 22,025頭 70.5% 25,110円 15,409円 4,970円 肥育豚飼養頭数 9,658,000頭 最高価格 平均価格 最低価格 0 家畜市場における子豚(ベビー)の取引価格(平成16年度)

  22. 100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 2001 2002 2003 1991 1992 1993 1994 1996 1997 1998 1987 1988 1989 1999 1000-1999 >2000 500-999 300-499 100-299 <100 肥育豚の飼養頭数規模別にみた飼養頭数 (註: 1989年までは、1000頭以上が一まとめとされていた)

  23. 肥育豚の飼養頭数規模別にみた実数と割合(2003年)肥育豚の飼養頭数規模別にみた実数と割合(2003年) 飼養頭数規模 肥育豚飼養頭数(%) 飼養戸数(%) <9 10-29 30-49 50-99 100-299 300-499 500-999 1000-1999 >2000 繁殖専門 計 9,160 12,800 17,800 53,100 368,200 515,100 1,440,000 1,758,000 5,054,000 9,228,160 0.1 0.1 0.2 0.6 4.0 5.6 15.6 19.1 54.8 100.0 220 290 260 540 1,510 1,170 1,740 1,170 890 1,410 9,200 2.4 3.2 2.8 5.9 16.4 12.7 18.9 12.7 9.7 15.3 100 2.8 3.7 3.3 6.9 19.4 15.0 89.4 41.3 48.8 7,790

  24. 都道府県別飼育頭数(上位10県) 農林水産省「畜産統計」 平成16年2月1日 肥育豚頭数 (%) 1戸当り飼養頭数 鹿児島県 宮崎県 茨城県 群馬県 北海道 千葉県 青森県 愛知県 岩手県 栃木県 1,117,000 694,400 547,900 535,000 467,300 463,300 332,800 324,600 324,200 255,900 13.9 8.6 6.8 6.6 5.8 5.8 4.1 4.0 4.0 3.2 岩手県 島根県 青森県 三重県 栃木県 石川県 鹿児島県 北海道 大分県 愛媛県 1902 1895 1802 1583 1575 1427 1403 1402 1319 1310 大規模経営体が所在している 47.5 15.4

  25. パート2 養豚業と関係する主な感染症 ● 豚が関与する主な人畜共通感染症 ● 食の安全性と関わる主な疾病 ◆ 生産の阻害要因となり、    食料不足を招く主な疾病 ◆ 豚肉の安全性と関わる主な疾病

  26. 「家畜伝染病予防法」に定められた 豚を含む監視伝染病「家畜伝染病予防法」に定められた 豚を含む監視伝染病 病名 狂犬病 水胞性口炎 牛疫、口蹄疫、流行性脳炎、出血性敗血症、ブルセラ病 アフリカ豚コレラ、豚水胞病 類鼻疽 ニパウイルス感染症 豚水疱疹 対象動物 全ての温血動物 偶蹄類、馬 偶蹄類 豚、いのしし 偶蹄類、馬 馬、豚、いのしし 豚、いのしし 人畜共通感染症 「病畜は食わず」 日本に存在しない 炭疽 豚コレラ 気腫疽 トキソプラズマ病 レプトスピラ症 サルモネラ症 オーエスキー病、伝染性胃腸炎、豚エンテロウイルス性脳脊髄炎、豚繁殖・呼吸障害症候群、豚流行性下痢、萎縮性鼻炎、豚丹毒、豚赤痢 偶蹄類、馬 豚、いのしし 偶蹄類 めん羊、山羊、豚、いのしし 牛、水牛、しか、豚、いのしし、犬 牛、水牛、しか、豚、いのしし、鶏、あひる、七面鳥、うずら 豚、いのしし 日本に存在する 註: 法定伝染病、届出伝染病、偶蹄類(牛、水牛、めん羊、山羊、しか、豚、いのしし)

  27. フルーツコウモリ イノシシ ブタ ウマ イヌ・ネコ・ネズミ ヒト 野生齧歯類 ニパウイルス感染症 1998年9月にマレーシア北部で発生した新種のウイルスによる脳炎患者は、翌年7月までに入院者265名に達した。その内105名が死亡し、致命率40%と極めて高いことで恐れられている。患者は1週間程度の高熱が続き、頭痛と錯乱、痙攣、昏睡へと進行して死亡した。  マレーシアにおける流行経過を追っていくと、いずれもブタとの接触のあることが判明した。さらに、シンガポールで11名の患者が発生したが、マレーシアから輸入した豚を食肉センターなどで取り扱ったことによるものであった。  成豚での致命率は5%以下だが、妊娠豚では流産、子豚では発熱と痙攣から呼吸器症状が激しくなり死亡する。血液混じりの鼻汁や尿により感染する。 流行防圧のため、マレーシアでは約100万頭の豚が殺処分された。 ウイルスの感染環: 実線は確認済み、破線は推定段階

  28. 渡り鳥? ブタ ブタ ブタ ブタ 6000 900 5000 年間患者数 ヒト 4000 600 3000 2000 ヒト 300 1000 ウイルスの感染環: 矢印は小型アカイエカの吸血による伝播 0 0 60 65 70 75 80 1950 55 日本脳炎 増幅動物 1960年代に激減にした理由 1.予防接種法に基づくワクチン接種が浸透した。 2.農地整理が行われ、コガタアカイエカが発生する水田地帯が様変わりした。 3.有畜農業から養豚業が専業化、大規模化し、水田地帯を離れ、山間部に移動した。 養豚農家数と一戸当り飼養頭数の推移 千戸 頭/戸  日本脳炎患者数の推移

  29. 2000 発生率(豚飼養1千万頭対) 1000 0 82 85 90 95 97 豚インフルエンザ発生の年次推移(1982-1997) インフルエンザ  豚の監視伝染病や食品媒介性疾患ではないが、新型インフルエンザウイルスの誕生に豚が関与しており、豚のインフルエンザを制御することが重要である。  日本では1990年に小流行があったものの、その後はほぼ完全に制御されている。  高病原性鳥インフルエンザが世界各地で遊行しており、豚の予防が大切である。 ブタ型ウイルス H1、H3 (α2-3、α2-6) 水禽類ウイルス H1~H15 (α2-3) 2種類のウイルスが、1個の細胞内に同時に侵入する α2-6 レセプター α2-3 レセプター 遺伝子組換え 核 ブタ鼻粘膜細胞 新型ウイルス誕生

  30. 旋毛虫症(トリヒナ症) 小腸で発育して 成虫となる 卵胎生 第1期幼虫 腸粘膜侵入 成虫侵襲期 感染後1~2週目 感染して2~6日で成熟 メス: 3~4 mm オス: 1.4~1.6 mm リンパ流、血流に 乗って全身に散布 筋肉内の被嚢 (第3期幼虫) 幼虫播種期 胃内で脱嚢 幼虫被嚢期 感染後7~8週から 他の動物による捕食 ヒトは、感染した豚肉などを加熱不十分のまま食べることによって感染し、全身の各所に寄生する(数匹/g)。

  31. 500 800 年間の新規患者数 400 : 豚肉製品 : 豚肉製品以外 600 300 : 不明 患者数 200 400 100 200 0 0 1957 1967 1977 1987 1997 1947 75-81 82-86 91-96 97-01 87-90 旋毛虫症(トリヒナ症)  日本国内で感染した事例は3 件(1974、1979、1981)あるが、死亡者はなく、いずれもクマ肉を生で食べたことが原因となっている。  世界各国における近年の旋毛虫症発生は、少なくなったとはいえ、患者数の最も多いルーマニアでは、10 万人当りの罹患率は7.2と報告されており、東欧諸国、ロシア、中南米、中国では、依然として重大な危害要因となっている。 日本では、幸いにもブタの感染例はこれまで知られておらず、国産の豚肉やハム・ソーセージからヒトが感染する危険性は全くない。  米国で年間の新規患者数が100 名を下回るようになったのは1980 年代であり、それまでは毎年数百名が旋毛虫症に罹っていた。 米国における旋毛虫症新規患者数の年次推移 米国における旋毛虫症の感染源

  32. 豚における有鉤嚢虫症の発生状況 地域 感染率(%) 調査(報告)年 12.53 0.3 5.35 20.8 5.86-12.43 0.27 0.54 0.019 1979 1989 1989 1981-84 (1984) 1998 1967-74 (1984) 中国(青林) 韓国(斉州島) インド インド北部 ブラジル ブラジル メキシコ メキシコ 16 14 12 10 8 6 4 2 0 死者数 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 有鈎条虫症と有鈎嚢虫症 ヒト 終宿主 腸管寄生 ヒト有鈎条虫症 消化管感染 ヒト嚢虫症 全身感染 排泄された卵 豚嚢虫症 中間宿主 全身寄生 カリフォルニア州におけるヒト嚢虫症 取出して集めた嚢虫

  33. トキソプラズマ症 有性生殖 オーシスト(虫卵) 消化管寄生 糞便 砂場 飲用水 食品汚染 捕食 感染豚由来の豚肉 無性生殖 シスト(嚢子) 筋肉内寄生 一般健康人は 発病しない。 妊婦および 免疫低下者のみ 捕食

  34. 2500 頭数 750 発生率(豚飼養1千万頭当り) 2000 1500 500 1000 250 500 0 0 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 養豚業が専業化、大規模化し、衛生管理技術 が向上したことにより、豚の感染は激減した。 一戸当り飼養頭数 発生率 ブタにおけるトキソプラズマ症の発生推移

  35. 頭数/10万頭 70 60 50 40 30 20 10 0 罹患率 頭数/10万頭 25 20 15 罹患率 10 5 0 2 96 98 94 88 90 92 2000 1970 1974 1979 豚丹毒(ヒトの類丹毒症) バラ状疹 農場 食肉センター 関節炎型 過去における豚丹毒の発生状況 近年における豚丹毒の発生状況

  36. HACCPに基づく食肉検査モデル事業(HIMP)での豚肉の基準: 米国HACCPに基づく食肉検査モデル事業(HIMP)での豚肉の基準: 米国 カテゴリー 食品安全 1 食品安全 2 食品安全 3 OCP 1 OCP 2 OCP 3 内容 感染症 消化管内容物汚染 解体後検査 と体の病変 内臓病変 その他 例示 敗血症/毒血症、膿血症、嚢虫症 糞便、腸内容物、乳 神経症状、瀕死状態、発熱、嗜眠 関節炎、削痩、丹毒、局所膿瘍、 乳房炎、鳥結核、腫瘍、心外膜炎、 気嚢炎、肺炎、尿毒症 嚢胞腎、腸炎/胃炎、内臓の糞便汚染、腎炎/腎盂腎炎、嚢虫以外の寄生虫、腹膜炎 貧血/むれ肉、付着した胆汁、挫傷、 水腫、外部断節、骨折、黄疸、臭気、 皮膚病変、痂皮、毛玉、趾爪 基準 ゼロ ゼロ ゼロ 4.1% 7.2% 20.5% 丹毒 Other Consumer Protection その他の消費者保護 出典: Federal Register(連邦公報) November 2, 2000 [Docket No. 00-042N] HACCP-Based Inspection Models Project (HIMP): Performance Standards for Young Turkey, Young Chicken, and Market Hog HIMP Plants.

  37. 口蹄疫(こうていえき) 600 600,000 : 発生頭数 3.0 500,000 : 殺処分頭数 (万頭) 400 400,000 2.0 300,000 200 200,000 1.0 1000 0 0 0 1 2 3 4 5 6 7 8 2 6 8 10 12 6 4 2 4 初発後の週数 1998 1997  牛や豚などの偶蹄類にとって、最も怖い病気が口蹄疫である。18世紀の北西ヨーロッパで約2億頭の牛が口蹄疫で死亡した記録がある。 ヒトが感染することはないが、深刻な食料不足をもたらす。 2000年3月 宮崎で牛が罹患。 5月 北海道で牛が罹患。 2000年9月26日 日本、清浄化。 1997年3月 台湾において豚で大流行。 3月19日の初発から半月の間に、235,114頭が罹患し、4月には549,680頭に達した。 台湾における口蹄疫罹患豚数の推移 国際獣疫事務局(OIE)資料に基づく 韓国における豚の発生頭数と殺処分頭数 (2002年5月)

  38. 急性経過で死亡した子豚 世界における発生状況 日本の周辺国や豚肉を輸入していた国々では、現在も豚コレラの流行がある。 豚コレラ 自然宿主: 豚とイノシシ(ヒトが感染することはない) 致命率: 急性型は90%以上、治療法なし。他に、慢性型。 ウイルス排泄: 唾液、涙、尿、糞便(血液中には多量のウイルス) 感染経路: 経口及び経鼻感染 (北海道大学 迫田義博先生 提供) ウイルスの伝播: 感染豚との接触感染、 感染豚の導入、 人や器具、 車両等の汚染 国際獣疫事務局(OIE)の危険度分類で、危険度の最も高いリストA疾病とされている。 豚コレラウイルスの存続様式 ① 健康なキャリア-の存在。 ② 移行抗体によるワクチンブレイクによって小規模な発生が繰り返されている(胎盤における母子感染)。 ③ 慢性豚コレラ豚におけるウイルスの長期保持。 ④ 持続感染豚(遅発型)の存在 ⑤ 豚以外の動物(イノシシ)によるウイルスの保持等

  39. 豚肉の国別輸入量の推移 80 韓 国 輸入量(万トン) 60 台 湾 EU 40 メキシコ カナダ デンマーク 20 アメリカ 0 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 頭 3,000 2,500 2,000 罹患率 1,500 1,000 500 0 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 頭 飼養1千万頭当り発生頭数 80,000 70,000 60,000 罹患率 50,000 40,000 30,000 20,000 10,000 0 かつて1000頭当り数頭が罹っていた豚コレラは、1992年を最後に終息した。 日本における豚コレラ罹患率の推移

  40. 豚コレラ「清浄化」対策 生産コストの低減: ① 単味ワクチン換算で約38億円/年 ② ワクチン接種に伴う飼養管理作業の合理化 豚コレラ清浄国のメリット 豚コレラ汚染国・地域からの豚肉等の輸入禁止 ワクチン接種国・地域を含む  豚コレラ清浄国の基準はOIE(国際獣疫事務局)の国際動物衛生規約で定められており、撲滅計画の結果清浄化したとみなされるための条件の一つとして、国内でのワクチン接種が完全に禁止されていることが規定されている。 第1段階: ワクチン接種の徹底   病原検査及び抗体検査の推進第2段階: 清浄度が確認された地域からワクチン接種を中止   病原検査検査及び抗体検査の推進第3段階: ワクチン接種の全面中止   清浄度の確認調査(異常豚の摘発、抗体サーベイランス) 2000年10月 専門家会議の結論 → 第3段階への移行 (1)1993年以降、国内で豚コレラの発生が認められていないこと、 (2) 約32万頭の豚及びイノシシを検査し異常がなかったこと、 (3) 未接種及び一部接種農家の2300戸(全飼養戸数の2割)の立入検査でも異常が認められなかったこと 許可を得た農場以外では、ワクチンを接種できなくなった。

  41. 豚コレラ疑似患畜確認事例検証報告書 (鹿児島県豚コレラ疑似患畜確認事例検証チーム) 2004年鹿児島県内で発生した豚コレラ擬似患畜数 おわりに  今回の豚コレラ擬似患畜連続発生事例は、初発農場で使用された内容不明の薬品の中に含まれていた可能性の高い豚コレラウイルスによるであろうと結論された。・・・・・・このような薬品にはどのような病原体が含まれているか不明であり、いかなる場合も絶対に使用してはならない。・・・・・・・  全国的豚コレラワクチンの使用中止が早く達成され、清浄国宣言が行われ、わが国の養豚産業の発展がより確実に、より速く達成されることを希望する。 事例番号 発生頭数 殺処分頭数 1 1,144 1,131 2 521 512 3 657 653 4 879 844 5 468 448 計 3,669 3,588 動衛研資料2 動物薬の適正使用をより一層徹底する必要がある! 豚コレラウイルスであるが、GPE-ワクチンウイルスではない 未承認医薬品の使用

  42. サルモネラ症 3000 耳翼の暗赤色(うっ血) 2500 罹患率(豚飼養1千万頭当り) 2000 1500 (豊浦獣医科クリニック 提供) 1000 500 0 90 92 82 84 86 88 94 96 98 2000 2002 2004 日本における豚サルモネラ症の推移 <家畜防疫対策要綱> 豚におけるサルモネラ症は、発生頻度は低いものの、多くの場合離乳後2~4カ月程度の若齢豚において集団発生が見られ、しばしば多大な経済的損失をもたらす。また、公衆衛生上食中毒の原因菌としても重要である。  豚では、S. Choleraesuisによる敗血症、S. Thyphimuriumによる下痢症が多い。発生原因はネズミや野鳥のほか、保菌豚の導入や汚染飼料など様々である。

  43. 12,000 10,000 分離菌株数 8,000 6,000 :1991 :1996 4,000 :2001 2,000 0 アゴナ ニューポート モンテビデオ インファンティス ティフィムリウム ハイデルベルグ エンテリティディス 米国におけるサルモネラ食中毒患者の血清型別推移

  44. 家畜(病気) 家畜(健康) 順位 % 順位 % 1 9 2 3 * 8 * 17 * * * 13 * 4 * 28.2 2.2 13.6 6.0 2.6 1.9 5.0 2 8 12 1 * 3 16 * * * * 14 * 6 * 14.1 2.6 1.8 23.5 6.2 1.7 3.9 ヒトと家畜から分離されたサルモネラ血清型(米国) ヒト食中毒 血清型 順位 菌株数 % ティフィムリウム エンテリティディス ニューポート ハイデルベルグ ジャビアナ モンテビデオ オラニエンブルグ ミュンヘン トンプソン セントポール ジャバ インファンティス ブラエンデラップ アゴナ ティフィ 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 6999 5614 3158 1884 1067 626 595 583 514 469 466 440 388 370 343 22.1 17.7 10.0 5.9 3.4 2.0 1.9 1.8 1.6 1.5 1.5 1.4 1.2 1.2 1.1 50.0 55.7 42.0 *:家畜からの分離頻度は、それぞれ上位20位以下である。

  45. 米国における各種動物由来サルモネラ菌株の薬剤耐性の割合米国における各種動物由来サルモネラ菌株の薬剤耐性の割合 伴侶動物 産業動物 抗菌剤 菌株数 クロラムフェニコール アンピシリン セファロチン ストレプトマイシン ゲンタマイシン カナマイシン テトラサイクリン サルファ剤 ナリジクス酸 トリメソプリム合剤 牛 683 9.1 23.7 5.1 28.6 3.2 21.2 30.6 28.4 0.1 3.8 豚 1056 10.6 17.2 1.0 36.7 2.8 11.4 53.9 36.6 0.0 1.7 鶏 765 2.2 12.8 5.0 28.8 16.2 4.4 20.9 24.2 0.1 1.2 七面鳥 466 1.5 16.7 9.7 55.4 33.9 30.5 53.4 44.4 5.6 3.6 馬 117 24.8 35.9 15.4 37.6 19.7 25.6 32.5 41.9 1.7 24.8 犬 61 21.3 24.6 8.2 34.4 9.8 11.5 32.8 32.8 0.0 4.9 猫 32 21.9 46.9 12.5 50.0 6.3 25.0 43.8 46.9 0.0 3.1 National Antimicrobial Resistance Monitoring System : Final Report (1998 )

  46. thdf Int tnpR Int1 aadA2 sull delta1 floR DR-L qacEdelta1 LJ 500bp A 1135bp B 942bp floR 494bp groEL pse-1 sull tetR tetA orf1 orf2 DR-R Int1 qacEdelta1 RJ 515bp C 598bp D 1559bp E 1338bp S. Typhimurium DT 104株の薬剤耐性遺伝子クラスターの構成 DR-LとDR-Rは、繰り返し配列の左右端。 黒色模様はインテグロンの基本構造。 破線矢印は薬剤耐性遺伝子( floR, A, B, C, D, E )と左右端を確認するPCR反応の位置。 D. Meunier, et al:Emerging Infectious Diseases. 8(4), 430-433, 2002 インテグロン 薬剤耐性遺伝子( floR, A, B, C, D, E )

  47. 動物用医薬品 製造・輸入業者 JVARM 病患畜 健康家畜 我が国の家畜衛生分野における薬剤耐性モニタリング体制 JVARM(ジェーバーム) Japanese Veterinary Antimicrobial Resistance Monitoring System 1.家畜に由来する細菌の薬剤耐性をモニタリング 2.動物用抗菌剤の有効性を確認 3.動物用抗菌剤の使用量をモニタリング 4.薬剤耐性に関するリスク分析の基礎資料を提供 5.得られた成績を、動物用抗菌剤の“慎重使用”に反映させる 抗菌剤使用量の調査 食中毒菌・指標菌の薬剤耐性調査 家畜固有の病原菌の 薬剤耐性調査

  48. 農林水産省 生産局畜産部 衛生課薬事室、飼料課 行政措置 動物薬の許認可やその見直し 農林水産省 動物医薬品検査所 独立行政法人 肥飼料検査所 結果の公表 ● 試験法の確立・参照株の配布 ● 成績の集計・分析 ● 遺伝学的性状の解析 ● 分子疫学調査 ● 薬剤耐性機序の解明 対象菌種 食中毒菌: サルモネラ、カンピロバクター、腸管出血性大腸菌(O157)、バンコマイシン耐性腸球菌(VRE) 指標細菌: 大腸菌、腸球菌 家畜保健衛生所 (全国187ヵ所) ●菌分離・同定 ●MIC測定 家畜(牛、豚、鶏) JVARM実施体制と役割分担

  49. 90 :1999 80 :2000 70 :2001 60 :2002 50 :2003 40 30 20 10 0 耐性菌問題は、「基礎編」、「採卵鶏編」、「ブロイラー編」でも紹介しています。 耐性株の割合(%) セファゾリン アンピシリン カナマイシン ナリジクス酸 トリメトプリム ビコザマイシン テトラサイクリン ストレプトマイシン クロラムフェニコール 日本において家畜から分離されたサルモネラの薬剤耐性の割合

  50. 70 :事後処理など :調査 :投薬 :検査 :事後処理など :処置 :調査 :検査 :衛生指導 :会議など :畜産指導 :講習会受講 :薬事・獣医事 :病勢鑑定 60 50 業務の割合(%) 40 30 20 10 0 1970 1977 1995 1970 1977 1995 1970 1977 1995 それ以前 それ以前 それ以前 伝染病関係 一般疾病関係 その他の業務  家畜の疾病予防と健康増進を通して、畜産経営の高度化に寄与し、安全性の高い畜産物を供給することを目的として、家畜保健衛生所は畜産農家のお手伝いをしてきました。 出典: 「畜産行政史:戦後半世紀の歩み」 1999年 家畜保健衛生所の業務の変遷

More Related