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09 行動分析学特論(その 8 ). 学校教育を考える。. ブログ:「対人援助学のすすめ:日々是新鮮」. 調査表. LD, AD/HD 、学力、いじめ、不登校. Ⅰ .現在の学校教育での課題(話題?) Ⅱ . AD/HD など「発達障害」に関する課題 ・現状の問題 Ⅲ .「学力」に対するとらえ方再考 「学習者」というとらえかた 就労支援からみえた学校教育のありかた. Ⅰ. 学校「教育」の共通課題. 教育の目標に関する課題 子どもの「変化」? 教育の「変化」? 1) NHK クローズアップ現代「10歳の壁」 2) NHK 大人ドリル
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09行動分析学特論(その8) 学校教育を考える。 ブログ:「対人援助学のすすめ:日々是新鮮」
調査表 • LD,AD/HD、学力、いじめ、不登校
Ⅰ.現在の学校教育での課題(話題?) Ⅱ.AD/HDなど「発達障害」に関する課題 ・現状の問題 Ⅲ.「学力」に対するとらえ方再考 「学習者」というとらえかた 就労支援からみえた学校教育のありかた
Ⅰ.学校「教育」の共通課題 教育の目標に関する課題 子どもの「変化」? 教育の「変化」? 1)NHKクローズアップ現代「10歳の壁」 2)NHK 大人ドリル 3)最近の学生は(「決められない学生」) 4)総合支援学校の「キャリアプラン」 5)作文指導における「自由」と「形式」
ご意見聴取(1) • 「基礎学力」に関して、(たとえば)百枡計算などの方法はどんな意味を持つだろうか? • 「ゆとり教育」あるいは「詰め込み教育」という問題設定は正しいのだろうか? • 目ざすべき「学力」とは何か?
教育のロジック再考 • 総合「支援」、特別「支援」 といった名称 「支援」という表現の持つ意味 「対人援助学」(Science for Human Services) 学校では何を支援するのか?
「助ける=対人援助(支援)」のキモ Service 御主人が、好きな方向へ打つために最適なボールをあげる。(過不足のない援助が重要)
対人援助学の一般目標 ●ひとりひとりの個人にとって、それを続けたい行動の選択肢が、自発的選択を通じて拡大していくこと。 学校場面でも通用するか?
援護 援助 対人援助(支援)の3つの連環的作業 「援助つき行動成立」の実現 教授 個人の行動(反応)形成 行動成立のための 「新たな」環境設定 援助設定の定着のための運用(表現・要請) 望月昭(2007)編 「対人援助の心理学」(朝倉書店)
「援助・援護・教授」という機能分類による 対人援助の実践についてのメタ分析Human Services Platform の利用 事例データのメタ・アナリシスによって、対人援助の「進歩」を表現できないか?(望月ら,2007『対人援助の心理学』) Human Services Platform (HSP)事例データベース 研究例:『機能連環モデル』 によるメタ分析 既刊論文130編によるDB分析
反応キー(オペラントの対象) 4)キーをペック(反応) したら強化 3)さらに上で強化 2)少し上で強化 1)餌呈示装置の近くで類似の反応を強化(えさ呈示) えさ呈示機から食べる えさ呈示装置 ミーアキャットもできるらしいが・・・ Shaping(援助-「援護」-教授)
学校教育における「対人援助」(=支援) ●能力(ability)のボトムアップ? ●社会的要請のスキルをトップダウン? いずれも当事者不在で、規範的な教育コンテンツを中心とした議論になりがち ●個人の「できる」を見つけて増やしていく
「できる」とは、何ができる? • 通信簿の点数? IQ? 発達年齢? (個人属性や状態) ・“トータルな”人格的成長? 当事者(個別の個人)にとって、 「今」やりたい、と思う行動があること(正の強化で維持される「行動」が成立する)
「できる」は発見されるもの? • ある条件があれば「できる」(正の強化で維持されながら行動が成立する) 「できる」は、援助つき(これがあれば=支援こみ)でかまわない つまり「できる」は創造していくことができる。
「これ」 (こんな条件)があれば「できる」行動の表現方法 反応(行動) 先行事象 結果事象 この3つで「できる」を表現 例:「電卓の計算能力がある」(?)
「できる」は表現してナンボ • 「当事者が正の強化で維持される行動の選択肢を拡大する(できる)」プロセスを表現する • 当事者の「個人属性の記述」ではなく、「これがあれば『できる』という条件についての公共的な表現を追及する 表現手段例:個別の教育支援計画(IEP)
先生の仕事 • 一般論(「最近の子どもは・・・」とか「ADHDの生徒は・・」)ではなく、 「個別の個人」において、「欠陥」「できない」を目標値から引き算するのではなく、 「今できること」や、今に続く「できる可能性」を設定し、それを環境条件を含めて表現(情報移行)する。 生徒が継続的に「学習者」であるように支援(援助・援護・教授)する
ご意見聴取(2)「学習者」 ●学習者とは? ●「学習者」であるための 教育(支援)内容は?
Ⅱ.発達障害の子どもの「できる」 • 援助設定による対応 ビデオクリップ 学校教育の中で、援助設定を使って「できる」を創る。そして、どこまで、自己決定を入れることができるか?
「できる」の支援事例1(VTR) • 障害児学級(当時)に在席の小学3年生 • 集団の中で騒ぐ • 普通学級の生徒からも先生からも疎まれる ●「できる」こと 文字を読むことができる 事例:では、さらに「できる」を利用して、他の人も認めるような援助設定を創造するには??
この事例での支援内容 1)援助(設定)は? 2)援護は? 3)教授は? ●表現することの重要性 ●この生徒の次は、どんな内容が可能だろうか?
「できる」の支援 事例2、3: 普通学級に通うADHDと診断された生徒のケース「できる」の支援 事例2、3: 普通学級に通うADHDと診断された生徒のケース • 事例2:ADHDと診断された生徒の集団参加 • 事例3:学級から逸脱してしまう生徒への対応
本研究の目的 事例2: 金山(2003)の研究 人間関係や社会性において問題を抱えるADHD児に対して、集団遊びを逸脱せずに継続して参加が行えることを目的とした。その手法として、 第一段階:シェイピングによる行動形成 (当初は「教授中心」) 第二段階:「参加する/見学する」を選択する 機会を与える(「援助設定」導入)
小学4年生 男児 ADHD(混合型) 学校では、普通学級と障害児学級に所属している。 学力は、算数・理科が得意であるが、国語は苦手。 時々癇癪を起こしたり、キレたりする。 体育は好きだが、ドッジボールなど、集団での活動は積極的に参加しない。 こだわりが強い。 WISC-Ⅲ 全検査IQ91 言語性IQ79 有意差 動作性IQ107 あり S-M社会生活能力検査 生活年齢 9歳6ヶ月 社会生活年齢 6歳4ヶ月 身辺自立 7:0 移 動 6:6 作 業 8:0 意志交換 6:2 集団参加 4:9 自己統制 6:10 対象生徒
支援(教授)の流れ ゲームのルール理解訓練 ベースライン 訓練Ⅰ-A: 勝率優先による継続的なゲーム参加 訓練Ⅰ-B: 同等の勝率においての継続的なゲーム参加 訓練Ⅱ: 「します/見学します」の選択訓練
訓練B ※【野球】を種目の中に導入する。 ①対象児と活動パートナーが、ジャンケン をし、勝った順番で種目を選択する。 ②選択した種目について対象児は「します」 「見学します」の選択カードを提示する。 →「見学します」を選択した場合は、ジャンケンには 参加する。その後、コート外のベンチに座っておく。 途中で参加したくなったら、「やります」といって 所属しているチームへ入る。 種目決定ボード 野球 ドッジボール 見学します。 風船バレー サッカー
結果 種目別反応時間 ベースライン期 勝った直後のゲームは参加。負けた直後のゲームは、参加までに時間がかかった。 訓練Ⅰ‐A 5試行とも、60秒以内に参加。 訓練Ⅰ‐B ゲーム途中、負点になった時点で逸脱行動があった。 訓練Ⅱ 「野球」以外は、「見学します」を選択。逸脱行動は見られなかった。 サッカー29試行目に途中参加。 32試行目からは、自発的参加が見られた。
事例3:神戸市の「教員補助学生」による研究事例3:神戸市の「教員補助学生」による研究 ●金山好美・望月昭(2005) 通常学級に通うADHD児のための選択機会を伴う受容的環境の検討-逸脱行動に対する「行ってきますカード」手続きの効果- 日本行動分析学会第23回大会発表論文集
研究1行動的アセスメントと教室環境での薬物療法ついて研究1行動的アセスメントと教室環境での薬物療法ついて 【目的】 通常学級に所属するADHD児の実態・経過を行動観察し、問題行動の機能分析を行うことを目的とした。 【方法】 週3回、3名が教員補助として観察を行った。
対象児 A児(7歳 男児) 入学時から多動な行動が見られた。 ・教室から逸脱する。 ・すぐに上半身裸になる。 ・水道の水を体にかける。 逸脱時は「保健室」に行く。 行き先は告げていかない。 「国語」「算数」はできる。 10月に医療機関で「ADHD傾向の疑い」と受診される。
【結果】 図1 教室在室率
図2 時間帯による授業参加 図3 教科別授業参加率
研究2逸脱行動に対しての「いってきますカード」導入の効果研究2逸脱行動に対しての「いってきますカード」導入の効果 【目的】 薬物療法で参加率を上げる事が難しくなった対象児に対して、対象児に行動の選択機会をあたえ、教室での参加・行動変容の検証を行った。 【方法】 リタリンの処方で授業参加が可能になっていたが、2年時2学期から教室からの逸脱行動が頻繁になった。そこで,教室を出る場合は,「行き先カード」を残し,タイマーを持って出かける.定時に帰室し「記録」を書く.
【結果】 図5 教室滞在率と行動観察結果
2つの事例を通じて 1)いずれも、「今できる」ように援助設定 2)当事者の「選択機会」を導入する ●援助設定(「できる」を作るための状況)を創造している ただし、それには、周囲の協力が不可欠(「援護活動」(情報共有)が前提となる) 情報共有のための「援助設定」必要
Ⅲ.学力のとらえ方再考 • 「できる」状況の実現を支援する。 ●自己決定を尊重しながら、当事者と取り巻く他者の利益を最大限になるように誘導する=「リバタリアン・パターナリズム」 ●そこにおける「学習者」としての子どもに求められる「学力」とは?
就労支援からみた学校教育のありかた • 学生ジョブコーチシステム(SJCS) • 表現してわかるもの • 「情報共有」がなければ意味のない就労実習 • 生徒自身が、環境を変えて仕事をしやすくできるような支援へ
学生ジョブコーチ 総合支援学校(養護学校)の生徒の就労実習、卒業生、地域に住む障害のある成人を対象に、「行動分析学」の基礎知識と技術を持った学生が対象者と共に事業所(企業)に入り、求められる作業をより容易にするための支援を行う。 仕事内容 1.事前業務・課題分析 2. ジョブコーチ(直接支援) 3.課題分析・機能分析によるカイゼン 4. 対応(直接支援) 5.企業・学校への提案
これでも「援護」可能 獲得過程の記録例:表記(作業効率) 高津ら(2006) 学生ジョブコーチシステムという試み(2)―養護学校生徒の飲食店実習援助における学生ジョブコーチの役割.日本行動分析 学会発表論文集,24,50.
「なぜ」の追及:機能分析の例 • 太田隆士ら(2006) 学生ジョブコーチシステムという試み(3):仕事遂行メタスキルの獲得.日本行動分析学会年発表論文集,25,51. ユースホステルの清掃作業において、 ●頻繁に教員・職員に仕事の確認をする ●仕上げがいまいち 細かい課題分析をしなおせばよいか?
結果(1) 効果の確認(1)報告回数 • B君の報告・確認行動は、図1のチェックリストが無いときは平均18回であったが、B条件でチェックリストに自分で記入するようになったら平均4回に減少した。
課題達成率 B条件「チェック表有」 A条件「チェック表なし」 A条件 ○ B条件ではA条件と比較してB君の課題達成率が上昇した。これはB君自身 が確認することを促す作業チェック表を用いることで、作業の完成度が高くなった ためであると考えられる。
この実践の意味 • 他律的な就労実習行動から生まれる 「決められない」「指示待ち」の状況 ・ 自己チェックによるセルフマネジメントによる自発的進行 類似ケース:ノートを用いることによる自己管理能力
SJCと先生との意見の食い違い ●就労場面での「援助設定」優先が「甘い」 援助設定を優先するか、教授を優先するか ●「職場への援護」「工夫」VS「身に着ける」「社会はそんなに甘くない」「1時間座らないで『がまんして』作業する」 ●「記録と報告」か「体験主義」か