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免許更新講習(必修)

免許更新講習(必修). 教職についての省察① 担当 :前原 健二  maehara@u-gakugei.ac.jp. 講師の自己紹介. 前原健二  maehara@u-gakugei.ac.jp (東京学芸大学・教員養成カリキュラム開発研究 センター、准教授) 専門は教員研修、学校経営、ドイツと日本の比較教育制度研究など。 コメント、質問、研修企画の相談などいつでも大歓迎です。. 講習の進め方. 飲み物は自由 私語は厳禁 時々、「質問」しますので、どうぞ元気よく答えてください。 ライバルはオリンピック。睡眠不足に負けない講義を目指します!.

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Presentation Transcript


  1. 免許更新講習(必修) 教職についての省察① 担当:前原健二  maehara@u-gakugei.ac.jp

  2. 講師の自己紹介 前原健二 maehara@u-gakugei.ac.jp (東京学芸大学・教員養成カリキュラム開発研究センター、准教授) 専門は教員研修、学校経営、ドイツと日本の比較教育制度研究など。 コメント、質問、研修企画の相談などいつでも大歓迎です。

  3. 講習の進め方 • 飲み物は自由 • 私語は厳禁 • 時々、「質問」しますので、どうぞ元気よく答えてください。 • ライバルはオリンピック。睡眠不足に負けない講義を目指します!

  4. 「学校をめぐる状況変化」 • 取り上げる話題は「学力」 • PISA • 日本 • フィンランド • 上海 • 全国学力・学習状況調査 • 学力の「古さ」「新しさ」を問い直す

  5. PISA調査 • Programme for International Student Assessment • OECD(経済協力開発機構) • 2000、2003、2006、2009、2012年(7月実施) • 「学校の教科で扱われているようなある一定範囲の知識の習得を超えた」「生徒がそれぞれ持っている知識や経験をもとに、自らの将来の生活に関係する課題を積極的に考え、知識や技能を活用する能力があるかをみる」。

  6. PISAの問題の例 右のグラフ(次スライド)は、二つの班AとBの理科のテスト結果を示しています。 A班の平均点は62.0、B班の平均的は64.5です。50点以上とった生徒は合格になります。 先生はこのグラフを見て、今回のテストではB班の方がA班より良かったといいました。 A班の生徒たちは先生の意見に納得できません。A班の生徒たちは、B班の方が必ずしも良かったとは言えないということを先生に納得させようとしています。 グラフを使い、A班の生徒が主張できる数学的な理由を一つ挙げて下さい。

  7. PISA読解力問題例携帯電話は危険ですか? YES NO 電磁波は、体を発熱させて悪影響を与えるほど強くありません。 磁場はとても弱いので、体の細胞に影響を与えることはまず考えられません。 そのような影響は実験では見られません。現代の生活スタイルの中に、何かほかの原因があるのでしょう。 研究者によれば、がんができやすくなることが、携帯電話を使うことと関係があるかどうかは明らかではないそうです。 高圧線の発する電磁波は違う種類のものであり、携帯電話が発する電磁波より、かなり強いエネルギーを持っています。 線虫は人間ではありません。だから、人間の脳細胞が同じように反応するとはかぎりません。 • 携帯電話が発する電磁波は、体の組織を発熱させ、悪影響を与えます。 • 携帯電話がつくりだす磁場は、体の細胞の活動に影響を与えます。 • 携帯電話で長電話をすると、だるさや、頭痛や、集中力の低下を感じることがあります。 • 携帯電話を使っていると、電話を当てる耳の側に、がんが2.5倍もできやすくなります。 • 国際がん研究機関は、小児がんと高圧線に関係があることを発見しました。高圧線は、携帯電話と同じように、電磁波を発しています。 • 携帯電話が発するものと同じ高周波の電波によって、線虫の遺伝子の発現に変化が生じました。

  8. 携帯電話の安全性に関する問3 表の項目3の「いいえ」の主張を見てください。この主張のいう「何かほかの原因」として、どのようなものが考えられますか。原因として考えられることを一つあげ、そのように考えた理由も書いてください。

  9. PISAの結果に対する「反応」(1) • 国際的にみれば十分に高い水準にある • 順位と点数の「低下」に対する危機感 • 特にPISA2006=「ゆとりまっただ中」の世代 • 「分布」の問題→ 後述

  10. PISAの結果に対する反応(2) • フィンランド礼賛 • 競争圧力の低い「学び合う」学校 • 教師の自由裁量の幅 • 教員養成の水準の高さ(=修士レベルが標準) • 家庭の教育力 (← 人々の「働き方」とも関連) *ビデオ参照

  11. PISAの結果に対する反応(3) • 「20世紀型学力」との決別 • 「20世紀型」の学力は「速く、多く、正確に」 • 「工場労働的生産様式」には最適 • 「21世紀型学力」の正統化 • 知識の活用力、創造力 • 新しい産業、グルーバル競争 • 「PISA的」な学力こそ、これからの学力

  12. PISA2009の「上海ショック」 • 全分野で圧倒的な差をつけてトップ • 「危険ゾーン」が極端に少なく、高いレベルほど比重の高い分布(次スライド参照)

  13. PISA2009上位10

  14. PISA2009数学レベル別分布

  15. PISA2009数学:レベル別分布

  16. 上海好成績の理由 • 教育財政 • 教師の力量向上への努力 • 熾烈な進学競争 • 社会的上昇の手段としての教育 • 「書山有路勤為径、学海無涯苦作舟」(韓愈) • ただし教育方法の特徴として「暗記・暗唱」 「上海PISA2009の結果とその関係要因」朱小虎(上海教育科学研究院PISA研究センター研究員)、日本教育社会学会第63回大会公開シンポジウム資料から、前原によるまとめ

  17. 当然の疑問 ☆なぜ「上海に学べ!」とならないのか? • 「猛烈な詰め込み競争主義」の教育? • 「養成水準が低く、待遇も今ひとつ」の教職?

  18. ドイツの例 • 「3回続けて成績が向上している唯一の国」 • 重要なのは順位ではなく、水準と分布 →カリキュラムの標準化、社会政策方面における支援を含む低学力層への支援

  19. 数学的リテラシーのレベル分布推移 赤字は2003から2009にかけて減った部分、青字は増加した部分 つまりドイツは下位が減って、上位が少しずつ増加。 日本は下位と上位が減って、中位が増加している。

  20. ドイツにおけるPISAの意味 ☆ランキングにこだわることには意味がないが、教育政策の効果をみるためのひとつの資料として意味がある。 ☆子どもたちの学力を確保するための努力は(忌避すべき)学力競争を意味しないが、学力の状況が他国に比べて改善されることは望ましい。

  21. 日本におけるPISAの意味 • 本来の趣旨は教育制度改善の資料収集 • 日本の教育業界の特殊な受け止め方 • 「学力の世界的ランキング」は気になる • 子どもたちには学力競争をさせたくない →PISA型学力ならば、子どもたちに学力競争をさせずに「学力のランキング」を確保できる? =世界的に見て唯一無二の(風変わりな)世論

  22. 全国学力・学習状況調査 • 2007年、約40年ぶり、小6中3悉皆 • 2010年、抽出+希望に変更 • 2011年、大震災の影響で実施せず • 2012年、理科追加、抽出30%+希望約50% • A問題:知識力を問う =「古い学力」的 • B問題:知識活用力を問う =「PISA型学力」的

  23. 全国学力・学習状況調査の問題例 康平さんの所属するテニス部ではオリジナルTシャツを作ることにしました。そこで,無地のTシャツを持ち寄って,店にプリントを頼もうとしています。左の表は3つの店の料金をまとめたものです。(製版代は,プリントするときの元になる版をつくるために必要な料金のことです。) 康平さんはプリントする枚数によってどの店の料金が安くなるかを調べるために,Tシャツをx 枚プリントしたときの料金をy 円として店ごとのx とy の関係を,左のようにグラフに表しました。 次の(1),(2)の各問いに答えなさい。 (1) ある枚数のTシャツをプリントすると,パレット印刷と染め屋のどちらに頼んでも料金が同じになります。このときのTシャツの枚数は,グラフ上のどの点の座標から分かりますか。下のアからオまでの中から1つ選びなさい。 ア 点A  イ 点B  ウ 点C  エ 点D  オ 点E (2) 康平さんの所属するテニス部でオリジナルTシャツの希望枚数をきいたところ,全部で35枚でした。Tシャツ35枚のプリント料金が最も安い店は,それぞれの店の料金を計算しなくてもグラフから判断できます。その方法を説明しなさい。

  24. 都道府県順位(2007) • 順位をつけ比較することは本来の趣旨、目的ではない • 小学校算数A 秋田、福井、青森、富山、香川、京都 • 小学校算数B 秋田、福井、香川、山口、青森、富山、京都 • 中学校数学A 福井、秋田、富山、徳島、石川、香川 • 中学校数学B 福井、富山、秋田、石川、岐阜

  25. 秋田県ショック • 一番驚いたのは秋田県教委関係者? • 1960年代は下位だった東北、北陸エリア • なぜ好成績なのか? • 大家族? 米? 気候? • きめ細かい指導、予習復習の徹底 • むしろ都市化の進行が学力の二極分化を生む

  26. 「学力」の「古さ」「新しさ」 • ヨーロッパの場合 • 上海の場合 • 秋田の場合 → 「それはもう古い、これからは新しいもの」という学力論は意味がない 基礎基本の確実な習得+考えて活用する力

  27. 足下を見つめ直す • 子どもたちの「学力」何が不足しているのか? • 基本的な生活習慣 • 規範意識(ないしは「常識」) • 体力、耐力 • 意欲、集中力 • コミュニケーション力 • リーダーシップ&協調性 → これらの基盤の上に基礎学力が育つ

  28. 「学力」の論点 • 家庭環境、社会環境の影響力 • 家庭の教育戦略は制御不能 (→「格差」へ) • 塾、ゲーム、携帯、インターネットも制御不能 • 「経済的競争力」がすべてなのか • 全員が「知識集約的」「高付加価値的」な仕事に就くわけでない。 • 「民主的な社会の担い手となる」「自分らしく生きる」ための学びも大切。 • 教育の本質的不可測性 • 「育てたようには子は育たぬ」 • 「ルールのないゲーム」… 「よさ」を計る基準が一定しない。 が、それでもルールはある!

  29. 参考図書 • 佐藤学・澤野由紀子・北村友人編著『揺れる世界の学力マップ』 明石書店、2009年 • 志水宏吉 『学力を育てる』(岩波新書) 岩波書店、2005年  • 浦野弘 『秋田の子供はなぜ塾に行かずに成績がいいのか』(講談社α新書)、講談社、2009年

  30. Thank you for your attention! 前原健二 maehara@u-gakugei.ac.jp (東京学芸大学・教員養成カリキュラム開発研究センター)

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