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核子とパイ中間子系での “ずり粘性係数”について. arXiv:0711.1034 [hep-ph] ( PRD に掲載予定). 板倉 数記 (KEK、総研大). 登壇者 大友 洋 (東大理). 森松 治 (KEK、東大理、総研大). 2007 年 11/21 原子核・ハドロン物理:横断研究会. 目次. 1、動機、目的. ・”ずり粘性係数( η )”とは?. ・ η が注目されるわけ. ・なぜパイ中間子と核子のガスか?. 2、方法. 3、結果、議論. 温度依存性 バリオン化学ポテンシャル依存性. ・ η の. 温度依存性
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核子とパイ中間子系での “ずり粘性係数”について arXiv:0711.1034[hep-ph] (PRDに掲載予定) 板倉 数記 (KEK、総研大) 登壇者 大友 洋 (東大理) 森松 治 (KEK、東大理、総研大) 2007年 11/21原子核・ハドロン物理:横断研究会
目次 1、動機、目的 ・”ずり粘性係数(η)”とは? ・ ηが注目されるわけ ・なぜパイ中間子と核子のガスか? 2、方法 3、結果、議論 温度依存性 バリオン化学ポテンシャル依存性 ・ηの 温度依存性 バリオン化学ポテンシャル依存性 ・η/sの (s:エントロピー密度) 4、まとめ 5、今後の展望
1、動機、目的 ”ずり粘性係数”とは? 平衡から微小にずれた非平衡状態を特徴づける輸送係数 z A z L x pull! x 一般的に書くと
ηが注目されるわけ (ⅰ)完全流体模型を用い、重イオン衝突実験の結果を再現した 完全流体 非中心衝突 粘性ゼロ 強結合系 Adler,Afanasiev etal.,PRL.91, (2003) 18
(ⅱ)”ずり粘性係数”(η)/エントロピー密度(s)に関する推測(ⅱ)”ずり粘性係数”(η)/エントロピー密度(s)に関する推測 水 (推測2) QCDにおいて、η/sは相転移点近傍で最小値を与える ・定性的に Hirano and Gyulassy ’06 ・様々な系にて (水、ヘリウム、窒素など) Csernai, Kapusta and McLerran ’06 P (推測1) η/sは普遍的な下限を持つ liquid AdS/CFT対応が予言する下限(KSS bound) Kovtun, Son and Starinets ’05 22.06MPa solid 600Pa 強結合系 T gas 647K 273K
なぜパイ中間子と核子のガスか? これまでの仕事 衝突における散乱振幅 相互作用 系 Chen and Nakano PL B 647(2004)371 Dobado,Llanes-Estrade, Eur.Phys.J.C50(2007) 647 パイ中間子のみのガスにおける結果(追試計算) 低エネルギー有効理論 ・T < Tc (カイラル相転移)で減少する。 現象論 KSSbound ・Tc近傍で、KSS boundを わってしまう! ・KSS boundをわらないが、十分小さい!
核子を導入する動機 KSS boundに抵触する可能性がある (Ⅰ) 小 小? 大 (Ⅱ) バリオン化学ポテンシャルμ依存性を調べる事ができる T QGP ハドロン-クォーク相転移 Liquid-gas相転移 ガス ハドロン相 CSC 相構造が の振舞いに、どう反映する?
これまでの仕事 相互作用 系 Chenet al. (2007) hep-ph/0703230 ? Prakash, Prakash, Venugopalan and Welke, Phys.Rept,227(1993)321 ・ η/sの議論なし ・ 限られたμとTのみ ・量子統計の効果なし 目的 パイ中間子と核子のガスにおいて、現象論による相互作用 (散乱振幅)を用い、ηとη/sのT、μ依存性を調べる
ずり粘性係数の定義 3、方法 運動学的な表式 ここで、ずり方向の速度のずれしか考えないとすると よって、 分けられる!
相対論的ボルツマン方程式 衝突項 弾性散乱を考える 量子統計性(ボゾンは+、フェルミオンは-) ・低エネルギー有効理論 散乱振幅 ・現象論(実験値のフィット) の の1次までとる。 (チャップマンエンスコッグ法)
:弾性散乱断面積 現象論的 低エネルギー有効理論(LO) (微分散乱断面積をフィット) フィットした領域
留意すべき点。 (一)散乱エネルギーがフィット した領域を超えていないか? 現象論 低エネルギー有効理論 <p>+∑ (二)十分、希薄か? ① ① ② :相互作用長 ② :pの平均自由行程 :Nの平均自由行程 ~940MeV
4、結果、議論 (Ⅰ) ηの結果 μ 大 ηは、μで増加している? 当初の予想は 横軸μでプロットしてみると、 小 T=100MeV 確かに減少 μが大きいところでは支配的
(Ⅱ) η/sの温度依存性 エントロピー密度 平衡状態で評価する 低エネルギー有効理論(LO) 現象論 URASiMA S.Muroya & N.Sasaki μ 大 ・ 現象論的な相互作用を用いると、KSS boundを下回らなくなる ・ バリオン化学ポテンシャル(μ)が大きくなるとη/sは下がる → sの効果 ・ クォーク-ハドロン相転移点近傍に向け減少する ・ ハドロンカスケード計算(URASiMA)から得られた結果とコンシステント URASiMA Monte Carlo hadronic collision event generator
(Ⅲ) η/sのバリオン化学ポテンシャル(μ)依存性(Ⅲ) η/sのバリオン化学ポテンシャル(μ)依存性 (ⅰ)温度が高いところ T=50MeV T=100MeV たしかにμに対して単調減少 (ⅱ)温度が低いところ 急激な減少 T=10MeV μが大きなところでは、 単調減少ではない! 詳しく調べると、、
現象論 水 ①μ≒940MeVを中心とした谷構造 忘れてはならない二つの事柄 ②温度が高くなるにつれて谷は 浅くなる(T=20MeVでは平坦) (一)散乱エネルギーがフィット した領域を超えていないか? (二)十分、希薄か? ? T liquid-gas相転移が見えている? 15MeV 940MeV
現象論 ① (二)十分、希薄か? 谷の底 ② ① ② 940MeV ガスが希薄ではなくなるところ ・谷の底から右側(μ>940MeV)の値は、定量的には信頼できない →1次相転移の跳びが見えない、相転移点の定量的な評価はできない ・ ガスが希薄でなくなるところが谷の底と一致 クロスオーバーにいくにしたがい谷が浅くなる liquid-gas相転移 を見ている?
5、まとめ パイ中間子、核子のガスにおいて、現象論による散乱振幅を用いた計算では、 ・核子の効果は、η とη/sの値に、大きな影響をもたらす ηは、μが大きいところでは、核子の寄与が支配的になる η/sは、μ の増加に伴って、減少する (Tが低いところでは激減する) ・η/sはKSS boundを、わることはない ・η/sの振舞いは相構造を反映している可能性がある 6、今後の展望 ・ハドロン-クォーク相転移点に近づくために、より重い粒子(K中間子、 φ中間子など)を取り入れる ・liquid-gas相転移点周辺を理解するために平均場の影響も含 め、粘性を議論する ・他の輸送係数(熱伝導率、体積粘性係数)も計算する
(推測2) η/sは相転移点周辺で特徴的な振る舞いをする 水 ・QCDにて(定性的に) T.Hirano and M.Gyulassy, nucl phys.A769(2006)71 ・様々な系にて (水、ヘリウム、窒素など) Csernai, Kapusta and McLerran,PRL.97(2006)152303 P liquid 22.06MPa solid 600Pa T gas 647K 273K
P.Kovtun, D.T.Son and A.O.Starinets(2005)Phys.Rev.lett.94,111601 η/sは普遍的な下限を持つ。 AdS/CFT対応 Gauge theory Gravity N = 4 super Yang-Mills theory D3-brane 強結合 弱結合 M.Natsuume(2007)hep-ph/0701201 ≠ QCD
平衡状態での温度、バリオン密度相図 T QGP Hadron phase CSC μ
Le Chatelierの原理 他からある系に外力が加えられた時、系はその影響を最小限にする様に振舞う。 外力 空間 空間 平衡からのわずかな「ずれ」を仮定している。
ずり粘性の簡単な評価方法(by Maxwell) 仮定1、運動学的な粒子系を考える。 (粒子間相互作用は衝突のみ!) 平均自由行程 上平面の図 Z X 圧力=粒子の総力積=質量×速度×粒子数
仮定2、平衡状態の時の速度分布が成り立つとする。仮定2、平衡状態の時の速度分布が成り立つとする。 z=0、x=0の単位面積において単位時間に単位立体角 dΩ方向からやってくる粒子の数は z 仮定3、速度場はz=0の周りで、以下の様に展開できるとする。 よって、単位面積に入ってくる粒子の速度はz=0の速度と相対的に見て z x x
よって、圧力は と書ける。
ずり粘性の簡単な評価方法(by Maxwell) 仮定1、運動学的な粒子系を考える。 (粒子間相互作用は衝突のみ!) 平均自由行程 仮定2、平衡状態から微少にずれた非平衡状態と考える。
粘性の性質 ・相互作用が強いと、小さくなる。 ・系を構成する粒子の種類のみならず、一般に温度、密度依存性を持つ。 模型が妥当な場合 ・運動学的な系である。(気体)
ずり粘性の簡単な見積もり ・実験値にfitしたもの ・カイラル摂動論から導かれるもの(主要項のみ)
[パイ中間子のみの系] 手順 ボルツマン方程式 (局所)平衡状態の場合 衝突項 散乱振幅
カイラルラグラジアン カイラル摂動論 の展開。 適用限界
Chapman-Enskog法 局所平衡状態への補正 一方、 ここで とおく。 つまり、B(p)について解ければ「ずり粘性」がわかる!
連続の式 エネルギー保存則
直交条件 多項式 の最も高次の係数は1とする。 (多項式はmonicであるとする。) 直交関数 での展開
をかけて解く! ボルツマン方程式に 切断近似 1次 2次
切断近似の収束性 散乱断面積の導出にカイラル摂動論の主要項を用いた時 1次 2次 3次
1次 2次 3次 ずり粘性(GeV^3) 温度(MeV)
カイラル摂動論の適用限界 衝突項 の中にある散乱振幅にカイラル摂動論が使われている。 標準偏差 Weinberg流のカイラル摂動論 の展開。 適用限界
Boltzman方程式を用いたずり粘性係数の見積もりBoltzman方程式を用いたずり粘性係数の見積もり 実験 カイラル摂動論
直交条件 直交条件
切断近似1次の場合 をボルツマン方程式両辺にかけて解く
低エネルギー有効理論によるパイ中間子と核子の系での低エネルギー有効理論によるパイ中間子と核子の系での ずり粘性係数/エントロピー密度(η/s) η/s 温度(MeV) 化学ポテンシャル(MeV)
η/s 温度(MeV)
ボルツマン方程式の適応領域 ボルツマン方程式が記述する系 平均自由行程