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NPOによる公益事業経営の可能性と課題

NPOによる公益事業経営の可能性と課題. 下村 仁士(株式会社キューヘン) 堀内 重人 (トラジャル旅行ホテル専門学校). 本論の構成. はじめに NPO (民間の非営利組織)の定義と形態 公益事業の供給における NPO の関与 -公共交通を中心に NPO の具体的関与事例 -自主運行バスを例に 公益事業経営と NPO の関係. 1.はじめに. NPO ( Non Profit Organization :民間の非営利組織)の存在感の高まり ・ヨーロッパやアメリカでは積極的な位置づけ

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NPOによる公益事業経営の可能性と課題

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  1. NPOによる公益事業経営の可能性と課題 下村 仁士(株式会社キューヘン) 堀内 重人(トラジャル旅行ホテル専門学校)

  2. 本論の構成 • はじめに • NPO(民間の非営利組織)の定義と形態 • 公益事業の供給におけるNPOの関与 -公共交通を中心に • NPOの具体的関与事例-自主運行バスを例に • 公益事業経営とNPOの関係

  3. 1.はじめに • NPO(Non Profit Organization:民間の非営利組織)の存在感の高まり ・ヨーロッパやアメリカでは積極的な位置づけ   ・日本:1998年に特定非営利活動促進法(NPO法)が成立・施行  ・・・阪神淡路大震災の救援・復興における市民活動や その後のボランティア活動が影響 • NPOの目的意識   ・市民の自発性を基にした公的部門への関与   (これまでは政府や地方自治体が中心に展開されてきた役割)   ・公的部門の役割を政府や地方自治体よりも柔軟かつ効率的に   実現   ・市民の視点を積極的に導入

  4. 1.はじめに • 公益事業と公的部門の関係 ・公的部門が直接経営   ・民間部門の経営に公的部門が関与 ※公益事業に要求される多様な社会的要請を反映するには     公的部門の関与が必要    ・・・規制緩和や民営化を背景にそのあり方が変化 • NPOが指向するもの   ・多様な社会的要請の実現 NPOと公益事業との関与のあり方に注目できる。 • 本報告の目的 ・公益事業分野として交通分野を中心に着目し、NPOが公益事業に参画する可能性と課題について議論する。

  5. 2.NPO(民間の非営利組織)の定義と形態 • NPOの定義 ・日本ではNPO法に基づく認証を受けた組織を指すことが多い。    →それ以外の形態の民間の非営利組織も多い。 組織形態でNPOを定義することは困難 【Salamon and Anheierの定義 】   ① 組織であること(organized)   ② 民間であること(private)   ③ 利益の非分配(non-profit-distributing)   ④ 自己統治(self-governing)   ⑤ ボランタリー制(voluntary) 【林の定義】    「社会的使命を軸とした自発的連帯(voluntary association)」を中核的要素とした「営利の追求よりも社会的使命の追求を優先する組織」

  6. 2.NPO(民間の非営利組織)の定義と形態 【Ichinoseの指摘 】   ・公的部門と民間部門の混合部門(サードセクター)として位置づけ   ・サードセクターへの期待:民間部門のもつ利点を導入しつつ、公的部門の目指す目的意識を達成。   ・NPOは個人の軸を重視したもの 【Amenomoriの分類 】   ・日本におけるNPOを法的側面から9種類に分類。   ・特定非営利活動法人を追加すると10種類。 【高橋の整理】   ・NPOの法人形態を、輸送サービス供給の可能性から整理。   本論では任意団体、公益法人、NPO法人の3つに絞って、NPOの組織形態を検討する。

  7. 2.NPO(民間の非営利組織)の定義と形態 表1 民間の非営利団体の形態

  8. 2.NPO(民間の非営利組織)の定義と形態 • 任意団体 ・従来から、市民活動やボランティア活動などで実績。 会員の目的意識が共通の方向性を持ちやすい。    町内会のような地域単位の任意団体     :会員の共益と地域における公益が一致   ・問題点:法人格がない    法的には団体の代表者や幹事などが個人として対応。    公益事業の経営に関与する規模になると障害が出る可能性。

  9. 2.NPO(民間の非営利組織)の定義と形態 • 既存の公益団体(財団法人、社団法人など) ・日本では伝統的なNPOの形態。   ・活動には主務官庁の認可や監督が伴い、現実には行政の補完的な役割を持つ側面。   ・財政面では補助金の占める部分が無視できない。   ・一部の活動では税金の無駄遣いや行政からの天下り、官僚的で硬直化した運営や業界の利益団体的な体質も。   ・会員のメリットを重視した共益事業の立場が重視されがち。 ・組織規模があれば、公益事業の経営に関与する能力はある。 交通分野:財団法人が鉄道事業免許を取得   電気事業:協同組合による運営          (例:屋久島の特定供給)

  10. 2.NPO(民間の非営利組織)の定義と形態 • NPO法人(特定非営利活動法人)   ・日本では法律上限定的な定義。   ・現在のところ小規模な活動が多い。    主な活動資金源:助成金や補助金    主な人的資源:無報酬のボランティアに依存  ・自立した活動への期待    専門性、企画力、マネジメント能力、自己評価能力など  ・問題点:活動目的の拘束、不十分な税制面での優遇 ・公益事業への関与:能力を身につけつつある。  電気事業:「市民共同発電所」    自然エネルギーを利用した発電設備を整備し、発電技術への関与を通じた公益事業への関与。 交通分野:移送サービスや自主運行バスへの取り組み。

  11. 3.公益事業の供給におけるNPOの関与  -公共交通を中心に3.公益事業の供給におけるNPOの関与  -公共交通を中心に • 交通分野への市民の関与   ・市民の自発的な勉強会活動   ・政策提言、啓発活動 • NPO法人による活動   ・交通事業者の支援   ・公共交通の改善    (交通事業者や地方自治体とのパートナーシップ)   ・新たな公共交通サービスの事業化 • 交通分野においてNPOが関与する領域   ・交通サービスの機能を階層化することで、それぞれの階層が果たすべき役割を明確化。

  12. 3.公益事業の供給におけるNPOの関与  -公共交通を中心に3.公益事業の供給におけるNPOの関与  -公共交通を中心に 図1 交通サービスの供給形態

  13. 3.公益事業の供給におけるNPOの関与  -公共交通を中心に3.公益事業の供給におけるNPOの関与  -公共交通を中心に • サポーター組織としてのNPO NPOの役割:交通事業者層を支援   ・駅舎やバス停の清掃・整備といった、自然発生的な活動   ・経済的支援     自治会・町内会レベルで回数券のまとめ買い     交通事業者や行政と協働して専門性を生かした活動     (バス路線図の作成など)   ・組織的な支援活動     例)「樽見鉄道を守る会」     鉄道車両の客室整備、枕木交換費用の募金活動

  14. 3.公益事業の供給におけるNPOの関与  -公共交通を中心に3.公益事業の供給におけるNPOの関与  -公共交通を中心に • 交通事業者と利用者の仲介役としてのNPO   ・NPOの役割:交通事業者層と利用者層を仲介 ① 運行計画の策定 ② 情報の提供 ③ 輸送契約の締結 NPOは①~③の全て、もしくは一部を担う。   ・NPOによるコミュニティバスや自主運行バスの運行の関与  実際のバス運行はバス事業者に委託する形態がほとんど    例)「地区協議会」が運営する自主運行バス。    近年ではNPO法人格を取得した活動も     三重県四日市市のコミュニティバス「生活バスよっかいち」    ・コミュニティバスや自主運行バス程度では高度な専門性が    要求されず、関与への障壁が低い。

  15. 3.公益事業の供給におけるNPOの関与  -公共交通を中心に3.公益事業の供給におけるNPOの関与  -公共交通を中心に • 自ら交通サービスを供給するNPO   ・NPOの役割:自ら交通事業者層の役割を果たす。   例)住民協議会による自主運行バスの運行。 (道路運送法80条に基づく自家用車による有償運行許可) ・問題点:交通サービス供給に必要な専門性の確保     ・運転者の免許上の制約     ・運転者の募集・選任   ・NPOによるバス運行事例     ・「深良の里たけすみの会」(静岡県裾野市) 収益事業として貸切バスと無料送迎バス(県・市の補助)     を運営。     ・「直方あしすとネットワーク」(福岡県直方市) バス運行という専門性の高い分野に特化した活動。

  16. 4. NPOの具体的関与事例   -自主運行バスを例に 事例1 「生活バスよっかいち」   ・構想のきっかけ:地元バス路線の廃止 羽津いかるが町:駅から2km程度離れている 「買物や病院へのアクセス手段が無くなるのは困る」 ⇒任意団体の住民協議会を設立  ・地元企業の協賛金をもとに、貸切バスとして無賃実験運行を開始。 ・毎月80万円の資金を、   沿線スーパーや病院が負担  ・当初は自治体の負担はなし   後に実績を評価して負担

  17. 4. NPOの具体的関与事例   -自主運行バスを例に    住民協議会のNPO化    ⇒本格的な有償運行を開始     (道路運送法21条に基づく貸切バスによる乗合運行許可)   ・運行の概要 無償運行時 からほとんど 変化なし • 「生活バスよっかいち」の特徴 • ・地域住民の交通の確保と事業性の両立が可能な無理のない 運行計画を立案・実行。 •   ・今後の課題:資金の調達方法、新規需要の開拓

  18. 4. NPOの具体的関与事例   -自主運行バスを例に 事例2 「直方あしすとネットワーク」   ・構想のきっかけ ① 地元バス路線の廃止   現在は郊外部の末端区間のみだが、市内全域のバス路線廃止も噂されている。   ② 「足なし団地の存在」   高齢化に伴い、公共交通機関の不備を住民が問題視。   ③ 中心市街地の活性化 公共交通機関の不備が中心市街地の空洞化を進展させ、まちづくりへ負の影響を与えるという問題意識。 ・現実には便利で低廉なバスサービスの提供は困難  バス事業者への補助が1500~3000万円必要といわれる。    「NPOで低コストのバスサービスを供給したい!」

  19. 4. NPOの具体的関与事例   -自主運行バスを例に バス事業者で運転士・整備士などの経験のある市民を中心に NPOを設立   ・運行計画の概要 • 「直方あしすとネットワーク」の特徴 • ・バスの運行という自らの得意分野に特化した活動。 •   ・今後の課題:不得手な分野(市民間の意見調整など)にどのように対応していくか。

  20. 5.公益事業経営とNPOの関係 • 供給技術に対する市民の関与    ・従来はブラックボックス的存在→変化の兆し      例)電気事業や交通分野など 市民が持つ目的意識を達成する上で、公益事業の       供給技術が重要に   ・関与の形態 既存の公益事業者とのパートナーシップ 自ら公益事業者として活動  どちらが選択されるかは、事業分野や運営に必要な費用と資金調達方法、人的資源、技術的・制度的要素などに依存。

  21. 5.公益事業経営とNPOの関係 • 市民によるユニバーサルサービスの供給    ・内部補助の限界(規制緩和など)→外部補助への転換 公的部門の果たす役割の重要性:現実には限界が・・・      ・経営効率性の低さ      ・技術力や地域社会の意見調整力の低さ      ・財政難から資金負担能力の低下 民間部門への期待:競争と市場メカニズムによる効率化   ・効率化自体が限界に達する    ・多様な社会的要求を反映しにくい 公的部門と民間部門が複合して起きる問題点   ・公的部門からの補助:実態は民間部門の収益保障    ・利用者や市民の視点が欠落 こうした現状を打破する上でNPOが果たす役割と期待

  22. 5.公益事業経営とNPOの関係 • NPOの可能性と課題   ・公益事業の経営     事業性の確保と多様な社会的要請の両立が必要 ・NPOの非営利性と社会的使命を追求する方向性 ユニバーサルサービスの維持で効果を発揮       より効率的に多様な社会的要求を達成する 供給技術への関与にも期待 ・NPOの活動:現状では得意分野に特化 得意分野を拡大することで、公益事業の経営に至る可能性。     →どのようにして拡大していくかが問題       ・多種多様な市民の参加       ・NPO活動の活性化と、活動相互のパートナーシップ   ・活動の継続性:安易に公益事業をやめることはできない。

  23. NPOによる公益事業経営の可能性と課題

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