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優先劣後構造:証券化によって発行される複数の証券に弁済の順序付けが行われること 優先劣後構造の数値例 格付のランク付けを以下のように仮定する 格付:発行される債券のデフォルト(債務不履行)リスクの評価・ランク付け A : 1 年間のデフォルト確率 1% 未満 B : 1% ~ 6 % C : 6% 以上 ローン a とローン b をプールして証券化する ローン a 、ローン b 共に返済期限が 1 年後で、元利返済額が共に 1000 万円 共にデフォルト確率 5% 、両者に相関がない(統計的に独立)、デフォルトした場合返済額はゼロ ローン a 、b共に格付は B.
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優先劣後構造:証券化によって発行される複数の証券に弁済の順序付けが行われること優先劣後構造:証券化によって発行される複数の証券に弁済の順序付けが行われること • 優先劣後構造の数値例 • 格付のランク付けを以下のように仮定する • 格付:発行される債券のデフォルト(債務不履行)リスクの評価・ランク付け • A:1年間のデフォルト確率1%未満 • B:1%~6% • C:6%以上 • ローンaとローンbをプールして証券化する • ローンa、ローンb共に返済期限が1年後で、元利返済額が共に1000万円 • 共にデフォルト確率5%、両者に相関がない(統計的に独立)、デフォルトした場合返済額はゼロ • ローンa、b共に格付はB
・ローンa、bをプールした全体の元利返済状況は、以下の・ローンa、bをプールした全体の元利返済状況は、以下の 4つのケースとなる。
ローンa、bをプールして、それを裏付け担保とする証券化を考える。ローンa、bをプールして、それを裏付け担保とする証券化を考える。 • 証券化により優先債と劣後債の2種類の債券を発行する • 優先債:担保資産からのキャッシュフローを優先的に1000万円を受け取ることのできる権利 • 劣後債:優先債への支払いが行われた後、1000万円を受け取ることのできる権利 • 優先債のデフォルトはケース④のみ、デフォルト確率:0.25% ⇒ 格付:A(高格付の債券) • 劣後債のデフォルトはケース②、③、④で発生、デフォルト確率9.75% ⇒ 格付:C
・優先債のキャッシュフロー 99.75%の確率で1000万円 0.25%の確率で0円 格付:A ・ローンのプールと優先劣後構造 SPCのB/S ローンa 優先債 プールされ たローン 劣後債 ローンb ・劣後債のキャッシュフロー 90.25%の確率で1000万円 9.75%の確率で0円 格付:C ・ローンa、b の キャッシュフロー 95%の確率で1000万円 5%の確率で0円 格付:B ・キャッシュフロー 90.25%の確率で2000万円 9.5%の確率で1000万円 0.25%の確率で0円
証券化における資産変換 • 個々の企業の借入証書が証券化SPCを通じて、より信用度の高い証券(優先債)とより信用度の低い証券(劣後債)とに資産変換されている: • 優先債はローリスク・ローリターンを望む銀行・保険・年金等に販売され、劣後債はハイリスク・ハイリターンを望むファンド等に販売される:
・優先債:ローリスク・ローリターン 劣後債:ハイリスク・ハイリターン・優先債:ローリスク・ローリターン 劣後債:ハイリスク・ハイリターン • ローンa、bそれぞれの元本を900万円、金利を100万円とする(1年後に元利1000万円を受け取れる)。 • 優先債、劣後債をそれぞれ10枚に分ける • 1枚100万円を受け取ることのできる権利 • 優先債1枚=97万円、劣後債1枚=83万円で売出す • 債券発行総額:97万円×10+83万円×10 =1800万円:ローンの元本総額
優先債: • 利率=(100-97)/97=0.0309(3.09%) • 期待収益率=(0.9975×100万円+0.0025×0円)÷97万円 • =1.0284 (2.84%) • デフォルト確率: 0.25% • 劣後債: • 利率=(100-83)/83=0.2048(20.48%) • 期待収益率=(0.9025×100万円+0.0975×0円)÷83万円 • =1.0873 (8.73%) • デフォルト確率: 9.75%
○資産変換の内容 • ① • ② • ③ • ④ • ① • 例: 銀行が満期の長い貸出をし(満期の長い借入証書を受け取り)、満期の短い預金を提供する(満期の短い預金に変換して預金者に提供する) • 問題点:預金の取付けが発生すると、銀行は資金不足で経営破綻する危険性がある(銀行がリスクを抱える) →第4章流動性の付与
② • (資産の)流動性: • →第4章 • 流動性変換 • 例①: 銀行が貸出をし(流動性の低い資産である借入証書を受け取り)、いつでも現金化できる要求払い預金を提供する(流動性の高い預金に変換して預金者に提供する)
例:②証券化:流動性の低い資産である企業向貸出や住宅ローンを、証券市場で自由に売買できるABS(資産担保証券)に変換して投資家に提供する例:②証券化:流動性の低い資産である企業向貸出や住宅ローンを、証券市場で自由に売買できるABS(資産担保証券)に変換して投資家に提供する
③ • 例①:株式投資信託は、多くの株式に分散投資することにより、個々の株式への直接投資よりリスクを低めている(リスクの高い個別株式をリスクの低い投資信託受益証券に変換)( )→第3章:リスクの配分・管理 • 例②:証券化は、リスクのある貸出をリスクのより低い優先債に変換( ) • しかし、同時にリスクのより高い劣後債も生み出される(優先劣後構造) • 例③:銀行は、リスクのある貸出を安全な預金に変換 • どうしてそれが可能か? 証券化の場合はリスクの高い劣後債が生じるのに?
○銀行預金の安全性 • ①専門家の貸出先審査によって貸出をするか否かを判断(情報生産) • ②貸出先を分散して、リスクを分散している。 • ③銀行の自己資本(株主資本)がリスクを吸収し、リスクが預金に及ばないようにしている。 • ④預金保険 • 預金の元本1000万円とその利子については、預金保険機構によって保証されている。
③株主資本(株式)による銀行収益変動リスクの吸収③株主資本(株式)による銀行収益変動リスクの吸収 • 収益悪化:預金の元利返済が優先、銀行収益(株主の取り分)は減少 • 収益が赤字:預金の元利返済は優先、赤字分だけ株主資本が食い潰される • 自己資本(株主資本)によるリスク吸収は、銀行における預金と株主資本との間だけでなく、一般の企業における負債と株主資本との間でも同じ • 株主資本(株式)によるリスク吸収の仕組みは、本質的に証券化の優先・劣後構造と同じ。 • 数値例:前の優先・劣後構造の数値例の証券化SPCを銀行と考える • 銀行は貸出a、bを提供しており、預金と株式で資金調達している。 • 預金:貸出からのキャッシュフローを優先的に1000万円を受け取ることのできる権利 • 株式:預金への支払いが行われた後の残額を受け取ることのできる権利
・ローンa、bをプールした全体の元利返済状況は、以下の・ローンa、bをプールした全体の元利返済状況は、以下の 4つのケースとなる。
・預金のキャッシュフロー 99.75%の確率で1000万円 0.25%の確率で0円 ・貸出のプールと銀行の預金・株式 銀行のB/S ローンa 預金 プールされ たローン 株式 ローンb ・株式のキャッシュフロー 90.25%の確率で1000万円 9.75%の確率で0円 ・ローンa、b の キャッシュフロー 95%の確率で1000万円 5%の確率で0円 ・キャッシュフロー 90.25%の確率で2000万円 9.5%の確率で1000万円 0.25%の確率で0円
④ • 金額の大きい証券・証書を、資金余剰主体にとって保有しやすい小口化された証券・証書に変換する。 • 例①:金額の大きい企業の借入証書を小口の預金に変換する。 • 例②:金額の大きい不動産投資を、金額の小さい不動産投資信託の投資口に変換する。 • 不動産投資信託:不動産を投資対象とする投資信託。通常の投資信託は株式・債券に投資