1 / 105

生命科学特論 B

生命科学特論 B. 第2回 神経による制御機構. 和田 勝. 東京医科歯科大学教養部. 体の三大調節系. ● 内分泌系. ホルモンによる制御  (生殖腺刺激ホルモンよる生殖腺の発達  のように生理状態の切り替え。放送に  よる広範囲に届く命令). ● 神経系. ニューロンによる制御  (運動ニューロンによる骨格筋の収縮。  電話による直接命令). ● 免疫系. B細胞、T細胞による制御(抗体による防御) . 細胞間の情報交換. いずれの場合でも、情報を伝えるしくみが必要. ヒトの場合は、情報交換の主な手段は言語で、単語に意味がある。.

nani
Download Presentation

生命科学特論 B

An Image/Link below is provided (as is) to download presentation Download Policy: Content on the Website is provided to you AS IS for your information and personal use and may not be sold / licensed / shared on other websites without getting consent from its author. Content is provided to you AS IS for your information and personal use only. Download presentation by click this link. While downloading, if for some reason you are not able to download a presentation, the publisher may have deleted the file from their server. During download, if you can't get a presentation, the file might be deleted by the publisher.

E N D

Presentation Transcript


  1. 生命科学特論B 第2回 神経による制御機構 和田 勝 東京医科歯科大学教養部

  2. 体の三大調節系 ●内分泌系 ホルモンによる制御  (生殖腺刺激ホルモンよる生殖腺の発達  のように生理状態の切り替え。放送に  よる広範囲に届く命令) ●神経系 ニューロンによる制御  (運動ニューロンによる骨格筋の収縮。  電話による直接命令) ●免疫系 B細胞、T細胞による制御(抗体による防御) 

  3. 細胞間の情報交換 いずれの場合でも、情報を伝えるしくみが必要 ヒトの場合は、情報交換の主な手段は言語で、単語に意味がある。 生体では、この単語にあたるのが分子で、ここではこれを信号分子(signal molecule)と呼ぼう。 この講義では、信号分子がどのように情報を伝えるのかを学ぶことが主なねらいとなる。

  4. 細胞間の情報交換 ギャップジャンクション 膜表面上分子が直接 情報分子を分泌

  5. 信号分子による情報交換 神経軸索末端から 周囲の細胞間隙へ 血液中へ

  6. ホルモンが信号分子の例 細胞がホルモンによる情報を受け取ることができるのは、そのホルモンに対する受容体(receptor)を持つから。 標的器官(細胞)(target organ, target cell) ホルモンの分類 分泌器官による はたらきによる 化学的性質による

  7. ホルモンを  化学的性質によって分類 ●水溶性(hydrophilic) ポリペプチドホルモン、アミン系ホルモン 細胞膜を通過できない ●非水溶性(hydrophobic)、脂溶性(lipophilic) ステロイド系ホルモン、甲状腺ホルモン 細胞膜を通過できる

  8. 受容体のある場所 ポリペプチドホルモンに対しては細胞表面 ステロイドホルモンに対しては細胞質内

  9. 信号分子は水溶性ホルモン 細胞表面の受容体には ①イオンチャンネル連結型受容体(channel-linked receptors) 信号分子は神経伝達物質 ②酵素連結型受容体(catalytic receptors) ③Gタンパク質連結型型受容体(G protein-coupled receptors、GPCR) ②と③がホルモン信号分子の例。 ここではGタンパク質連結型受容体について 述べよう。

  10. 具体的な例で たとえば視床下部-脳下垂体-生殖腺系 (hypothalamo-hypophysial-ganadal axis) GnRH: ゴナドトロピン放出ホルモン LH: 黄体形成ホルモン

  11. Gタンパク質連結型受容体 GnRHの受容体は ヒトGnRH受容体(青い部分は膜貫通ドメイン) 1 11 21 31 41 51 1 MANSASPEQN QNHCSAINNS IPLMQGNLPT LTLSGKIRVTVTFFLFLLSA TFNASFLLKL 60 61 QKWTQKKEKG KKLSRMKLLL KHLTLANLLE TLIVMPLDGM WNITVQWYAG ELLCKVLSYL 120 121 KLFSMYAPAFMMVVISLDRS LAITRPLALK SNSKVGQSMV GLAWILSSVFAGPQLYIFRM 180 181 IHLADSSGQT KVFSQCVTHC SFSQWWHQAF YNFFTFSCLFIIPLFIMLICNAKIIFTLTR 240 241 VLHQDPHELQ LNQSKNNIPR ARLKTLKMTV AFATSFTVCW TPYYVLGIWYWFDPEMLNRL 300 301 SDPVNHFFFLFAFLNPCFDPLIYGYFSL ヒトGnRHは pEHWSYGLRPG-NH2

  12. Gタンパク質連結型受容体 LHの受容体は ヒトLH受容体(赤い部分はシグナルペプチド、   青い部分は膜貫通ドメイン) 1 11 21 31 41 51 1 MKQRFSALQL LKLLLLLQPP LPRALREALC PEPCNCVPDG ALRCPGPTAG LTRLSLAYLP 60 61 VKVIPSQAFR GLNEVIKIEI SQIDSLERIE ANAFDNLLNL SEILIQNTKN LRYIEPGAFI 120 121 NLPGLKYLSI CNTGIRKFPD VTKVFSSESN FILEICDNLH ITTIPGNAFQ GMNNESVTLK 180 181 LYGNGFEEVQ SHAFNGTTLT SLELKENVHL EKMHNGAFRG ATGPKTLDIS STKLQALPSY 240 241 GLESIQRLIA TSSYSLKKLP SRETFVNLLE ATLTYPSHCC AFRNLPTKEQ NFSHSISENF 300 301 SKQCESTVRK VSNKTLYSSM LAESELSGWD YEYGFCLPKT PRCAPEPDAF NPCEDIMGYD 360 361 FLRVLIWLINILAIMGNMTVLFVLLTSRYK LTVPRFLMCN LSFADFCMGLYLLLIASVDS 420 421 QTKGQYYNHA IDWQTGSGCSTAGFFTVFAS ELSVYTLTVITLERWHTITY AIHLDQKLRL 480 481 RHAILIMLGG WLFSSLIAMLPLVGVSNYMK VSICFPMDVE TTLSQVYILTILILNVVAFF540 541 IICACYIKIY FAVRNPELMA TNKDTKIAKK MAILIFTDFTCMAPISFFAISAAFKVPLIT 600 601 VTNSKVLLVL FYPINSCANPFLYAIFTKTF QRDFFLLLSK FGCCKRRAEL YRRKDFSAYT 660 661 SNCKNGFTGS NKPSQSTLKL STLHCQGTAL LDKTRYTEC

  13. Gタンパク質連結型受容体 7個の膜貫通ドメインをもつ

  14. Gタンパク質連結型受容体

  15. Gタンパク質連結型受容体 活性化したGタンパク質は、標的酵素である アデニル酸シクラーゼを活性化 活性化したアデニル酸シクラーゼはATPから 環状アデノシンモノリン酸(cAMP)を生成

  16. Gタンパク質連結型受容体 cAMPは細胞質中にあるcAMP依存性タンパク質キナーゼ(Aキナーゼ)と結合して、この酵素を 活性化する Aキナーゼは標的酵素をリン酸化して、その酵素を活性化する 活性化された酵素は次の酵素を活性化 多段階カスケード反応によって増幅される

  17. Gタンパク質連結型受容体

  18. Gタンパク質連結型受容体 連結するGタンパク質が異なる場合もある

  19. 信号分子が脂溶性ホルモン

  20. 脂溶性ホルモンの作用機構 ステロイドホルモンのかたち   テストステロン(Ball & Stick model)    赤:酸素、灰色:炭素、白:水素右はテストステロン分子を横から見たもの

  21. 脂溶性ホルモンの作用機構 ラットアンドロジェン受容体(青い部分はDNA結合ドメイン、 赤い部分はホルモン結合ドメイン) 1 11 21 31 41 51 1 MEVQLGLGRV YPRPPSKTYR GAFQNLFQSV REAIQNPGPR HPEAASIAPP GACLQQRQET 60 61 SPRRRRRQQH PEDGSPQAHI RGTTGYLALE EEQQPSQQQS ASEGHPESGC LPEPGAATAP 120 121 GKGLPQQPPA PPDQDDSAAP STLSLLGPTF PGLSSCSADI KDILSEAGTM QLLQQQQQQQ 180 181 QQQQQQQQQQ QQQQQEVISE GSSSVRAREA TGAPSSSKDS YLGGNSTISD SAKELCKAVS 240 241 VSMGLGVEAL EHLSPGEQLR GDCMYASLLG GPPAVRPTPC APLAECKGLS LDEGPGKGTE 300 301 ETAEYSSFKG GYAKGLEGES LGCSGSSEAG SSGTLEIPSS LSLYKSGAVD EAAAYQNRDY 360 361 YNFPLALSGP PHPPPPTHPH ARIKLENPSD YGSAWAAAAA QCRYGDLASL HGGSVAGPST 420 421 GSPPATASSS WHTLFTAEEG QLYGPGGGGG SSSPSDAGPV APYGYTRPPQ GLASQEGDFS 480 481 ASEVWYPGGV VNRVPYPSPS CVKSEMGPWM ENYSGPYGDM RLDSTRDHVL PIDYYFPPQK 540 541 TCLICGDEAS GCHYGALTCG SCKVFFKRAA EGKQKYLCAS RNDCTIDKFR RKNCPSCRLR 600 601 KCYEAGMTLG ARKLKKLGNL KLQEEGENSS AGSPTEDPSQ KMTVSHIEGY ECQPIFLNVL 660 661 EAIEPGVVCA GHDNNQPDSF AALLSSLNEL GERQLVHVVK WAKALPGFRN LHVDDQMAVI 720 721 QYSWMGLMVF AMGWRSFTNV NSRMLYFAPD LVFNEYRMHK SRMYSQCVRM RHLSQEFGWL 780 781 QITPQEFLCM KALLLFSIIP VDGLKNQKFF DELRMNYIKE LDRIIACKRK NPTSCSRRFY 840 841 QLTKLLDSVQ PIARELHQFT FDLLIKSHMV SVDFPEMMAE IISVQVPKIL SGKVKPIYFH 900 901 TQ

  22. 脂溶性ホルモンの作用機構 ラットアンドロジェン受容体のホルモン 結合部分の構造模型 細胞質受容体 スーパーファミリー

  23. DNAとタンパク質の相互作用

  24. DNAとタンパク質の相互作用 結合する タンパク質 水素 結合

  25. DNAとタンパク質の相互作用 ホメオドメインタンパク質 ロイシン ジッパー ジンク フィンガー

  26. 脂溶性ホルモンの作用機構 Znフィンガー ホルモン応答エレメント(HRE) 5’-AGGTCAnnnTGACCT-3’

  27. 脂溶性ホルモンの作用機構 ステロイドホルモンが受容体に結合 HspがはずれてDNA結合部位が露出 ニ量体となってDNAのHREに結合 下流の遺伝子の転写を促進 タンパク質合成

  28. 発生の基礎  動物の発生は、体細胞分裂によって細胞の数を増やすところから始まる。  受精卵の分裂を卵割といい、卵割によって生じた細胞を割球という。 卵黄量によって卵割のようすが異なる 等黄卵  卵黄少ない 等割・不等割  (棘皮動物) 全割 全割 不等割(両生類) 端黄卵 部分割 盤割(魚類・鳥類) 不等黄卵  卵黄多い 心黄卵 表割(節足動物)

  29. 発生の基礎 ヒトデの発生(等黄卵・全割・等割) 未受精卵 大矢印は卵核胞 受精卵 矢印は受精膜 ニ細胞期 四細胞期 八細胞期 三十二細胞期

  30. ヒトデの発生 陥入が始まる 初期嚢胚(gastrula) AP:動物極 初期胞胚(blastula) 後期胞胚 B:胞胚腔 中期嚢胚 初期嚢胚 原口(矢印)が 見える 後期嚢胚 中胚葉原基が 見える 初期ビピンナリア幼生 2:中胚葉、3:口、5:肛門

  31. カエルの発生(端黄卵・全割・不等割) 最初の3回の卵割(1st~3rd) 卵割が進み、胞胚になる

  32. カエルの発生 陥入が始まる 後期胞胚 初期嚢胚 BP:原口 中期嚢胚 A:原腸 後期嚢胚 YP:卵黄栓 赤い部分は中胚葉

  33. カエルの発生 後期嚢胚 動物極部分のみの正中断 三層構造になっている 初期神経胚 中胚葉が脊索と沿軸中胚葉になる 後期神経胚 沿軸中胚葉は体節になる

  34. カエルの発生

  35. ニワトリの発生(端黄卵・部分割・盤割) 卵黄が多いので、細胞質がある部分はごく一部 これを胚盤といい、ここが卵割する。 1:胞胚腔、矢印は胚盤葉下層 胚盤葉下層は上層の細胞が落ち込んでできる。 1:胞胚葉上層、3:胚盤葉下層、2:卵黄顆粒

  36. ニワトリの発生 やがて胚盤の後方に縦に切れ込み(原条)が生じ、胚盤葉上層 の細胞が原条を通って中へ移動する。これがニワトリ胚の陥入 である。

  37. ニワトリの発生 24時間経ったニワトリ胚。神経板ができ、脊索(notochord)、 体節(somite)が認められる。

  38. 筋肉と神経の発生  体節の頂点近くの細胞群が筋節となり、筋細胞へ分化する。  筋節に由来する一つの筋芽細胞が分裂し、融合して多核の筋細胞となる。

  39. 筋肉と神経の発生  運動神経は、神経管の腹側部に生じ、軸索を伸ばしていく。その先端は成長円錐と呼ばれ、多数の糸状仮足を四方に出す。

  40. 筋肉と神経の発生  運動ニューロンの軸索は「目的地」である骨格筋に到達してシナプス(終板)を形成する。

  41. 横紋筋の構造 筋原繊維と 筋節の構造

  42. 筋節の模式図・収縮

  43. 筋収縮の信号  運動神経の刺激によって、カルシウムイオンが筋小胞体から細胞質へ出て、細胞質のカルシウムイオン濃度を上げる。

  44. 筋収縮の信号  ・カルシウムイオン  細胞質のカルシウムイオン濃度は10-7M、細胞外では10-3M以上  常に細胞膜のNa+-driven Ca2+ antiporterとCa2+-ATPaseにより細胞外へ排出、また Ca2+-ATPaseによるカルシウム貯蔵部への取り込み  細胞質のカルシウムイオン濃度の上昇は細胞内での信号となる

  45. 筋収縮の信号の流れ 刺激 筋小胞体からのカルシウムイオンの放出 カルシウムイオンのトロポニンへの結合 トロポミオシンの変形 ミオシン頭部へのATPの結合 収縮

  46. 神経と筋肉の共通の性質  細胞膜は興奮性伝導膜の性質を持つ  刺激を受けると、細胞膜は電気的変化を起こし、その変化は細胞膜を伝わって拡大  その結果、興奮性伝導膜を持つ細胞(筋繊維・神経細胞)は仕事をする

  47. 神経から筋肉への信号  筋収縮の最初の信号は終板経由で運動神経から伝えられる M:筋繊維、T:軸索末端

  48. 神経から筋肉への信号  終板は運動神経と筋肉の間のシナプスで、神経筋接合部(NMJ)と呼ぶこともある シナプス 小胞 ax. - 軸索, fil. - ニューロフィラメント, mit. - ミトコンドリア, glyc. - グリコーゲン, syn. ves. - シナプス小胞, Schw. c. - シュワン細胞, dig. - シュワン細胞の突起, subn. fo. - シナプス後膜ののひだ, bas. l. - 基底層, act. z. - シナプス後膜アクティブゾーン

  49. 神経伝達物質  軸索の末端には、多数のシナプス小胞が存在する  シナプス小胞には神経伝達物質であるアセチルコリンが含まれている  神経伝達物質がシナプス間隙へ放出され、信号を筋肉へ伝える

  50. 神経伝達物質アセチルコリン  アセチルコリンはコリンとアセチルCoAからアセチルトランスフェラーゼという酵素により合成  コリンエステラーゼという酵素により分解

More Related