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3.格付会社の情報生産. 前回授業に関する質問 銀行の内部格付と格付会社の格付との対応関係 銀行はどうして自分で格付をやるのか? 銀行は内部格付情報を、どうして外部に売らないのか? CCC 以下の格付は必要か? 企業に悪影響を与えるだけ。誰もそんな企業の社債は買わない。 格付会社は複数必要か? 格付会社を監視する機関は?. 「信用格付を活用した信用リスク管理体制の整備」 『 日本銀行調査月報 』2001 年 10 月号. 格付投資情報センター 『 格付け Q&A』 日本経済新聞社 2001. ○ CCC 以下の格付は必要か?. 必要! なぜ必要か?
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3.格付会社の情報生産 • 前回授業に関する質問 • 銀行の内部格付と格付会社の格付との対応関係 • 銀行はどうして自分で格付をやるのか? • 銀行は内部格付情報を、どうして外部に売らないのか? • CCC以下の格付は必要か? • 企業に悪影響を与えるだけ。誰もそんな企業の社債は買わない。 • 格付会社は複数必要か? • 格付会社を監視する機関は?
「信用格付を活用した信用リスク管理体制の整備」「信用格付を活用した信用リスク管理体制の整備」 『日本銀行調査月報』2001年10月号
格付投資情報センター『格付けQ&A』日本経済新聞社 2001格付投資情報センター『格付けQ&A』日本経済新聞社 2001
○CCC以下の格付は必要か? • 必要! • なぜ必要か? • 投資家は格付がCCC以下に格下げされた後も、債券を保有している。現状がどういう状態であるかを知っておく必要がある。 • 投資家は手持ちの債券を市場で売ることができる。別の投資家は格付が引き下げられた債券を市場から新たに買うことができる。そうした
・自動車会社の格付け:2009年5月現在 格付投資情報センターR&I2009年5月15日現在 General Motors: CC/Negative1年前:B Ford : CCC+ /Negative 1年前:B Chrysler : D 1年前:B S&P (スタンダード・アンド・プアーズ)
・GMの社債 ・GM社債の価格推移 ・GM社債の利回り推移
○債券の利回り • ○債券の利回り • 利回りの計算方法:単利と複利 • 単利:利子が利子を生むこと(孫利子)を計算に入れない • 複利:利子が再投資され、利子を生むとして計算
例: 残存期間5年、クーポンC=4円(債券発行時に約束されている毎年の支払い利子)、満期時に額面100円償還、債券の現在時点での市場価格P=96円 • 投資家がこの債券に新規に投資した場合の利回りは? • 単利の(最終)利回りrs • =1年当りの受取収入/投資金額 • = • ={4+(100-96)/5}/96=0.052(5.2%) • 一般式rs= {C+(100-P)/5}/P
・複利の利回り 債券の市場価格96円 =1年後の受取利子4円/(1+rc) +2年後の受取利子4円/(1+rc)2 + ・・・・・・ + 満期時点での受取利子・元本償還額104円/(1+rc)5 から求められる rc が複利利回り。 rc ≒0.05 、5% 複利利回りの定義:「満期までに債券から生じるすべてのキャッシュ・フローの現在価値(上式の右辺)が、その債券の市場価格P(上式の左辺)と等しくなる割引率」
○格付会社の収入 ○格付会社:純粋民間会社 • 19世紀中頃米国で格付け始まる~1960年代: • 投資家からの情報提供料の受け取り(投資家側のニーズから格付会社が登場) • 米国:1960年代末~: • 投資家への情報提供料プラス • 背景:格付けの普及 →格付けを取得しないと投資家が債券を買ってくれない。高い格付けを取得すれば低金利で債券の発行が可能。 →発行体にとって格付け取得が必要
○格付けの信頼性 • 格付け対象の企業との癒着?、中立性? • 信頼確保のメカニズム( ) • 甘い格付け →格付けが高い企業でもデフォルトが多発 →投資家がその格付会社の格付けを信用しない(評判が悪くなる) →その格付会社から高い格付けを取得しても低い金利で債券が発行できない →債券を発行する企業にとってその格付会社に格付けを依頼しても意味がない →格付会社としてやっていけなくなる • 投資家は格付会社のこれまでの実績から、その格付けの信頼性を判断する • このメカニズムがどこまで強力か?
・格付別デフォルト率:企業格付 実績として、格付が高い程、デフォルト率は低い Turner Review, March 2009 p.77, Financial Service Agency, U.K.
○サブプライム問題と格付の信頼性 ・サブプライムRMBS格付の急速な引下げ ・2005年以降に発行されたサブプライムRMBSの2007-08年2月の間の格下げ状況 IMF. Global Financial Stability Report April 2008 p.61
サブプライムRMBSの格付の問題点 • 当初の推定損失率が低過ぎた←データに基づく • 2006年サブプライムローンの当初推定損失率(S&P):6~7% → 12 ~14%(07年7月) → 19% (08年1月) • データの信頼性 • サブプライム住宅ローンは新しい商品であるため、データ期間が短い • データの期間は住宅価格上昇の時期であり、損失率が小さい • 近年は虚偽の情報に基づく貸出(オリジネーターのモラルハザード)が横行
格付会社と証券化商品格付け • 世界の大手格付会社の収入の5割以上は証券化商品の格付けから • 証券化商品格付け(SF格付け)では、格付依頼が少数の大手の金融機関からに限定 • 企業格付けでは外部から債務償還能力を評価 • 証券化商品が投資家に売却できる形で、何とか案件を成立させようという誘引が格付会社に働く( )
今後の改善策 • 格付会社の監視・監督の強化 • 登録制の導入:検査・監督の対象 • 格付手続き・手法に関する情報開示 • 利益相反の防止:顧客対応部門と格付付与部門との分離の徹底 • 格付ランク以外の情報の提供 • 変動性スコア:格付が大幅に変動する可能性のランク付け • 損失感応度:損失予想変化に対して格付がどれだけ変化するか
第2章参考文献 • 「信用格付を活用した信用リスク管理体制の整備」『日本銀行調査月報』2001年10月号 • 格付投資情報センター『格付けQ&A』日経新聞社.第2章 2001年 • 黒沢義孝『格付けの経済学』PHP新書 1999年 • 江川由紀雄『サブプライム問題の教訓:証券化と格付けの精神』商事法務 2007年 • 江川由紀雄「証券化商品の大量格下げが示した統計モデルの限界」『金融財政事情』08年2月25日号 • 福田徹「証券化商品に対する格付けを考える」『証券レビュー』48巻1号08年1月