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第 47 回土木計画学研究発表会 (2013 年春 ). 企画セッション 「計画 プロセスに おける都市 モデルの利 活用」. 平成 25 年 6 月 1 日(土) 16:45 – 18:15. セッションの目的.
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第47回土木計画学研究発表会(2013年春) 企画セッション 「計画プロセスにおける都市モデルの利活用」 平成25年6月1日(土) 16:45 – 18:15
セッションの目的 都市・地域計画の実務での活用を目的とした都市モデルは、土地利用/交通統合モデルをはじめ、国内外で数多く開発、実用化されている。近年では、気候変動、エネルギー、防災、雇用など、その適用範囲は広がりを見せている。また、我が国の多くの都市では、人口減少、少子高齢化による世帯構成の変化等の社会変化にも対応する必要がある。本セッションでは、このように変化する都市問題のニーズに対して、マイクロシミュレーションタイプなど、最近の都市モデルの開発状況、計画プロセスにおける都市モデルの利活用方法、今後のモデル開発に求められる要件等について集中的に討議を行う。
発表順(プログラムからの変更有) ①鈴木温: 北米における都市モデルの利活用の最新動向と我が国への示唆 ②大谷紀子・宮本和明・杉木直: 都市マイクロシミュレーションに基づく課題の抽出と政策立案 ③金崎智也・北詰恵一: 土地利用マイクロシミュレーションのための年代の違いを考慮した世帯別転居行動分析 ④福岡裕介・宮本和明・北詰恵一・鈴木温: 富山市における住宅立地と交通に関する世帯行動の実態分析 ⑤杉木直・村中智哉・宮本和明: 実都市を対象とした初期マイクロデータの推定手法の適用と検証 ⑥市川航也・鈴木温・John Abraham: Bid-offer価格に着目した住宅市場シミュレーションモデルの構築 ⑦杉原健一・沈振江・林良嗣: 計画プロセスの合意形成において利活用できる3次元都市モデルの自動生成 ⑧辻裕之・石倉智樹・小根山裕之・鹿田成則: 東北縦貫線の開通による東京都市圏への経済的影響の分析
第47回土木計画学研究発表会(2013年春) 「北米における都市モデルの利活用の最新動向と我が国への示唆」 • 名城大学理工学部社会基盤デザイン工学科 • 准教授 鈴木 温
1.研究の背景と目的 欧米では1990年ごろから、計画実務での都市モデルの利活用(MEPLAN,IUTE,UrbanSim,PECASなど) 本研究では、北米における都市モデルの利活用の最新動向を報告 カリフォルニア州の都市計画制度における新たな動きと都市モデルとの関係 PECASの開発現場から見た都市モデル開発・利活用の現状と課題 我が国における都市モデルの開発と利活用促進に関する示唆・展望を述べる。
2.都市モデル実用化の現状 都市モデルの発展経緯(出典:Waddell8))
2.都市モデル実用化の現状 本研究ではPECASに着目 2州(カリフォルニア州、オレゴン州) 8都市(サンディエゴ、ボルティモア、サクラメントなど)で実用化 実用化都市モデルの分布(出典:Hunt)
3.PECASの概要 PECAS
3.PECASの概要 AAモジュール 活動量配置 Activity Allocations 各土地利用ゾーン(LUZ) に各活動(産業部門)の量を配分 Level 3 活動立地選択(LUZ) Level 2 技術配置 Technology Allocations: 各ゾーンの各活動に生産物・土地の生産量と消費量を配分 技術オプション 投入産出構造の選択 購入配置Buying Allocations: 消費される商品を購入ゾーンに配分 Level 1 購入立地選択 販売立地選択 販売配置Selling Allocations: 清算される商品を販売ゾーンに配分 3階層のネスティッド・ロジットでモデル化 集計モデル。マイクロシミュレーションではない
3.PECASの概要 SDモジュール 各土地区画のデータベース (Parcel Database)を逐次更新 各区画の用途をモンテカルロシミュレーションによって確率的に決定 マイクロシミュレーション 新規開発とその量 再開発 解体 変更なし 放棄 拡張
4.都市モデル利活用に関する法制度 カリフォルニア州交通委員会(California Transportation Commission)の2010 RTPガイドライン 土地利用モデルに関して、 「土地利用と交通政策の相互関係をフィードバックできる土地利用/交通統合モデルを活用するなど,土地利用モデルは交通シナリオに関して感度を有する(Sensitive)べきである」 経済土地利用モデルに関して, 「アクティビティベースの交通需要モデルとともに利用できるミクロ経済土地利用モデル(Microeconomic land use models)を開発すべきである.ミクロ経済土地利用モデルは成長シナリオが経済厚生(効用),すなわち,土地価格,住宅入手可能性,職住近接性,住宅と交通の費用負担,経済発展(賃金,雇用,輸出)を分析,評価するために用いられるべきである」
4.都市モデル利活用に関する法制度 交通・土地利用・環境に関わるカリフォルニア州の法制度 SAFETEA-LU (2005) CAA (1955) SB391 (2009):CTPにおいてGHG削減目標達成のための施策,マルチモーダル交通体系を取り扱う要求 地球温暖化解決法AB32 (2006):州内のGHG削減目標 California Interregional Blueprint (CIB:策定中):マルチモーダル交通体系の将来ビジョン 州気候変動法SB375 (2008): 交通計画と土地利用計画の統合 California Transportation Plan(CTP) (SLTP) FSTIP Regional transportation plan (RTP) 持続可能なコミュニティ戦略(Sustainable Community Strategy: SCS 削減目標を達成できない場合は、代替計画戦略(APS)をつくらなければならない MTIP 要求が明示されている関係 Federal State Local 法定計画 その他の計画 連邦法 州独自 要求はないが根拠とする関係 (出典:鈴木温・泊尚志・屋井鉄雄16) に加筆)
4.都市モデル利活用に関する法制度 SB375は地方自治体(local government)が作成する総合計画(General Plan)とSCSが整合的であることを要求していない。 その代り、SCSとの整合性が高いGeneral Planを作成,実行するために市民参画プロセスを行うことを強調. 計画への理解を高め,地域の人々に受け入れやすい案を選択することによってSCSの実効性を高めていくことが意図。 GHG削減目標だけでなく,低価格の住宅や雇用機会の公平性など,経済的な影響等も示すことが必要
5.都市モデル開発の実務と我が国への示唆 J. Douglas Hunt Ph.D., P.Eng. John Abraham Ph.D., P.Eng. HBA SpectoIncorporated ・カルガリーのダウンタウンにオフィス ・2000年設立 ・約10名のスタッフ ・主な業務 ・都市モデル(PECAS)の開発、運用 ・都市・地域・交通計画の分析 ・主なクライアントは、米国(カリフォルニア州など)
5.都市モデル開発の実務と我が国への示唆 ハント教授らにヒアリングを実施 Q1.なぜマイクロシミュレーションか? 個々の主体の行動や土地の変化を直接表現できるので,一般の人にもイメージしやすく,行政担当者も説明がしやすい。 Q2.リアリティの高いMSモデルは計算可能? 不十分でも良いから、まず結果を出す。モデルのリアリティや精度は徐々に高めていけばよい。
5.都市モデル開発の実務と我が国への示唆 Q3.都市モデルのクライアントが主に米国でカナダが少ないのはなぜか? 法律で規定されているのが大きい。法根拠があれば予算もつきやすい。カナダはそのような法律が無い。興味を持つ担当者もいるが予算がつかない。 Q4.カナダでも法制度を変える動きはある? 近い将来は無い。
5.都市モデル開発の実務と我が国への示唆 Q5.実務で利活用されるモデルを作るには? クライアントと良くコミュニケーションを取ること。HBAではモデルの理解度を高めるために3~5日のトレーニングコースも行っている。 Q6.モデル開発に必要な組織体制は? 交通、モデリング、統計、プログラミング等、様々な専門性を持った人材がいること。特に、天性のトラブルシューター(Gifted Trouble Shooter)は必要。 大学院で鍛えて、良い人材をHBAに入れている。