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公共施設チェックノート. 観光集客施設. (財)地域活性化センター. F5キーを押すと開始します. チェックノートの目的. 観光集客施設は、地域振興や観光の拠点づくりを目的として、多くの 市町村で運営されていますが、施設のコンセプトの検討や市場調査など の調査が不十分なまま開業した結果、来場者の伸び悩みなど様々な問 題を抱え、市町村にとって大きな財政的負担となっているケースがありま す。 このような場合には、運営の改善が緊急の課題となっているものの、
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公共施設チェックノート 観光集客施設 (財)地域活性化センター F5キーを押すと開始します
チェックノートの目的 観光集客施設は、地域振興や観光の拠点づくりを目的として、多くの 市町村で運営されていますが、施設のコンセプトの検討や市場調査など の調査が不十分なまま開業した結果、来場者の伸び悩みなど様々な問 題を抱え、市町村にとって大きな財政的負担となっているケースがありま す。 このような場合には、運営の改善が緊急の課題となっているものの、 観光集客施設は、民間的な経営手法を必要とし、業務も広範囲にわた ることから、どこに問題があるのか、どのような対応策があるのかを知る こと自体なかなか難しいものです。 そこで、このハンドブックにおいては、観光集客施設を対象として、施 設運営に関するチェックを通じて問題点を明らかにし、参考となる対応 策をご紹介することとしました。
対象とする施設 本稿では、温泉、宿泊施設等、採算性を重視し、主に地域外から の来訪者をターゲットに、地域活性化を図ることを目的として設置さ れた観光集客施設を対象としています。
利用方法 1 観光集客施設の運営に関する事項を9項目に分けてあります。 各項目にはチェック項目と対応策を次のように掲載してあります。 2 チェックは、はじめから順にしなければならないというわけではありませ ん。気になる項目のみをチェックしていただき、対応策を参考にしていた だくこともできます。 3 対応策は施設改善のヒントであり、各施設の実状に合わせて、参考に してください。すべてに取り組まなければならないということではありませ ん。 チェック項目 観光集客施設の運営に関する事項を9つに分け、それぞれについてチェック項目 を設けました。これをチェックすることで、施設運営にあたって、どのような点に問題 があるのかを把握してください。 対応策 チェックを通して不十分な点があった場合に、どういった対応策があるのかを記 載しましたので、運営改善の参考にしてください。
目 次 1 施設の位置付け (P6) 2 地域との関わり (P17) 3 施設の充実 (P28) 4 商品・イベントの充実 (P50) 5 施設の運営 (P59) 6 施設の維持保全 (P76) 7 需要の把握、分析 (P84) 8 営業、広報活動(総説)(P94) 9 営業、広報活動(実践) (P106)
1 施設の位置付け 近年、少子高齢化の進行など急速に社会潮流が激変する中で、行政需 要は多様化、増大しています。一方、昨今の厳しい社会経済情勢と逼迫 する行財政状況から、これら住民ニーズに的確に対応しつつ、適正で効 率的な行政運営が求められています。 こうした中で、地域活性化の先導的な役割を担うために設立された市町 村の観光集客施設についても、地域の将来展望と緊密に連動した施設 のあり方や適正かつ効率的な運営が強く求められています。 現状うまくいっている施設においても、地域の将来展望や具体的な観光 施策との整合性が明確にされていないと、施設の運営の方向性が定まら ないばかりか、諸問題を引き起こす原因となります。 まずは、施設の位置付けが明確となっているかどうか、次のチェックを通 して確認してみましょう。 目次へ
チェック項目 (1 施設の位置付け) P8 P9 P10 P11 P12 P13 P14 P15 P16 ●対応策欄をクリックすると、チェック項目に関する対応策を見ることができます。 目次へ
【 1-1 計画上の位置付け】 ① 市町村全体の観光方針は定められていますか。 地域の将来像を実現していくための総合計画において、観光振興に関する方針等が定め られていますか。あるいは、観光マスタープランのような観光に特化した計画等が策定されて いますか。 住民の総意で策定された総合計画や観光マスタープラン等に市町村全体の観光方針が示 されていないならば、ことさら行政による妥当な観光振興方策を実施することはできません。 ましてや観光集客施設設置の妥当性は不明確となりかねません。 対 応 策 総合計画の策定時期であれば、市町村全体の将来展望のなかで観光方針について明確に 位置付けましょう。また、総合計画の策定後、より具体的な観光の計画として、観光マスタープ ランなどを策定しましょう。 ●観光方針 観光方針は、現状における当該地域の観光の問題点、課題を整理した上で、今後の時代潮流、観光の大き な流れ、当該地域の将来のまちづくりの方向を踏まえ、当該地域の観光振興をどのような視点で、どのような手 法で構築していくかを検討します。 ●観光マスタープラン 観光マスタープランは、上述した観光方針をより具体的にしたものです。実際にはそれぞれの市町村の状況に 応じて様々な内容となり、一定の形式があるものではありませんが、観光方針、ゾーニング(観光施策を重点的 に実施していく区域を設定します)、核となる施設の運営計画、観光施設等の整備、観光事業の実施体制及び 実施スケジュール等を策定するのが一般的です。 チェック項目一覧へ 目次へ
【 1-1 計画上の位置付け】 ② 施設の設置目的は観光方針に合致していますか。 施設の設置目的は観光マスタープラン等において示されている、観光方針に合致していま すか。 このような設置目的についての検討がないままに、市町村内の各観光施設が設置、運営さ れると、方向性を持った魅力的な観光資源の構成が困難となります。 対 応 策 本来、施設の設置目的については、施設が市町村の「まちづくり」と異なる方向性をもったも のとならないよう、施設計画の際に検討すると良いのですが、このような検討をしていない場 合には、できれば総合計画の見直しや観光マスタープランの策定の際に、市町村全体の将来 展望の中で検討することが望まれます。 また、検討に際しては、観光が、農林水産業、商工業、交通、物流など地域の広範囲な分 野に関連するものであることから、これらの関係機関等の参加を求めると良いでしょう。 関連 2-1 ① 施設運営への住民の声の反映 チェック項目一覧へ 目次へ
【 1-1 計画上の位置付け】 ③観光方針は常にチェック、見直しがなされていますか。 観光方針があっても、それがいわゆる「絵に描いた餅」になっていませんか。 昨今の急速に変化する社会情勢のもとでは、観光方針が消費者のニーズに合わなくなって しまうことがあり、常にチェック、見直しを実施し、より実情に即したものとしておく必要があり ます。 対 応 策 観光方針の検証を行う仕組みを、あらかじめ位置づけておくと良いでしょう。 【検証を行う仕組みについて】 観光方針の検証は、あらゆる角度からの検証が必要となります。上述した「②施設の設置 目的は観光方針に合致していますか。」において示した検討方法である、農林水産業、商工 業、交通、物流など地域の広範囲な分野からの参画を得た検討の仕組みを、チェックの仕組み として活用していくことも考えられます。 このようにすると、様々な立場からの視点によるチェックがなされ、より具体的な対応の検 討を迅速に行うことができます。 チェック項目一覧へ 目次へ
【 1-2施設のコンセプト】 ①施設のコンセプトは明確ですか。 施設の地域における役割や地域全体の観光の方向性に基づいた、施設のコンセプト(在り方、 方向性)は明確になっていますか。 他の市町村を含む、施設周辺の地域特性が似かよっている場合には類似施設が多く、施設 に顕著な特徴を持たせることが困難であり、コンセプトの明確化が重要となります。豪華さや規 模の大きさで特徴を出す手法もありますが、これには多大な費用を要します。 対 応 策 まず、施設のコンセプトは市町村の総合計画や観光方針(マスタープラン)に照らし、検討する ことが必要です。 また、検討の際には、類似施設の将来動向を踏まえ、観光客のニーズを十分に把握することも 重要です。たとえ、観光客にとって不便なところであっても、また、施設が小さくても、インパクトの ある、魅力的なコンセプトを構築することが肝要です。 さらに、地域振興と収益性(公と民の部分)をどのようなバランスとするのかを明確にしておか ないと、どの程度の経営状況ならば良いのかといった営業目標を立てることが難しくなり、また、 経営状況について地域住民からの理解が得ることも難しくなるでしょう。 チェック項目一覧へ 目次へ
【 1-2施設のコンセプト】 ②コンセプトは施設整備、運営に活かされていますか。 コンセプトが決まっていたとして、そのコンセプトが建物の雰囲気や商品、料理、イベント内 容、従業員の接客などの事業活動に結びつき、コンセプトに沿った統一的な施設づくりや 運営をしていますか。 コンセプトは施設づくりや運営のよりどころであり、これを無視し、たとえばその時々の管 理者や運営者の意向で施設づくりや運営がされるならば、適正で効率的な事業実施はお ぼつかなくなります。 対 応 策 決定したコンセプトは、時間の経過とともに忘れられることのないよう明文化し、管理者、運 営者、職員(従業員)などに継続して確認させるほか、施設改修や商品開発、PR活動の際に は基本原則として必ず確認しましょう。 チェック項目一覧へ 目次へ
【 1-2施設のコンセプト】 ③ コンセプトは陳腐化していませんか。 施設づくり、運営のコンセプトが、設定時から長い年月が経っていたり、社会経済状況や周 辺状況の急速な変化によって陳腐化していませんか。 急速に変化する社会経済状況および周辺関連施設の動向により、当該施設の魅力度は変 化しており、かつ観光客のニーズも刻々と変化していることから、当該施設のコンセプトも見直 しを余儀なくされることがあります。 対 応 策 社会経済状況の変化は、観光に対するニーズを変化させます。当該施設がその時点における ニーズに対応していたとしても、周辺地域に類似施設が数多く立地したり、そこでよりニーズに 対応しているサービス内容が開始されたりすれば、当該施設の魅力や競争力は低下してしまい ます。 したがって、コンセプトは、総合計画や観光マスタープラン改訂時はもとより、策定後であって も適宜見直しを図りましょう。 チェック項目一覧へ 目次へ
【 1-3他の観光施設との連携】 ①広域的に観光資源を把握していますか。 当該施設はもとより、市町村内の他の観光資源、さらには周辺市町村を含めた広域的な観 光資源について把握していますか。 当該施設と同様な性格の施設が周辺にあれば、必ず競合施設となります。逆に、市町村内 の観光資源とのネットワーク、さらには周辺市町村の観光資源とのネットワークにより、当該施 設の魅力アップを演出することも可能です。 対 応 策 観光資源の把握は、市町村や施設の職員だけでなく住民にも話しを聞いて掘り起こしを する と良いでしょう。なお、観光資源として、ユニークな人、サービスなども対象としましょう。 また、各観光資源の性格や内容、入り込み客の状況など、具体的なデータの収集を観光方針 策定時だけではなく、策定後も継続的に行いましょう。 関連 2-3 ③ 地域の人材の活用 4-1 ① 地域資源を活用した商品等の開発 チェック項目一覧へ 目次へ
【 1-3他の観光施設との連携】 ② 周辺観光施設との連携体制の構築を検討していますか。 広域的に見ると、観光施設は公共・民間ともに類似施設が多く、互いに競合関係となること から、他の観光施設や観光資源との役割分担、連携を図るため、市町村内あるいは周辺市町 村の観光施設との連携を図り、周辺地域全体の集客力の向上を図る必要があります。 対 応 策 昨今の多様な観光客のニーズに対応していくためには、各観光資源の特性を十分把握したうえ で、市町村内外の観光施設との協力関係をつくり、より大きな魅力が創出できるような連携と役 割分担を図ることが必要です。 具体的な連携体制の構築の方法としては、観光協会等の協力を得るなどして、より広域的な連 携組織をつくりあげていくことが考えられます。 また、具体的な連携の検討の際には、利害の調整等、困難を伴う場合もありますが、実施可能 な事項から検討をはじめ、その連携の輪を徐々に拡げていくことが連携拡大の近道となるでしょう。 関連 2-3 ① 他の観光施設との連携の具体策 7-2 ② 周辺施設の現状把握 チェック項目一覧へ 目次へ
【 1-3他の観光施設との連携】 ③観光情報の多様な発信をしていますか。 当該施設や他の観光施設などの性格や内容、あるいは「おすすめ」など、様々な「粋」「旬」な情 報などが多様なメディアやルートで発信されていますか。また、問い合わせ等に的確に対応する体 制の整備をしていますか。 情報の洪水状態にある昨今、従来の一般的な情報や単なる観光マップなどでは見向きもされ ません。より魅力的で旬の情報を多様なメディア、ルートで受発信する必要があります。 対 応 策 わかりやすい観光マップの作成は基本となりますが、魅力的で旬な情報を発信するため、インター ネットの活用やその他多様なメディア、ルートの活用を図りましょう。例えば、観光マップや各種情報 のデジタルメディア化や当該施設における宿泊や各種サービスのインターネット予約、問い合わせ等 に対する迅速な対応体制の整備、リピーターの確保努力、営業ルートの工夫、観光客ニーズの把握 体制の整備などを行いましょう。 また、地域内の観光施設を明示するため、誘導標識の整備も大切です。地域内の観光施設の連 携を踏まえ、デザインなどを統一し、計画的に整備すると良いでしょう。 関連 3-3 ③ 施設への誘導標識等 9-2 ① 施設のパンフレット、HPの制作 チェック項目一覧へ 目次へ
2 地域との関わり 観光集客施設は単独で経営・運営を考えるものではなく、地域との関わ りの中で、施設のあり方、事業内容を検討していくことが必要です。行政 が関わって運営する施設の場合、最終的には施設運営が地域全体の活 性化に結びつく必要があり、この点からも地域との関わりは重要なことで す。 一方で、地域との関わりは施設自体の運営を支えてくれることにもつな がります。地域と施設との強い連携は、施設にとっての経営資源の幅を広 げ、事業を円滑に進めるための重要な手段となります。 ここでは、施設の地域の関わりが円滑に形成されているかどうか、次の チェックを通して確認してみましょう。 目次へ
チェック項目 (2 地域との関わり) P19 P20 P21 P22 P23 P24 P25 P26 P27 ●対応策欄をクリックすると、チェック項目に関する対応策を見ることができます。 目次へ
【2-1 地域住民の関心を呼び起こす】 ① 施設の運営に住民の声を反映させる仕組みがありますか。 市町村が整備や運営に関わっている施設は、市町村全体の共有の資産として考えていくこと が必要であり、その中で住民の果たす役割は重要なものといえます。住民は施設運営の専門家で はありませんので、高度な判断は難しいと考えられますが、住民の目を常に施設に向けるために も、住民の意見を常に反映できる仕組みを作っておくことは重要です。 対 応 策 各施設で行われている運営に係る検討会議に住民の代表の出席を求めることが考えられます。 この場合の住民代表とは、自治会や区会、地域づくりグループ、NPOなどの組織代表が一般的 ですが、全住民を対象に公募することも有効な手段です。地域によって状況は異なるでしょうが、 建設的な意見を出してもらえる人を選任することが可能となる方法を採ることが基本です。 また、さらに広く意見を求める場合には、住民に対するアンケート調査などの実施も考えられます。 いずれにしても、住民が運営に参画する機会を広く平等に担保する仕掛けを考えてみましょう。 愛媛県内子町では、中心市街地の古い町並みの回遊拠点である「町並み保存センター」 や、同町の中山間部の回遊拠点である「石畳の宿」の運営に際して、積極的な住民参加を 行っています。両施設では、単に住民の声を聞くだけではなく、さらに一歩進めて住民が直 接運営に参画するようにしています。こうすることにより、施設が住民にとっても重要なもの と認識され、行政と良好な関係の中で運営が図られています。 チェック項目一覧へ 関連 1-1 ② 施設の設置目的の検討 目次へ
【2-1 地域住民の関心を呼び起こす】 ② 住民の利用を促進するための仕掛けを行っていますか。 施設の機能を来訪者だけではなく、地域住民にも積極的に使ってもらう必要があります。観 光集客施設というと、来訪者のための施設と考えがちですが、温泉施設や物販施設をはじめ、 住民が利用することにより、運営効率も高まることとなります。 また、住民が施設を利用することにより、施設に対する理解も深まり、施設と住民との良好な 関係を形成することができます。 対 応 策 身近にある施設ほど、意外と足を運ばないことが多くあるものです。しかし、身近な住民こそ 常連」になりやすい人ですから積極的に住民に足を運んでもらうようにしましょう。 従来からもよく行われている方法ですが、割引利用券、お年寄りや子供の招待、家族割引、回 数券・年間パス、住民のための特別企画等が地元住民の利用促進を図る仕掛けとして有効で す。 関連 3-1 ② 当該市町村等からのアクセス手段 チェック項目一覧へ 目次へ
【2-1 地域住民の関心を呼び起こす】 ③ 住民に対して常に施設の情報を流していますか。 住民に施設に対して目を向けてもらうためには、常に住民向けの情報を流していくことが 重要です。このときには、施設の魅力などに関するいわゆる観光的な情報だけではなく、施 設の運営実績、直面する問題点や課題など、住民が施設のことを考えてくれるための基礎情 報であることが重要です。 対 応 策 施設で作成するパンフレットは、どちらかといえば来訪者のためのものです。住民に対して は、パンフレット情報に加えて、常々の施設の運営状況について、情報を提供することが必 要です。具体的には、施設の来場者数、施設全体の収入・支出状況、今後の投資計画など があげられ、できるだけ具体的な数字でしめすことが必要です。 また、物販、飲食、入浴等、複数の機能を持った施設の場合は、それぞれ数字を示すこと が望ましいと考えられます。ただし、あまり専門的になりすぎないように注意することが肝要 です。 情報伝達手段としては、広報、回覧板、インターネット、住民説明会等、情報提供手段も 多様な選択肢を用意すると良いでしょう。 関連 9-2 ① 施設のパンフレット、HPの制作 チェック項目一覧へ 目次へ
【2-2 地域内の各組織との連携形成】 ① 施設の運営に対して主要な関係機関が関わっていますか。 施設の運営を円滑にするためには、地域内の関係機関(観光協会、商工会、農協など)が円滑 な連携を図って、それぞれの立場、得意分野から施設運営の手助けを行うことが重要です。 このような協力関係が、施設を中心に形成されているでしょうか。施設が単に運営機関だけの ものではないことを認識する上でも、他との関係機関との連携は重要です。 対 応 策 施設の経営会議のようなものを組織し、そこに各関係機関からの代表に入ってもらうことが必 要です。 この際、注意しなくてはならないのは、単純に充て職的なメンバーだけをそろえるのではなく、必 ず企画力や行動力があるキーパーソンに係わってもらうことです チェック項目一覧へ 目次へ
【2-2 地域内の各組織との連携形成】 ②役所や地域の団体との間で人の行き来はありますか。 形式的に連携がとれているというだけで安心してはいけません。もっとも危険なのは、運営会 議などの構成メンバーを充て職で選び、形式的に開催することです。 情報化が発達した現在でも対面による情報交流は需要であり、お互いに気心が知れることに より、施設運営に係わる本音の話ができるようになります。 対 応 策 所用で役所などに施設の職員が訪れる際には、担当部署だけではなく、他部署にも顔を出し、 施設との接点がないか常に担当と顔を合わせて話をすることが必要です。また、同様に観光協 会、商工会議所・商工会、農協、漁協など地域内の主な関係機関についても、折に触れ直接出 向くようにしましょう。 チェック項目一覧へ 目次へ
【2-2 地域内の各組織との連携形成】 ③ 運営に対して、関係機関の間で相互チェックする仕組みがありますか。 地域内の各関係機関が連携するにあたって、相互に「干渉しない」関係だけであれば、発展性 はありません。それよりも、非効率的な施設運営の温床になる危険性すらはらんでいると言えま す。 せっかく色々な関係機関が連携する訳ですから、お互いに忌憚のない意見を出し合い、実効 ある施設運営に結びつけていくことが必要です。 対 応 策 忌憚のない意見を言い合うには、日頃からの信頼関係を形成することが重要です。施設の経 営状況に係わる現況や問題点・課題などに係わる情報を投げかけるなど、施設に目を向けても らえるよう日頃から心がけましょう。また、他の機関の運営や事業などについても、自らの問題 として受け止め、提案を行っていくことが必要です。 関連 8-1 ③ 営業部門と他部門との協議 チェック項目一覧へ 目次へ
【2-3 地域における経営資源の共有 】 ① 他の施設との連携・協力はできていますか。 地域には、他にも観光集客機能を持った施設が多く存在するはずです。全く同じ施設は ないでしょうから、それぞれの特色があるわけです。このような特色を活かした施設間の連 携を十分に図っていくことが必要です。 対 応 策 他の施設との間で「料金割引」を行う、スタンプラリー的な遊びの要素を導入するなど、来 訪者が施設間を回遊しやすくするための仕掛けを行うことが考えられます。 施設が近接している場合は、徒歩で回れる仕組みをつくることが有効です。来訪者が街を 歩くことはそれ自体で、街の賑わいに結びつくものです。 また、近年車での来訪が増え、回遊範囲も広域化していますので、隣接する市町村の施設 との連携を図っていくことも有効な戦略です。 さらに、施設間の連携・協力といった場合、観光施設のみに限定することはありません。ガ ソリンスタンドに立ち寄った来訪者に施設の割引券を渡す、農家の直販所で買い物をした客 に割引券を渡すなど、色々な工夫を行うことが重要です。 関連 1-3 ② 周辺観光施設との連携体制の構築 3-2 ③ 施設と地域を連携させるための整備 7-2 ② 周辺施設の現状把握 チェック項目一覧へ 目次へ
【2-3 地域における経営資源の共有 】 ② 地元から食材や物資の調達を行っていますか。 施設と地域の関係を築いていく上で、経済的なつながりを形成することは重要です。施設は地元の 生産者や業者から見れば、重要な市場としても機能している訳です。また、地域の資材を積極的に活 用することにより、施設の魅力を高めていくことにもなります。 対 応 策 飲食系、物販系いずれについても地元のものを使えないか、まず考えることが必要です。また、忘 れやすいのが関連サービス部分(清掃業、クリーニング業、おしぼりなど飲食関連のサービス業など) です。地域内に業者がない場合は、新たに育てていくことも必要です。 地元調達は「高くて質が悪い」こともあるかもしれません。地域産品はどうしても生産に人手がか かり、ナショナルブランドや大量流通商品に比べて価格が高くなりますし、品質的なばらつきが見ら れることもあります。また、域内の小売店等を通じて購入する場合の納入価格も高くなりがちですが、 これらを「当たり前」と片づけていたのでは進歩がありません。このような場合は、地元業者と話し合 うことが必要です。地元の生産者、業者を育成するのも公的な観光集客施設の重要な役割です。 そばの郷として有名になった富山県利賀村では、取組みを始めた当時、村内のそば畑はほと んど残っていませんでした。人手による小規模生産のため、施設で提供するには品質の面や価 格の面で問題があり、最初のうちは国内の他産地から玄そばを購入していました。しかし、そば を地域で栽培することが重要であるとの認識の中で次第に作付面積も増え、品質も向上してき ました。まだまだ村内の消費量をまかなえるだけの収穫はありませんが、このような継続的な取 組みは、そばの郷づくり、それに関連した施設運営を支えていくうえで重要なものとなっています。 チェック項目一覧へ 目次へ 関連 4-1 ① 地域資源を活用した商品等の開発
【2-3 地域における経営資源の共有 】 ③ 施設の運営に際し、地域の人材の活用を図っていますか。 地域内には様々な技術や得意分野持った人が多くいるはずです。このような人を施設の 運営にうまく活用していますか。地域の人を活用することも、施設の魅力づくりにとって重 要な仕掛けとなります。 対 応 策 体験観光・学習などでは、高齢者を活用することが多く見られるようになりましたが、これは 一つの戦略として有効です。ただ、これ以外にも様々な人材が地域には埋もれているはずです。 どの地域にどのような人がいるのか、「人材マップ」を作ってみるのも良いでしょう。 熊本県水俣市では、市の事業の一環として各地区で人材の掘り起こしを行い,人材マップを 作成しています。このような取組みがベースとなって久木野地区の愛林館など特色ある施設運 営に結びついています。また、熊本県小国町では「ツーリズムナビゲータ」として町民を登録し、自 らが持っている人脈を活用して来訪者の多様なニーズに応えられるような体制をつくっています。 人材マップの作成は多くの地域で取組みが行われていますが、岡山県吉永町では地元小学校 の児童が学外活動の一環として作成し、インターネットで情報発信を行っています。身近な人材 の掘り起こしが重要ですから、同町の取組みに見られるように、ちょっとした工夫で、費用をかけ ずに対応を図ることが可能となります。 チェック項目一覧へ 関連 1-3 ① 広域的な観光資源の把握 3-2 ③ 地域と連携させる施設等の整備 目次へ
3 施設の充実 開業して間もない頃は、新しいというだけで話題となり、来場者でに ぎわう施設も、次第にその関心が薄れ、時代に合わなくなったり、修理 を要する箇所も見えてきます。 来場者の関心を引くための施設づくりは、どのようにすれば良いのか、 今後の施設改修にあたって関心のある方も多いものと思われます。 ここでは、施設(ハード面)の充実を図る際に、どこに留意すればいい のか、施設へのアクセスから施設本体に至るまで、順を追ってチェック してみましょう。 目次へ
チェック項目 (3 施設の充実) 1/2 P31 P32 P33 P34 P35 P36 P37 P38 P39 ●対応策欄をクリックすると、チェック項目に関する対応策を見ることができます。 目次へ
チェック項目 (3 施設の充実) 2/2 P40 P41 P42 P43 P45 P46 P47 P48 P49 ●対応策欄をクリックすると、チェック項目に関する対応策を見ることができます。 目次へ
【3-1 施設へのアクセス】 ① 施設までの案内(看板等)は、明解ですか。 観光集客施設の成功には、「行き易さ」が大変重要な要素になります(危険な道を通ら なければ施設に行けないのであれば、改善が必要です。)。 インターチェンジや料金所、鉄道駅など、主な通過ポイントからわかりやすく、丁寧な案内 は備わっているか、確認してみましょう。 対 応 策 1)公共の交通機関からの案内 広域圏の主要駅(県庁所在地の駅、新幹線停 車駅、特急停車駅)には、そこからのアクセス経 路が示された案内(看板)の設置、パンフレット の配置が必要です。 2)主要幹線道路からの案内 広域幹線道路(高速道路、主要国道、広域地 方道、各種有料道路)には、誘導のための案内 板の設置が必要です。施設から距離に応じて設 置頻度は異なります。右の例を参考に検証して みましょう。 ※ 案内板の設置には、道路法に基づく道路の占用 許可や屋外広告物条例による許可が必要とな る場合がありますので注意してください。 例) ・「美容と健康の湯・○○温泉△△の湯 □□県☆☆町」 直線距離100km、50km、40km、30km、20kmの地点 ・「美容と健康の湯・○○温泉△△の湯 あと▽▽km」 行程距離20km、15km、10km、9km、8km、7km、6km、5km、4km、3km、2.5kmの地点 ・「美容と健康の湯・○○温泉△△の湯 あと▽▽km、××交差点右折200m」 行程距離2km、1.5km、1km、0.5kmの地点 チェック項目一覧へ 関連 7-3 ③ 来場者の動態把握 目次へ
【3-1 施設へのアクセス】 ② 当該市町村、近隣市町村からの手軽なアクセス手段を備えていますか。 観光集客施設の成功には、まず、施設のある市町村や近隣市町村の方々による日 常的な利用が大切です。 これらの地域の方々の利用のために、手軽なアクセス手段が用意されていますか。 対 応 策 観光施設は、いわゆる「口コミ」による動機づけが、大変重要であり、近隣市町村から の利用者の確保が広域圏や6大都市圏、6地方圏からの集客への足がかりになります。 施設のある市町村や近隣市町村の方々による日常的利用を促すことができる、専用 シャトルバスの運行や公共バス路線への便乗などのアクセス手段を検討してみましょう。 関連 2-1 ② 地域住民の利用促進 チェック項目一覧へ 目次へ
【3-1 施設へのアクセス】 ③ 最寄駅、高速バス停留所からのアクセス手段を備えていますか。 遠方からの来場者を増加させるためには、最寄駅等からのアクセスを補助することが 求められます。 「駅までは分かるけど、その先はちょっと・・・」という方をいかに取り込めるかが成功を左 右するといっても過言ではありません。 もう一度、遠方からの来場者のアクセス手段を見直してみましょう。 対 応 策 最寄駅、高速バス停留所などから、どのようなアクセス手段があるかを再度確認して みましょう。 公共交通機関を利用した来場者を誘導するためには、発着時刻にあわせた専用シャト ルバスの運行が有効ですので、導入を検討するのも良いでしょう。また、その際には無料 化など、可能な限り低料金の設定も検討してみましょう。 チェック項目一覧へ 目次へ
【3-2 施設の周辺環境 】 ①施設の周辺環境は良好ですか。 施設周辺の環境は、施設の魅力を引き立たせるほか、施設を中心とした周辺地域全 体で来場者を「お迎えする」雰囲気をつくり出し、来場者が施設に向かう際には期待感 を高める働きが、また、施設から家路につく際には施設とその周辺地域の良いイメージ を持たせるという役割があります。 対 応 策 来場者に「施設がある場所に行くこと自体が楽しい」と感じてもらえるよう、周辺環境 の整備を検討してみましょう。 観光集客施設の周辺環境整備の例) ・周辺環境の魅力を感じられる施設の設置 散策路、公園、せせらぎ、湧水、滝、竹林、花畑、大規模農地 ・文化的な魅力を感じられる施設の設置 神社、仏閣、教会堂(純粋な宗教的な意味を持つ必要はありません。例:温泉神社、 野球神社、サッカー観音など) ・購買意欲を高める施設の設置 魚市場、養殖施設、体験施設、地場産品の製造、加工、販売施設、展示施設 チェック項目一覧へ 目次へ
【3-2 施設の周辺環境 】 ② 施設にランドマークはありますか。 ランドマークとは、施設のシンボルや目印を指します。来場者は、そのシンボルをアクセ スの目印にしたり、記念撮影のバックにするなど施設利用の証とする場合もあります。 数多い観光集客施設の中から「あの施設に行こう」というきっかけを与えるためには、こ のような施設のイメージを喚起させるランドマークが有効であり、その施設を訪れたことの ある来場者をリピーターとすることにも効果があります。 対 応 策 象徴的な施設の建物自体でも、特徴的な案内板でもランドマークとすることができます。 次の例を参考に、ランドマークの設置を検討してみましょう。 ランドマークとなり得るもの 建物、ゲート、キャラクター、タワー、花時計、噴水、シンボルツリー、など 事例 東京ディズニーランド→シンデレラ城、野沢温泉→湯畑、山下公園→氷川丸 チェック項目一覧へ 目次へ
【3-2 施設の周辺環境 】 ③ 施設と地域を連携させた利用方法がありますか。 地域観光の基点になる観光集客施設は、地域の観光の概略を把握できるような 情報集積のための整備が必要です。 対 応 策 観光情報の集積のための整備には、施設周辺の地域と連携した、短時間で地域を 把握できるきっかけづくりができるような、次の施設や仕組みが考えられます。 ・施設周辺の地域を歩く散策路の設定 3種類程度のコース設定(15分コース、30分コース、1時間コース) ・散策路上の近隣家庭での地域紹介プログラム 工芸、料理 ・施設運営への地域の方々の参画 語り部、民謡、踊り、祭り紹介 関連 2-3 ① 他の施設との連携・協力 2-3 ③ 地域の人材の活用 4-2 ① 時間の過ごし方等の提案 チェック項目一覧へ 目次へ
【3-3 施設へのアプローチと外構】 ① ゲート機能はありますか。 ゲート(施設の入場門部分)には多くの機能があり、効率的な施設運営の一端を担うこ とができます。来場者が最初に触れる施設はゲートであることを再認識する必要がありま す。 対 応 策 ゲートが持つ重要性を十分認識し、その活用方法を検討してみましょう。 ゲートが持つ主な機能は次のとおりです。 ・ランドマーク機能(施設の位置を知らせる機能) ・ウェルカム機能(利用者を迎える機能) ・演出機能(施設利用の意欲や期待感を高める機能) ・インフォメーション機能(営業状況、イベント、利用メニューなどを知らせる機能) チェック項目一覧へ 目次へ
【3-3 施設へのアプローチと外構】 ② 駐車場は機能的、効率的に、利用、運用することができますか。 駐車場の進入路は、安全な通行ができるように設定されていなくてはなりません。自動 車やバイク、公共のバス、自転車、歩行者などのそれぞれに安全が確保されていますか。 また、駐車場が満車になった場合の準備をしていますか。 対 応 策 安全な通行のためには、駐車、駐輪スペースのほか、歩道(歩行者専用通路)の確保 が不可欠です。 駐車場の利用は、必ずしも無料である必要はありません。有料にすることで、利用者 の安心感を得ることもできます。また、有料駐車場の方が無料駐車場よりも、利用秩序 が確保される利点も注目されています(チケットの受取やチェック時に、利用者に緊張感 を与えることができるためであるとの研究結果も報告されています。) 。 駐車場が満車になった場合の準備としては、代替地を用意しておく必要があります。 チェック項目一覧へ 目次へ
【3-3 施設へのアプローチと外構】 ③ 施設への誘導路・標識は、初めての人にもわかりやすく設置されていま すか。 ゲートから入場したのち、施設までの誘導路・標識は、ゲートや駐車場など、あらゆる方 向からのアプローチに対応している必要があります。 しかし、デザインや設置方法を誤ると、景観を阻害したり、かえって不親切な誘導になっ てしまいます。 対 応 策 利用者と同じように施設への動線を自分の足で何度も歩き、誘導のあり方を検証しま しょう。 誘導路については次の点を考慮してください。 ・ゲートから施設への誘導路は、できれば地域の生活動線と明確に区別されているこ と。 ・駐車場から施設への移動は安全で容易であるか。 1-3 ③ 観光情報の多様な発信 チェック項目一覧へ 目次へ
【3-4 施設(建築) 】 ① 施設の外観デザインは、地域の景観との調和が取れていますか。 対象施設は、周辺環境・景観との調和に配慮したデザインになっていますか。また、地 域の特色や施設の雰囲気を醸し出す演出がなされていますか。 「個性」と「違和感」は意味が違います。デザインで施設の個性を主張する場合、十分に 考えられたコンセプトや、裏づけの確かさが不可欠です。施設の顕示だけのためのデザイ ンによって利用者に違和感を与えることがないよう、細心の注意が必要です。 対 応 策 周辺環境・景観と「調和」したデザインは、利用者に安心感を与えます。その一方で、 「個性」が発揮されたデザインは、施設の意外性や独自性を表現することができます。 いずれの場合でも、施設の目的や、周辺景観への影響などを考慮し、より効果的なデ ザインが求められます。 しかし、顕示することに終始したデザインでは、そのことが原因となって利用者離れを 起こす危険性もあります。 施設の個性は、外観のデザインよりも、まず、その内容やサービスで主張すべきでしょう。 そして、施設イメージを定着させたのち、上記の点に配慮して、時代に即したデザインを 検討し、必要であれば変更を行いましょう。 また、建物のデザイン以外でも、演出として、花壇・植栽、オブジェ、照明などの設置に よっても、施設の魅力は向上させることができます。 チェック項目一覧へ 目次へ
【3-4 施設(建築) 】 ② 施設規模は適切ですか。 1) 手狭になっていませんか? 集客能力に対し小さすぎる施設は、来訪者の不評につながります。 2) 面積供給が過剰になっていませんか? 大きすぎる施設は、にぎわいや活気の形成が困難な場合があります。 対 応 策 1) 手狭になっている場合、次の点をチェックしてみましょう。 ・デッドスペースの抽出 ・機能の重複の有無(同じメニューの食堂が複数ある、など) ・適正在庫との乖離 ・主目的に該当しない施設や居室の有無(温泉施設に美術館がある、など) 2) 面積供給が過剰な場合には、デッドスペースが発生しやすく、将来的に非効率化を 招き、面積不足に至る一因ともなります。施設内の各部屋の機能を再考し、有効な 活用方法を検討しましょう。 チェック項目一覧へ 目次へ
【3-4 施設(建築) 】 ③ 基本機能は整っていますか。 基本機能(施設の主たる機能及びそれを達成するための施設と設備)の水準が、近隣の 類似施設と比べて優位にあるかを確認していますか。 基本機能は、競合施設でも必ず備えているものであり、比較されやすく、また、利用者 にも判断しやすいという特徴があります。 対 応 策 まず、自己診断し、次に来場者による評価 を求めましょう。 この基本機能に対する評価は、来場者の施 設に対するイメージとして計ることができます。 来場者アンケートの結果をもとに検討すれば、 問題点や他の類似施設よりも優位な点を明 確にすることができます。 検証のポイント) ・施設の広さなど空間的なゆとり感 ・設備の数量 ・清潔感 ・すっきり感 ・楽しみ方にバラエティ性があるか ・付随的なサービス機能の豊富さ 関連 7-1 ② 来場者の施設に対する評価、要望 7-2 ② 周辺施設の現状把握 チェック項目一覧へ 目次へ
【3-5 施設内の設備) 】 ① 施設内の設備は適切に設置されていますか。(1/2) 設備上の不備は、利用者に直接、不快感を与えます。そのため、その評価は苦情の形で で直接、スタッフや管理者に訴えられる場合が多いのが特徴です。また、利用者数の増減 にも直接的に影響するため、日々の管理も重要です。 以下の5つの質問に対し、1つでも「NO」の回答がある場合には、早急に改善を検討し ましょう。 1)照明設備は適切に設けられていますか。 観光集客施設にとって、「暗い印象」を与えてしまうことは致命的です。照明設備 は、演出のほか、集客機能も持ちます。そのため、十分な照明設備を持つことが最 低限、必要な設備と言えます。 また、来場者用のトイレなどの諸室の照明の「オン-オフ」を利用者任せにするこ とも、極力避けるようにしましょう。 2)空調設備は適切に設けられていますか。 施設内の諸室は利用状況に応じ、必要な運転率が異なるため、管理室で集中管 理も可能なセパレート型の導入が効率的です。 チェック項目一覧へ 目次へ
【3-5 施設内の設備) 】 ① 施設内の設備は適切に設置されていますか。(2/2) 3)衛生設備は適切に設けられていますか。 入りこみ者数の予想から、設置規模を算定します。 近年、衛生機器もバリエーションが豊富になり、利用者のニーズも異なるため、特 に大便器は、和式、普通洋式、シャワートイレ型など、複数種の設置が望まれます。 また、車椅子利用対応や乳幼児対応、おむつ台の設置も検討しましょう。 女性来場者の多い施設は、パウダースペースの設置も検討してみてください。 4)防災設備は適切に設けられていますか。 建築基準法、消防法への準拠が基本になります。しかし、利用者に不安を与える ことがないように解りやすく、明確な設置が必要です。 その反面、防災設備、特にサインは空間演出上、障害となる場合もあることから 防災面と空間演出面の両面からの検討を加える必要があります。 5)防犯設備は適切に設けられていますか。 防犯設備は、利用者に安心感を与え、また施設の完成度の高さを訴求することが できます。そこで、ブラインドスペースの除去ばかりでなく、セキュリティカメラ、コーナー ミラーなどの設置が、防犯上有効に機能します。また、盗難等による被害を防ぐため、 セキュリティクロークに加え、現金の持ち歩きを不要にする「一括精算システム」の導 入が、効果的です。 チェック項目一覧へ 目次へ
【3-6 施設のホスピタリティ・サービス(もてなしの心をもったサービス) 】 ① 効率的な機能の連係が図られていますか。 各施設や設備の機能が適切に連係していることが、利用者の使いやすさにつながり、「いい 施設」という評価を生み出します。施設の本質的な機能に沿って、どのような機能連係がなさ れているか、また、その機能を発揮しているかを検証しましょう。 対 応 策 来場者の視点で、機能の連係を見直しましょう。 温泉施設を例にポイントを確認します。 ・アクセス :地域と施設への期待感の演出 ・駐車場 :明確な案内、施設の周辺空間の演出 ・入場 :施設空間の演出、安全な通行の確保、施設への期待感の演出、購買意欲の刷り込み ・履物ロッカー:期待感を途切れさせないための場所の把握し易さ、空きが見つけやすい視線の確保 ・フロント :期待感を途切れさせないための簡便な受け付け ・アメニティグッズ販売:楽しい利用の演出、利用者ニーズに沿った商品構成 ・浴室 :期待感に応えるサービス ・休憩室 :余韻の演出 ・物販施設A :購買意欲への対応、消費欲の充足、施設関連商品の販売 ・会計 :リピートへの演出 ・退場 :来場者への「満足顔」の提示 ・物販施設B :購買意欲への対応、消費欲の充足、地域関連商品の販売 ・逆アクセス :リピートへの期待感の演出 サービス機能の中に業務機能が入り込んだりしている場合は、機能配分に問題があるも のと考えられます。「何を目的とし、誰のための施設か」を再考してみましょう。 →次の「② 施設内の動線は明確ですか。」と密接な関連があります。 チェック項目一覧へ 目次へ
【3-6 施設のホスピタリティ・サービス(もてなしの心をもったサービス) 】 ② 施設内の動線は明確ですか。 来場者が各施設・諸室間を移動する動線は、効率的に設定されていますか。 入場動線、退場動線、滞留動線、管理動線、サービス動線などが交差したり、絡み合っ ていると、スムーズな移動を妨げるばかりでなく、非常時に、避難誘導を妨げる危険性も あります。 対 応 策 来場者の視点で、動線を見直してみましょう。 ・施設のレイアウトも来場者の動線を考慮しましょう。 ①の設問同様、温泉施設の例を挙げますので参考にしてください。 例)温泉施設入浴に来た方の一般的な利用動線に配慮した施設配置 アクセス→駐車場→入場→履物ロッカー→フロント→アメニティグッズ販売 →浴室→休憩室(飲食関係/リラクゼーション)→物販施設A→会計 →履物ロッカー退場→物販施設B→駐車場→逆アクセス チェック項目一覧へ 目次へ
【3-6 施設のホスピタリティ・サービス(もてなしの心をもったサービス) 】 ③ 施設内のサイン(案内、誘導)は十分ですか。 全国の観光集客施設の来場者のうち、90%以上がはじめての利用者で占められています。 そこで、初めての方にも迷わず、安心して利用していただくためには、親切で丁寧な案内が 不可欠です。 スタッフによる行き届いた案内が常にあればサインは不要です。しかし、多くの施設ではこれ を期待することは不可能であり、そこでサインが重要な役割を担います。利用者の視点に立っ て見直してみましょう。 対 応 策 サインは視認性に富み、誰にでも分かり易く、室内景観も乱さないものが求められます。 サインの計画にあたっては、常に利用者の視点に立つことが重要です。特に非常誘導灯は 再三にわたるチェックが不可欠です。 また、サインは文字だけでなく、外国人や高齢者にも見やすいように、ピクトサイン(絵や記 号を用いたサイン)も検討してみてください。 チェック項目一覧へ 目次へ
【3-6 施設のホスピタリティ・サービス(もてなしの心をもったサービス) 】 ④ バリアフリーに関する対応をしていますか。 国民総レジャー時代が定着し、現在では特に中高齢者のレジャー参加数が急増して います。 また、公共施設は、障害のある方を含め多くの方に利用できるような施設づくりに取 り組む必要があります。 バリアフリーは、高齢者や障害者の方々が円滑に利用できるために建築物等に求め られているハード上の対応であり、不特定多数の利用がある施設では不可欠な要素で す。 対 応 策 段差の排除や誘導用ブロックの整備、階段への手すりの設置など、実際に障害者や 高齢者の方に協力を依頼し、改善点を探ってみると良いでしょう。 チェック項目一覧へ 目次へ
【3-7 環境への配慮 】 ① 環境への配慮をしていますか。 環境への配慮については、今日では一般的な配慮事項になりつつありますが、施設のア ピール事項になり得る場合もあります。 対 応 策 観光集客施設が行う環境への配慮として、次のメニューがあげられます。 これらの導入について、もう一度検討してみましょう。 ・浸透性舗装の採用 ・新エネルギーの採用(太陽エネルギー、風力発電等による施設内での消 費電力の生産など) ・コージェネレーション方式の空調設備の採用(排熱を空調などのエネル ギーに利用するもの) ・ISOー14000シリーズの導入 ・外構部へのビオトープ(野生生物の生息空間)の創出 チェック項目一覧へ 目次へ
4 商品・イベントの充実 施設整備などのハード面以外に、商品・イベントなどのソフト面においても 積極的な取り組みを行うことは、観光集客施設の活性化にとって欠かせな いものです。 他の地域や大都市圏などにはなく、また、顧客の視点に立って企画、開発 された魅力的な商品や効果的なイベントは、施設や地域の特色となり、集 客力を高めることとなるでしょう。 ここでは、商品やイベント等のソフト面について、次のチェックを通して効 果的な企画や開発が行われているかを確認してみましょう。 目次へ