190 likes | 342 Views
地域通貨における価値の流通について. 永田研究室 250030 澤浦文章. はじめに. 本報告では、世界各地で行われている地域通貨の動きから、貨幣の本質を捉えなおし、貨幣が本来有する 「 価値の流通媒体 」 としての機能を検証したい。 その手がかりとしてデイヴィッド・ボイル著 『 マネーの正体 ~地域通貨は冒険する~ 』 を参照した。. 問題の背景. グローバル化によるマネーの暴走 Ex 中南米、東南アジアの金融危機 貧富の拡大(国別のレベルでも、国内のレベルでも) 環境破壊. 問題の背景 続き. 地域コミュニティの解体. 貨幣とは?.
E N D
地域通貨における価値の流通について 永田研究室 250030 澤浦文章
はじめに • 本報告では、世界各地で行われている地域通貨の動きから、貨幣の本質を捉えなおし、貨幣が本来有する「価値の流通媒体」としての機能を検証したい。 • その手がかりとしてデイヴィッド・ボイル著『マネーの正体 ~地域通貨は冒険する~』を参照した。
問題の背景 • グローバル化によるマネーの暴走Ex 中南米、東南アジアの金融危機 • 貧富の拡大(国別のレベルでも、国内のレベルでも) • 環境破壊
問題の背景 続き • 地域コミュニティの解体
貨幣とは? • 貨幣とは・・・「交換の手段」「価値の基準」「価値を貯蔵するもの」etc • 「マネーとは、私たちが人間的な努力を繰り広げる、情報のシステムである」(マイケル・リントン)⇒我々が貨幣を受け入れるということは、それが運ぶ情報のコンテンツに信をおいていることにほかならない。
おさつについて(日銀の説明より) • 兌換<だかん>紙幣:金属との交換券 • 不換紙幣 • 信用貨幣 • 発行者の財務の健全性 • おかねの価値の安定 • 強制通用力
信用のもろさ • そもそも銀行の融資からマネーは生み出されている。 • 赤字国債の発行 • 負債を返済してくれるという各国政府・中央銀行の保証を信じているというただ1点に基づいている。
利子について • 利子で元手を自己増殖させることができる⇒お金の循環が滞る。 • 低所得者ほど利子の支払いで困り、高所得者ほど利子の収入で潤っているという現実 • イスラム原理主義では利子の支払いは許さない • 中世キリスト教会が金利の徴収を頑なに反対しつづけた。
交換のメディアとしての貨幣 • 現行の金融メカニズムが、大企業に資本が集積するようになっている。:一般市民や環境の犠牲の上で成り立っているもの • 地域には潜在的なモノ・サービスへの需要もリソースもある。しかしなぜ使われないのか? ⇒相互信用による新しい「交換システム」としての地域通貨
地域通貨の起こり • 19世紀末、シルビオ・ゲゼルによって「スタンプ付貨幣」が提唱される • 1930年代前半の世界恐慌下、欧米各地に地域通貨が導入される • しかし、ほとんどプロジェクトは政府、中央銀行の介入により頓挫することに(例外的としてスイス・チューリッヒのWIR)
地域通貨の基本的特徴 • 限定された地域のみで利用される⇔グローバリゼーション • 利子がつかないor減少する⇔複利 • 信用の裏付けが労働・コミュニティそのものである
地域通貨の例 • アワー型(集中的発行方式):管理者や委員会が独自の紙幣を発行す るタイプEx.イサカ・アワー、WIR • LETS型(分散的発行方式 相互信用方式):管理者が売り手、買い手双方の口座に黒字・赤字・を記帳。買い手が自発的に紙幣を発行するEx.LETS、タイムダラー
地域通貨の仕組み その1 LETS 1)自分名義の口座を開設する 2)自分が提供できるモノ・サービスをリストに載せる 3)リストをみて、希望するモノ・サービスがあったら相手と連絡をとり、価格等の交渉 4)交渉成立後、「登記人」に連絡し、自分の勘定に、金額のプラスを、相手の勘定に金額のマイナスをつける。
Aさん(+2000Gドル) 引越しの手伝い PCの修理 1000Gドル 3000Gドル 10000Gドル Cさん (-9000Gドル) Bさん(+7000Gドル) 中古車
地域通貨の仕組み その2イサカ・アワー 1)モノ・サービスをイサカアワーで提供する、受け取ることをリストに掲載 2)新規登録者には4アワーが参加特典(プレミアム)として進呈される 3)後は交換をはじめるだけ。 ※1イサカアワー=労働1時間=10ドル
地域通貨における問題点 • 集中的発行方式(タイムダラー)などは、紙幣発行量の問題 • 労働時間とリンクしている地域通貨における“等価意識”の問題 • 参加者同士のトラブルへの対処Ex.デフォルト
最後に • 価格が「みえざる手」としての役割を終え、「みえる手」をつなぎあわせる、情報交換の信号にかわる • 地域通貨は、単に互酬的共同性を回復するだけでなく、社会を交換的関係形式のなかに埋め込むことで、資本・国家をともに超えるためのカウンター・メディアとなる。
参考文献 • デイヴィッド・ボイル(2002)『マネーの正体 地域通貨は冒険する』集英社 • 中村尚司(1998)『地域自立の経済学 第二版』日本評論社 • トーマス・グレコ(2000)『地域通貨ルネサンス』 本の泉社 • 青木周平(2000)『決済の原理 -決済についての入門講義』日本銀行 • 西部忠(2002)「LETS論」批評空間Ⅲ-127-52p