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10 ・男女の問題を考える

10 ・男女の問題を考える. 2011.07.06.  成蹊教養・文化人類学の考え方. 多様性の共存. 戦前に行なわれた「同化による画一化」が、そこに巻き込まれた人々にとっては決して幸せな状況をもたらさなかった、という反省を踏まえると、「 多様性の共存 」という方向性について考える必要がでてくる 「私はわたし、あなたはあなた、お好きにどうぞ、勝手にするよ」的な状態(かりにそれを 並存 と呼ぶ) ←→ 「互いのことをよく知って、理解・尊重しながら一緒に暮らそう」的な状態(かりにそれを 共存 と呼ぶ)

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10 ・男女の問題を考える

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Presentation Transcript


  1. 10・男女の問題を考える 2011.07.06. 成蹊教養・文化人類学の考え方

  2. 10・男女の問題を考える 多様性の共存 • 戦前に行なわれた「同化による画一化」が、そこに巻き込まれた人々にとっては決して幸せな状況をもたらさなかった、という反省を踏まえると、「多様性の共存」という方向性について考える必要がでてくる • 「私はわたし、あなたはあなた、お好きにどうぞ、勝手にするよ」的な状態(かりにそれを並存と呼ぶ)←→「互いのことをよく知って、理解・尊重しながら一緒に暮らそう」的な状態(かりにそれを共存と呼ぶ) • ただ単にいろいろなものが「並存」している状態でよいのだろうか? ……結局のところ「強い」集団に「弱い」集団が呑み込まれる危険性を排除できない • 「並存」状態をコントロールして、意識して「共存」することを考えるべきなのだろうか? ……ただし過度の介入は「同化」や「逆差別」の状態も招くかもしれない

  3. 10・男女の問題を考える 「平等」/「公平」

  4. 10・男女の問題を考える 「平等」概念の拡張 • 「多民族国家における民族の平等」や「明治の『四民平等』」、「男女の(社会的地位の)平等」なども、基本的に0 / 1の考え方に基づいている。ただし、個に対してではなく、集団に対して。 • しかし、「平等」は基本的に「個」に適用される概念で、「集団」に対して適用するのは適切ではない • 多民族国家の民族問題あるいは、男女不平等問題がかかえる問題点は、主にこの「集団への平等概念の適用」が原因となっていると考えられる • cf. ラベルを貼ること・ひとくくりにすること

  5. 10・男女の問題を考える 「平等」概念の問題点 • 「平等」は、要素間・要素内の差異を認めない。そのことがよい結果をうむ場合もあるが(たとえば「不平等」の是正)、逆に悪い結果(たとえば「悪平等」)をうむ場合もある。 • さらに、もともと問題が差異を前提としている場合(たとえば民族問題や男女問題)、デジタルライクな「平等」の実現は、けっして問題の解決を意味しない。そこで求められるのは、実はアナログ的な「公平」の実現である。

  6. 10・男女の問題を考える 男女平等? • 男性のみ・女性のみへの機会提供が、もう一方の性に拡大される、という意味ではあり得る • ただそれを男女「平等」というのが適切かは疑問……「男女区別なし」あたりか? • 男女比率に応じて「平等」を実現することが妥当であるケースはおそらくほとんどない • ということは、「男女公平」がいいのだろうか? • そもそも、そこでことさらに「男女」に注目する必然性を見いだせるかどうかが鍵 • 血液型や12星座に応じた比例配分がナンセンスであるのと同様、男女に応じた比例配分はたいがいの場合ナンセンス • ほんとうは「その観点からは男女区別なし」ではないか • 区別すべき点・そうでない点を見極めることの重要性

  7. 10・男女の問題を考える ルーラー/プレーヤー概念

  8. 10・男女の問題を考える 女性専用車両の問題点 • 一般車両に乗っている女性は「痴漢されてもよい」というシグナルを出してしまうことになる • 男性専用車両を設けて痴漢の冤罪を防げる、としたら、一般車両の男性は「痴漢するぞ」と言っていることになってしまう • そもそもがルール違反を犯しているプレーヤー(P-3=痴漢)が(男女問わず)問題なのに、一方的に男女の問題(不公平の問題)にすり替えられてしまう • 痴漢の大半は男性かもしれないが、男性の大半が痴漢なわけではない • 鉄道会社(Ruler)の努力の過程ではあるが、それは最終結論ではない

  9. 10・男女の問題を考える レディースデーの問題点 • レディースデーを決めたRulerはだれだろうか? もし性別を問い詰めればどうなるだろうか? • 私企業の利潤追求だからかまわない、のか? だとすると、結婚退職のリスクがあるから女性は採用しない、という私企業のスタンスも肯定されることになってしまわないか?

  10. 10・男女の問題を考える 過渡期の現象としての過平等 • そもそも男女平等(あるいはマジョリティ-マイノリティ間平等)は、嘘くささが否定できない • 男女、民族といった、根源的に差異を前提とする区分間にどうやって平等が実現できるのか? • しかしながら、実際にある格差=不平等を解消するために、戦略的にaffirmative action(積極的差別是正措置)=過平等をとることは認められるべきだろう • ただし、それは「男女区別なし」「民族区別なし」へ至る過渡的な状態であって、恒常化してよいものではないし、常に逆差別に陥ることへのチェックを怠ってはならない • 就職枠など利権のようなものが絡むならなおさら

  11. 10・男女の問題を考える ジェンダーフリーと誤解(1) • 本来のジェンダーフリーは、血液型との比較で出したような「男女区別なし」を指す • 男女のいずれかに限定することに合理性がない、あるいは、男女に着目することに合理性がない場合に、男女を「区別しない」ことを指す • 一部のジェンダーフリー反対論者がいうように「なんでも男女の差はなくしてしまえ(男女別トイレはなくせとか、ひなまつりをなくせとか)」ということではない • 男性であること・女性であることから、自己のアイデンティティの一部を形成することにはなんの問題もない:個性としての「性」は否定しない • ランドセルはやっぱり赤がいいなあ vs ランドセルは赤じゃ嫌だ……どちらも個性として認められるべき

  12. 10・男女の問題を考える ジェンダーフリーと誤解(2) • 一方、「個性」としての性について、「社会的な男らしさ・女らしさが与える枠=ジェンダー規範」に従わない権利を認めるかどうかが焦点となる • ここで一般にジェンダーフリー反対論者は「それ=度が過ぎた個性は認められない」という見解を示す cf. ジェンダーフリー賛成論者は当然ながらその権利に対して肯定的 • その根拠として「男らしさ・女らしさ」は生得的=自然なものに基づいており、それに逆らうことは自然の秩序を乱す、人為的な反逆・わがままである、という点が持ち出される • では、本当に「男らしさ・女らしさ」は生得的な性に基づいているのだろうか?

  13. 10・男女の問題を考える ジェンダーとラベル貼り • 生物的・肉体的な差異に基づく性差=セックス • 社会的・心理的な差異に基づく性差=ジェンダー • 「性」に関するラベルは、「男・♂」か「女・♀」か、いずれかしか認められていない • それは、自然界の性=セックスが、♂♀の二項から成り立っていることを基盤にしている、と了解されている(=自然は文化に先立つ・自然優先) • そこで、自然界の♂・♀に対応した「男」「女」を誕生時から与えられ、それに従って育てられる→「セックスに基づいたいずれかのジェンダー」を身につけさせられることになる →ところが、自然界の性別はそれほどきっぱり分かれていない

  14. 10・男女の問題を考える 「セックス」の連続性(1)遺伝子レベル • 遺伝子レベル・ホルモンレベル・内性器/外性器レベルで考えてみる • 遺伝子レベル(=性染色体)は、卵子起因のXと、精子起因のXもしくはYとから、XX=♀、XY=♂というのが、ヒトの場合「正常」とされる • しかしながら、大多数はこの原則に一致しているが、一定数ここからはずれた性染色体を持つヒトが存在する(XXX=超女性、XYY=超男性、XXY=クラインフェルター症候群、XO=ターナー症候群)など • こうした「あいまい」「いずれにも属さない」セックスが存在するということは重要である

  15. 10・男女の問題を考える 「セックス」の連続性(2)ホルモン~性器レベル • 発生(受精卵が個体になる過程)では、胎発生時すべての受精卵は♀の身体機能を持っている……ヒトはもともとみんな♀である • そこに、特定のホルモンシャワーを浴びることで、♂機能が分化するが、ときに「男性外性器の矮小化」「女性外性器の肥大化」「両性具有」などの現象が生じる場合がある。 • この場合、出生児にしばしば「性別誤認」が起こり、通常第二次性徴期にそれが判明する

  16. 10・男女の問題を考える セックスの連続性とジェンダーの非連続性 • このように、セックスは本来連続的である(きっぱり分かれていない)にもかかわらず、ジェンダーはそれを断ち切って「男」か「女」かの二者択一を要求する • そして、なんらかの理由で、いずれかへのジェンダーの帰属を拒否する者に対しては、「異物」の烙印をおすことになる。 • 民族が、それを「新たな民族の独立」というかたちで許容するのに比べ、「新たな性の独立」はそれがきわめて困難である

  17. 10・男女の問題を考える ジェンダー問題を考える前提 • 男 vs女という二項対立は、問題の根っこを覆い隠してしまう可能性がある • ひとつには、男の中の差異、女の中の差異を塗りつぶしてしまうという点で(過度の単純化) • もうひとつには、男・女という枠組からはみ出してしまうひとびとを無視する点で……性同一性障碍をはじめとするさまざまな事例

  18. 10・男女の問題を考える アイデンティティとしての性 • もし性がアイデンティティの重要な部分を占めるとするならば、なおのこと「多様な性」を容認するべきではないのか? • 他人の「らしさ」を受け容れる、自分の「らしさ」基準を押しつけない……どっかで聞いたことのあるフレーズ? • 文化相対主義の問題とジェンダーの問題は、この点において交錯する • 男らしさ・女らしさと、その人らしさ(個性・アイデンティティ)は、どちらが優先されるべきだろうか? • 男らしさ・女らしさは〈文化的ひと〉に先立つ〈生物的ヒト〉に基づくものだから優先されるべき? • 男・女という社会的区分自体、文化的=後天的なものなのだから、より根源的な〈個〉としてのその人らしさが優先されるべき?

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