1 / 17

“ プール熱 ” の呼称を止めよう!

“ プール熱 ” の呼称を止めよう!. 2006 年 12 月 3 日 鳥取市. 平成18年度鳥取県小児保健総会. 誤解をされ易い. : 秋に流行したアデノウイルス感染症を基に. 国民健康保険 智頭病院 小児科. 大谷恭一. ohtani@hello.ne.jp. はじめに. (共通理解). アデノウイルス感染症   咽頭結膜熱   アデノウイルスによる急性咽頭炎. アデノウイルス感染症の臨床像 1. 発 熱. 球結膜の充血 眼脂. 咽頭結膜熱. 咽頭痛. 嘔吐 下痢. 急性咽頭炎. 急性胃腸炎 感染性胃腸炎. 急性気管支炎 急性肺炎.

lukas
Download Presentation

“ プール熱 ” の呼称を止めよう!

An Image/Link below is provided (as is) to download presentation Download Policy: Content on the Website is provided to you AS IS for your information and personal use and may not be sold / licensed / shared on other websites without getting consent from its author. Content is provided to you AS IS for your information and personal use only. Download presentation by click this link. While downloading, if for some reason you are not able to download a presentation, the publisher may have deleted the file from their server. During download, if you can't get a presentation, the file might be deleted by the publisher.

E N D

Presentation Transcript


  1. “プール熱”の呼称を止めよう! 2006年12月3日 鳥取市 平成18年度鳥取県小児保健総会 誤解をされ易い : 秋に流行したアデノウイルス感染症を基に 国民健康保険 智頭病院 小児科 大谷恭一 ohtani@hello.ne.jp

  2. はじめに (共通理解) アデノウイルス感染症   咽頭結膜熱   アデノウイルスによる急性咽頭炎

  3. アデノウイルス感染症の臨床像 1 発 熱 球結膜の充血 眼脂 咽頭結膜熱 咽頭痛 嘔吐 下痢 急性咽頭炎 急性胃腸炎感染性胃腸炎 急性気管支炎急性肺炎 出血性膀胱炎 血尿 合併症 不機嫌嘔吐血便 急性中耳炎 腸重積症 乳幼児

  4. アデノウイルス感染症の臨床像 2 入院 合併症 外来点滴 脱水症 ++あり+結膜充血なし ++咽頭発赤+ - 咽頭結膜熱 急性咽頭炎 重症 発熱:持続 発熱:一晩 軽 症 発熱:無 不顕性感染 ~ 無症状

  5. アデノウイルス感染症の説明 保育園・保護者用 1 アデノウイルスによる感染症は、病状が多様です。夏季を主として、 “夏風邪” の一つとして、咽頭痛・発熱(39℃以上の高熱)を来たす急性咽頭炎が流行します。結膜炎を伴う場合が咽頭結膜熱です。 プール学習の時期に一致した流行があるため、プール熱との呼称があります。他の先進国ではプール熱の呼称はありません。 じゃれあったり、タオルを共用することによる感染があります。 近年は水質管理(塩素消毒)がなされているので、 プール水を介した感染は減っているはずです。

  6. アデノウイルス感染症の説明 〔1〕 ノドを保護すること  (こまめに飲水、のどを潤す、こまめなうがい) 〔2〕 手洗いに努めること 〔3〕 タオルの共用をしないこと 〔4〕 プールの前後に、シャワーで十分に洗い流すこと 保育園・保護者用 2 診断しても特効薬がありません。 感染様式は、飛まつ感染(セキによる感染・つばを飛ばすことによる感染)や接触感染です。 流行期の対応策

  7. アデノウイルス感染症の説明 保育園・保護者用 3 咽頭結膜熱の診断をした際は、 学校保健法(第二種伝染病)の規定で 出席停止となります。 主要症状が消退した後2日を経過するか、 本人の病状・体調により登校許可証を書きます。 保育園児の場合も上記に準じて対応します。 アデノウイルス感染による 咽頭炎と発熱があり、 結膜炎の所見がない場合は、 一般的な風邪などと同様の扱いになります。 本人の体調により、集団生活の再開を決めます。

  8. 咽頭結膜熱の流行状況 例 20 15 10 ■ ■ 5 ■ ■ ■ 0 週 18 21 24 27 31 33 36 38 40 43 H18 5/1 6/5 7/3 7/31 9/4 10/2 10/23 ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ~ 鳥取県東部地域と当院の状況 ~ 智頭病院におけるアデノウイルス陽性例

  9. アデノウイルス陽性例の概要 ○ ○ ○ 智頭病院における No 検査日 歳-月 性 最高℃ 発熱 入院 ?泊 抗生剤 1 09/24 2-06 男 41.2 4晩 入院 2 CLDM 2 09/27 2-11 女 41.5 6 入院 2 CLDM 3 10/03 6-11 男 40.4 5 外来 - - 4 10/03 6-02 女 39.8 4 入院 3 - 5 10/04 3-04 男 39.6 6 入院 1 - 6 10/04 6-02 女 39.4 4 外来 - - 7 10/06 3-11 男 40.5 4 入院 1 - 8 10/11 9-01 男 38.3 ・・ 外来 - - 9 10/16 8-08 男 39.1 5 外来 - - 10 10/17 4-03 女 39.4 6 外来 - - 11 10/18 6-04 男 40.0 4 外来 - - 12 10/26 7-01 男 40.5 5 外来 - -

  10. 自験例 2 生活歴 : 今年度、町内の3歳未満児保育園に入園 現病歴 : 中耳炎により、耳鼻科を通院中で、抗生物質(CDTR-PI)を内服中であった。 9/23 発熱にて初診 局所所見なく、ウイルス感染症(ウイルス血症)と診断。9/25 発熱が持続するために再診。咽頭発赤なし。その後、最高41.5℃に至り、9/27、第5病日に再診。(耳鼻科からの抗生物質はAMPCに変更され内服していた。) 咽頭発赤があり、迅速診断を実施。アデノウイルス 陽性、溶連菌 陽性。 結膜 充血 軽度 41.5℃に及ぶ高熱を呈しており、入院とした。 入院時診断 : アデノウイルス感染症、 急性咽頭気管支炎(咽頭結膜熱)、 溶連菌感染症(疑) 2歳11か月  女児 1

  11. 自験例 2 検査 : 咽頭ぬぐい液 アデノウイルス:陽性 CRP 4.6 mg/dl、 WBC 7,520 /μl、Plt 35.0万/μl、Hb 13.0 g/dl、GOT 23、GPT 10、LDH 306 IU/l、BUN 6.5、Cr 0.2 mg/dl 入院経過 : 持続点滴とし、CLDMを使用した。  入院翌日には解熱したが、保護者の願いで、さらに1泊の入院経過観察とした。 入院期間 : 9/27 → 9/29 2泊3日 発熱期間 : 6日間 2歳11か月  女児 2

  12. 自験例 5 生活歴 : 町内の3歳未満児保育園に在園中 現病歴 : 9/29 夜 発熱。10/1(日)急患診療所を受診し、抗生物質(内服 CFDN、点眼 LVFX)を処方された。 10/2 発熱が持続するため、当科初診 咽頭発赤、結膜充血を認め、咽頭結膜熱と診断。 10/4 朝から寝ていて起きないとのことで再診 飲水しないとの訴えで、入院対応とした。  アデノウイルス迅速検査 : 陽性 入院時診断 : アデノウイルス感染症、 咽頭結膜熱 入院経過 : 入院翌日に解熱し、退院とした。 発熱期間 : 6日間 3歳04か月  男児

  13. 自験例 7 生活歴 : 町内中心部の保育園に在園中 現病歴 : 10/2 咳嗽出現、10/4 夜 38.5℃の発熱 10/5 深夜、不機嫌で、38.5℃。解熱剤の坐薬を使用し、朝は37.8℃だった。 10時、初診時に40.5℃あり、咽頭発赤を認めた。  アデノウイルスの迅速検査を実施し、陽性。  なお、溶連菌は陰性だった。 10/7(土) 飲水・尿量が低下し、発熱が続くため、20:10に救急受診し、入院とした。 入院時診断 : アデノウイルス感染症、 急性咽頭炎 入院経過 : 入院翌日急激に解熱し、退院とした。 発熱期間 : 4日間 3歳11か月  男児

  14. 水泳プールの水質基準 出典:学校保健マニュアル(南山堂) 学校保健法  昭和33年4月10日 学校環境衛生に関する指針  平成4年6月23日 水質 1)水素イオン濃度 2)濁度 3)遊離残留塩素 4)有機物等(過マンガン酸カリウム消費量) 5)総トリハロメタン 6)大腸菌群 7)一般細菌

  15. 水泳プールの水質基準 出典:学校保健マニュアル(南山堂) 水泳プールの管理 1 プール水は、衛生的であるか、また、 水中に危険物や異常なものがないこと (1) 遊離残留塩素は、  プール使用前及び使用中  1時間に1回以上測定し、  その濃度は、どの部分でも0.4mg/L以上保持されていること。また、1.0mg/L以下が望ましい。

  16. 結語 1 アデノウイルス感染症の流行は、夏季に限定しない。 プール学習をしない秋にも流行する。 咽頭結膜熱は、アデノウイルス感染による臨床病型の一つに過ぎない。 病因が不明であった当時、かつ、わが国にプールが普及し始めた当時、a.水質管理基準が不徹底で、b.シャワー設備も整わず、さらに、c.タオルを共用するなど、感染防御に係る方策が不徹底であった。 そうした状況下で、球結膜充血を伴い高熱を呈する病態が特異であることから、咽頭結膜熱は、わが国では“プール熱”の呼称が一般社会に浸透した。

  17. 結語 2 プール学習に伴う感染防御体制が向上している今日、“プール熱”の呼称は、誤解を招きやすい。 咽頭結膜熱の病名も、単に、病巣の範囲を臨床診断したに過ぎず、本態はアデノウイルス感染症である。 学校伝染病において咽頭結膜熱を特別に扱うことにも限界がある。 *診察医が登校を許可する基準は、「主要症状が消退した後2日を経過するか、本人の病状・体調による」とされている。後者は感染症全般に共通する。 *結膜充血が極軽微な例の扱いも問題である。 誤解をされ易い“プール熱”の呼称を止めよう!

More Related