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極端紫外分光による 木星内部磁気圏の観測. 2009 年 07 月 08 日 ISAS STP seminar 東大 / 吉川研 / 吉岡和夫. Contents. Introduction 極端紫外光( EUV )を用いた観測 EUV スペクトルを用いた温度・密度パラメタの導出 木星内部磁気圏 - 研究の動機 - 極端紫外分光器の開発 EXCEED 主鏡 回折格子 検出器 MCP with photocathode RAE 防護壁 Model spectrums 解析手法 EUV スペクトルを用いた電子温度、密度の導出 今後の課題
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極端紫外分光による木星内部磁気圏の観測 2009年07月08日 ISAS STP seminar 東大/吉川研/吉岡和夫
Contents Introduction 極端紫外光(EUV)を用いた観測 EUVスペクトルを用いた温度・密度パラメタの導出 木星内部磁気圏 -研究の動機- 極端紫外分光器の開発 EXCEED 主鏡 回折格子 検出器 MCP with photocathode RAE 防護壁 Model spectrums 解析手法 EUVスペクトルを用いた電子温度、密度の導出 今後の課題 パラメタ決定精度の確定 CASSINI探査機のデータの解析 2 Chap. 0 : CONTENTS
Contents • Introduction • 極端紫外光(EUV)を用いた観測 • EUVスペクトルを用いた温度・密度パラメタの導出 • 木星内部磁気圏 -研究の動機- • 極端紫外分光器の開発 • EXCEED • 主鏡 • 回折格子 • 検出器 • MCP with photocathode • RAE (←本日のメイントピック) • 防護壁 • Model spectrums • 解析手法 • EUVスペクトルを用いた電子温度、密度の導出 • 今後の課題 • パラメタ決定精度の確定 • CASSINI探査機のデータの解析 Chap. 0 : CONTENTS
MCPとRAEを組み合わせたEUV検出器 • 2次元EUV検出器 • MCPの入射面で光を電子に変換し(光電効果)、107倍程度に増幅する。 • 電子雲の落下位置を、RAEで読み取る • SELENE/UPI/TEXでも用いられた • 3段MCP (~0.1 pC) • 7 bits分解能(128×128 pixels) MCP + RAEアッセンブリの模式図 MCP + RAE (PHEBUS/BBM) RAE : 抵抗値1~100 k Ohm Chap.2 : 飛翔体搭載に向けた極端紫外分光器の開発
Q = Q1 + Q2 電子雲 (~1 pC, 107 ele.) 1-D RAE Q1 Q2 L1 L2 電荷・電圧変換(Q V) ADC ADC Analog to digital converter 14 bits 位置演算(FPGA) MCPとRAEを組み合わせたEUV検出器~10bitsの分解能を目指す~ • RAE (Resistive Anode Encoder) • (セラミック基板+RuO2)でできた、面抵抗体の位置検出素子 • 1次元の場合(左下図) • とても単純 • 2次元の場合(右下図) • 基本的には1次元と同じ • 周辺抵抗値を面抵抗よりも軽くすることで電場を平行に保ち、像のゆがみを抑える L (x,y) L Chap.2 : 飛翔体搭載に向けた極端紫外分光器の開発
2次元RAE MCPからの電子雲が作る電場の時間変化~線抵抗を小さくする必要性~ 面抵抗と線抵抗が同じ値だと電場が乱れ距離に反比例した電荷配分にならない Chap.2 : 飛翔体搭載に向けた極端紫外分光器の開発
RAEの開発のポイント 目標 10 bits (1024 * 1024 pixels)の分解能 SELENE/UPI/TEXは7 bits 考えるべきこと(開発のPoint) 浮遊容量によるパルスの遅延 RAEと周辺の物質(MCP, 接地面)との間には10 pF程度の浮遊容量が生じる。 電極に到達するパルスに遅延が生じる。 各電極に接続されたチャージアンプが十分に電荷を積分しない。 演算結果が淵側に集中する。(落下位置と演算結果が1対1対応しなくなる) 従来の使用方法では無視できるレベルだったが、10 bits分解能を達成するためには注意が必要。 RAEの模擬回路(1次元) 電極に到達する電荷量の時間変化 (シミュレーション結果) 抵抗値、浮遊容量が大きいほど遅延が顕著になる 7 浮遊容量小 浮遊容量大 Chap.2 : 飛翔体搭載に向けた極端紫外分光器の開発
RAE 抵抗値と浮遊容量 1 浮遊容量 セラミック基板を薄くする → 1mm (minimum) 抵抗値 塗布する抵抗体物質(RuO2)の量を増やすことで、抵抗値を小さくする。 総電荷が極に到達するまでにかかる時間 [μs] 各抵抗値、浮遊容量において電極に到達する電荷量の時間変化 浮遊容量を10pFと仮定すると、一般的に飛翔体搭載に用いられるチャージアンプ(Amptek/A225)の放電時定数(2.4 us)よりも十分速いパルスを生成するためには10 k Ohmが上限となる。 抵抗値は小さければ小さいほどよい・・・? 8 Chap.2 : 飛翔体搭載に向けた極端紫外分光器の開発
RAE 抵抗値と浮遊容量 2 抵抗値の下限 –チャージアンプ入力インピーダンスの測定- すべての入力周波数において100 Ohm以上 RAEの抵抗値が大きいほど、チャージアンプの入力インピーダンスの影響(オフセット効果)が小さくなる。 RAEの抵抗値が10 k Ohmのとき、入力パルス幅が約0.5 usになるため、入力インピーダンスは200 – 300 Ohmと最小になる。 このとき、RAEの抵抗値と入力インピーダンスの比も最大になる。 A225Fの入力インピーダンス周波数特性 基板厚さ1mm, 面抵抗値10 k Ohmが最適と結論 (現在試作品製造中) 9 Chap.2 : 飛翔体搭載に向けた極端紫外分光器の開発
Contents Introduction 極端紫外光(EUV)を用いた観測 EUVスペクトルを用いた温度・密度パラメタの導出 木星内部磁気圏 -研究の動機- 極端紫外分光器の開発 EXCEED 主鏡 回折格子 検出器 MCP with photocathode RAE 防護壁 Model spectrums 解析手法 EUVスペクトルを用いた電子温度、密度の導出 今後の課題 パラメタ決定精度の確定 CASSINI探査機のデータの解析 10 Chap. 0 : CONTENTS
極端紫外光(EUV)を用いた観測 • EUV (Extreme Ultraviolet) • 30 – 150 nm (8 – 40 eV)(人によってはFUVともいう?) • 希ガスを含め、様々な原子やイオンの輝線のうち、発光効率の高いものが多く存在する • HeII 30.4, NeI 73.4, SIII 68.0 nm, HI 121.6 nm,etc. • 太陽光共鳴散乱、電荷交換等、電子衝突 • 地球大気に吸収されるため、宇宙空間からの観測が必須。 • 過去のEUVによる惑星観測の例(の一部) • Voyager 1(探査機), 1977, フライバイ観測により水星・金星大気中に含まれるHe, H, Oを定量 • EUVE(天文衛星), 1992, 地球周回から火星大気中に含まれるHeIを定量 • Planet-B, 1998, 火星に向けた航行の途中で地球のプラズマ圏(HeII)を撮像 • Cassini, 2004, フライバイ観測により木星近傍のプラズマ圏(HeII)を分光撮像 • SELENE/KAGUYA, 2007~, 月周回から地球のプラズマ圏(HeII, OII)を撮像 これまでEUVは惑星大気及びプラズマの定量、撮像の手段として用いられてきた。 Chap. 1 : INTRODUCTION
EUVによる温度・密度導出 • EUVスペクトルから電子温度・密度を求める • 電子衝突による輝線強度は • 原子の密度 • 背景電子の温度 • 背景電子の密度 に依存する。 • 原子、イオンが複数の波長の輝線を発する。 • 観測で得るスペクトルから、フィッティングによりプラズマのパラメタを導出できる。 例: 2価硫黄が放出する4種類の輝線の、背景電子温度と強度の関係 この手法を用いて木星内部磁気圏の電子温度・密度を導出する。 Chap. 1 : INTRODUCTION
木星 ~ターゲットとしている物理~ * 双極子磁場@赤道面 ** 1 AU = 1.5E+8 km ~ 2000 RJ 木星は地球と比べて、大きい・早い・プラズマ供給源がある。 さらに太陽からも離れている 木星内部磁気圏は閉じた状態(回転系)であると考えられてきた。 Chap. 1 : INTRODUCTION
木星内部磁気圏と衛星イオ 木星内部磁気圏 木星の磁気圏のうち内側10RJ程度までの共回転領域を内部磁気圏と呼ぶ 衛星イオとイオプラズマトーラス 5.9RJ付近を周回する衛星イオの活火山から中性硫黄、酸素および硫黄酸化物が放出されている 放出された中性粒子は背景電子とのクーロン衝突と電荷交換反応によりイオン化し、相対速度58.2 km/sで回転する木星磁場に捉えられる(ピックアップエネルギーを得る) イオンの温度は~100 eV(観測値) イオンは電子との衝突によりエネルギーを失う。 イオトーラス内の電子は~5 eV(観測値) 何らかの加速機構により加熱された高温電子(~100 eV)も存在する イオンと電子の衝突励起に伴う発光および動径方向の拡散、高速中性粒子の拡散過程によりエネルギーが失われる 内部磁気圏 エネルギー放出 Fast neutral Neutrals (Pick up) エネルギー供給 Ions (S+, O+, etc.) Transport エネルギー放出 Core electrons UV radiation エネルギー放出 ??? エネルギー供給 Hot electrons Chap. 1 : INTRODUCTION
これまでの衛星観測 これまでの衛星観測(の一部) Voyager 1, 2 粒子観測機、紫外線分光器 GALILEO 電波観測機、粒子観測機 CASSINI 電波観測機、紫外線分光器 IUE, HUT, HST 紫外線 問題点 その場観測 空間変化把握困難 低温(~eV)電子温度測定困難 断片的観測 時間変化把握困難 宇宙望遠鏡 検出効率が低い 観測割り当て時間が短い(天文がメイン) Voyager 1の軌道 Voyager 探査機の粒子観測機によって得られた電子温度、密度の動径分布 (Sitteler and Strobel, 1987) CASSINI/UVISによる観測 EUVスペクトルから求めた電子温度、密度の分布(Steffl et al., 2004) CASSINIによる観測はこの1例のみ 数eVの電子温度分布および数100 – 1000 eVの高温電子の存在を示唆。ただし1パスのみ。 ☆より長期的、断続的な分光撮像観測が必要。 Chap. 1 : INTRODUCTION
Contents Introduction 極端紫外光(EUV)を用いた観測 EUVスペクトルを用いた温度・密度パラメタの導出 木星内部磁気圏 -研究の動機- 極端紫外分光器の開発 EXCEED 主鏡 回折格子 検出器 MCP with photocathode RAE 防護壁 Model spectrums 解析手法 EUVスペクトルを用いた電子温度、密度の導出 今後の課題 パラメタ決定精度の確定 CASSINI探査機のデータから・・・ 16 Chap. 0 : CONTENTS
地球周回小型衛星からのEUV観測 • 地球周回の小型衛星 –EXCEED- • 2012年打ち上げの小型衛星シリーズ1号機 • 1年以上の観測期間 • 高波長分解能分光撮像 • 0.3 nm FWHM, 10 arcsec. • EXCEEDの構成 • 主鏡 • 回折格子 • 検出器 • 防護壁 ⑤ ④ ① ③ ② Chap. 2 : 飛翔体搭載に向けたEUV観測機の開発
① 主鏡 ~反射率向上に向けて~ 光学設計を制約する(相反する) 2つの要求 受光面積を大きく 収差を小さく(60 um以下) 直径20cm, 入射角5.4度, F値8が最適と結論 収差を抑える条件からF/8、軸外し角5.4度が決まる。 上記の条件で、現実的な衛星の大きさを考えると、自ずと主鏡直径が制約される。 (本日は光学設計に関しては触れず、結論のみ掲載) 高反射率が期待できる材質の候補として、Pt, Sic, Siを検討した。 過去の衛星計画で用いられてきた一般的な材料 広い波長帯を観測するEXCEEDにとって多層膜は不向きなので評価対象から外した Pt 02% @30.4 nm 22% @58.4 nm 15% @83.4 nm Si ---% @30.4 nm 02% @58.4 nm 15% @83.4 nm SiC 00% @30.4 nm 13% @58.4 nm 30% @83.4 nm
CVD-SiCの反射率 • 上記3種類のサンプルでは不満・・・ • CVD-SiCを新たに検討 • CVD • 材料物質(SiO2, H2, CH4, etc.)の封入環境下で基盤を熱することで化学反応エネルギーを与え、基板上に選択的にSiCを蒸着する。(→高純度なSiC) • これまで斜入射光学系に主に用いられてきた。 • 面粗さを0.5 nm以下に抑えることで直入射光学系に対応可能にする。 • どこにお金と時間をかけるか?というところ・・・ CVD-SiC サンプル 面粗さと反射率の関係 □ 短波長ほど致命的 □ 直入射ほど致命的
CVD-SiCの反射率測定 他の材質よりも2倍以上の高反射率を達成 直達光強度と反射光強度を比べる CVD-SiCを用いれば直入射でも30 – 50%の反射率を得られる
② 回折格子 回折格子に求める性能 空間分解能、波長分解能をそれぞれ10 arcsec, 0.3 nm FWHMに抑える +1次光の回折効率が60 – 145 nmの波長範囲において一様に高い 他の次数の光及び散乱成分が少ない これらを満たす最適な回折格子として ホログラフィック製法によって作るラミナー型トロイダル回折格子が最適である 光の干渉を利用して感光体を除去し、イオンスパッタにより溝を作る。機械を用いた掘削に比べて迷光成分が少ない 最適な溝深さを選べば、+1次光の回折光強度が最大になる ○ 理論式からできること・・・ 最適な形状の決定 最適な線密度の決定 ← 波長分散 ← 検出器の大きさ及び分解能 最適な線深さの決定 ○ 実測が必要なこと・・・ CVD-SiC基板へのホログラフィック手法での溝作成は世界でも過去に例がない。 → 実際にどの程度の回折効率が得られるか、どの溝深さが最適か、はわからない。 サンプルを用いた回折効率の実測が必須 ☆ 主鏡用のサンプルに溝を作った。 さまざまな溝深さにおける正弦波型回折格子とラミナー型回折格子の+1次光回折効率
CVD-SiC回折格子評価 • +1次光回折効率 • 溝深さ8, 15, 20, 22, 26, 39 nmのサンプルを用いて+1次光回折効率を測定 溝深さ22 nmが最適という結論を得た。 絶対値が理論値よりも低い → 完全に垂直なラミナー型になっていないことが原因
③ MCP(Micro channel plate) MCP -微小な電子増倍管の集合- 直径10um程の鉛ガラス製の電子増倍管を数百万本束ねて輪切りにした構造。 管の内壁との衝突を繰り返して電子を増倍する。 増倍の効率化のために、管に一定の俯角(バイアス角)をつける。 一本一本が独立した増倍管なので、全体として2次元の像を得られる。 入射面に光電物質を蒸着すれば、量子効率が向上するはずである。 極端紫外光は適当な窓材がないため、真空管内でなく入射面上に直接蒸着しなくてはならない。 最適な蒸着条件や、保管・取り扱い方法は確立されていない。 23 Chap.2 : 飛翔体搭載に向けた極端紫外分光器の開発
実験結果(CsI) 30~84 nm 105~135 nm 光電物質を蒸着していない領域とCsI, KBrを蒸着した領域における量子効率の比をとった。このときの入射角は13度である。 光電物質の光学定数を用いて2次電子再放出確率の入射角依存性を計算した。(実線) さらに、実験により確認した。 その結果、長波長側では特に効果が大きいことがわかった。 入射角依存性を考慮し、チャンネルの俯角を20度とすれば、1.5倍から数10倍の量子効率が達成できる。
EXCEED全体としての検出効率 各部位(主鏡・回折格子・検出器)の効率を掛け合わせる EXCEEDの有効面積 EXCEEDの検出効率(赤線) CASSINI/UVISの有効面積 Esposito et al., 1996 CASSINI/UVISに比べて300倍の有効面積(約3倍の検出効率)を達成
Contents Introduction 極端紫外光(EUV)を用いた観測 EUVスペクトルを用いた温度・密度パラメタの導出 木星内部磁気圏 -研究の動機- 極端紫外分光器の開発 EXCEED 主鏡 回折格子 検出器 MCP with photocathode RAE 防護壁 Model spectrums 解析手法 EUVスペクトルを用いた電子温度、密度の導出 今後の課題 パラメタ決定精度の確定 CASSINI探査機のデータの解析 26 Chap. 0 : CONTENTS
EXCEEDによる木星磁気圏観測 過去の観測で得た情報(電子密度・温度・イオン組成)を元にEXCEEDで得られるスペクトルを予想 イオンと電子が衝突することによる発光を電子の温度、密度、およびイオンの密度を入力パラメタとして計算。 輝線波長、発光効率の情報: CHIANTIデータベース 電子密度・温度 イオン組成を仮定 平衡状態を仮定して各イオンからの輝線発光量を計算 EXCEEDの観測視野と波長毎の検出効率、および装置関数を定義して取得するスペクトルを作成 例:木星から6.3倍木星半径の位置でのスペクトル 積分時間:1時間 視野角:30” * 30”
発光量の導出方法 電子密度・温度、イオン組成を仮定 SII, SIII, OII, etc. イオン-電子間クーロン衝突および輝線発光によりイオンのエネルギー順位が遷移する。 各エネルギー準位間で交換平衡状態を仮定(平衡方程式よりエネルギー準位毎の存在確率”Nj”が求まり輝線強度を導出可能。) ある波長における輝線強度 アインシュタイン係数Aij(輝線発光確率)を用いて各波長ごとの単位体積当たりの輝線発光量を算出 視線方向に一様に分布する仮定から、1 cm2当たりの発光量を求める
EXCEEDによる木星磁気圏観測(1時間露光) 代表的な輝線の強度比から電子温度を特定 電子温度に敏感な輝線と鈍感な輝線を比べる SIII1191A SIII700A SIII1191A SIII680A ΔTE= 0.5 eV, Δt = 1 hを達成
EXCEEDによる木星磁気圏観測(1時間露光) 同一イオンの代表的な輝線の強度比で高温電子存在率を特定 TC = 5 eV TH = 100 eV SIII1191A SIII700A SIII1191A SIII680A ΔfH= 1 %, Δt = 1 hを達成
EXCEEDによる木星磁気圏観測(まとめ) 目標とする物理 木星内部磁気圏に存在する高温電子の流入現象 アプローチ 地球周回衛星からの極端紫外分光撮像 解析方法 スペクトルから電子温度、密度、イオン組成を同定 得られる結果 動径方向の電子温度分布の時間変化から、高温電子の流入経路を同定する。 尾部リコネクション領域(~100RJ)から内部磁気圏まで10~100時間 1時間分解能でスナップショットを撮れば、輸送過程を捉えられる。 TE, TH, FH, etc.
課題 • 試作品の性能評価 • RAE • Photocathode • EXCEEDの観測による物理パラメタの決定精度を明確にする。 • 複数のパラメタ(電子温度・高温電子存在率・高温電子温度・各種イオン密度)を含む逆問題 • S/Nの評価 • Cassiniの取得情報を用いて同様の解析を試みる。 • オーロラの発光強度との関係 • 高温電子温度の存在確率
最適な抵抗値(比)の設定 • 辺に曲率を持たせる • 線抵抗値と面抵抗値にある関係性を持たせることで、平行な電場を作る。 I [A/mm] A B 2つの経路の電位差が等しくなる条件・・・ Δθ a 面抵抗 r [Ω] 線抵抗 R [Ω/mm] 半径 a [mm]
静電容量の測定 • ブリッジ回路を作成 • 既知の抵抗(2つ)とコンデンサ(1つ)を用いる。 • ファンクションジェネレータから正弦波を送る。 • コンデンサと抵抗の間の電位差を測る。(イヤホンで・・・) • C : C_MCP = R1 : R2となれば電位差は0になる。(音が聞こえなくなる)
入力インピーダンスの測定 • 測定対象のエレキの入力側に1pFのコンデンサを直列に接続する。 • ファンクションジェネレータから正弦波を入れる。 • 1pFのコンデンサのインピーダンスを計算で求める。 • エレキへの入力振幅を測り、1pFコンデンサにかかる振幅との比からエレキのインピーダンスを求める。 V1 V2 V, f 被測定エレキ 1 pF F.G.
– CVD-SiC coated mirror and grating - • 極端紫外光実験 • 面粗さ0.3~0.5 nmのサンプル • 反射率測定@入射角10.4 degree. • 回折効率(+1次光)測定 4通りの溝深さを試す。 (計算だけではわからない製造過程の交差も含めて評価するため)
木星のオーロラ -光っているのはイオトーラスだけじゃない-木星のオーロラ -光っているのはイオトーラスだけじゃない- • 1979年にVoyager 1/UVSによる観測で発見 • HSTのUVカメラで高空間分解能観測。双極子磁場モデルを仮定してフットプリントを15RJ付近と推定。(Clarke et al., 1998) • オーロラ発光のエネルギー源として磁気圏電子は十分か? • オーロラ発光から見積もる放射エネルギーと中間磁気圏での電子エネルギーの比較(Bhattacharya and Thorne 2001)(次項) 15 RJ
木星オーロラ発光の起源 • ピッチ角分布 • 10RJまではオーロラ発光に寄与できない • 15 – 30 RJあたりのピッチ角分布はオーロラ発光に最適 • Loss cone内の電子エネルギーを足すと、2 erg/cm2/secのフラックスに相当(18.4RJ) • 振込み電子の分布 • フラックスを動径方向に積分すると、40 – 100 erg/cm2/secとなり、オーロラ発光(~ 100 erg/cm2/sec)と同等になる 18.4RJにおける電子エネルギー分布 木星からの距離とピッチ角分布 (15 ~ 29 keV) エネルギーフラックス動径方向のプロファイル ロスコーン内外を区別
木星磁気圏と太陽風 • Control of Jupiter’s radio emission and aurorae by the solar wind, D.A. Gurnett et al., 2002, Nature • 2000年にCASSINI探査機が木星をフライバイした際に、当時周回軌道にいたGalileo衛星と同時観測することにより、太陽風と木星磁気圏(オーロラ)との応答を観測的に確認した。 • CASSINI: RPWS, MAG, CAPS, UVIS • GALILEO: PWS
木星からの電波放射 • CASSINI探査機がとらえた木星磁気圏からの電波放射 • 0.5 – 5.6 MHzの放射 • フットプリントが内部磁気圏領域 • イオ起源の”特徴のある”放射と区別 • 電波放射強度を時系列に。CASSINIとGALILEOが同時観測。 • 0.5 – 5.6 MHzの電波放射を1木星日(9h55m)で平均化 • 3つの特徴的なイベントを確認 • そのうち前者2つはGALILEO搭載の磁力計で検出したショックイベントと同期していた。 • 残りの1つは、同期せず。GALILEOが磁気圏内部に入っていたためか。
1つ目のイベントについて • CASSINI/MAG • 太陽風磁場強度 • ショックを明確に検出! • CASSINI/CAPS • 太陽風イオン密度 • ショック下流の高密度イオンを検出! • GALILEO: PWS • 電波放射強度(1時間平均値) • CASSINIから約16時間遅れてガリレオ探査機にもショックが到達!! • 伝播速度721 km/s • ショックとして典型的な速度らしい • CASSINI/UVIS • オーロラの極端紫外(110.8 – 113.1)発光強度 • 電波放射強度と同期!!
2つ目のイベントについて • イベントB近傍のGALILEO/PWSのデータ • Trapped continuum radiation “fp”の有無で磁気圏内 or 外を判断 • ショック到達時は磁気圏の内側にいたことがわかる • その13時間後に磁気圏が収縮してGALILEOより内側に界面が移動した • 伝播速度528 km/s • Low-mach-numberのショックに典型的な値らしい • Interplanetary shock が木星磁気圏を圧縮していることが明確!!
解釈 • 太陽風が木星磁気圏に到達 • 木星磁気圏が圧縮される • 沿磁力線電流が卓越し、極域のオーロラを光らせる。 木星磁気圏が外部からの影響をもろに受けていることがはっきりした。
惑星間空間磁場と木星磁気圏 磁気圏にショックが到達してからオーロラが光るまで • Dungey cycle • 磁気圏界面に到達したIMFと木星磁場が再結合し、開いた磁力線を作る。 • 磁気圏尾部で再び結合する • 熱くなったプラズマが木星側に移動する • 磁気の昼面側も高エネルギープラズマで満たされる □Galileo衛星の観測から、尾部の厚さは150~200RJ (Joy et al., 2002) □ リコネクションポイントは1500RJ付近(リコネクション率を10%と仮定) □ リコネクションポイントから木星まで1000時間近くかかる (Kivelson and Southwood 2005, JGR)
惑星間空間磁場と木星磁気圏 • McComas and Baganel., 2007 • 何かの拍子で北向きIMFが到達→OPEN MAGNETIC FLUXを作る • また何かの拍子でIMFが南向きになり、CLOSED FLUXになる • つまり、尾部ではなく昼側磁気圏界面10RJあたりで2回目のリコネクションがおきる この過程ならばショック到達から10時間程度で極域に到達する
おまけ UVIS観測でこんなことも • Parkinson et al., 2006 オーロラ発光領域の中間圏大気の拡散係数が、他の場所よりも大きいことを示した。つまり、木星でも オーロラ帯=エネルギーの流入帯 であることを確認した エネルギー流入が大きいと拡散係数は大きい → 普通は沈んでいるHeが上層に出てきてHの吸収を逃れて58.4 nmの共鳴散乱光を発する。