1.23k likes | 1.32k Views
現代物理学概論II. 講師 1.石川健三 2.大川房義 3.加藤幾芳 4.山本昌司. 講義予定. 2011 年 1学期の講義予定 月 日 副題 講師 1( 4 月 1 4日) 入門+ガイダンス (石川健三) 2( 4 月 2 1日) 物質の変換と+エネルギー (石川健三) 3( 4 月 2 8日) 素粒子間の力と原子力エネルギー (石川健三) 4( 5 月 1 2日) 素粒子物理 (石川健三)
E N D
現代物理学概論II 講師 1.石川健三 2.大川房義 3.加藤幾芳 4.山本昌司
講義予定 • 2011年 1学期の講義予定 • 月 日 副題 講師 • 1(4月14日) 入門+ガイダンス (石川健三) • 2(4月21日) 物質の変換と+エネルギー (石川健三) • 3(4月28日) 素粒子間の力と原子力エネルギー (石川健三) • 4(5月12日) 素粒子物理 (石川健三) • 5(5月19日) 物性の物理:対称性とその破れ (大川房義) • 6(5月26日) 物性の物理:対称性とその破れ (大川房義) • 7(6月2日) 原子核発見100周年:原子核物理の課題 (加藤幾芳) • 8(6月9日) 核エネルギーと人類 (加藤 幾芳) • 9(6月16日) 放射線の科学 (加藤幾芳) • 10(6月23日)核反応の物理と応用 (加藤幾芳) • 11(6月30日)物性の物理:自然現象から人類の営みまで (山本昌司) • 12(7月7日) 物性の物理 :相互作用と相転移 (山本昌司) • 13(7月14日)物性の物理:環境問題に挑戦 (山本昌司) • 14(7月21日)物性の物理+物理の歴史 (大川房義)
授業の目標 科学技術リテラシーとして、現代物理学の 基礎から最先端分野までの展開、現代物理学 の成果が社会に活用されている状況を紹介し、 物理学のおもしろさ、重要さ、そして自然の 仕組みを理解する。特に、現代社会で重要な 役割を果たすエネルギーや環境問題について、 幅広い観点で原子力エネルギーまで含めて論 ずる。
到達目標 現代物理学の基礎から最先端科学のトピックスの知識を修得し、それが科学的、文化的にどのような意味をもつのかを考える。また、物理学が私達の生活にどのように関与しているかについて考察する。特に、原子力、原子力発電、環境問題、大地震・大津波、またこれらによって引き起こされた原発事故に関する物理を通して、科学の役割を理解する。
物理学の二つの側面 1 1自然の認識(考え方)の基礎 力学、電磁気学、熱学、統計力学 量子論、相対論 運動の法則:ニュートン 物体の運動で、加速度は力に比例して、質 量に反比例する。 新たな概念:質量、力
物理学の二つの側面 2 2 最先端科学・技術の礎でもあり、“frontier”としての担い手でもある。 電気、電子、半導体、エネルギー、 素粒子、原子核、宇宙、--- 電子:陰極線(ガイスラー)、電荷(ミリカン)、 電磁波:電磁誘導(ファラデイ、マックスウェル)
原子核理論 強相関電子物性 磁性 素粒子論 高温超伝導 宇宙理論 低次元物質 極低温物性 光物性 複雑系 理論構築 物性理論 統計理論 0.0000000000000 00001= 1×10-18 cm 約 1 cm 1000000000000000 00000000= 1×1023 cm 宇宙観測 実験・観測
現代物理学 • 物理学の柱 I 古典物理学 力学、電磁気学、熱力学、統計力学 II 現代物理学 量子力学、相対論
素粒子物理学 解析力学 原子核物理学 熱力学 量子力学 物性物理学 相対論 物理数学 宇宙物理学 演習 外国語文献講読 物理学実験 物理学科では何を学ぶ? 電磁気学 統計力学 量子力学 物理数学 卒業研究 正しい自然観
力学 • ニュートンの運動法則 1 慣性の法則 2 物体の質量(M)x加速度(A)=物体に働く力(F)、MA=F 3 力の作用と反作用 すべての物体は固有の質量をもつ。 力は、物体に運動を引き起こす原因となる。
電磁気学 • 電荷をもつ物体の間には、電荷に比例して距離の2乗に反比例する大きさで、両電荷を結ぶ方向の力が働く。 • 電流間には、電流の積に比例しほぼ距離の2乗に反比例する大きさの力が働く。方向は、ベクトル積で決定される。 • これらの力は、電場や磁場によって引き起こされる。また、磁場の時間変動は電場の働きをし、電場の時間変動は磁場の働きをする。
熱学・統計力学 • すべての物体は、非常に小さな原子、分子等の集まりから構成されている。 • 温度はこれらのランダムな運動の程度を表わす。熱量は、温度変化を引き起こす原因となるが、力学的なエネルギーと等価である。
原子論 (i)すべての物質は、小さな基本的な物質の構成要素である原子からできている。 (ii)物質の性質の多くは、原子論から理解することができる。 例: 気体の法則 PV=nRT、熱力学の法則 多様な物質の存在、電磁気現象、他 (iii)物質の生成、変換、崩壊する物質
水素原子の質量 水素原子は1モルで1グラムである。1モルは、アボガドロ数(6x10^23)の原子からなるので、一個の水素原子は、1/6x10^23=1.6x10^(-24)グラムである。 水素は、電荷が+|e|の水素原子核が中心にあり、電荷が-|e|の電子が周りを回っている。 陽子の質量は、電子の質量の約2000倍である。
エネルギー・質量の換算 陽子質量 m 静止エネルギー
量子論 ミクロな世界は、粒子性と波動性を併せ持つ複素ベクトル空間で表わされる。 複素波動関数が基本的な方程式であるシュレーデインガー方程式に従い時間発展する。 波動関数は、決まった方程式に従うが、物理状態を観測すると、事象は、確率的に発現する。 確率は、波動関数の大きさで決定される。
1 光は波か粒子か? (i)光は、波である。 干渉や回折現象を示す。 Youngの2重スリットの実験 ニュートン・リングの干渉縞 (ii)光は粒子である。 1個、2個、3個、のエネルギーや運動量 光電効果、黒体輻射
(ii)光は粒子である 光が素過程で持つエネルギーは、振動数に 比例する。(波としての強度ではない) E=h(振動数);h プランク定数 6x10^{-27}エルグ秒
光電効果光が金属中の電子と衝突して、電子が外にはじき出される光電効果光が金属中の電子と衝突して、電子が外にはじき出される
1.電圧ー電流特性2.光の振動数と最低電圧(電子の運動エネルギー)1.電圧ー電流特性2.光の振動数と最低電圧(電子の運動エネルギー)
光電効果のまとめ 一個の光のエネルギーが一個の電子のエネルギーに変換された。 電子エネルギー=光のエネルギー ー W 光のエネルギー=h(振動数) W=仕事関数(金属で決まっている) 電荷と光の相互作用(電磁相互作用)
光 • 光は、 マクロな世界で波であるが、 ミクロな世界における素過程では、波と粒子の両性質を併せ持つ。ーー量子力学
Wheeler‘s Classic Delayed Choice Experiment(波動性と粒子性の共存)
相対論 • 時間と空間は別個のものではなく、等速度で運動する観測者からみた時刻や空間座標は、静止した観測者から見た時刻と座標で決定される。 • 光の速度は、いかなる観測者からみても同じ大きさである。
質量の換算 陽子質量 m 静止エネルギー
エネルギー保存則 • エネルギーは、一定に保たれる。 1. 力学的エネルギー =位置エネルギー + 運動エネルギー 物体を落下させると、大きな速度をもつ。 2.熱量+力学的エネルギー 化石燃料が燃焼すると、熱が生ずる。 3.物質の変換 質量が変化すると、エネルギーが生成される。
エネルギーの生成と変換 • 位置エネルギーの変化:落下 • 化学エネルギーの変化:燃焼 • 質量の変化: アルファ、ベータ、ガンマ崩壊、 核分裂、核融合 電気エネルギー:電流と電圧
2 電磁波と光 • 電磁波 波長 エネルギー 電波 10^{-4} m 以上 赤外線 10^{-5} m eV 可視光 10^{-7} m 紫外線 10^{-8}m X線 10^{-9}-10^{-12} m keV ガンマ線 10^{-12}m以下 MeV以上
2-1ミクロな世界における電磁波黒体輻射 熱された金属はなぜ赤色や黄色に輝くか? 物質の熱エネルギーが、光のエネルギーに変換される。
温度 T 気体の温度がTKであるとき、気体分子は 平均エネルギー E(平均)=3/2 kT(k:ボルツマン定数)、 分布関数 P(E)=e^(-E/kT) をもつ。 k=8.61x10^{-5} eV/K
2-2 温度と光(電磁波) 電荷を持つ物体の衝突の素過程では、光が生成される。 A+B > C+D+光 光+A >光+C 光と電荷を持つ分子や原子は、衝突で熱平衡になる。 光の平均エネルギーも “kT” になる。 光のエネルギーの分布関数は?
光の熱平衡状態? • A+B > C+D +光 当初光は存在しなくても、AやBが電荷をもつならば、電荷と光の相互作用により、熱平衡状態には、光がたくさん含まれる。 (光の数は保存しない) 温度が高いほど、光のエネルギーも高く、個数も多い。
2-3 黒い壁に囲まれた温度 Tの空間 壁を作る原子や分子は、電荷を持つ原子核 や電子からできている。 壁の分子+壁の分子>壁の分子‘+ 壁の分子+光 壁を、高い温度Tにすると内部は真空でも、 光が充満する。光の温度は、壁の温度と同じになる。
2-4 熱した金属 黒体輻射と同じで、温度に応じた光を放射する。 放射される光の分布は、高い温度ほど高い エネルギーを持つ。 エネルギーは振動数に比例するので、高いエネルギーは、短い波長に対応する。
分布関数 ミクロな状態の光の性質で決まる。 光はボース・アインシュタイン統計に従う。 光のエネルギーは、光子のエネルギーと光子の数の積できまり、光子のエネルギーは 振動数に比例する。 プランク分布 P(E)=1/(e^{hx振動数/kT}-1)
プランク分布 プランク分布 P(E)=1/(e^{hx振動数/kT}-1)
太陽光 • 太陽表面で生成された光が、地球上まで伝播してくる。 • 電磁波の形で、エネルギー(輻射エネルギー)が伝播してくる。 • 太陽の内部では、いかなる機構で大きなエネルギーが生じているか?太陽は、何故燃え尽きないのか?化石燃料の燃焼とは、異なる機構で、エネルギーが生成されている。
天体で典型的な温度 宇宙開闢の頃 10^32 K 太陽中心 10^7 K 太陽表面 6000 K 宇宙の晴れ上がり 4000 K 星間雲 10-100 K 現在の宇宙背景放射 2.74 K
ミクロな世界の特徴(量子力学) • 光は、波であると同時に粒子である。 • 電子も、粒子であると同時に波である。 ーーー> 1.電子は、干渉や回折を示す。 2.電子は、原子の構成要素であり、弦や波動の特徴である固有振動モードをもって、とびとびのエネルギーをもつ。
水素原子内の電子の固有エネルギー • En=- R1/n^2 (n=1,2,3,--- E1=13,6 eV • 酸素原子の固有エネルギー • 水分子(H2O)の固有エネルギー • En=複雑な式となる。とびとびの値、化学結合エネルギー
エネルギー保存則 1力学 運動エネルギー+位置エネルギー=一定 物体(M)は高い位置(h)にある時、Mghの位置エネルギーをもつ。これが落下すると、 Mgh=1/2 M v^2--- v^2=2gh g = 9.8m/s^2-h=100mで v= 45m/s(秒速45m) ---> 毎秒1トンの水では、 --->W=1000x100x9.8=10^6ジュールの エネルギー
2 熱力学 • dU=-PdV+dQ‘ 内部エネルギーの変化 dU 圧力:P、 体積:V ー>PdV 体積変化の仕事 熱量 d‘Q • 熱量と力学的なエネルギーは同じ。1カロリーは、4.18ジュールである。
ジュールの実験(重力エネルギーを水の温度上昇に換算)ジュールの実験(重力エネルギーを水の温度上昇に換算)