240 likes | 290 Views
第49回日本老年社会科学会大会(2007年6月22日 札幌). 少子高齢・人口減少社会への対応策としての大学修業年数短縮. 小 田 利 勝 神戸大学大学院人間発達環境学研究科. 少子高齢・人口減少社会の到来 → 年金財源問題-老後生活費 → 労働力問題-労働力の減少 高年齢者雇用安定法改正( 07 年4月) →老後生活費の確保と労働力の確保. 問題の所在. 人口高齢化と人口減少への対応策としての 移民受け入れのシナリオ(国連, 2000 年). 研究の目的. 少子高齢・人口減少社会が抱える問題への 対策における もう一つの選択肢 として、
E N D
第49回日本老年社会科学会大会(2007年6月22日 札幌)第49回日本老年社会科学会大会(2007年6月22日 札幌) 少子高齢・人口減少社会への対応策としての大学修業年数短縮 小 田 利 勝 神戸大学大学院人間発達環境学研究科
少子高齢・人口減少社会の到来 → 年金財源問題-老後生活費 → 労働力問題-労働力の減少 高年齢者雇用安定法改正(07年4月) →老後生活費の確保と労働力の確保 問題の所在
人口高齢化と人口減少への対応策としての 移民受け入れのシナリオ(国連,2000年)
研究の目的 少子高齢・人口減少社会が抱える問題への 対策における もう一つの選択肢 として、 大学修学年数を現行の4年から3年に1年 短縮した場合に期待される効果を測定する
期待される効果 • 労働人口と納税人口を早期に補充できる • 学生生活費の親の負担分が軽減される • 老後生活費を準備する時期を早くすることができ、貯蓄額が増加する • 奨学金をより多くの学生に貸与できる • 教育費の負担が減少することによって出生率が上昇する • 消費が拡大する
方法 • 卒業生数、学生生活費、老後生活費等の基礎データの収集と分析 • 教育水準を落とすことなく(単位数を減らすことなく)修学年数を1年間短縮することを可能にするカリキュラムと教育体制の工夫 • システム・ダイナミックスによるシミュレーション・モデルの開発
学校教育法第五十五条の三に定められた3年卒業の特例学校教育法第五十五条の三に定められた3年卒業の特例 大学は、文部科学大臣の定めるところにより、当該大学 の学生(第五十五条第二項に規定する課程に在学するも のを除く。)で当該大学に三年(同条第一項ただし書の 規定により修業年限を四年を超えるものとする学部の学 生にあっては、三年以上で文部科学大臣の定める期間) 以上在学したもの(これに準ずるものとして文部科学大 臣の定める者を含む。)が、卒業の要件として当該大学 の定める単位を優秀な成績で修得したと認める場合には、 同項の規定にかかわらず、その卒業を認めることができ る。
学校教育法施行規則第六十八条の三に定められた3年卒業認定の要件学校教育法施行規則第六十八条の三に定められた3年卒業認定の要件 学校教育法第五十五条の三に規定する卒業の認定は、次の各号に掲 げる要件のすべてに該当する場合(学生が授業科目の構成等の特別 の事情を考慮して文部科学大臣が別に定める課程に在学する場合を 除く。)に限り行うことができる。 一 大学が、学修の成果に係る評価の基準その他の学校教育法第五十 五条の三に規定する卒業の認定の基準を定め、それを公表してい ること。 二 大学が、大学設置基準第二十七条の二に規定する履修科目として 登録することができる単位数の上限を定め、適切に運用している こと。 三 学校教育法第五十五条第一項に定める学部の課程を履修する学生 が、卒業の要件として修得すべき単位を修得し、かつ、当該単位 を優秀な成績をもつて修得したと認められること。 四 学生が、学校教育法第五十五条の三に規定する卒業を希望してい ること。
カリキュラムの工夫による3年制の可能性 • 学部教育が3年制の国-イギリス、デンマーク、ノルウェー、フランス、インドなど。 • 2006年EU共通の新制度(学士3年、修士2年、博士3年) • 卒業に必要な最低単位数(124単位:大学設置基準)を3年で取得可能なように工夫することは、それほど困難ではない • 3年で何単位まで取得可能かを検討
大学(学部)卒業者数と就職者数(1965年~2006年)大学(学部)卒業者数と就職者数(1965年~2006年) 「学校基本調査」から作成
大学(学部)卒業者数の就職率(1990年~2006年)大学(学部)卒業者数の就職率(1990年~2006年) 「学校基本調査」から作成
18歳人口の推移(2005年~2055年) 「日本の将来推計人口(平成18年12月推計)」から作成
大学(学部)進学率(1954年~2006年) 「学校基本調査」から作成
大学進学率の推計モデル(ロジスティック回帰曲線)大学進学率の推計モデル(ロジスティック回帰曲線)
修学年数を3年にしたときの各年の労働人口増加分の推計に際しての仮定修学年数を3年にしたときの各年の労働人口増加分の推計に際しての仮定 • 労働人口増加分 =卒業者数 -(大学院進学者数+臨床研修医+その他の者+死亡・不詳) =就職者 + 一時的就労者 • 卒業者数=3年前の18歳人口×進学率×0.95 • 進学率上限は60%(推計モデルのR2乗が最大) • 18歳人口は「日本の将来推計人口」に基づく
修学年数を3年にしたときの各年の労働人口増加分の推計(2008年~2058年)修学年数を3年にしたときの各年の労働人口増加分の推計(2008年~2058年)
老後の準備を考えた年齢と実際に始めた年齢(小田利勝「「いまの高齢者は老後の準備を何歳頃に始めたか」『神戸大学発達科学部研究紀要』11-1、161-172、2003)老後の準備を考えた年齢と実際に始めた年齢(小田利勝「「いまの高齢者は老後の準備を何歳頃に始めたか」『神戸大学発達科学部研究紀要』11-1、161-172、2003)
生命保険文化センター 平成16年度「生活保障に関する調査」 (平成17年1月発行)
日本学生支援機構の大学奨学生(JASSO年報、平成17年度)日本学生支援機構の大学奨学生(JASSO年報、平成17年度) • 平成17年度大学奨学生新規採用数(4年貸与) 第一種 7万4,524人×5万円×4年=149億480万円 第二種 16万1,814人×5万円×4年=323億6,280万円 計 23万6,338人 472億6,760万円 • 3年間貸与にした場合 第一種 9万9,365人×5万円×3年=149億480万円 第二種 21万5,752人×5万円×3年=323億6,280万円 計 31万5,117人 472億6,760万円 • 4年制から3年制にした場合の増加分78,779人
税収の見込額(初任給を195,000円、年収を14.5か月、税率を10%とした場合の各年の収税額増加分)税収の見込額(初任給を195,000円、年収を14.5か月、税率を10%とした場合の各年の収税額増加分)
結び • 18歳人口は減少し続けるが、進学率が上昇していけば、大学の修学年数を1年短縮することによって、2025年頃までは年間35万人、2050年頃までは25万人から30万人の労働人口を1年早く補充できる • そのことによって、家計への負担が大学生1人につき150万円程度軽減される • 奨学生を8万人程度増加させることができる • 各年の収税額を2025年頃までは約千億円増加させることができる